魔法少女リリカルなのは~目指せデバイスマスター~   作:叢真

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第5話

さて、地上部隊にデバイスマイスターとして所属することに決まったわけだがその前にやることがある。

 

 

クロノおよびリンディさんへの報告だ。

グレアムおじさんと、ロッテアリアには報告済みで三人とも頑張れと応援してくれたわけなんだが・・・

 

現在俺がいるのは本局の通路。

クロノへの報告は執務官試験が終わってからにしようと思っている。

 

今下手に報告して間近に迫った執務官試験に落ちられてもシャレにならん。

 

目的の部屋の前まで到着したのだがハッキリ言って…

 

「帰りたい…」

 

《ほらほら面倒なことは早く終わらせてしまいましょう》

 

「へいへい」

 

ラミアに促されて渋々、部屋のインターフォンを押す。

 

『はい』

             

「レザードです」

 

『待ってたわよレド君、どうぞ』

 

「失礼しま〜す」

 

部屋の主に許可をもらって部屋に入るわけだが…うわぁ

 

“めちゃめちゃ笑顔ですね”

 

“絶対勘違いしてる”

 

“まぁ、頑張ってください私はスリープモードに入りますから”

 

“ず、ずるいぞラミア!!”

 

“…………”

 

畜生、本当にスリープしやがった。

 

「ふふ、待っていたわよレド君。」

 

部屋の一角に用意された接客用のソファーに互いに腰掛ける。

 

「コーヒーでいいかしら?」

 

「あ、どもです」

 

「それで、今日は管理局への入局ということでいいのかしら?」

 

「ええ、非常勤という形ですけど。一時的に技術官として働こうかと…」

 

非常勤という言葉を聞いてリンディさんが一瞬固まったけど気にせず一気に報告する。

 

「配属先はまだ決まってないですけれど。地上本部の部隊になると思います。」

 

「そう、わかったわ。」

 

・・・・あれ?

 

「怒らないんですか?」

 

うん、俺はてっきり【陸】で働くなんて許しませんと言われるとばかり。

 

「あら?怒られたいのかしらレド君は?」

 

「いや、リンディさんしつこく入局迫ってたからてっきり海で仕事させる気満々なのかと」

 

 

「そうね、できれば海に来てほしいのが本音。」

 

そう言って弧ひーに角砂糖を一つまた一つまた一つまたまた一つ…

 

「って、砂糖入れ過ぎっ!?」

 

 

「そう?たくさん入れる方がおいしのよ?」

 

「限度ってもんがあります!」

 

うん、結局全部で10個近く角砂糖入れたよこの人。

 

見てるだけで胸やけしそうなコーヒーとか初めて見たよ。

 

「とはいえレド君が自分で決めたのなら私から言うことは特にないわ、頑張ってね」

 

《あれだけレドをしつこく本局に誘っておいていざレドが地上本部で働くことになったら頑張れとか何を企んでおいでですかリンディ提督?》

 

うんうん、ここまですんなり行くと何考えてるのか怖いよね…

 

…………

 

“って、ラミアはスリープ入ったんじゃないの!?”

 

“いや、とりあえず狸寝入りしてました。リンディさんが何を企んでるのか非常に気になりますし”

 

“なら、最初から教えておいてくれもいいじゃんかよ!”

 

“駄目ですよ、そんなことしたらあなためんどくさがって全部私にやらせるじゃないですか”

 

残念、バレてたか

 

「実はグレアム提督から本人の意思を尊重するようにくぎを刺されちゃったのよ」

 

「グレアムおじさんが?」

 

あるれぇ?

 

俺グレアムおじさんにはリンディさんがしつこいとか愚痴った記憶はないんだけどなぁ…何で知ってんのあの人?

 

“アレじゃないですか以前一度、ロッテさんとアリアさんに愚痴ってましたよね?”

 

あぁ~そういえばマイスター資格修得してからあまりにスカウトが激しいから愚痴ったような気もする

 

“うん、とりあえず俺の思考読んで念話入れるのやめてくれないかな?恐いから…”

 

“顔に書いてありますよ?”

 

“俺そんなに顔に出やすいか?”

