学園黙示録〜転生者はプロの傭兵   作:i-pod男

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連続投稿だZE!原作では何故リカのロッカーに銃があったのかと言う設定を考えていたので、ちょっと難産でした。もしかしたら無理矢理感があると思う方も多少入るとは思いますが、そこは長い目で見て下さいm(_ _)m

ではどうぞ。


日常、再び

後ろから声がして振り向くと、消防の服らしき物を着た集団がどこからか現れ、肩に乗せたバズーカらしき物を<奴ら>に向けてぶっ放した。俺はジープの上に這い上がり、向こう側に飛び移った。当然バッグとその他の武器も向こう側に放り込んでおいたので回収しておく。

 

「危ない所を助けてくれて、本当にありがとうございました!」

 

静香が耐火服を着た連中に深々と頭を下げる。

 

「当然ですよ。娘と、娘を守ってくれた方々を放って置く等、義に反しますから。」

 

ヘルメットを取って顔を見せると、俺は開いた口が塞がらなかった。

 

「ママ!!」

 

沙耶は大きく顔を綻ばせると、母親に抱きついた。母親?あの人が?赤紫色の特徴的な髪の色。あれは、まさか・・・・・

 

「百合子さん?芹沢百合子さんですよね?」

 

「芹沢は旧姓ですが・・・・・貴方は・・・・あら。久し振りね、滝沢君。」

 

他の奴らに助け起こされて彼女の前に立つと、深々と頭を下げた。

 

「やっぱりか。お久し振りです。」

 

まわりがざわつき、沙耶も驚いた表情を俺に向ける。

 

「え、何?ママと知り合いなの?」

 

「昔ちょっとな。俺の親父がコータに負けず劣らずかなりのガンマニアだったから。銃の免許を持てる歳になってしばらくしてからリカにも紹介したんだ。それで彼女はライオットやらAR10を手に入れられた。右翼団体の総帥と結婚したって噂は聞いてたけど、本当だったとはね。あれからかなり経つのに生存率の高さも相変わらずだ。腕は鈍ってないし。」

 

「ここでは何ですから、屋敷へどうぞ。その方が落ち着いて話も出来ます。車は後から回収します。」

 

警察が使う様な大型の護送車両に俺達と荷物を乗せて高城邸へと向かった。どうなる事か一時はヒヤヒヤしたが、まあ、死なずに済んだな。俺は以前神は信じないと言ったが、それは今でも変わらない。だが、人生とは乗り越えられない試練は与えない。何にでもloophole、抜け道は存在する。

 

余談だが、屋敷に到着するまで静香は俺の腕にくっ付いたまま離れなかった。

 

 

 

 

 

 

「沙耶、ここがお前の家か。始めて来たな。」

 

背中を強打した彼女に肩を貸しながら孝は辺りを見回す。途轍も無くデカい屋敷だな。ジャパニーズ・ブルジョワ、ここに極まれりだ。

 

「そう言えばそうだったわね。まあ、無理も無いわ。でも、驚いたわ。元SAT隊員で、独身時代のママの知り合いだなんて。ほんと何者?」

 

「生きるのに必死なだけの大人だよ。」

 

屋敷に通されると、数ある客室に通された。中に入る途中で他の避難した住民達が見えたが、明らかに空気は良い物とは言えなかった。まあ、無理も無いだろう。俺達みたいに崩れた秩序の上に成り立った新たな秩序にそれなりに早く順応するのは言う程簡単ではないし、そんな中他人だらけの集団内で輪を乱すのは当たり前の事だ。

 

「ふー・・・・」

 

腰を落ち着けた全員が大きく息を吐いた。静香は屋敷の人間から飲み物を受け取っていたらしく、ミネラルウォーターが振る舞われた。とりあえず今は各自休憩だな。車も回収すると言っていたから、当面問題は無さそうだ。

 

「危なかったですね、沙耶のお母さんが来てなければ、今頃・・・・」

 

「ああ。あの人には毎度毎度美味しい所持ってかれるんだよな。」

 

俺はポケットから携帯を取り出して開いた。電波は良好。これなら通るか?リカの携帯にかけてみる。コールが暫く鳴った。

 

『圭吾?』

 

「リカ!やっと繋がったぜ。良かった。」

 

携帯をスピーカーに切り替えて、静香も安心させる。

 

「リカ!!よかったぁ〜〜、生きてたぁ〜〜!!」

 

静香は感極まって泣き始めていた。それをありすとジークが慰める。

 

「良かったね、先生。」

 

『まあ、何とか生きてるわ。静香が無事だって分かって安心した。今どこにいるの?』

 

「一心会総本部だ。お前の銃とかも持ち出してるけど。」

 

『それは別に良いわ。二人で買った物だし。現在地があの右翼団体ねぇ・・・・ま、そこなら暫くは安全だわ。ライフラインも無限に、とは言えないだろうけど、ある程度は確保出来るし。私は残念ながらまだ洋上空港よ。残ってる市民を守らなきゃ行けないから。』

 

相変わらず、仕事熱心な事で。

 

「馬鹿な質問だと思うが、近い内にそこから抜けてこっちに来るなんて事は無いか?」

 

『出来るし、やるけど、今はまだ駄目。部下を放って置く訳には行かないもの。部下を連れて行ったら、逆に皆をほったらかしにしてゾンビもどきが増えるし。死なない程度にこっちで頑張るわ。』

 

「だろうと思ったぜ。ここを出る前にもう一度連絡を取る。静香も話したい事は山ほどあると思うし、暫く相手してやってくれ。俺は寝てる。今日のキルカウント、三百は超えた気がするぜ。」

 

『オッケー、お休み。会えたらたっぷり「相手」して貰うからね、静香と一緒に。』

 

「まあ、その時は、お手柔らかに。」

 

携帯を静香に渡すと、静香は小躍りしながら別の部屋でリカと話し始めた。

 

「今のって・・・・」

 

「ああ。マンションの方で話してた、俺のコレだ。」

 

小指を立ててニヤリと笑った。ポケットから財布を取り出してそこにガムテープで貼り付けた写真を見せてやる。

 

「綺麗な人ですね。」

 

「ああ。気さくで話し易い、面倒見も良い、腕っ節も強いの三拍子。良い女だぜ。」

 


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