四聖勇者の仮想現実   作:ブリキの玩具

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三人称視点にしてみました。実験的なものでもしかしたら直す可能性がありまする。
そんなこんなでよろしくお願いします。


10話 前篇 情報屋

 ホランカを出た尚文たちは、二人一組で分かれて亥神を探し始めた。

「なかなか見つかりませんね。」

 尚文についてきたアトラが珍しく弱音を吐く。

「一度街に戻ってみるか?」

「いえ、もう少し探しましょう。せっかく尚文様と二人きりなのですから。」

「そうか、じゃあもう少しは探すか。」

 尚文は自分に対するアピールにも慣れてきてきていた。というのも、アトラはスキあらばこういうことをしてくるので経験を積んでレベルアップを果たしたのである。探すとはいったものの、実は尚文たちは自分たちが予想するポップ場所をあらかた探していたのである。故意に目標から外していた、明らかに挑戦レベルが高そうな森が西の方にある。

「なあ、アトラ。」

「なんですか尚文様、愛の告白ですか?」

「違う。あの森・・・明らかに難しいよな?」

「そうですね、私達には荷が重いかと。」

「だが、あそこしかないよな。この辺には。」

「そうですね、あそこしかないですね。」

「…行くか。」

「尚文様がそう仰るのなら。」

 別に何も策がないわけではない。入り口の方で敵のレベルを確認する。そして、行けそうだったら先にどんどん進む。これで行くつもりだ。挑戦レベルが高そうとは言え、所詮、最初の方のダンジョンだ。どうにかなるだろう。もし危なくなれば、初期アイテムの転移結晶を使うだけだ。その後、あいつらを招集してクリアしよう。

 森のなかに入ると一気に空気が変わった。重苦しくなり、呼吸がしづらい気がした。そ

こら中から木々のざわめきや、魔物の唸り声が聞こえる。時折それに混じって、枝が折れる音が聞こえたり、魔物の遠吠えが聞こえる。

「よし、進むぞ。危なくなったらすぐに転移結晶を使え、いいな?」

「わかりました。」

 ここは、あの世界とは違う。あの世界のように最初に死ぬ危険が極端に低い世界ではない。何故か尚文の防御はこの世界でも高いが、敵からのダメージはそれでも受ける。前の世界でも危険を考えなかった訳ではないが、それでも意識は低かった様に感じる。これからは違う、勇者の力も元のステータスも関係なく、ただ一人のプレイヤー…いやこの世界も【遊び】と考えるのは愚かだろう。ただ一人の冒険者として、死線をくぐり抜けてきた奴らと、このクソッタレな世界の創造神を破壊することを目指していこう。

 森の奥に向けて歩き出した尚文達は数歩歩いたところで後ろから呼び止められる。

「ちょ、ちょっとアンタらなにしてんダ!」

 振り返り、声がした方を確認すると、深い緑に黒を混ぜたような色のフード付きコートを着たプレイヤーが走ってきていた。フード付きコートを着ているNPCもいない訳ではないが、明らかにNPCのそれとは違っていた。そいつは深くまでフードを被り、鼻のあたりから下しか見えないように顔を隠していた。時折、フードの中から金色の髪が見え隠れ

していた。

 その人物は息切れしながらも自分たちのもとまでやってきた。

「ここの、森は、ナ!あんたラみたいな、奴ガ、二人で入るとこじゃネーヨ!」

 不審な服装をしている割に意外と可愛らしい声だった。恐らく女だ。尚文は、こんな隔絶された世界では女が下に見られる事があるのだろう。尚文の仲間は比較的女が多かったのでそんな風に思わなかったが。どの世界にも昔にとらわれる”クズ”が居るものだ。こっちでは男女差別、あっちでは過去の栄光。愚かなやつばかりだ。などということを考えていた。

 尚文はこうも考えていた。フードを被ってて、女か…。どこかの黒魔道士を彷彿とさせるな。命名 ビビ。怒られそうだがそんなことは知らない。

 ビビは話しながら息を整えた。ビビの息が落ち着いてからアトラが質問した。

「あなたはわざわざ教えに来てくれたのですか?」

 アトラの質問に対し驚きの返答が返ってきた。ビビのYES、NO の返答に驚いたのではなく、その理由に驚いたのだ。

「ああ、流石に300人ももう死んでるのに目の前で死なれちゃこっちの気分が悪いからナ」

「さん…びゃくにん?冗談だろ?」

「吐くならもっとマシな冗談にしてくれ、そんなわけ…」

 そこまで口に出して、尚文の口は止まった。止めざるを得なかったのだ。顔は見えないが明らかに落胆した表情をしていた。わずかながらに見える口元と、雰囲気。何よりも俺

だと強く、間接的に伝えていた。まだビビは何も言っていない。それでも尚文はビビの言うことは真実だと確定し、それ以上はそのことに触れず、尚文自身でも信じられないほど弱々しい声で、ただ一言「すまなかった。」とビビに告げた。

「オット!なんだか変な空気になっちまったナ!」

 今までの空気を無理やり吹き飛ばすようにビビが明るく言い放った。尚文は、その姿に非常に心苦しさを感じたが、出会ったばかりである尚文にどうこうできる話ではなかった。それを流し、尚文達はビビの本来の話を聞くことにした。

 




ちょっと長くなるのでここで止めました。
割りと早めに次は上げると思います。
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