 

“いえいえ、せいぜい分かるのは私とグレアム提督ぐらいじゃないでしょうか?ロッテさんとアリアさんも気づくかもしれませんね”

 

つまりは身内連中にはバレバレなのか

 

《なるほど、それで合点がいきました》

 

「とまぁ、そういうわけなので本局で働きたくなったらいつでも連絡してくれると嬉しいわ」

 

「まぁ、考えておきますけど。武装隊にはいきませんからね!」

 

「あら、残念」

 

しつこく勧誘するのはやめてくれるみたいだけどなんと言うか勧誘自体はやめてくれそうにない。

そのうち会うたびに勧誘されて断るのが挨拶みたいになりそう。

 

「クロノにはまだ伝えていないのかしら?」

 

「ええ、執務官試験前ですから。」

 

ぶっちゃけると、試験に落ちたら落ちたで助かるのだが。

クロノの夢を知ってる俺としては応援する気持ちの方が強い、補佐官はやらないけど。

 

「このまえ話したら、「レドを補佐官にして何事件をバンバン解決する」といって張り切ってたわよ?」

 

「あいつの頭ん中では俺が補佐官やるの決定事項ですか」

 

前言撤回やっぱり落ちろ、俺は補佐官やらないからな!!

 

「ああ見えてあの子はしつこいから頑張ってね」

 

《頑張ってくださいね、レド》

 

「リンディさんはともかくなんでラミアまで他人事あつかい!?」

 

《いや、私個人の意見としてはレドが魔導師として前線に出たら当然私の仕事が増えるわけでして》

 

「とどのつまりどっちでも良いと?」 

 

《YES、Master.》

 

こんな時だけ主人扱いすんなコラ。

 

 

 

「ふふ、ラミアもかなり人間味が出てきたわね?」

 

《稼働年数もそろそろ6年ですし、レドは暇があれば常に私と会話してくれますからね》

 

「良いことじゃない、少なくとも私は無愛想なインテリジェントデバイスよりもいいと思うわよ?」

 

《ありがとうございます、リンディ提督》

 

「魔導師としてもデバイスマイスターとしても俺の大事な相棒ですからね」

 

 

 

しばらく他愛のない話をしてリンディさんの部屋を出た。

 

 

しばらく歩き到着したのは本局自慢の訓練施設。

 

「悪い、待ったか?」

 

「あ、思ってたよりも早かったね」

 

そこで待ち合わせていたマリエルと合流した。

 

「しかし悪いな、付き合ってもらって」

 

「なんのなんの、レド君からの頼み事なんて珍しいからね」

 

《というのは建前で本音は新型デバイス見たからですよね?》

 

「そうそう、実はそうなの」

 

そこは嘘でもいいから否定してほしかった。

さて、薄々気づいてると思うが今回訓練場で行うのは新型デバイスの動作検証テストです。

本来ならアリアかロッテにお願いする予定だったが、グレアムおじさんが忙しいらしくそのお手伝いに二人揃って狩り出されているため急遽マリエルにお願いした。

他の魔導師からの意見も欲しかったのだが残念ながら知り合いに魔導師はいないのであきらめ、同じデバイスマイスター資格を持つマリエルの出番というわけだ。

 

あん?クロノ?

 

あいつに手の内見せるわけないじゃん。

クロノがアンジュルグとアシュセイヴァーを見るとき=俺の勝利という方程式が成り立たないからな。

 

 

 

「はぁ、まぁいいけどね」

 

《おしゃべりはこのくらいにして早速始めますか?》

 

「だな、マリエル」

 

「OK、測定器その他もろもろ準備できてるよ」

 

そう言ってマリエルが端末を操作するとホログラムが立ち上がり殺風景な訓練施設が一瞬で街中になる。

 

「ラミア、セットアップ」

 

《Set up》

 

光に包まれると同時にバリアジャケットが展開される。

本日のカラーは青と白のver1P

 

「続いて、アンジュルグスタンバイ」

 

《アンジュルグスタンバイ》

 

左手に大型の弓が、右腕に銀色のガントレットが出現する。

 

「へぇ~それが射撃特化のデバイス?」

 

「正確には直射射撃特化だ」

 

全容量の7割を直射射撃魔法用の専用プログラムと処理に費やし、残りの3割を誘導制御魔法用に回した。

デバイスとしての完成度性能ともに申し分ないが一般魔導師からすればイかれているとしか言えないデバイスである。

 

《完全に射撃魔法を使うためだけのデバイスですね》

 

