学園黙示録〜転生者はプロの傭兵   作:i-pod男

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武器入手編です。次話かその次辺りで新しいキャラを出そうかと思います。


強化と手掛かり

コータが死んだ<奴ら>の死体を漁り始めた。俺はとりあえず一体目の<奴ら>のホルスターにあるベレッタの弾を抜いて仕切りが付いたダッフルバッグにぶち込んだ。九ミリ弾が増えて助かったぜ。

 

「これは連射タイプのH&K MP5SFKだ!サプレッサーもライトも付いてる!予備のマガジンも三つ!こっちはM92FS VerTecと予備のマガジンが二つ!」

 

予想以上の収穫だと言うべきだな。

 

「コータ。ほら。これを使うかどうかは分からないが、一応渡しておく。」

 

「FMG-9!コンパクトに畳める9ミリ弾を使うサブマシンガンだ!・・・でも、なあ。」

 

物欲しそうに他の銃を見やった。確かに他の銃は必要だが、FMGは消費が半端無い。フルオートで撃つ必要も無い。更に、九ミリ弾は当たり所に寄っては一発で<奴ら>を倒すのに十分な破壊力を持ってる。

 

「いらないなら別に捨てても構わない。九ミリ弾は7.62ミリが切れたら必要になる。」

 

コータは意を決した様にFMGを投げ捨てた。俺はシグのマガジンに弾を押し込んで再び満タンになると、もう一丁のベレッタと予備のマガジン一本をコータに渡した。

 

「あさみさん、毒島さん、これ、使って下さい。」

 

レーザーサイトがマウントされたベレッタM92FSVerTec二丁とホルスターをそれぞれ冴子とあさみに渡した。

 

「こ、これ、あさみが使った奴と全然違いますよコータさん!どう使うんですか?!」

 

「私も銃を扱った事など無いんだが・・・・」

 

「俺が教えてやる。あさみはコータにレクチャーしてもらえ。これで少しは持つかな?」

 

「でも、新しいサブマシンガンとハンドガンだけじゃ頼り無い。」

 

コータは狂喜を押さえ込んで厳しい表情を作ろうと努力するが、しばらくしてからやめてしまう。やっぱりガンマニアはガンマニアだな。

 

「バルカン砲とグレネードランチャーがあるだろうが。」

 

「でもあれは特殊ですし、いざって時の為に取っておかないと・・・・それに、今必要なのは新しい銃じゃなくて弾です。サプレッサーでも完全に音を消せる訳じゃないし、どちらにせよいつでも撃てる訳じゃない。」

 

「じゃあ、あのクロスボウはどうするんだよ?」

 

孝がイサカを担いで訪ねる。

 

「矢の本数が限られてるから無駄撃ちは出来ない。」

 

まあ、何はともあれ、証拠品保管庫には着いたな。俺はドアノブに手を伸ばして開こうとしたが、動かない。やはり鍵はかかってるか。まあ、当然と言えば当然だろうな。

 

「・・・・・糞。」

 

「ヌフフフフフフ、こんな時は・・・・高城さん!」

 

「え?あ!」

 

沙耶はバッグの中からドリルを取り出した。成る程。隠密行動では必要な物だな。見た所学校の備品らしい。数分後に、ようやく鍵を抉じ開ける事に成功した。乱暴に蹴り開けて中に入って<奴ら>の有無を確認する。誰もいない。薄暗い部屋の中で幾つも棚が並んでいて、その棚の上に段ボール箱が乱雑に置かれていた。

 

「どこから始めるかな・・・・?」

 

「見るとしたら、刑事課とか銃刀法違反て書いてある筈だから。」

 

「あ。」

 

孝は黒い大きなケースを引っ張りだして開けた。中に入っていたのは大きなピストルグリップのショットガンだった。

 

「うわ、M1014 JSCS・・・・ベネルM4 スーパー90!アメリカ海兵とイギリス軍が使ってるコンバットショットガンだ!小室、君が使いなよ!」

 

「入る弾は八発、それにセミオートか。ご丁寧に弾薬の入った箱まであるとは。」

 

「何だこれ。イサカより重いぞ。」

 

