学園黙示録〜転生者はプロの傭兵   作:i-pod男

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原作よりも早くマイクロバスを捨てさせてマンションに向かわせます。既に四千pt近くとは・・・・・
予想外です(ソフトバンク風に)。・・・・・ゴホン。では、どうぞ。


計画

やがて日は暮れ、時刻は十一時四十五分になった。一時の休息を得られた事に安心したのか、生徒の何人かは緊張がほぐれて眠ってしまっている。俺はと言うと、全く眠くない。こんな状況で寝てはいられない。特に銃を持っている事がバレて奪われでもしたら・・・・いや、考えるのはよそう。

 

「麗、あのまま歩いてったらお前、今頃死んでるぞ。」

 

だが、麗と呼ばれた折ったモップの柄を持っていた女は顔を背けて座席に腰を下ろした。

 

「あー、静香。お前が付いて来たグループ皆の名前、教えてくれるか?」

 

「小室孝です。ありがとうございます、あそこで邪魔してくれて。」

 

金属バットを持った青年が軽く頭を下げて来た。見た所コイツがこのグループの暫定的なリーダーか。まあ、コイツなら心配無いだろうな。躊躇い無く死人の頭をあのバットでカチ割りながら前進するのが容易に想像出来る。

 

「毒島冴子と言います。滝沢さん、鞠川校医とは一体どう言う・・・・?」

 

他に俺に票を入れてくれた奴が座っている席に近付くと、木刀から血糊を拭き終わったロングスカートを履いた生徒の一人が名乗った。静香と同じ位の長髪を生やしている。

 

「ああ、静香の同居人の一人だ。」

 

「え、先生って彼氏いたの?」

 

野次馬根性丸出しの麗が静香に聞く。

 

「んふふふ〜、さあねぇ〜。」

 

おいはぐらかすな、話が余計にこじれるだろうが。揉むぞ、コラ。

 

「静香をここまで守ってくれた事は礼を言う。ついでに言うと、お前らのチームに俺を加えて欲しい。」

 

「それは別に構わないけど、計画でもあるの?」

 

ピンク頭が眼鏡越しに俺を軽く睨んだ。やはり静香の知り合いでもそう簡単に信用はされないか。まあ、それは後でどうにかしよう。

 

「ある。あるが、今この場では言えない。お前、名前は?」

 

「高城沙耶よ。よろしく。」

 

「こちらこそ。」

 

「あ、あの、滝沢さん、でしたっけ?」

 

沙耶の隣に座っていた小太りで黒縁眼鏡を掛けた男子生徒が俺を小声で呼んだ。

 

「僕、平野コータって言います。僕からもお礼を言わせて下さい。なんか、滝沢さんの言葉、聞いててすっとしました。」

 

コータの手にはガス式のネイルガンがあった。即席で作った割には出来が良いストックとサイトが付いてる。見た目は手作りのアサルトライフルだ。重さもそれに近いだろう。

 

「それは何よりだ。だが、気にする事は無い。ああ言うタイプの人間はそう碌な死に方はしないと相場は決まってる。寧ろ、早々に始末した方がプラスになる。」

 

そう言うと、彼の肩に手を置いて小声で続けた。

 

「後、お前銃の扱いに馴れてるだろ?そのネイルガン、見た所TDI・ベクターをイメージして作ったな。遠巻きからだが、見てたぜ、ヘッドショット。移動しながらの射撃は存外難しいのに、良く撃てるな。」

 

「あ、あの・・・・ブラックウォーターで、一ヶ月・・・・訓練しました。」

 

照れながら明かした新事実には俺も驚いた。まさか民間軍事会社で訓練を受けたとはな。生前とは言え、一時は同じ境遇だった者として、親近感を禁じえなかった。

 

「ほーう、あのブラックウォーターでか。だったら、お前に少しプレゼントがある。一応聞いておくが、ハンドガンのヘッドショットで奴らを確実に仕留められる自信は?」

 

「あります。」

 

駐車場への脱出劇がマグレでなければ、コータなら間違い無く使いこなせると、俺の勘が言っていた。ブラックウォーターで働いているのは古参の軍人、またはそれに相当する訓練を受けた実力者。こいつの腕が衰えてなければ、狙いを外す事は無いだろう。