『ターゲットスフィアの数は10機、フィールドは都市、ランクB。スタート』

 

マリエルの合図と同時に10機のスフィアが出現し半分は浮遊、残りの半分は不規則に動き始める

 

「久しぶりの訓練だけどいけるなラミア?」

 

左手のアンジュルグを握りなおす。

 

《当然です。むしろそのセリフそっくりお返ししますよ?》

 

「上等だ、行くぞ!!」

 

かりそめの空へと飛び出した。

 

 

「まずは直射型で浮いてるのを落とす!」

 

《了解》

 

「イリュージョン・アロー」

 

アンジュルグを構え、魔力で編まれた弦を引く。

同時に俺の魔力により矢が形成されて……

 

「狙いは…外さん!!」

 

《Fire》

 

ターゲットスフィアを打ち抜いた。

 

やっぱりいいなぁ、射撃魔法それも念願の直射型。

今までの射撃魔法と言ったらヴァイサーガの烈火刃(誘導制御型)と斬撃飛ばす地斬疾空閃だけ。

 

作ってよかったアンジュルグ。

因みに今更だけど俺の魔力光は緑だ。

 

《感動するのは後にして次に行ってください!!》

 

「あいよぉ!!」

 

次のターゲットスフィアを狙い。

 

「シャドウランサー!!」

 

右腕のガントレットを向けると先端に小型の魔力スフィアが形成され槍状の魔力弾が無数に発射。

そのまま複数のターゲットスフィアを打ち抜く。

 

…ヤバい、射撃魔法楽しすぎる。

 

「次ぃ!!誘導制御型行くぞっ!!」

 

《了解しました》

 

「スティンガー」

 

動いているターゲットスフィアを狙い

 

《arrow》

 

イリュージョン・アローよりやや短めの矢がスフィアを追いかけ、追い詰め、貫いた。

 

「ラミア、アンジュルグの状態は?」

 

《すべて予測値以内です。問題ありません》

 

つまりは動作にも今のところ問題無か。

 

「良し、アレも使うぞ」

 

《良いんですか?カートリッジの使用無しではイリュージョン・アローに毛が生えた程度の威力ですよ?》

 

「チャージ時間増やせば威力は出るだろ?どうせ、使うことになるんだから一応データー取っておきたい」

 

《わかりました》

 

今の俺に打てる最大出力の射撃魔法、本来ならカートリッジ使用によることで短時間で打つ魔法だが一回くらいは撃っておきたい。

 

「リミット解除…コード・ファントムフェニックス!!」

 

アンジュルグを構えて限界まで弓を引き絞る

 

《チャージ開始します》

 

少しずつ魔力がチャージされていき矢が緑色に輝く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って、長いなオイ!!」

 

《本来ならカートリッジ使用が前提なんですから当たり前です!!》

 

うん、まぁ覚悟してたけどここまで長いとは思わなかったよ。

こりゃ実戦での使用は無理だな。

 

 

《…………チャージ完了しました》

 

「あいよ!」

 

残りのスフィアが一直線に並ぶ瞬間を狙って矢を放つ。

 

「いっけぇ!!」

 

《Phantom phoenix》

 

放たれたファントムフェニックスはスフィアを飲み込んだ。

自分で術式組んでおいてなんだけどここまで高威力な魔法だっったか?

…ま、いっか。

 

アンジュルグが排熱を行い、蒸気が排出される。

 

「全ターゲット撃破…ってか?アンジュルグに不具合は?」

 

《特に大きな問題はありません、ただ最後のファントムフェニックスは早々連発できそうにないですよ?》

 

そこはまぁ、予想してた。

足り無い資質をデバイスでカバーしてるから負担が馬鹿にならないんだよなぁ

 

《今ので大体カートリッジ5発分の魔力ですけど》

 

なるほどそれなら今の高威力にも納と…はぁっ!?