孝はイサカとベネリを持って比べると顔を顰めた。確かにイサカの方が軽いから取り回しが良いだろうが、ベネリは撃つ度に一々フォアエンドを操作する必要が無い上に、銃床で殴り付けた時の威力が違う。ロスでマフィアの一員に殴られた覚えがある。中々に痛かった。

 

「そりゃそうだろう。こっちは軍隊に正式採用されてる本格的な戦争用の道具だからな。だが、扱い自体は簡単だ。そのボルトを引いて、イサカみたいにシェルを中に押し込めば良い。銃口がドアブリ—チャーになってるからポールアームみたいにも使える。」

 

「撃つのは出来る限り避けたいからな、助かる。他のはどうするんだ?」

 

孝がトカレフやクレー射撃で使う様な二連ショットガンを指し示す。

 

「コイツはやめとけ。ショットガンならもうあるし、トカレフは危な過ぎる。共産圏の銃は大量生産のみを重視してる。機能性も銃自体のクオリティーも低い。昔は良く暴発事故があった。グリップも撃った反動をまともに吸収し切れない位細っこいし、セーフティーすらない。弾は使える物を持てるだけ持て。」

 

俺はポケットからペンライトを取り出して辺りを照らし出す。

 

「あれ?滝沢さん、何でそのライト使えるの?」

 

「ん?いや、試しに点けてみたらな。点いた。」

 

「あーーーー!!忘れてたわ!集積回路を使ってない電池で動く物なら何の問題も無く動くわ!!ホンットあたしって馬鹿になってる!!」

 

「落ち着け。俺だって今しがた思い出したばっかりなんだよ。」

 

己の大事な見落としに気付いて自己嫌悪を始める沙耶にそう言って俺は箱を漁って7.62ミリ弾や357マグナム弾、ショットシェル、そして九ミリ弾を見つけてはバッグに放り込んで行った。

 

全員がそれぞれ武器をすぐ取り出せる様な所に収納、装着し始める。俺はとりあえず左腿のホルスターを外し、腰背面のナインオクロックポジションに納めた。もし使える近接武器が見つかればそこに差せる。

 

「圭吾・・・・」

 

「どうした?」

 

静香が俺の袖を摘んで引っ張る。彼女の顔には心配の色しか浮かんでいない。だがリカは空港に配属されているからここにはいなかった。少なくとも電話で話した時はそうだった。今はその可能性に賭けるしかないな。

 

「リカ、大丈夫よね・・・・?」

 

財布に入れてある俺達三人が写った写真を握っていた。

 

「分からん。」


無責任な事を言って無駄な希望を持たせたくはない。故に俺はそうとしか言えなかった。正直、連絡をEMPによって絶たれて以来リカの足取りは完全に掴めなくなった。洋上空港ならば自衛艦が救助しただろう。だがあいつの事だ、持てるだけの武器を持って俺達を探そうとまた床主に飛び込もうと躍起になる。

 

「俺は神は信じないが、お前達やリカは信じる。今出来るのはそれしかない。だから、お前も俺やリカを信じてくれ。な?」

 

静香を抱き寄せて抱きしめてやる。ふわりと何か甘い匂いが俺の鼻孔をくすぐった。静香もまた俺に腕をきつく巻き付けて放そうとしない。俺もそれに答えてさっきよりも腕の力を強めて更に密着する。

 

「あのぉ、滝沢さん・・・・?静香先生・・・?」

 

「「ん?」」

 

抱き合ってるのを見てコータやあさみが赤くなっている。意外や意外、冴子もそっぽを向いていた。やっぱこう言う事には免疫が無いみたいだな。

 

「何だ?ケアだよケア。こう言う時だ、ストレスも恐怖も溜まりまくってる。」

 

「それを発散、共有するのも大事な事よ。心と体にも、ね?」

 

軽く唇を合わせると直ぐに離れた。

 

「お前らも好きな奴がいるんだったら出来る事は今の内にやっとけ。死んだら何も出来ねえぞ。特にお前ら童貞&処女諸君。」

 

図星を突かれたのか、沙耶、麗、あさみ、冴子は赤くなり、コータや孝は項垂れていた。

 


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