G・Iの子   作:めーび臼

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契約の行方

 「まずは俺の能力の大前提にあるのは契約する両者が互いに合意し納得してるって事だ。一方的な契約は絶対に出来ない」

 

 まぁ、殴られまくって心が折れて諦めてしまった相手だったら可能なんだが、そこには必ず俺の存在がいる。

 

 だからこそ、俺には自分が納得のいかない契約が出来ないように力がいる。

 

 「じゃあ、俺の能力の発動条件は四つだ。一つ、互いの条件を出す。二つ、契約を破られた場合の罰則だ」

 

 そこでヒソカの眉がピクリと動くが口を挟んでこないみたいだ。嫌な感じだけど、俺もそこをとやかく言えないだろう。

 

 「三つ、宣言。そして最後に互いのサインと拇印を契約書に押してもらう以上だ。あとは実際に契約を行いながら説明していくが異論は?」

 

 俺は目の前に座っているヒソカと俺の横に立って居るウイングさんに目線を送くる。

 

 ウイングさんは無言で頷く。ヒソカは何を考えているかわからないニヤニヤした笑みで俺を見ていたが、「いいよ♪」と言って俺の問いに肯定する。

 

 俺とヒソカそして、ウイングさんは闘技場のロビーから会議室みたいな所に場所を移している。

 

 なぜなら、ヒソカが立ってるの「疲れちゃった♥」とか場違いな事を言い出したからに他ならない。

 

 そこからは、ヒソカが闘技場のスタッフをおどゲフ……交渉して会議室を借り受けて移動したって訳だ。

 

 会議室の机を挟んで対面にヒソカが座り、ウイングさんは俺を守ってくれているのだろう横に立ってヒソカの動きを注視していてくれている。

 

 俺は、再度”アンブレイカブル・コネクト"の能力を発動させてバインダーを取り出して、その中から真新しい契約書と愛用の万年筆を取り出す。

 

 俺は万年筆を手に持つと、自身のオーラをインクに変化させて万年筆を満たしていく。

 

 バインダーは念で作り出した物だが、契約書は違う。既存の紙に俺が念インクで予め神字を書いて準備した物だ。

 

 「第一は契約条件だ。俺の方は俺がこの街の間にいる間のヒソカの接触、攻撃、追跡などの敵対行動の禁止だ」

 「じゃあ、ボクの条件はジバルの念能力の発動条件を教える事でいいのかな?」

 「それで、構わない」

 

 俺は、頭の中で条件の穴がないか探るが、頭がべらぼうに良いとは言えない俺じゃ……まずはこんなとこだろうか?

 

 「あとジバルくんに危害を加える又は情報を探らせる事を第三者に依頼するのも禁止した方がいいでしょう」

 

 あっぶねぇ。そうか!

 

 この場にウイングさんが居てくれて本当によかった。

 

 そうだな。あのゾルディック家の長髪ブラコンクソヤローが参入してくるなんて事になったらまずい。

 

 正直この街にいるかも、実際、ヒソカが対象を自分で殺さず他人に依頼するなんてあまり考えられないが、保険として重要だ。

 

 あと、他人から俺の情報が渡るのもは何がなんでも阻止したいし。

 

 「ボクってそんなに信用ないかい♪」

 

 どの口がほざくのかこのピエロは。チラッとみたウイングさんも顔を顰(しか)めているぞ!

 

 見ろよあの表情を!

 

 だけど、俺たちの心情なんか快楽殺人鬼には全く関係ないみたいだ。気にしろや!

 

 いいのだ。いいのだ。これからは俺のお楽しみの時間だ。

 

 「第二に、契約を互いのどっちかが破った時の罰則だ」

 「それはなんでもいいのかい?」

 

 ここははっきり言って俺の念の胆だ。相手がどれだけ契約を破りたくなくなるかって制約を設けるかが重要だ。

 

 なにがいいかな~。ヒソカが一番嫌がる事ってなにかな~?一時間の間、ずっと腋(わき)を手でこしょこしょされる感触に晒されるとかにするか?それとも人と目が合うと変顔をしてしまうようにしてやるってのも面白いな。

 

 いかん!発想が興奮して子供に戻っている!なにかないか……そうだ!