 

「おま、カートリッジ5発って理論値限界じゃ!?」

 

《動作検証なんですから限界の威力出さないでどうするんですか?》

 

「そりゃ、そうだけど。先に教えてくれよ」

 

《あなた途中でビビってチャージ完了前に撃つでしょ?》

 

………うん、壊れたら嫌だから撃つね多分。

 

「さ、次はアシュセイヴァーだな」

 

《このヘタレ》

 

何とでもいえ、折角作ったのに速攻で壊れたら泣くわ。

 

『データ取りはバッチリだよ、早速見る?』

 

「いや、このままもうアシュセイヴァーの方も動作検証やるわ」

 

マリエルと会話しながらも一応、アンジュルグの状態を軽くチェック。

 

『りょうか~い、条件は今のままでいいのかな?』

 

「スフィアの数半分に減らしてくれ」

 

うん、ラミアの言うとおり特に大きなダメージはないな。

これなら十分実戦で使用できる。

 

 

『はいは~い、他に何かご要望は?』

 

「最後に2機だけ大型スフィア出してもらえる?」

 

 

『ん、準備できたよ?』

 

「ラミア、アシュセイヴァーを」

 

《了解、アンジュルグ格納。アシュセイヴァースタンバイ》

 

左手のアンジュルグが消えると同時に右手にソードモードのアシュセイヴァーが現れる。

 

『じゃ、始めるよ~』

 

先ほどとは半数のスフィアが出現する。

 

まずは1つ目

 

飛行しながらすれ違いざまに横一文字で切りつける。

 

「ラミア!」

 

《Sonic Move》

 

ソニックムーブで移動しアシュセイヴァーを逆手に持ちかえて下から切り上げる。

 

 

「アシュセイヴァー、ガンモード」

 

《了解》

 

片側の刃がスライドしてトリガーとグリップが出現、銃口が開く。

くるりと一回転させてグリップを握りトリガーを引く。

 

「ショット!!」

 

魔力弾を生成して発射。

大きく弧を描いてターゲットスフィアに衝突。

 

「アクセルシューター!!」

 

先端に6つの魔力弾を形成し

 

「シュート!!」

 

それぞれ違う弧を描き2つのスフィアに3発ずつ衝突。

 

うん、思った以上に使いやすい。

刃の部分は魔力の通りもいいし切れ味もそこそこ、射撃魔法は誘導制御も楽で魔力弾生成も早い。

やはり3機の中では一番バランスがいいな。

 

《大型スフィア、2基来ます》

 

「良し、砲撃魔法行くぞ!」

 

《了解、チャージ開始します》

 

アシュセイヴァーの先端に魔力がチャージされる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり長いな。」

 

《これも本来ならカートリッジ使用前提ですからね、15歳になるまでは我慢してください》

 

やっぱ実戦じゃ使用できそうにないなぁ

 

《実際問題カートリッジ使用しても精々がAランク程度の威力なんですがね》

 

「まぁ、そこはロマンだよ…それにほら、切れる札は多い方がいいしね」

 

《確かに良くも悪くもワイルドカードになり得ますけど……使う機会ありますかね?》

 

「無いなら無いで良いんだよ。」

 

《あ、チャージ完了しました撃てますよ?》

 

「いくぜぇ!!」

 

「ハルバートォ《Buster》」

 

 

緑色の極太レーザーが大型スフィアを飲み込んだ。

 

「良し、威力も申し分なし」

 

我がお師匠ですら匙を投げた俺の砲撃魔法だがとりあえずは撃てた。

デバイスマスターでよかった(涙)

魔力ランクAAなのに…いろいろ小細工してAランクの砲撃が限界……どうせならチート補正が欲しかった。

 

《残存スフィア、残り1です》

 

「アシュセイヴァー・ソードモード」

 

銃としての機能を格納して再び剣として使用可能にする。

 

出来ることならカートッリッジ使用でやりたいんだが……

アシュセイヴァーの刀身に魔力を薄く硬くコーティングしていく。

ヴァイサーガの術式プログラムを応用して作りだした、専用の近接魔法。

 

「ブレイブスラッシュ!!」

 

最後の大型スフィアを唐竹でたたっ切る!

 

「我に断てぬ物無し」

 

《どこの悪を断つ人ですかあなたは…》

 

何で知ってんのラミア?

俺お前に教えたか?

 

 

『全ターゲットスフィア、撃墜完了。お疲れ様~』

 

「わざわざ手伝ってもらって悪かったな、マリエル」

 

『そう思うなら後で、アンジュルグとアシュセイヴァーばらさせて?』

 

だから目をそんなにキラキラさせんな…

 

「別にいいけど、ちゃんと戻してくれよ?」

 

『それじゃ、私の部屋で検証するから移動開始~』

 

……ちゃんと戻してくれるよね?

