G・Iの子 作:めーび臼
「おぉ。やっぱり見上げるとなるとでっかいなぁ」
エレナさんのせいで列に横入りしてしまった形になったが、山賊男のおかげで俺への顰蹙はあまりなかった。
ここで天空闘技場のおさらいを立って居る案内看板を見ながら確認しておく。
ここ天空闘技場は世界で四番目に高い建物らしい。地上251階、高さは991メートル。
数字を見ると日本で一番高いスカイツリーより300メートル以上高い事になる。
てか、それが世界四番目ってどんだけだよ。ハンター×ハンターの世界の文明は日本以上ですか。
受付のミカネさんに発行してもらったチケットには俺のここでの番号が記されていた。
「3456番か」
チケットを見ながら歩き通路を抜ければ、そこには広い敷地に作られた16面の四角い石造りのリングとそのリングを囲う観客席があった。
高い天井からは煌々と明りが焚かれ、真昼間のように明るくなっている。
観客席は一回と言うことで閑散としているが、格闘マニアみたいなコアなファンが多いのか真剣に試合を見入っている観客も多い。
俺も空いてる観客席に座り、リングを見る。
「う~ん」
俺は思わず唸る。やっぱり一階はそんなにレベルは高くないようだ。
ひょっとしたら念能力者がいると思ったんだが、作中やグリードアイランドの中では石を投げれば当たるくらい沢山居たんだけどやっぱりそう簡単に出会えるという訳ではないらしい。
俺は天空闘技場の天井を見上げる。
「まぁ上に行けば確実にいるしなぁ」
別に念能力者にわざわざ会いたい訳じゃないが、誰が出場しているのかを見れば今がいつぐらいの時期か分かると思ったんだけれどな。
考えていれば、俺の番号がアナウンスされる。
誰も同行者がいない俺は設置されていたロッカーに肩掛け鞄をしまうと、闘技場の中に進み出て行った。
俺のリングは一番のリングで16面の中で入り口から一番奥の左手の端のリングだった。
飛んできたおにいさんを頭を下げて避けるながら、戦いの続くリングの間を通って歩いて行く。
石のリングの段差をちょんっと飛んでリングに降り立つ。
リングに居たのは二人。勿論対戦相手とRPGのクレリックみたいな膝まである拳のマークが付いた服の審判だ。
まぁ今は審判の事はいいや。それよりも対戦相手だ。
一階の対戦相手は地球で言うところのムエタイみたいな恰好の30歳くらいの男性だ。グローブはしていない素手の裸拳で、上半身は裸だ。
腰蓑みたいなピラピラしたパンツを着て、顔はニヤニヤと笑って完全に子供だと思って見下している。
「ガキがこんな処に何しに来たんだ?」
何しに来たか。取りあえず、両親から当面の資金を貰ってはいるが生活するには全然足りて居ないように思える。
「まぁ。生活費と宿を手に入れようかと」
俺の言葉に男は盛大に笑い声を上げる。
「生活費?お小遣いの間違えじゃないのか?缶ジュース一本を手に入れるなら、お母さんにねだった方が遥かに安全で簡単だぞ」
まぁ確かに。嫌味な言い方だが正にその通りなんだろう。普通の十歳児の話だったら。
「あ。そういうのは大丈夫なんで。審判さんお願いします」
さっき受付で絡まれた山賊男みたいに肌を真っ赤に染めて罵詈雑言を浴びせているが、半裸なだけにこちらの男性の方がカッカした様子はずいぶんと分かりやすい。
「き、君も子供なんだから相手を挑発しないように!いつかひどい目に合うよ!」
「あ。すいません」
なんでか俺の方が怒られてしまった。子供というのはなにかと不利なんだなぁ。
「では、お互い構えて!それでは始め!!」
ムエタイさんは左足を上下させてステップを踏むと拳を握って構える。
その顔はさっきまで怒っていた様子はなく、きっちりと集中しているみたいだ。
へぇ。戦いになれば子供だろうが油断なしか。
それでも、生まれた時から念に慣れ親しんでる俺には一般人が勝つのはかなり難しいと思うんだけどさ。
俺は纏(てん)の状態から少しだが錬(れん)で纏うオーラの量を増やせば、踏み込んでジャブを打ち込もうとしたムエタイさんが引きつった顔でバックステップして後退していった。
さっさと、どうせ缶ジュース一本分の試合だ。素早く終わらせよう。
右足にオーラを10/100くらい移動させて踏み込めば、後退したムエタイさんの足元に素早く移動して飛び上がる。
身長差がある為に頭に攻撃する為に一動作余分な行動をしなくてはならない。
相手には俺が立っていた場所から一瞬で消えて、次の瞬間には目の前に居るように見えただろう。
オーラの攻防移動は重点的に修行した一つだ。ある程度習熟した念能力者にだって負けているとは思っていない。
俺はオーラを纏わせた中指と親指で相手のねじり鉢巻きみたいな頭飾りで覆ったデコに狙いを定めて、中指を開放する。
開放された中指が相手のデコを捉えると、ムエタイさんは後方に回転しながら場外まですっ飛んで行った。
「勝者!3456番ジバル!」
審判さんの勝者宣言に客席で見守っていた観客の歓声が上がる。
俺はその歓声を背中に受けてリングの中央に戻れば、審判さんが声を掛けて来る。
「君は子供なのに凄いね。前にもきみと同じくらいに子が上がって行ったけど、それに負けてないよ。はい、チケット。次は50階だよ」
俺は初期のゲームボーイくらいの大きさ機械から次の階層へのチケットを出して手渡してくれた。
俺と同じくらいの子供か。もしかしたら……。