 

 「その逸物が一生おっ立たなくなるって……うが!」

 

 あ、頭が痛い!

 

 なぜかヒソカじゃなく、隣に立っているウイングさんから俺の頭頂部にオーラを纏わせた拳骨が撃ち込まれて俺は机に突っ伏す事になってしまったのだ!?

 

 痛い。マジで痛い!絶対にたん瘤出来てるってこれ!頭を摩りながらウイングさんを見ると、めっちゃいい笑顔になっている。逆に超怖い!

 

 「ジバルくん。君はズシと試合した時にもそうでしたが、子供にしてはあまりにも下品過ぎますね」

 「え、あ、いや、ズシくんとのときはクレイジー……はい。すいません。自重します。すいません」

 

 あの笑顔は言い訳さえも許さない凄みがあった。あの厄介な逸物を機能不全にしてやるいいチャンスだと思ったんだけどなってヒソカは笑ってんじゃね~よ!

 

 「ボクもまだこれを不能にされるのは困るな~♪」

 

 全然困ってなさそうな顔で言われてもこっちが困惑するしかない。

 

 「じゃあ、しょうがない。ヒソカ……あんたも『クレイジー・イン・ラブ』みたいな念の必殺技持ってるんだろ?」

 「あるよ♦」

 

 おいおい。俺が念能力者の根幹を奪うような契約にしようとしているのに、それに動揺どころか表情一つ変えないのかよ。

 

 俺は不安を覚えるが、ここで引いちゃダメだ。多少、俺の意地も入っている。

 

 「その能力を一か月間の使用禁止を罰則にしたい」

 「いいよ♪ボクの能力はドッキリテクスチャー(薄っぺらの嘘)ちなみにボクが子供の時に流行ったお菓子の名前が由来なんだ♪」

 

 こいつ!自分の能力を自ら明かす事でもう一つの能力を奪われるのを防ぐつもりなのか?

 

 ここで、そっちじゃないって言うのは不自然じゃないだろうか?名前からその念能力じゃないって断定出来るのか?確かにヒソカが『クレイジー・イン・ラブ』を避けた時に『バンジーガム(伸縮自在の愛)』を使ったのを見たけど……どうする?

 

 「貴方はカストロと戦った時に二つの能力を使っていた筈ですよ」

 「なぁんだ。あの試合を見ていたのか、そっちは?」

 

 俺に助け舟を出してくれたのは勿論ウイングさんだ。ウイングさん、マジお助けキャラ!

 

 「もう一つ?」

 「えぇ彼は念をゴムのように伸び縮みさせて張り付ける能力と多分、カストロとの戦いの時の傷を覆って隠す能力の二つを持っている筈。そうですよね?」

 「そうだね♪」

 「それなら、二つとも使用禁止させて貰いたい」

 「う~ん。『バンジーガム(伸縮自在の愛)』まで使えないのは困るなぁ。でも……君の能力は興味深いから特別にそれも制約に入れてあげよう♥」

 

 こんな簡単に?そう思ってしまうくらいヒソカは了承した。何も知らなければもう一つくらい隠し玉があると疑ってしまいそうだけど、眼の前の奴にとってこれは遊び程度ってことなんだろうか?

 

 俺はヒソカの了承を受けて、契約内容と罰則を万年筆で契約書の中に書き込む。これで契約書自体は完成だ。

 

 「ここから、宣言だ。これは俺が読み上げるて契約内容を契約者同士の最終確認だ。読むぞ」

 「どうぞ」

 

 俺は契約書にある事項を一つ、一つヒソカに聞かせるように読んでいく。

 

 「以上が本件の契約内容ですっと。異論は?」

 「ないね 」

 

 ウイングさんにも一応最終確認として目で合図して、確認をとった。

 

 「それじゃあ、最後にサインと拇印だ。拇印は契約書の"印"と書いてある所に親指を押せば付くから」

 

 俺は自分の名前のサインと拇印を契約書に記す。拇印を押すときに僅かなオーラが親指から契約書に流れる。

 

 俺は、ヒソカに契約書を滑らせて私、万年筆を投げる。

 

 ヒソカもキャッチした万年筆で自分の名前をサインして、拇印を押す。

 

 拇印を押した時に少しのオーラを奪われる様子を見ながらをこいつはなぜか楽しそうにしてやがった。本当に可笑しいだろ!

