ボディプレスで圧死しました。
もふもふ天国なんてなかったんや………
驚愕の秘密が発覚した後、私は渓流のフィールド探索を行なっていた。
あれから探索を進めた私は現在、ススキのような植物が一部分に大量に生えているエリア7へと踏み込んでいた。
このエリアにいるダチョウのような外見をした草食モンスター、ガーグァは私の事なんか目にも止めずに好物である雷光虫を探していた。
ここには大型モンスターの姿はない。
先ほどいたエリア6には小型モンスターであるジャギィ達が辺りをうろうろしていた為、すぐにこのエリアへと逃げ込んだ。
先ほどとは違ってなんとも平和な空間である。
でも私の足取りは決して軽いものではなかった。
はあ〜、まさか今の私が成体だなんて………、もしかして死ぬまでこの姿なのかな?
い、いや、何この世界で住もうと思ってるの私!?
あの世界にはどうやったら戻れるんだろう………。
この世界で死ぬ前に何としても戻らないとね。
まあ、戻れる戻らないを考える前に眠れる場所を探さないと。
今の時間は大体三時くらいかな。
泡を出せるようになるのに結構時間が掛かっちゃったから太陽は割と傾いている状態だった。
日が沈む前に一通りフィールドは見て回りたいな。
もし安全そうな場所があればそこを寝床にすればいいしね。
他の大型モンスターはもちろんなんだけど、一番警戒しなくちゃいけないのは……………、
ハンター………、なんだよね。
ゲームをやった事がある人ならわかると思うけどさ、あの人の形をした化け物共の筋力と耐久力は異常なんだよ。
溶岩のブレスを食らおうが、巨大な岩石を上から叩きつけられようが平然と立ち上がるし、ダメージを受けても緑色の液体を飲めば一瞬で回復するし、現実世界では何十kgにもなる武器をブンブン振り回すし、ある意味モンスター以上に訳のわからない力を持っているからなぁ………。
しかもこの渓流って近くにユクモ村っていう小さな村があってそこから派遣されたハンターがここに赴くことがあるから、もしかしたら探索中に出くわす可能性も無いとは言えないんだよね………。
もし鉢合わせになったら………、弱そうな下位ハンターなら勝てるかも。
まあ、どちらにせよ出会わないのが一番だよね。
幸い近くに大型モンスターの気配はなさそうだし、もしかしたら今日一日何事も無く平和に過ごせちゃったりして!
ゴガアアアァオオオオォォォォォォォォォッ!!!
って思ってた時期が私にもありました………。
え?嘘?嘘でしょ?
いや、こんな大きな咆哮、小型モンスターが発したものとはとても考えられないし………。
マジですか………、フラグを建ててからの回収が速すぎるでしょ私…………。
気配とか無いなんて格好つけるんじゃなかった………。
ど、どうしよう………、今の咆哮大きさ、結構近い場所だよね?
に、逃げよう。
今大型モンスターとまともに戦って勝てる気がしないし……。
それに私最小金冠レベルの大きさだし………。
で、でも逃げるって言ってもどのエリアに逃げればいいの!?