 

 

 

で、訓練施設から移動してマリエルの仕事部屋に移動。

この女、自分の研究室持ってるんですよ。

何でも俺も参加する魔導師強化プロジェクトの本局側の責任者に任命されたとのことで自分のオフィスをゲットしたとのこと

 

「……汚い」

 

《これがかたずけられない女という奴でしょうか?》

 

そこそこの広さをもった部屋なのだが非常に汚い。

 

床には丸めた紙や途中まで書きあげた設計図が散乱しており

デスクにも大量の設計図とコーヒーカップ

 

「あはは~昨日遅くまで仕事してて、片付けるの面倒だったもんだから」

 

参った参ったなどといいながら手早く片付け始める。

 

「…こいつはデバイスの基礎フレーム?」

 

落ちている設計図を拾って目を通す。

 

《それにしては、やけに頑丈に作ってありますね》

 

こいつは…なるほど。

こないだ話していたカートリッジシステム搭載予定の基礎フレームか

 

「何とか、軽くて丈夫、柔軟な基礎フレームにしたいんだけどこれがなかなか曲者でねぇ」

 

「また、こだわるな。」

 

《レドだってアンジュルグとアシュセイヴァー作ってるとき偉いこだわってましたよ?》

 

確かに、設計図かなり書いてたっけ?

 

「やるからには完ぺきを求める、それがプロよ」

 

メガネを光らせて胸を張るのはいいんだが………その胸じゃなぁ

 

【ゴツンッ】

 

「ってぇなおい!!」

 

グーで殴られた

 

「今私の胸見て残念とか思ったでしょ!?わ、私だってまだ若いんだからこれからもっと大きくなるの!」

 

顔真っ赤にして若干涙ぐんでも恐くないぞ~

 

あとやるんなら11歳の少年じゃなくてもっと大人にやった方がいいぞ~

 

「へいへい。さ、データ検証始めんぞ~」

 

「いつか絶対、ダイナマイトボディになって悩殺するんだから」

 

出来るもんならやってみろ

 

 

 

 

さて、気を取り直して本日動作検証を行ったデータを立ち上げてソファーに座って検証開始!

 

「さて、まずはアンジュルグなんだけど…」

 

《ファントムフェニックスの魔力ランクはAAA威力射程ともに申し分なしです。》

 

「問題はカートリッジ無しだとチャージ時間がかかり過ぎること…あの威力叩きだすのに必要な時間が約5分」

 

カートリッジ5発分で300秒ってことは1発分のチャージが約1分

カートリッジ使用なら15秒くらいか?

 

「完全に奇襲用だね、もうあきらめてカートリッジ使えば?」

 

《今のレドですとカートリッジの使用をお勧めできません》

 

「やっぱり体にかかる負担?」

 

《はい、一時成長期が終わっていない状態でのカートリッジ使用は多少とはいえ影響が出てくるはずです》

 

「ピンチな時の切り札ってことで使用は基本的に無しだな」

 

《私の許可がないと使用できなくしておきますからね!!》

 

「イリュージョン・アローとスティンガー・アロー、シャドウランサーは特に問題なしかな?」

 

マリエルがアンジュルグで使用した魔法のデーターを見比べる。

 

「だな、速度、威力ともに問題なし。」

 

イリュージョン・アローがAランクで劣化版ファントムフェニックス、スティンガー・アローはBランクでスティンガースナイプの改良版、

シャドウランサーはフォトンランサーの応用でBランク、連射性と貫通性重視の弾幕魔法。

 

《そしてこちらが、動作前と動作後のアンジュルグのデーターです》

 

「魔力素の残骸もほとんど無いし、部品の損傷もなし。しっかり馴染んでるな」

 

「ソフト面も術式プログラムにエラーも無いね」

 

アンジュルグは特に問題なしで良いのかな?

