渓流は今日も平和です   作:シャーペンの芯

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遅れてスマヌ。ネタが思い浮かばないのです。

前書き書くの疲れちゃった(思考放棄)


第五話 おねだりミツさん

「タマミツネ………?」

 

 

私は目の前にいる小さなモンスターに呆然としていたのだが、

 

 

 

「っ!!」

 

 

「待つニャ、リナ」

 

 

 

数秒後、少し遅めに異常事態と判断した私は背にあるボウガンに手をかけようとするが、ケルトが言葉でそれを制した。

 

 

 

「何よケルト、早く迎撃しなくちゃーーー」

 

 

「様子が変ニャ」

 

 

「え?」

 

 

 

私はケルトの言葉で目の前のタマミツネに焦点を合わせる。

通常の個体は他の大型モンスターと比べると比較的温和な方とはいえ、警戒の咆哮の一つは行ってくるものだ。

私達がいくらその場に留まろうと目の前にいるこの個体は戦闘態勢どころか、敵対の姿勢すら取ろうとはしない。

 

というより、私達など眼中にない、といった様子である。

なら、あのタマミツネは何が目的なのか?

 

奴が視線を向けているのは私でもケルトでもなく、ちょうどその真ん中辺り。

 

ゆっくりと後ろを振り向いてみると、そこには先ほどまで私が焼いていたこんがり肉が。

 

もう一度タマミツネを見てみる。

やはり、動きはなく、襲いかかる気配もまったく感じさせないまま、同じ方向をじっと見つめていた。

 

 

そして私は再び奴の視線の先を追って後ろを向いて、タマミツネを見て、を繰り返していくうちに目の前のモンスターに変化が。

 

 

 

「クアァ………」

 

 

 

口から小さな滝かと見紛うほどの大量のヨダレを垂れ流し始め、それと同時に奴の腹の音が盛大に鳴り響き始めた。

 

 

ま、まさかこのタマミツネの狙いって………。

 

 

 

「リナ!こいつの狙いはお前が焼いた肉ニャ!」

 

 

「や、やっぱり!?」

 

 

 

あわわ、駄目!これは私のご飯!せっかく上手に焼けたのに渡して溜まるもんですか!

 

 

私は自分のご飯を取られまいと、即座に肉焼きセットから肉を取り外す。

我ながらなんて意地汚いのか、と頭の中でそう思ったけどそんな事はどうでもいい。

私だって生きているのだ。

食べなきゃ生きられない。そして狩りを続ける中で食糧は必要不可欠だ!って教官がいってたような。

 

 

そして、肉を取り外した私はすぐに距離をとったんだけど………、

 

 

 

「(´・ω・`)」(ジーッ………)

 

 

 

肝心のタマミツネはよだれを垂らしながら形容しがたい表情でこちらをじっと見つめていた。

 

 

え、何あのなんともいえないような悲壮的な顔………。

 

 

 

「(´・ω・`)」(ジーッ………)

 

 

 

や、やめて!そんな顔でこっちを見ないで!

 

 

私は心の中でそう叫んだが、当然そんな事が目の前のモンスターに伝わるはずもない。

 

 

 

「そ、そんなに欲しいの………?」

 

 

 

目の前のモンスターの愛らしさについ声を掛けてしまった。

こっちの言葉は分かるはずないのに私は一体何をやってるんだか………、と思いながら反応を見ていたのだが、目の前のモンスターは私の質問に肯定するようにブンブンと何度も首を縦に振った。

 

 

え?もしかしてこの子、私の言葉が分かるの?

