G・Iの子   作:めーび臼

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大道芸再び~ハンゾーの回想1~

 「どういうつもりだハンゾー?」

 

 ホテルの廊下の壁に寄りかかって、俺を剣呑な眼差しで見るクラピカの表情はもっともだ。

 

 ジバルがマフィアに最初に要求したのはクルタ族の緋の目だった。

 

 クラピカの奴は俺がクルタ族の事をジバルに教えたと思って「どういうつもりだ?」と言っているのか?

 

 それとも、なぜここに俺がいるのか?と言うという質問なんだろうか?

 

 前者だと、俺はクルタ族やクラピカの事情などは一切ジバルやマフィアに教えていないし、後者なら俺がなんでこんなとこでクラピカと喋っている理由なんかさっぱり分からん。

 

 そもそもが、ジバルの常識の通じない突飛な行動が回り回った結果でしかないのだ。

 

 俺にもジバルと言う少年がイマイチよく分からない。

 

 最初天空闘技場で見た時は、オーラで春画を描くと言ったアホな事を思いつくエロガキだと思ったが、冷静に考えれば絵を自在に描けるぐらいにオーラの操作が上手いとんでもない子供だと言う事に気が付いた。

 

 だが、一緒にここまで旅をした中で際立ったのはアンバランスさだった。念の基礎であるオーラ操作は驚く程、技量が高いのに体術は素人に毛の生えた程度の力押し。常識を知らないと思えば、先を見通しているかのような大胆な行動に出て驚かせる。

 

 「ふふ。どういうつもりも俺はただ、あの小僧について来ただけさ」

 

 クラピカの端正な顔が不信感を表すように眉が歪む。

 

 まぁ大方、あのジバルの行動の裏に黒幕がいて、ジバルは操り人形のように動いているだけとでも思っているんだろう。

 

 「あのジバルと言った子供がか?ゴンたちよりも小さい子だ。ゼンジの手引きではないのか?」

 

 確かにジバルが契約したゼンジと言った小物臭漂うマフィアは、クラピカの雇い主と折り合いが悪いらしいがそれは違う。

 

 「ゼンジは何の関係もない。ジバルが自分で考え動いた結果がこれだ」

 

 俺はクラピカが寄りかかった壁の奥のドアを見やる。

 

 その中では今、ノストラードのお嬢様にジバルが占って貰っている筈だ。

 

 俺がチラリとドアを見ていると、クラピカはふ~っと溜息を吐いた。

 

 「なんであんな子供がマフィアなんかと……」

 「クハハ。クラピカもそんな情けない顔を出来るんだなぁ!聞きたいか?あいつはめちゃくちゃだぞ!そうだなぁ……。まずはこの街に来た所から話してやろう。クク」

 

 俺は笑いながら、思い出す。

 

 あいつと一緒にいる事がどんなに頭が痛くなるか、クラピカにも少しは分けて野郎。

 

 

 

 

 そうだな。まずは今から三日前の事だ。

 

 この走りながらの会話はクラピカには聞かせらんが、思い出す。

 

 「なんで!走って行くんだよハンゾー!」

 「あんな噂流したんだから、流石に足が付いたら不味いだろ?俺は噂流したくらいで旅団に狙われるなんてごめんだ」

 「まぁ確かにな。お!ヨークシンが見えてきたな」

 

 走っていた俺たちはヨークシンを見えた辺りでヨークシンに向かう人々に紛れて、街の中に入った。

 

 俺の姿は忍び装束を無理やりジバルに剥ぎ取られてどっかからジバルが買ってきた普通の服に着替えさせられた訳だけだ、こんな姿仲間には見せられんぞ。

 

 ヨークシンに入った俺たちは街の様子は探る為にそれぞれ単独行動をしてから、決めていた場所で合流した。まぁ合流したはいいんだが……。

 

 「で、なんでまたこれなんだ?」

 「え~。やっぱり祭りと言ったら大道芸だろ」

 

 またピエロの恰好をした俺が若干肩を落としながら言うと、ジバルは俺を見上げながら子憎たらしい笑顔で言い放つ。

 

 確かに祭りに大道芸はやっているが、あえて俺たちがやる意味はない。それにしても、ここまで来るまでにそれなりに金も稼いでいる。

 

 俺は、ヨークシンでは忍者らしく諜報活動でもしたかったんだけどな……。

 

 「それにここで派手に騒げば、色々面白い奴らが集まって来そうじゃん。ほれ」

 

 ジバルが顎をしゃくった方を見れば明らかに一般人とは違ったオーラを纏った念能力者たちが闊歩している。

 

 「まぁ確かに面白いわな」

 

 その念能力者を見て、俺も白塗りの顔でほくそ笑む。稀にしか見る事がない念能力者が一目見ただけでも二人は歩いている。と、言う事は、俺たちの悪巧みがある程度成功していた訳だ。

 

 「さてとやるぞ!今回は秘密兵器も用意してきたんだ。クク、これは上手くいくぞ~」

 

 なんだろう。こいつの笑顔を見ているとそこはかとなく不安になるんだが。

 

 ニヤニヤした顔を俺に近づけジバルは耳打ちすると、燕尾服の尻尾を翻してハットを深くかぶって「なんだ?なんだ?」と俺とちっさい紳士服のジバルを横目に広場を通っていた人々の前にジバルは進み出て行った。

