学園黙示録〜転生者はプロの傭兵   作:i-pod男

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そのまんまです。IF物です。多少現実では普通無いだろうと思う所が少しあるかもしれませんが、そこら辺はスルーして頂ければ助かります。


IF編〜もしオリ主がまだSAT隊員だったら

桜が散る春のある日。俺は目覚ましのアラームと共に目覚めた。時計を見ると、午前五時半を指している。普通に起きるにはまだ少し早い時間だ。だが、そうも言ってはいられない。何故なら、俺はSAT隊員と言う仕事があるからだ。

 

「リカ、朝だ。起きろ。」

 

同僚の南リカを揺り起こすと、俺はシャワーを浴びに行った。こう言う、もう少し眠っていたい様な日には、必ず冷水のシャワーが意識を夢の中から無理矢理引き摺り出してくれる。入れ違いで寝癖ヘアーのリカがバスタオルをその艶っぽい褐色の体に巻き付けてユニットバスに入って行く。

 

「う〜〜・・・・」

 

肩や首を揉んでボキボキと鳴らしながら朝飯の支度を始めた。昨日の残り物を始末する必要もあるのでそれらを冷蔵庫から取り出して電子レンジに入れた。後はコーヒーとかぐらいだな。三人分の朝食を用意するとそれをテーブルに並べた。不意に漠然と嫌な予感を感じた俺は自分のロッカーを開けた。中に入っている仕切り付きの特大サイズのダッフルバッグに散弾やマグナム弾の紙箱、ハンドガンと予備マガジンのケース二つ、銃剣などのナイフ、軍用モデルのモスバーグM590A1、そして買った覚えが無いダネルMGLとグレネード弾数十発を中に入れた。バッグを閉めてジッパーに鍵をかけると、玄関先に置いた。

 

「静香、起きたか?」

 

「まだ寝てるわよ。全く・・・・週末だったからって張り切り過ぎ。あんなんじゃ寝坊しちゃっても仕方無いわよ、アンタに起こされなかったら私も多分あのまま寝てたわ。」

 

リカはタンクトップにホットパンツ姿でコーヒーマグ片手に朝食を食べ始めていた。

 

「お前ら酔っぱらって襲って来る時=盛ってる猫だからな?相手する俺の身にもなってくれよ。イニシアチブ握るどころか握られてるんだぞ、俺は?」

 

俺も席に着いてとりあえず食べ始めた。夜の運動の後はどうしても腹が減る。その上少し窶れる。それに反してリカは艶々だ。

 

「今日は、確かテロ対策の為って事で空港に行く事になるんだよな?」

 

「ええ。ロッカーの中身出しちゃってるけど、良いの?バレたら只じゃ済まないわよ?」

 

「良いんだよ。免許やその他諸々の必要な書類は持ってるし、後ろ暗い事は(今世では)何もしちゃいない。お前の方がもっとヤバいだろ?アレ日本じゃ違法だぞ、違法。でも、まあ、」

 

「「バレなきゃ良いか。」」

 

朝食を済ませると、静香の分をラップに包んでそのままにしておく。最後に手早く荷物を点検してから出発した。

 

 

 

 

 

 

「う〜っす、お前ら。どれぐらいの期間かは分からないがここにいる事になる。その間はよろしく頼むぞ。テロ対策って言っても本当に何かが起こったら、俺達が全力で戦わなきゃ行けない。間違っても気ぃ抜くんじゃねえぞ、分かったな?」

 

「「「「はい!!!」」」」

 

俺の言葉に全員が敬礼して返事を返す。うん、良い部下だ。うん。

 

「何時も以上に周囲に気を配る様に。そして空港警備員とも協力的にする事。彼らはあたしらより空港の構造を良く知ってる。反抗的な態度は出来るだけ取らない様に。最後に各自連絡を常に取り合う様に。何かあったらすぐ報告・連絡・相談!以上!」

 

リカの言葉を皮切りに、全員が散開してそれぞれの配置に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

あれから数時間、もうそろそろ正午だ。滑走路付近に停車した警備車両の中から外の様子を見ている。今の所、何も問題は無い。少なくとも、俺の知る限りでは異常事態は何も・・・・

 

『班長!滑走路に人影が見えます!首から血を流している。あ、人に、人に噛み付きました!!』

 

起こらない筈だった。人が人に噛み付く?『羊達の沈黙』じゃあるまいし、ハンニバル・レクターみたいな奴がいるとでも・・・・・

 

「おいおいおいおい、何の冗談だこれは?田島、これ現実だよな?」

 

無線でリカの観測手の田島に無線を通して聞く。

 

『圭吾、嘘だと思うんなら外見てみなさい。』

 

リカに言われた通り。双眼鏡で外を覗くと、田島が行った通りの現象が起こっていた。人間が人間に噛み付き、噛み付かれた人間がまた別の人間に噛み付く。リアル『バイオハザード』が始まってしまった様だ。

 

『どうするんだ?流石に歩く死体がいますなんて指揮班には報告出来ない。頭がおかしいんじゃないかって言われるのがオチだ。かと言って今直ぐアレを撃つ訳にも行かない。』

 

「上からの苦情が無きゃこっちも発砲許可なんか無視して頭に一発ブチ込め、と言いたい所だがな。リカ、そっちの様子、どうだ?」

 

『幸い、と言うべきかどうかは兎も角、空港の中は大丈夫。噛まれて「なった」人間はいないから。』

 

「少なくとも、まだ、な。こんな事態だ、自衛隊も遅かれ早かれ動き始めているだろう。それに、ここは洋上空港だ、海上自衛隊がその内ここに来る筈だぞ。」

 

暴発防止の為に薬室から抜いていた銃弾を警察に支給された手持ちの武器に装填した。H&K USP、MP5SD6、そして八十九式。自前の銃とナイフ等は残念ながら表に出す訳にはいかないので車両内で俺の隣に置いてある。あー、こんな事ならリカのも入れときゃ良かったな。どこぞの馬鹿がウチに侵入して中身をパクったら・・・・・どうなるかは知りたくもないが、誰が取ろうとソイツらにはあまりにも勿体無さ過ぎる。

 

「今更言っても、遅いよな・・・・」

 

『滝沢、聞こえるか?』

 

「宮本係長、おひさです。何か?」

 

『状況は既に把握しているな?』

 

「細かい事は分からないですけど、ゾンビ映画が日本で実現しているって事なら。」

 

『日本だけでは無い。世界規模で起こっている。これから自衛隊と合流して避難所を設立する。君達の部隊は空港でそこにいる民間人の安全を確保してくれ。』

 

「歩く死体に関しては?発砲許可すら下されてないこちらとしては、勝手にドンパチやったら、後が面倒なんで。」

 

『君と南君に任せるとするよ。発砲許可は出す様に私が進言しておいた。ああ、それと個人的な頼みがあるんだが。』

 

「と、言いますと?」

 

『床主のどこかに妻と娘がいるんだ。妻は恐らく自宅付近で、娘の麗は藤見学園に。出来る事なら助けてくれないか?』

 

家族の安否はやっぱり大事か。藤見学園・・・・・静香がいる所だったな。あいつも無事だと良いが。


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