 

 

 

「じゃあ、これを食べたら私達を襲わないって約束する?」

 

 

 

この質問にも目の前のモンスターは首を大きく縦に振って肯定の意を示した。

私はそれを確認すると手に持ったこんがり肉を渡すためにゆっくりと近づいて行く。

一歩ずつ進んで行く度に不意をついて襲ってくるのではないかと内心警戒していたが、肉を地面に置き、数歩下がると、お腹を空かせたタマミツネは一気にそれにかぶりついた。

相当お腹を空かせていたみたいで、ものすごい勢いで平らげて行く。

はじめに私が抱いていた予感は杞憂に終わったみたい。

 

 

 

「ねえ、ケルト」

 

 

「ニャ、こいつ、明らかにオレ達の言葉を理解してるニャ」

 

 

 

一生に一度会えるかどうかわからない古龍の他にも人語を理解するほどの高い知能を持つモンスターがいると噂には聞いた事はあったけどまさかこんな所で出会うなんて………。

 

 

さて、長居は無用。

目の前のモンスターがご飯に夢中になってる内に早く戻って村長に伝えないと。

敵意が無いとはいえ、ギルドに手配してしっかり観察してもらわないとね。

 

 

そう思って、肉焼きセットをポーチの中にしまおうとしたのだが、トントン、と私の足に何かがぶつかったような感触がした。

見ると、私の足元には肉を食べ終えて、骨を口にくわえながらつぶらな瞳でこちらを見つめるタマミツネの姿が。

 

 

………え、食べるの早くない?この子。

まだ三分もたってないと思うんだけど………。

 

 

 

「もっと欲しいの………?」

 

 

 

そうたずねると目の前のタマミツネは再び大きく首を縦に振る。

でもこれ以上あげると私達の食料までも無くなっちゃうし………。

 

 

 

「ごめんね、これ以上はーーー」

 

 

「(´・ω・`)」

 

 

「うん、ちょっと待ってて、すぐに焼いてあげる」

 

 

 

そう言って私はポーチから生肉を取り出してゆっくり焼き始めた。

ケルトが何か冷たい目でこっちを見てるけどそんなの知らない。

あんな目で見られたら絶対に無視できないもん。

現に、タマミツネは私の目の前で目を輝かせて、敵意なんて欠片も感じられない。

こんな可愛い子を放置していられるもんですか。

 

 

心の奥底でそう言いながら私は目の前の小さなモンスターのお腹が満たされるまで肉を焼き続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ギルドより古龍観測所へ報告。

 

 

新入りG級ハンターの調査の結果、ユクモ村周辺の渓流にて泡狐竜を発見。

しかし、その報告には些か不可解な点が複数挙げられました。

 

 

まずは異常なまでに小さい個体であると言うこと。

目撃談によると、全長が成人男性とほとんど同じくらいの大きさ位とのことでした。

更に、ヒレがほとんど無いことから、遭遇した個体は雌であると考えられます。

 

 

第二に雑食であること。

通常、泡狐竜は魚を主食としているのですが、発見された個体は自生していたキノコや植物を食べ、備蓄までしていた模様。

また、ハンターは探索中にこの個体と鉢合わせたのだが、何故か戦闘にはならず、焼いていたこんがり肉を要求するという行動を見せたようです。

 

 

なんだかもうわけがわからないです。

 

 

 

第三、これが一番不可解な点で、どうやら発見された個体は我々の扱う言語を理解している模様。

社会に溶け込んでいるアイルーや、知能の高い古龍種が人語を理解する。といった事例は聞いたことがありますが、今回の件は全くといっていいほどの例外です。

また、この個体が摘み取った植物は全て一定以上まで育った物ばかりで、十分に育っていない若芽などはそのまま残されていました。

他にも、調査を行っていたハンターが何度か話しかけると、何度か頷いたり、首を横に振ったりして否定の意を示したりしたそうです。

更に、食後、こんがり肉をくれたハンターに自身がかき集めたと思われる大量の植物を譲り渡すといった行動も見られたそうです。

 

 

この事からかなり知能が高く、比較的温厚な個体であると思われます。

 

 

 

 

古龍観測所よりギルドへ報告

 

 

了解。その個体についてはこちらでも調査しますが、念のため一定以上のランクを持つ上位以上のハンターを調査に向かわせてください。

 

 

 

 

ギルドより古龍観測所へ報告

 

 

 

了解、最近G級に昇格した例のハンターを向かわせます。

性格に難がありますが、腕前は確かなものであるので問題はないと思われます。

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