G・Iの子 作:めーび臼
俺はヒソカと契約を結んだ後、ウイングさんと
「ギャー!」
う、ウイングさんに誘われて、て、て、
「ちょっと待って~!ギャー!」
丁度、ズシくんに負けて宿を失った俺はって
「ま、まだ回送中だから!ギャー!」
ウイングさんとズシくんが住んでいる家に泊まりに来たのだが、なぜか俺はズシくんとウイングさんの修行に付き合わされている。
主に念の修行用の的として。
「いいですかズシ。念の防御を突破する方法は主に二つあります」
「オス!」
いや、オスじゃね~から。
「一つは今、行っている瞬時に相手の念の薄い部分を見抜いて、そこに的確に当てる方法ですね」
「オス!」
いや、オスじゃないって。だから、俺に向かって念を込めたピンポン玉を投げるなズシ!こんあ態勢でオーラを移動させて防御するの大変なんだよ!
「あともう一つは、相手が全力で防御した相手のオーラを上回るくらいのオーラで打ち抜けばいいんですよ」
止めろ!止めろ!止めろ!ウイングさんそのオーラ引っ込めて!ピンポン玉にそのオーラを収束させるのも止めて!
いや、避けられないんだよ!あんたがどこからか持って来たパンパンに水が詰まった壺を両手に握力だけで持たされてんだよ。ちょっとでも、オーラ減らしたら耐えられないんだよ!
「嘘だよね?ウイングさんはそんな事する人じゃないって俺、俺、信じてるよ!」
肩の高さに上げられた両手の壺の重さと恐怖でプルプル震える。ついでに空気椅子状態の下半身もガクガクと振動して目から勝手に涙が溢れ出して来る。
「ジバルくん」
「はい!」
「君はちょっと無茶し過ぎでしたね」
「え?」
「安心してください。全力でオーラを絞り出して一点に集中させれば、きっと防げますからね」
語尾にヒソカじゃないがハートマークが付きそうですねってそんな事考えている場合じゃねぇ。
どこに来る?目を見て推測しろって怖!
目が笑ってないよ。むしろ眼鏡が光を反射してキラってなってるって集中しろ!
「逝くよ。ジバルくん」
「多分、漢字がちがってギャぁぁぁぁぁぁ!!!!」
☆
「大丈夫っすかジバルくん?」
俺は、涙で床を濡らしながら倒れていた、もうオーラもすっからかんだよ。
「それにしてもジバルくんは流石っすね!まさか同い歳くらいのジバルくんがあの量のオーラを10センチくらいまで圧縮するとは思わなかったっす!」
そう。なんとかピンポン玉は防げたものの衝撃は殺しきれずに思いっきりソファーに巻き込んで壁にぶつかって後頭部を打ち付けたのだ。
「師匠は強化系の所為か一つの事に集中すると周りが見えなくなるんす」
そうだね。ウイングさんって強化系の脳筋の一人だったんだよね。それにしてもあれはない。日本だったら、絶対に児童虐待で豚箱にぶち込まれているくらいの行為だ。
そこで、俺の顔の横にウイングさんの足が見えるとしゃがみ込んで俺の顔を見る。
涙で霞んだ視界で見上げたウイングさんの顔は般若を幻視してしまうような笑顔ではなく、いつものちょっと抜けたウイングさんの顔に戻っていた。眼鏡も光ってない。
「すいません、ジバルくん。ちょっとやり過ぎてしまいました」
ボサボサの髪をグシグシと掻いて謝るウイングさん。
まぁ俺もズシくんにエロ画像を見せた事やヒソカと交渉を持ち掛けた事など、ちょっとやり過ぎてムリした自覚はある。
「俺もちょっと無茶したと自覚しました」
俺は手足に力を込めて床を両手で押して、体を起こして床に座る。
そして、武士の所作みたいな感じで胡坐をかきながら床に手を付けて頭を下げる。
その行動にズシくんだけじゃなく、ウイングさんも驚いているみたいだ。
「ヒソカの交渉の時は助けて頂いてありがとうございました!正直、一人ではあそこでヒソカと契約出来なかったです。最悪殺されていました。本当にありがとうございます!」
誰もしゃべらない空白の時間が少しの間あったけど、不意に俺の髪を不器用に撫でる大きな手の感触が後頭部に伝わる。
ちょっと照れながら頭を上げれば、俺と同じく少し照れているウイングさんの顔がそこにあった。
「いいんですよ。君はまだ子供だ。まだまだ強く賢くなれます。だから、力が足りないと感じたら傍にいる大人に頼ればいい」
目頭が熱くなる。
転生した当時はなんでこんな殺伐とした世界に俺はいるんだと、悲観し嘆き、誰にも理解されないだろう転生者と言う己を勝手に孤独に追い込んでいた。
だけど。
大人びて全然子供っぽくない俺に、諦めず愛情を注いでくれた両親。
この世界は面白いものだと語り、光を見せてくれたジンさんやグリードアイランドのゲームマスターたち。
そして、もしかしたら自分より強いかもしれないヒソカの前に堂々と立って、ほとんど関わりのない俺を守ってくれたウイングさん。
殺人が許容されかねないこの世界で、俺は、俺は大きな愛って奴に日本より触れているんだ。
涙が止まらない。
「さぁ。ズシ。散らかった部屋を片付けましょう」
「散らかしたのは師匠っす!」
「ウっ!」
俺の涙で空気が暗くなり過ぎないようにしてくれた二人に頭が上がらない。
つい、涙しながらも笑ってしまった。
涙が止まり、ソファーの位置が元の場所に戻った時に改めて、ウイングさんと向き合う。
俺の隣にズシくんが座っている。
「それで、ジバル君はこの先どうするつもりですか?」
正直な話あんまり考えてなかったんだよな。
もっと強くなりたいし、もっと金を稼いでこの世界を旅する資金も稼ぎたい。それに……。
う~ん。俺の念の特性から考えると……。
「マフィアに取り入って、て、て、嘘です!」
うん、嘘です。決してウイングさんが放ったピンポン玉が頬の横を通り抜けたから発言を撤回した訳じゃない。
決して、壁にめり込んでパラパラと崩れる音を聞いたから、発言を撤回した訳じゃない。絶対!
「ジバルくんが良ければ私が、武術を教える事も考えていますがヒソカの事が気になりますね」
ヒソカの話題が出たので、俺は居住いを正した。
「俺も正直、この街に居るのは危険だと思ってます。一か月でヒソカの念能力の封印は解除されますし」
「では、この街から旅立つとして……当てはあるんですか?」
「マ、嘘です!ありません!」
冗談だから、冗談だからそのピンポン玉を机に置いてください。
「ジバルくんも懲りないっすね」
うるさい!ってズシくんの言葉を否定したいけど、全く否定する要素が見つからん。
体の年齢に精神が引っ張られてるって事なんだろうなぁ。
「それでしたら、私が一人紹介しましょう。きっとジバルくんの力になってくれると思いますよ」
そう言って、ウイングさんは微笑んだ。