G・Iの子   作:めーび臼

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決着の先に~ハンゾーの回想6~

「アンダーソン!」

 

 ボルタスが次に取り出したのはアンダーソンと呼ばれたサブマシンガンを取り出して、連射する。

 

 ばら撒かれる銃弾に込められたオーラは一つ一つがさっきまでの弾より少ないものの、兎に角、撃ち出される銃弾の数が多い。

 

 一発一発なんて避けていられない為に纏うオーラ量を増やして足に回し、速力を強化して奴の銃口が定まらないように急制動、急加速しながら走る。

 

 「マジで踊ってるみてえじゃねぇかぁ」

 「本当にねぇ。あいつの身体操作術は一朝一夕でマネ出来ないわ」

 

 なんで、あいつは敵の隣で呑気に観戦モードに入ってるんだろうか。

 

 あぁ手裏剣投げてぇ!あいつの眉間に苦無とかぶち込んでやりてぇ。

 

 って俺が逃げてばかりってのも面白くないな。

 

 って事で!

 

 「近づけないなら、こっちもだ、な!」

 

 壁や床に減り込んだ銃弾はムリだとしても投げる物に困らんな。

 

 さっと床に目を走らせただけでも、散乱したシガーセットや壊れた家具の木片が確認出来る。

 

 その中から、手ごろな金属片を拾い上げて、オーラを巡らせて暗器のように投げる。

 

 一射では、あいつの手数に負ける為に為に複数投げ、狙う場所も工夫する。

 

 狙うのは膝。手が届かない範囲外はどうしても、狙われた場所を動かす以外に避けられないだろ?

 

 俺だけが走らされるなんて癪だし、なによりもあの呑気なお子ちゃまに流れ弾に当たっても致し方ない!

 

 「くっそ!」

 「おぉい!!」

 

 クカカ!思わず笑いが漏れる。

 

 ボルタスは慌てて足を動かして避けた為に射線はブレブレだし、ジバルの野郎は金属片がガラスの机に当たり、ぶち割れ砕けたガラスに慌てている。

 

 そこからはお互いに足を止めない中距離での撃ち合いになった。

 

 手数は奴の方が上だが、身体能力では俺がボルタスを上回っている為に均衡状態を維持しているものの。

 

 まぁこの距離はあいつの得意距離だから一方的とはいかんが、まぁいずれ質と量の両面で圧倒的に不利に違いない。

 

 それに。

 

 拮抗状態になって、振ってくる銃弾が減った事であいつを観察する余裕が出来て、気が付いた事がある。

 

 「アダムコール!!BAYBAYこいつもいい銃だぜぇ。大口径で威力の高い弾だって余裕でぶっ放せるぜ!」

 

 持っていた銃を放り投げたボルタスは脇腹に触れるとまた新しい銃がその手に持たれている。

 

 「その触れた場所の銃の絵がなくなるっと」

 

 あいつのあの銃だらけの柄の奇抜な服は、意味があったんだな、あいつが銃を取り出す度にあの銃の絵が一つ消えた。

 

 銃弾を避けながら奴を見やれば、上着に銃の絵のない不自然な柄の空白がある。その空白は俺の記憶にある奴が銃を取り出した場所と一致している。

 

 あいつの能力は銃の絵から実際の銃を取り出す能力者ってところか。

 

 この考察で奴の服に視線を彷徨わせた事に、ボルタスも気が付いたのだろう。

 

 「クッカ!俺の能力に気づいたか、カカ。そうさ、俺の『ブン・ブン・バン(ぶっ放せハッピー野郎)』は絵から実物の念銃を取り出す能力だぜぇ。もっとも俺への銃へのラブゆえの能力だ。惚れ惚れとしちまうだろうぉ」

 「あいつ、ハンゾー以上によく喋るな」

 「うるせぇな!あいつが俺以上に喋る訳ねぇだろ!!」

 「ツッコむ場所違うだろ……」

 

 まぁいい。あいつの能力が分かった。

 

 だが、決定的な欠点と言えば、次の銃を取り出す時にタイムラグがあるくらいか。

 

 中距離から詰める為にはあと一手足らんか。どうする?

 

 銃弾を避けつつ、周囲に目を走らせる。物を使うのは……なしだな。

 

 近距離まで詰めるには、あいつを驚かすくらいのインパクトが必要だな。

 

 「どわっ!お前ら周りの事考えやがれ!」

 

 見れば、ジバルが恐怖に失神したゼンジを盾に銃弾で防いでいた。

 

 「って、おい!お前なにしてんの!!ゼンジに銃弾当たる度にビクビク痙攣してっから!」

 

 思考に更けって、奴の銃弾以外認識する事を怠った為に、ジバルがいる位置を感知していなかった。

 

 あいつ器用だな。てか、器用ってレベル超えてるぞ!!

 

 「なんでお前ゼンジのオーラ使ってんの!!意識ないからって勝手にオーラ借用するなんて普通しないから!!」

 「いやぁ意識がない人間のオーラって意思篭ってないから、意外に使えんだな」

 

 おいおい。その口ぶりからすると、ぶっつけ本番でやったって事だろ……普通、出来る訳ないだろ!

 

 でも、まぁいいか。今は、ボルタスだ。

 

 打開策に人間盾はまぁ無理だから、俺に出来る事でやるか。

 

 「次だ!ヤングバックス!」

 

 次は二丁拳銃かよ!

 

 それもサブマシンガンを二丁!?

