G・Iの子   作:めーび臼

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ロビーにて

俺は、100階でのズシくんとの試合を終えてからずっと闘技場のロビーのソファーで頭を抱えて落ち込んでいた。

 

 原作キャラとの試合だと言うことで熱くなり過ぎて、まさか基本的なルールまで頭からすっ飛ばしてしまうとは思ってなかった。

 

 俺の10歳児ボディーの中のおじさんなんか、ちょっと首吊ろうとしている位に恥ずかしい。

 

 思い返せば、思い返すだけズシくんに発した言葉の数々が俺の精神にダメージを与える。

 

 「なにやってんだ俺は……」

 

 俺が落ち込んでいると言うのにロビーに響くぐらいの大声で高笑いしている人物が入ってくる。

 

 こっちは落ち込んでるんだ。絶対にそっちを気にしないと決めたのだが、なぜかその高笑いは徐々に声量を増して近づいてきている。

 

 マジで、鬱陶しい。

 

 その高笑いが俺の前を通って通り過ぎて行くと思ったら、なぜか俺の前で止まった。

 

 「ププ!ブハハハハハハh!!!」

 

 自分のこめかみに青筋が走り、浮いた血管がピクピクと痙攣するのが分かる。

 

 「ブハハハハッハハッ(゚∀゚*)ノヽ(*゚∀゚)ハッハハハハハハ!!!」

 「うるせえな!!!こっちゃ落ち込んでんだよ!」

 

 俺は怒声を吐き散らし、足元から顔を上げればそこには天井からの照明の光を反射して輝くお月様がいた。

 

 て、こいつよく見たらハンター試験に登場した忍者のハンゾーじゃねぇか!

 

 落ち込んで居た俺の顔が、口をポカンとしてアホな表情へと変わる。

 

 「最高だな!貴殿の念の使い方サイコーだぜ!もう腹が捩れて、く、苦しい笑いが止まらん!」

 

 てか、俺のオーラ見て観客席でビールの噴水作ってたのこいつだったんだな。

 

 原作に出て来たキャラに会えたのは嬉しい。嬉しいんだが、こいつの涙を流しながら大笑いしているこいつの顔、マジでムカつくんですけど!!

 

 「ジバル殿、絶対に10歳とかサバ読んでる!俺のカンがそう言ってる!あんなにエロいオーラ初めて見たぞ!里の誰もあんなオーラの使い方教えてくれ、く、く、苦しい!!」

 

 確かに俺は転生前から合わせたら相当な年齢になってるけど、こいつの笑い顔見てたら絶対に認めたくない!

 

 「うっさいぞ禿忍者!」

 「な!?」

 「は~げ!は~げ!ハゲ忍者!忍んでも光って見つかるぞ~!」

 

 俺はムカつき過ぎて、思わずハゲの歌を即興で作って子供っぽくバカにしてしまった。

 

 「な、何を子供だと思って!」

 

 いや、柄にもなく子供っぽくバカにしたけど、こいつも忍びのくせにすぐに頭真っ赤にして全然忍耐力ないじゃねぇか!

 

 「お前が最初にバカにしてきたんだろ!ハゲ忍者!」

 「ハゲ忍者ではない!これは剃っているんだ!」

 「ハゲに変わりないだろ!」

 「ふん!子供は所詮子供でござるな!髪があると敵に掴まれてしまうんだ!そんな事も分からんとは、これだから子供は!」

 

 にゃに~!それっぽい言い訳しやがって!ハゲはハゲらしく大人しくハゲを認めればいいものを~!

 

 「なに言ってんだ、このハ……ゲ……」

 

 俺が怒りに沸騰した頭で言い返してやろうとハンゾーの顔を見ると、大量にツルッツルの頭に汗を滴らせて真っ青になっている。

 

 「ちょっと、席外してよ?忍者くん♥」

 「ひ、ひ、ヒソカ……」

 

 俺の座っている肩をギュッと押さえ付けられているみたいな重圧が辺り一帯を包み込んでいた。

 

 その声は背中ごしに見えない手で心臓をギュッと握られているような恐怖を俺に与え、心臓が機能してないみたいに血が末端に行き渡らずに痺れ冷たくなっている気さえしてくる。

 

 「初めましてジバルくん う~ん。声かけてるのにこっち向いてくれないなんて冷たいじゃない?」

 

 なんなんだよ。地獄なんて表現も生易しい位のオーラが俺を包み込む。ちゃんと呼吸出来ているかも怪しい。

 

 「じゃあ、ボクの方から顔を見に行っちゃおうかな♥」

 

 背後に居たヒソカがゆっくりと俺がソファーを迂回して俺の前方へ回り込み始める。

 

 聞きたくもないのにあいつの靴音が妙に耳の中に響く、恐怖で固定された視界の中のハンゾーが身構えながらジリジリと後退していっている。

 

 俺の頭の上から影が刺して、眼の前に白いゆったりとしたズボンと……。

 

 見たくもないもっこりとした膨らみ。お前なんなんだよ!って叫んでやりたいが声は出ない。代わりに出るのは頬を伝う汗くらいだ。

 

 心を強く持て!オーラが感情に流され弱くなる前に!

