G・Iの子   作:めーび臼

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ジンの回想

 「あぁ。俺だ。あぁ、あぁ。なんだよ、そんなに俺が一発で電話に出るのが珍しいかぁ?あぁ、たまたまだよ。あぁそうだよ!で、なんだよ」

 

 森の木々の影から電話で話しながら姿を見せたのは頭にターバンのような布を巻き、無精ひげを生やしっぱなしにしてい男だった。その人は、ジバルにグリードアイランド内で指輪を渡したジン=フリークスその人だ。

 

彼は電話で話す文字通り片手間で、巨大な牛らしき生物を引きずりながら道無き道を軽い足取りで進んで行く。

 

 そして、そのジンは電話相手の言葉を聞くと大声を出して、 木々の上に居たネズミのように出っ歯を生やしたフクロウが何事かと一瞬目を見開くぐらいの大音量で笑った。

 

 「そうか。そうか。ジバルの奴はグリードアイランドの外に出たか!あぁ大きくなってんだろうな!」

 

 電話相手と話しながらジンは思い出す。

 

 グリードアイランドの中で見たジバルは常に影を背負い、ここではないどこかを見ているような虚ろな目をした三歳児とは思えない子供だった。

 

 1人、家の物陰に潜んで自分のオーラで絵を書く様は、この世に誰も理解者なんていないって思い込んだ世捨て人みたいだとジンは思った。

 

 だからこそ、ジンはジバルの姿に憤った。

 

 ジンの実際の子供くらいの年齢の子供が、あの歳で念まで使える才能豊かな少年が、ジンが全力で探索、冒険しているこの世界に絶望している事にイラついたのだ。

 

 だから、ジンは思わずジバルに向かってあんな事を言ってしまったのだろう。彼を助ける為に、此処に来たのにも関わらず。

 

 「お前、俺たちの作ったゲームが楽しくないのか?」

 

 ジンも今にして思えば、三歳の子供に自分はなにを八つ当たりみたいな事言ってんだって思う。

 

 それには、ジバルの親のあんな姿を見てしまった所為もあるだろう。

 

 ジバルの父親がゲームの外でゲームマスターであるジンの前に姿を見せた時は見るも無残なボロボロの姿だった。

 

 ジンを見つけられたのは、そういう事に特化した念能力者だった事も一要因だったのだろう。腕っぷしはからっきしだったが、ジンが行く所、行く所に現れる父フォンダの執念は凄まじいものだった。

 

 だから、ジンはフォンダと話してみようと思ったのだ。

 

 「お前は一生ゲームの中から出られなくなっても、その望みを叶えたいのか?」

 

 フォンダの話を聞いたジンは、そう切り出した。そのジンの問いに対するフォンダの答えは正に即答。

 

 「構わない。自分の子供が助かるなら。希望を見る事が出来るようになるなら、ゲームの中で一生過ごしても構わない!」と。

 

 そこに見たフォンダの姿こそが、ジンが捨てた未来の姿だったのかもしれない。子供の為に自分の全てを投げ出す覚悟を持った子供の為に生きられる事が出来る、そんな父親。

 

 今思い返しても、ジンには到底受け入れられなかった生き方だった。

 

 「ちょっと!ジン聞いているんですか!?」

 

 ジンの耳がエレナには珍しいキンキンとした声に震わさせられ、思わず携帯電話から耳から遠ざけた。

 

 「あぁ悪い。もうすぐ向かいが来るからそろそろ切るわ!」

 「ちょっと!そんな勝手な、ジ」

 

 ジンはエレナの言葉が終わる前に通話終了のボタンを押して、雑に携帯電話をポケットにしまった。すぐにジンの目の前は開けた。

 

 「おう!お前ら元気だったか!?」

 

 ジンが引きずっていた巨大な牛のような生物を石で包まれた小さなカルデラのような穴に投げ入れると、穴の中にいた生物たちはピーピーと可愛らしい鳴き声を上げた。

 

 その穴の中に居たのは世界最小のドラゴンと言われているノミドラゴンの子供たちだった。

 

牛のような生物を啄ばむ子供と、エ子供の餌を運んで来たジンに対して、長い首を曲げてありがとうと表す母ドラゴンを見て、ジンは満足げな表情を作った。

 

 「おう。ジバル!そしてゴン!世界は面白いぞ!見た事ないもんはまだまだいっぱいあるからよ!」

 

 ジンの声は真っ青な空に大きく木霊して消えて行った。 

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