 

 ヒソカが拇印を押した瞬間に契約書は契約成立を示す緑の光に包まれて三枚に分かれる。

 

 「これで契約は成立。一枚はヒソカと俺、あと一枚は仲介者の為の物だ。二枚返してくれ」

 「了解♥」

 

 その瞬間、ヒソカの瞳が怪しくぎらつくき、 まさかって思いが俺の心の中を驚愕の色に染めた。

 

 俺の目の前には握り閉められた拳があり、その拳には全力でオーラを一か所に込めないと防げないと思わせる量のオーラが纏われている。

 

 「なんのつもりだヒソカ」

 

 その声は静かで声色でありながらも、じっとりとした怒りを内包していた。

 

 見上げれば、ウイングさんの寝癖がそのまま後頭部とそこから湯気のように立ち上る怒りのオーラ。

 

 目の前のウイングさんの拳が開かれると、ダイヤのカードが見て取れる握り潰されてぐしゃぐしゃに丸まったトランプが机に落ちた。

 

 そして、ヒソカの前には『アブレカブル・コネクト』で今しがた契約したばかりの契約書が煙に変わって行く。

 

 「フフ♪ちゃんと試してみないと分からないだろ♦」

 

 契約書の煙はヒソカのオーラに溶けて消えて行く。これは、契約が破った相手へ罰則が執行された為のエフェクトだ。

 

 「ほんとぅだ♪自分の念能力が使えないなんて……これは本当に面白い♥」

 

 ヒソカは面白がって色々試しているみたいだが、こいつ今の状況分かってんのか?

 

 『バンジーガム』も『ドッキリテクスチャー』も使えない状況で、俺はともかくウイングさんに勝てると思ってるのか?

 

 変態の思考なんて分かりっこないけど、これはネジが飛んでるしか言いようがない。

 

 『バンジーガム』も『ドッキリテクスチャー』も使えない事を確認したヒソカの顔だけが、グルリと回り微笑みを俺に向ける。

 

 「どうせこれくらいの攻撃で心源流の師範代の前で君を殺せると思ってなかったから、許してよ♪ね♥」

 

 ヒソカの前だからとかもうそんなの関係なく俺は頭を抱えて頭を掻き毟った。

 バカなの?アホなの?何なの?死ぬの?もう!もう!もう!もう!もういっそ他力本願でもいいよ!ブラックリストハンターの人!ここに念能力が使えない殺人鬼がいますよー!!

 

 捕まえて!いや、むしろ!

 

 「お前なんか死んじゃえよ!」

 「死ぬのは困るね♪」

 「お前!おまえ!オマエ!もう一回契約だ!今度は敵対の意思を行動に移した時点で契約は破棄になる!代償は一週間、精孔が閉じて一般人と同じ状態になる事だ!!」

 「いいよ。あと、一回契約を破った事で分かった事があるんだ♦」

 「なんだよ!」

 「君の能力……絶対に破棄出来ない契約を結ぶ能力じゃなくて、契約を破った者に罰則を与える能力だね♪」

 「グっ!」

 

 思わず吐き出そうとした悪態が驚きで、喉で止まり変な声が漏れてしまった。

 

 「つまり、ボクはキミを殺せる。破った後の事さえ考えなければね♥」 

 

 昇っていた血がサーっと頭から落ちて、背中に冷たい汗が流れる。

 

 「安心してよ♪今はまだキミを殺す事はないから、それに流石のボクも大事な約束があるから今、念自体がなくなるのは困っちゃう」

 

 ウイングさんにポンっと肩を叩かれた時にやっと俺は正気を取り戻した。ヒソカに俺の能力の決定的な弱点を指摘されてからどれくらいたったのか。

 

 余り覚えてないが、再度『アンブレイカブル・コネクト』でヒソカと契約して、ヒソカが楽しそうな顔をして契約書を持って部屋を出て行ったの事を微かに覚えている程度だった。

 

 

 

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