 

 ヒソカがの身体がゆっくりと下がって、赤い腹巻?に丈の短いジャケット?

 

 そして、星と涙型の顔のペイントの上には興奮でギラついた瞳がある。

 

 俺はその瞳からの光を遮るようにオーラで城壁のような壁を描いていく。

 

 このオーラの壁になんの効果もない、ただ俺がこの道化師を拒絶していると言う意思表示に過ぎない。

 

 「うん。やっぱり面白いよ、キミ♥」

 

 ねっとりとした声色に体がブルりと震えそうになるが、半透明な自分のオーラごしにヒソカの瞳を睨みつける。

 

 「うっさい!そのキモい顔近づけんじゃねぇ!」

 

 オーラの壁が爆破するエフェクトを描いて目の前のヒソカの視線を奪った隙に、背の後ろに回した右手にクレイジー・イン・ラブを発動させてハリセンを出現させ、一息に目の前のヒソカに向かって振り抜く。

 

 こいつは股間をエレクトさせて居たのは、見たくもなかったが確認済みだ。

 

 かなり興奮している状態のこいつにならフルパワーの威力と攻撃範囲が見込める筈だ。

 

 「ぐわっ!!」

 

 カエルが潰れたような情けない悲鳴がクレイジー・イン・ラブが振るわれた先で上がったが、俺の顔は苦虫を噛み潰したように歪んだ。

 

 俺は立ち上がってソファーの後ろへと後退、すぐさまハリセンで自分の体を守るように構える。

 

 「フフ。いきなりなんて危ないじゃないカ」

 

 攻撃をした瞬間にあいつ背中と地面を繋ぐように張られたオーラが縮んでヒソカの体を地面へと引っ張ったのが見えた。

 

 ヒソカはDVDの巻き戻しみたいに反った背中をグぐぐっと起き上がらせて、俺を見つめる。

 

 その顔は三日月型に歪んだ口元を携えて満面の笑みだ。背中にゾゾゾっと寒気が走った。

 

 そのヒソカの後方には巻き込まれまいと後退していたハンゾーがオーラを四散させて倒れている。  

 

 クレイジー・イン・ラブは相手を逃がさないように磁石のS極とN極みたいに相手を引きつける引力みたいな能力があるのに、あの至近距離でも当てられないなんて。

 

 全く、念能力者をバグって言ったが、あれは間違いだった。

 

 念能力者はチート止まりで、目の前にいるヒソカこそが本当のバクキャラだ。

 

 攻撃しても攻撃しても体力バーが全く減らないそんな感じだ、全く倒せるイメージが沸かない。

 

 「そう。その発だよ」

 

 ヒソカは俺の持ってるハリセンを見てじっとりと見て呟く。まさか!一度見ただけだぞ。

 

 俺は内心狼狽するが顔に力を込めて表に出さないように踏ん張る。

 

 「闘技場で見た時から違和感があったんだ。君、変化系か具現化系だろ?」

 

 念の性格診断だったか、だがそれは血液型占いみたいになんの根拠もない筈だ。

 

 「心源流の子との戦い見ている限りまだ判断は曖昧だけど、絶対強化系じゃない。なのに……」

 

 そこでヒソカはニタァっと笑う。

 

 「その発からは強化系の匂いがするんだよなぁ♦」

 

 本当に変態的な洞察力だ。てか、今更だが、こいつまだここにいやがったのだか。

 

 ズシくんが対戦相手になったと知ってから調べたが、こいつとゴンくんの対戦はもう終わっていて多分ゴン君たちは天空闘技場を去っている。

 

 それにゴンくんたちの試合の後に試合を行った記録がなかったから、てっきりもう居ない物だと思い込んでた。

 

 さて、どうする?誤魔化すのは簡単だけど、すぐに見破られる気がする。

 

 こいつの関心を必要以上に受けるのは避けたい所だ。

 

 まぁ調べられるより、自分でバラす方が被害が少ない気がするなぁ。

 

 なんで俺が悩まなきゃならんのだ。

 

 思わずため息が漏れそうになる。

 

 「あぁ。そうだよこれは俺のじゃない。これは俺の母さんの念だ」

 「へぇ。興味深いねぇ。発が遺伝するとかは聞いたことないけど」

 「それは、私も興味があるますね。ジバルくん」

 「へ?」

 

 ヒソカが現れた人物に対してさして驚いていない辺り、最初から気が付いて居たんだろうけど、俺は声掛けられるまで全く気がつかなかった。

 

 声がした方を向けば、床に頭を打って倒れて居るハンゾーを跨いでズシくんの師匠であるウイングさんがシャツがズボンからだらしなくはみ出した姿で颯爽と歩いて来ていた。

 

 

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