 

 その銃口が火を噴くと二匹の蛇のように列をなして俺を追って来る。

 

 ヤングバックスから放たれた銃弾は俺の通った先を追うのでなく、二丁であるアドバンスを生かして俺を追い詰めるようには放たれる。

 

 鞭のようにしなる銃弾の軌跡を掻い潜り、跨ぎ、飛び越えながら躱す。

 

 「チっ!!反撃する隙もねぇ!!」

 「どうしたぁ!どうじたぁ!もうすぐ追いついてまうぜぇ!」

 

 ボルタスもただそこに直立して撃っていたんじゃ、俺に当たらんと思ったんだろう、走りながら銃をぶっ放して来る為に銃弾の軌跡もより複雑に絡み合う。

 

 バックステップでソファーの上から撃たれた銃弾を躱すが、背中にドンと衝撃が走る。

 

 「ここで壁かよ!」

 「さぁもう逃げらんねぇぞぉ!お、わ、り、だぁぁぁ!!!!」

 

 下段から又を裂く斬撃のように床に転がった木片を蹴散らせ着弾し迫る銃の一閃に交差するように横なぎ銃弾が俺に迫る。

 

 壁からの予期せぬ衝撃に一歩、足が出るのが遅れた。

 

 「逃げ場がねぇ」

 「ハチの巣になって踊り狂いなぁ!」

 

 俺は苦しまぎれにその場で真上に飛ぶとスーツの上着を脱いで目の前に広げてる。スーツのその陰に隠れ、胎児のように身を竦ませる。

 

 「なに!」

 

 スーツの影にいる俺からでは奴は見えないが、声色からボルタスの野郎が驚愕して唖然としてやがるのが想像出来る!

 

 周(しゅう)で強化したスーツの上着は迫りくる銃弾を俺の身体まで届かせる事を防ぎ、勢いを失った弾が床に向かい落下していく。

 

 ジバルも机をオーラで強化していた見様見真似だ。だが!上手く行った。

 

 おかげでスーツはボロボロで次は防げそうにないけどな!

 

 だが、あいつの銃は弾切れで次弾はねぇ!

 

 しかし、スーツの穴から盗み見たあいつの口は三日月のように吊り上がったいた。

 

 「また逃げるか!だが!もう逃がさねぇ!」

 

 ボルタスは二丁のサブマシンガンを手から零すように落とすと、右手をまるで抜刀するように背中から振り抜く!

 

 その手に持っているのは奴の腕ぐらいある大口径のライフル銃だった。

 

 「しめぇだ!こいつで仕留めるぜぇ!ザ・クリーナーΩ(オメガ)!!」

 

 きっと奴の目にはスーツの後ろから飛び出す、俺の影が見えただろう。

 

 すぐさま影に向かい標準が定まり銃口がピタリと止まる。

 

 「あの世でいい夢見やがれ!じゅあな!!!」

 

 奴が引き金を弾くのを見る前に壁を蹴って飛ぶ!

 

 銃弾を避ける為に横に飛んだんじゃねぇ。飛ぶ方向それは。

 

 あいつに一直線にだ!!

 

 ボロボロになったスーツを扉を開けるように切り裂けば、今度こそマジでアホ面下げるボルタスの顔面を俺の目が捉える。

 

 奴のライフルから撃たれた銃弾は俺がオーラでぼやっと作り出した念能力者にしか見えないオーラで作った俺の影だ!

 

 ジバルみたいに精巧に人を模した絵を描くなんて事は、一瞬の判断を求められるこの瞬間には必要ない。

 

 スーツの影から人影が飛び出せば、奴はそっちを狙うと踏んだがこの賭けは俺の勝ちだ!

 

 影に向かい壁に着弾して爆発音を奏でる銃弾を背に俺は吠える。

 

 「調子に乗んなチンピラがぁ!!!」

 

 俺はオーラで蹴った壁の勢いそのまんまにボルタスの喉を掴むと、ふわっと奴の身体がソファーから浮き上がった。

 

 「ボルタス!死にたくなかったら背中側にオーラを纏えや!!」 

 

 俺の足がソファーを蹴って身体の勢いを更に加速させる、そのままボルタスを思いっきり壁に減り込ませる勢いでぶつける。

 

 俺はボルタスをぶつけた壁を蹴って宙返りして銃弾が散乱する床に着地し見上げる。

 

 そこには、

 

 でかい亀裂が入った壁と白目を向いて血を吐くボルタス。

 

 ボルタスの減り込んだ壁はパラパラと欠片を舞い落して亀裂を広げると、ボルタスの身体ごと隣の部屋に向かって崩壊していった。

 

 壁に開いた大穴からはもうもう土埃が舞い上がって視界を塞ぐ。

 

 手に持っていたゼンジをボロ雑巾みたいに床に投げ捨て、ジバルが俺の横に並ぶ。

 

 その目は呆れてハイライトがない。

 

 「ハンゾーやり過ぎじゃない……?」

 「え、あぁ、いやいや念能力者があれぐらいで死なないだろ……多分!」

 「いや、お前多分って完全に力加減間違えてるじゃないか!バカハゲ!!」

 「ヌワ!!バカハゲとはなんだジバル!!そもそもお前が俺を巻き込んだんだろうが!!だから、もしもの時の責任がお前が取れ!」

 

 またいつもの口論になりそうな時に壁の大穴の向うから場違いな拍手が聞こえた。

 

 ジバルと顔を見合わせ壁の穴を見る。

 

 土埃が晴れた隣の部屋には二人の男がいた。

 

 一人はサングラスを掛けた長髪のチンピラ風の男、そして、口ひげを蓄えた初老の男が豪華な一人掛けのソファーに座ってニヤリと嗤う。

 

 俺は、直観する。

 

 あぁゼンジなどの小物マフィアじゃない。壁の穴の先に居るあの男は本物の威圧感を纏ったマフィアたちの長だ。

 

 

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