 

《次にアシュセイヴァーですが……これは》

 

「ん~ちょっとねぇ」

 

「やっぱあのギミックは問題があったか…」

 

上から、ラミア、マリエル、俺である。

 

「まさかたった一度の使用でここまで損傷するとは…」

 

モニターに立ち上がるのはアシュセイヴァーの動作前と後のデーターだが…

動作後のデーターの至る所にダメージを受けている。

 

「欲張り過ぎだね、砲撃魔法と最後の斬撃魔法でオーバーホールが必要だよ?」

 

《特に最後のブレイブスラッシュですね》

 

グリップとトリガーとカートリッジシステムを搭載したせいで若干強度に不安が残ったんだよなぁ

何とかいけると思ってたんだけど…フレームが歪むとは思わなかった。

多分このまま使い続けてれば後二、三回でぶっ壊れる。

 

「ううぅ…力作だったのにぃ…」

 

グッバイ制作時間約2年

あ、なんか目から汗が…

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

あちゃー、なんだか泣き出しそうなんだけど。

あ、どうもマリエル・アテンザです。

アシュセイヴァーの不具合のためレド君は見たことないほど凹んでしまいました。

 

(ちょっと、ラミア。何とかしてよ)

 

(無理ですよ、実際問題こういった欠陥があるのは事実なんですし)

 

(大事な相棒なんだから励まして)

 

(マリエルさんこそここは年上の包容力で慰めてくださいよ)

 

(一人じゃ無理だって、ラミアも手伝ってね)

 

って、泣き出しちゃった

 

(ラ、ラミア!?)

 

(しょうがないですねぇ~)

 

(なんでそんなに偉そうなのかな!?)

 

二人揃ってコソコソ話す

 

「で、でもほら。射撃魔法と砲撃魔法は特にダメージもないし?」

 

《そ、そうですよ。グリップを外付けにして銃剣型にしてしまえばフレームも強化できますし?》

 

「ラ、ラミアの言う通りだって誘導制御や、魔力収束は非常にいいんだし。斬撃魔法は封印してしまえばちゃんと近接でも使えるって!」

 

「……ほんと?」

 

涙目!?

破壊力抜群です。

 

《ほんとですよ?軽く計算しましたが、銃剣にしてしまえばその分フレームを強化できます。そうなればある程度は剣としても使用可能です。刃の部分も切れ味 はいいですから、うまく改良すればブレイブスラッシュほど強力な斬撃魔法は打てませんがAランククラスのものならなんとかなりそうですよ?》

 

「私も改良手伝ってあげるから、ね?」

 

《マリエルさんもそう言ってますから、頑張りましょう。前例が無いフレームタイプですし不具合はどうしても起きてしまいます》

 

「……そうだな、失敗作とも言えないし。今回は勉強させてもらったと思って次回に活かそう」

 

 

うんうんいつもの調子が戻ってきたみたい

 

やっぱりレド君はこうじゃないと

…アシュセイバー

ディスプレイに立ち上がっているアシュセイヴァーの基礎フレーム設計図

損傷のためところどころ赤くなってるけど……ミッド式デバイスとして使う場合を考える

カートリッジは外付けにして、周辺を補強できればベストとまではいかないけどベターじゃないかな

 

頭の中で簡単に設計図を思い浮かべる

うん、悪くない

後は材質……コストを抑えた上に柔軟性を持たせることができれば……

 

近いうちに一度資材開発部と話さないといけないかなぁ

 

現状の資材でも良いけどそれ以上の物が使えるなら多分……

 

「レド君」

 

「ん?何さマリエル?」

 

「アシュセイヴァーのフレーム使わせて貰っても良いかな?」

 

「ミッド式のに使うの?」

 

うん、やっぱりレド君は察しがいい。

 

「……別にかまわないけど、多分…柔軟性と強度足りないよ?」

 

《材料自体は現在使用されているものを使いましたからね》

 

「うん、妥協するつもりはないから大丈夫。コレを雛型として可能な限り高性能なものに仕上げたいんだ」

 

私は技術官だもん

簡単に妥協なんてしてやらない

目指すのは次期量産型の試作デバイス、限られたコストの中で最高のものを作り出す。

 

それが今の私の仕事だ

 

「良いね、それでこそマリエルだよ」

 

ニヤリと口元を綻ばせて、レド君はうれしそうに笑う

 

「それなら、今後も定期的に話し合うか?互いに情報交換も必要だし俺もマリエルに相談したいことがあると思うし」

 

「あ、いいねそれ」

 

「そうだな、次から奇数月はマリエルんところで偶数月は俺んところでどう?」

 

「OK,OK」

 

 

これが今後何年も続いていくことは私もレド君もラミアもまだ知る由もなかった

 

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