 

「よし。ほらよ。」

 

俺はバイクのバッグから死んだ警官が身につけていた銃を引っ張り出した。どちらも日本の私服・制服警官に最近支給されている銃だ。

 

「これ・・・・日本警察で配備されてるS&W M36エアウェイトとH&KP2000だ!ど、どこで、どうやってこんな物を?」

 

いそいそと銃を制服のポケットに忍ばせて質問して興奮をギリギリ抑えながら来た。

 

「学園に向かう途中で死んだ警官が何人かいたからな。予備弾や手錠、後は無線機とかもその時出来る限り拝借したんだ。この先武器の有無は生存率を大幅に左右する。どちらもセーフティーを外せばすぐ撃てる状態だ。だが、今はそのネイルガンを使ってろ。学生が拳銃振り回してるの見たら、どんな反応が出るか容易に想像出来る。釘は?」

 

「残り少ないです。ガスボンベも、使ってない奴が一本ありますけど。」

 

「よし。上出来だ。」

 

にしても、予想通りになったな。GPSで調べてみたが、案の定、床主のあちこちで渋滞が多発していた。今のペースでは一時間に一キロ、と言った所だな。すると、突然外で発砲音が聞こえた。警察が発砲を開始したのだ。今でも拡声器からの警告が聞こえる。

 

『何があっても、車外に出ないで下さい!繰り返します、何があっても車外には出ないで下さい!』

 

だが、そのシリアスな空気をぶち壊したのは腹の虫の声だった。

 

「あ、あははは・・・・お腹空いた・・・・」

 

「このデブオタ・・・・・」

 

「ほらよ。とりあえずそれ噛んでろ。」

 

沙耶が睨んでるのを見て、俺は笑いを堪えながらガムを一枚差し出した。

「空腹感を一時的にだが誤摩化せる。後、全員今は少し休め。明日は恐らくかなり体力を消耗する事になる。」

 

ここは頃合いを見てバスを捨てる必要があるか。いざとなれば、紫藤一派の奴らを皆殺しにする事になるが、これはあくまで最終手段だ。流石に十年以上も戦争から離れていたから、意識的にしろ無意識的にしろ、心がそれに馴れてしまっている。

 

「静香。大丈夫か?」

 

運転席の中で強張ったままだったから、緊張を解してやる為に両肩と首筋を揉んでやる。思った通り、ガチガチに凝っていた。こら、そこ、胸がデカイからだろうとか言わない。収納されていた座席を展開し、隣に座ると、静香は俺の肩に体を預けて来た。腰に手を回すと、俺の頬にちょっと湿った何かが当たる。見なくても何かは分かってるが。

 

「ごめんな、遅くなって。」

 

「良い。来てくれたから。」

 

「俺が運転するから、少し寝てろ。」

 

運転席に腰を下ろすと、ポケットから携帯を引っ張りだした。普通なら電波は良好な筈なのに、この時ばかりは圏外一歩手前と言う程にまで悪化していた。やはりそれだけ警察に通報が行っているんだろう。片手で携帯を操って、メールをリカに打ち始めた。

 

『静香と合流した。

学園の生徒数名とチームを結成。

これからマンションに向かって武器の調達をする。

連絡を待っている。』

 

簡潔に状況とこれからの計画を手短に打って送信を確認すると、携帯の液晶から道路に目を戻した。渋滞はやはり全く改善されない。この調子じゃ街から出る前に衰弱でくたばる奴が出て来るぞ。それに、腹が減り、喉が渇いた奴がいつまでもそれを抑圧出来るとも思えない。車から出て食われるのがオチだな。

 

「ふーー・・・・」

 

ポケットからラスト一本の煙草を拉げた箱から取り出して着火すると、ゆっくりと煙を吐き出した。基本はすわないんだが、今回ばかりは一本やらなきゃやってられん。




感想でも言われました通り、改めてオリ主が使う武器のアンケートをやりたいと思います。あまり強過ぎる兵器、かさばる様な物などはNGです。実際に存在する武器も出来る限りだしますが、全部は無理です。

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