 

 「さぁさぁ逸品珍品集まるこのヨークシンドリームオークションにお集まりの皆さんこ・ん・に・ち・は~!!!儲かってまかぁ。儲かってまっかぁ」

 

 おいなんだその口上は!俺はジバルの口上に集まって来たお客さんを見れば、あんなアホな口上でも興味を持った人々が足を止めてこっちを見ている。

 

 ジバルの頭からオーラが浮かんで「GO!」と描かれる。

 

 あいつは口で合図を出せば良い事も、オーラでやる。あいつに取ってオーラを操作する事が日常になっているんだろうな。

 

 俺はジバルのオーラを見えて悲しい事に最近慣れてきた短剣でのジャグリングを開始する。

 

 「さぁさぁまずは超危険本物の短剣を使ったジャグリングでございます!」

 

 ジバルが拍手を求めると、観客からもまばらにだが拍手が上がる。その拍手が増えるにしたがって、俺たちの周りにはお客さんが集まり始まる。

 

 最初三本だった短剣を一本、二本と増やすごとに観客の反応もよくなって行く。

 

 「さぁさぁ次は目隠しジャグリングだよ!」

 

 目隠しでのジャグリングが今回ジバルが用意した客を集める秘策らしい。

 

 俺は一旦短剣を回すの止めてジバルに渡すと、腰に付けていた黒い布を取り出して目に蓋をする。

 

 真っ暗な視界だが、観客達からはザワザワと心配する声が聞こえて周りの様子を知らせてくれる。

 

 この手の修行は里でもよくやったもんだ。

 

 本物の大道芸人がどうやって目隠しでやってるのか知らないが、俺とジバルは念能力者だ。

 

 「さぁ皆さんご注目!当たったら大怪我確実!果してツルッパゲピエロは技を成功させて、あの頭のように光り輝く事が出来るのか!!!」

 「誰がツルッパゲピエロだ!!」

 

 思わずジバルな失礼な発言にツッコむと心配する事が多かった声が笑い声に変わる。

 

 「では、参りましょう!まずは目隠しキャッチからです!」

 

 俺はジバルの始まりの言葉に纏っているオーラを体から広げて丸くする。

 

 知っている人は知っているだろうが、念の円(えん)と言われる技術だ。

 

 広げたオーラの範囲に入った者を感知する念技術だ。

 

 忍法にも視覚を使わずに周囲を知覚する手法はあるが、この円の探知精度はそれを凌駕している。範囲が狭いのがいただけないがな。

 

 ジバルの無茶な特訓のおかげで今は2メートルまで広げる事が出来るようになった。この範囲じゃ戦闘用と割り切るしかないな。

 

 ジバルの「ハッ!」という気合いの入った言葉と共に飛んで来た短剣がオーラに触れるれば、感触や造形までが感じ取る事が出来る。

 

 手に取る様に分かる短剣の軌道に従って短剣を易々と受け取れば、観客は大いに沸く。

 

 その後も次々と投げ込まれる短剣を受け取ってジャグリングして行けば観客のボルテージが上がり歓声と呼べるくらい大きくなっていく。

 

 「さぁ、恐れながらここからは私も参加させて頂きますよ~」

 

 ジバルも打ち合わせ通りに自分も目隠しをしたのだろう。

 

 観客からは子供がナイフのジャグリングをすることに悲鳴にも似た叫び声も聞こえる。

 

 俺とあいつの距離は5メートル以上離れているだろう。ジバルは円を本気で発動させていない為に俺とジバルの円は互いに触れていない。

 

 「さぁ参ります!ツルッパゲピエロさんここですよ~」

 

 あの野郎!また言いやがって!

 

 俺はジバルの生意気の声を頼りに思いっきりナイフを投げ込んでやる。

 

 チッ!

 

 あの野郎ちゃんと受け取りやがったか。

 

 観客の歓声でジバルが短剣をキャッチするのが分かる。

 

 失敗したら大参事で大道芸どころじゃないが、あいつがどや顔している所を想像するとイラっとするぜ。

 

、その後はまたしてもナイフの投げ合いになった。

 

 まぁ今度は円(えん)を駆使しての目隠しキャッチだが。

 

 この日の大道芸も盛況な内に無事に終わった。

 

 二人で礼をした後は、またしてもジバルが飛んで来た小銭をハットで拾い集めている。

 

 その顔はニヤニヤとだらしない笑顔である。

 

 なんであいつは金にそんな執着してるんだろうか。最初に見た時に着ている洋服がみずぼらしいって事も特段なかった筈なんだがな。

 

 「うっわ!凄かったね!まさか念にあんな使い方あるとは考えてもみなかったや!」

 

 俺がジバルがちょこちょこ走り回りながら小銭を集めているのを見ていると、快活な子供の声が群衆の後ろから聞こえて来る。

 

 「ねぇねぇ俺たちもお金渡しに行こうよ!」

 

 人の間から出て来たのはハンター試験の時に一緒に突破した見知った顔だった。

 

 その顔はツンツンした黒髪にキリっとした意思の強そうな眉のゴンと灰色と銀の中間みたいなネコッ毛に生意気そうな釣り目の少年のキルアの姿だった。

 

 

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