大型モンスターの中には歩行だけでなく、強靭な脚力を使った跳躍や、大きな翼を使った飛行、鋭い牙や爪で地中を掘り進む潜行を移動手段として用いる奴らもいる。
今さっきの咆哮はゲームでも聞いたことがある。
恐らく、モンスターハンターシリーズの代表的なモンスターの一体、『陸の女王』とも呼ばれる雌火竜、リオレイア。
リオレイア 通称雌火竜。
飛竜種に属するモンスター、体は森林を連想させるような緑色で大きな翼を持つ。
強靭な脚力、毒針を持つ尻尾を持ち、それらを使った突進やサマーソルト攻撃は破壊力抜群。
更に距離が離れた相手には口から炎ブレスを吐く火球攻撃を行う。
普段は自分の巣や卵を見張り、巣の卵を持ち去ろうとすると最優先で攻撃される。
リオレイアだけじゃなくて雄であるリオレウスもこの渓流に出没するみたいだけど、あれは滅多に遭遇しないと言われてる希少種だから多分原種のリオレイアだと思う。
私、ゲームでは結構希少種乱獲しちゃったけどさ………。
まあ今はそんな事どうでもいいや、問題はどうやって奴にバレないように探索進めるかだよね。
リオレイアは飛竜種に属するモンスター。
当然飛行は可能、遠く離れたエリアにも一気に移動することができる。
その為、この渓流ではほとんどのエリアに奴が出没する。
逃げた先のエリアでばったり出くわすこともあれば、フィールド探索中に別エリアから乱入してくる可能性だってある。
今私がいるこのエリアだって普通に奴が闊歩する場所だしね。
でも逆に考えれば出現するエリアが多いって事は遭遇する可能性は低いって事だよね、多分。
それに、普通の状態ならあんな大きな咆哮をするはずはない。
何かしらの臨戦態勢、もしくは警戒状態にあるんだと思う。
もしかしたらハンター達と対立しているのかな?
他の大型モンスターと対立してる可能性も無くはないけど、リオレイアとはまた別の咆哮は特に聞こえてはこないし、多分ハンターかな?
だとしたら戦闘中に何気無いそぶりで通り過ぎることも出来るんじゃないかな?
幸い私の体はびっくりする程小さいわけだし、物陰に隠れて移動すればもしかしたらバレないかも。
最悪バレたら泡を使った移動でささっと逃げればいいし。
よし、作戦(?)も決まったことだし行動に移すのみ!
できればばったり遭遇しませんようにーーー
「グエェェェェッ!?」
え?な、何?何々!?どうしたの!?
鳴き声が聞こえてきた方向を見てみると、先程まではのんびりと食事を取っていたはずのガーグァ達が突然慌ただしくなり始めたかと思うと、蜘蛛の子を散らすように逃げ始めた。
その内の一匹が私を見つけたのか更にパニックになり、攻撃を仕掛けてきた。
しかし、おおきく振りかぶって攻撃する上に速度もそれほど速くはない。回避するのは容易であった。
別エリアの道を塞ぐようにして立っていたので、私は回避ついでにガーグァ達に道を譲ってやることにした。
すると、彼らは先程私に攻撃したことも忘れたかのように再び慌てふためきながら別エリアへと移動していった。
あまりの騒々しさに私は唖然としてただただ必死に走っていく彼らの後ろ姿を見届けるしかできなかった。
い、いきなりどうしたんだろう?びっくりしたなぁ、って、あ、いけない、ガーグァ達がいった場所って確かジャギィ達がいたはずじゃあ………、いや、他人の心配より自分の心配よね。
人間じゃないけど。
さ、私も別のエリアに移動しなくちゃ。
ジャギィ達がいるから戻るっていう選択肢は無しって事になるから行くとすれば廃屋がある場所か、洞窟の入り口の二つだよね。
う〜ん、どっちに行こうかな?
バサンッ、バサンッ、バサンッ、
ん?何か聞こえてきたような………、
バサンッ、バサンッ、バサンッ、
なんだろう、だんだん大きくなってくる。
しかもこの音どこかで聞いたことがあるような…………。
バサンッ、バサンッ、バサンッ、
そういえばガーグァやアプトノスといった草食モンスターは身を守るために大型モンスターの気配を察知して近づいてきたらすぐ別のエリアに逃げる習性が、あった、気が…………、
という事は、ま、まさか…………、
バサンッ、バサンッ、バサンッ、ドスンッ、
大きな音を立てて何かがこのエリアに降り立った。
私は冷や汗を流しながらゆっくりとその音がした方向を向いてみる。
そこにいたのは森林を連想させるような緑の巨体に、大きな翼。
発達した両足悠然と佇む、『陸の女王』こと、リオレイアの後ろ姿であった。
うわ〜い、頭の中で色々考えてるうちに早速鉢合わせちゃった〜。
って、嘘でしょ!?なんでこんな事になっちゃうんですか!?うわ〜ん!!
どうなる!?主人公!!