魔法少女リリカルなのは~目指せデバイスマスター~   作:叢真

6 / 9
第6話

 

「さぁ、今日も元気に頑張りましょうね!!」

 

「お断りしまっす!!」

 

 放たれた拳を体を右に傾けることで辛うじてよけ…って掠ったよ!?

 髪の毛がチッとかいってはじけ飛びましたけどォぉ!!

 

 やぁ、レザード・ウィンストンです

 

 なんだかんだで地上本部で仕事を始めて2週間ほどたつ、今更だが俺のお仕事はミッド式カートリッジシステムの開発と魔力効率上昇の研究。

 重要な事だからもう一回言うけど俺の仕事は研究と開発ね?

 

 ちくしょう、何が悲しくてシューティングアーツやら模擬戦やらなきゃならんのだ…しかも格上と

 

 そう事の始まりは10日前…

「ほら、よそ見しちゃだめよっと」

 

 回想は後でね!

 

「ラミアッ!!」

 

《Protection》

 

 緑に輝くプロテクションが相手の拳を受け止める

 

「ぐぬぬぬぬ」

 

 拳とバリアが拮抗しているように見えるが少しずつ拳が俺へと向かってくる…

 

「甘い!カートリッジロード!!」

 

 ナックル型のデバイスが薬莢を排出してタービンが回り…

 

「リボルバーマグナムッ!!」

 

「ゲッ!?」

 

 即座に後ろに飛ぶと同時に

 

「トライシールド!!」

 

《Tri Shield》

 

 開いている左腕にシールドを展開しリボルバーマグナムの威力を利用して更に距離を離す

 向こうが態勢を立て直す前に一撃を繰り出すため飛行魔法の応用で即座に態勢を立て直し

 

 ヴァイサーガを上段から…

 

「《地斬…》」

 

 振り下ろすっ!!

 

「《…疾空閃》」

 

 直撃を気にせず更に

 

「烈火刃!!」《fire!!》

 

 緑の刃が四種類の軌跡を描いて相手に迫り…

 着弾と同時に爆発した

 

 

 

「やったか?」

 

 集中を切らさず爆煙が少しずつ晴れる先をみる

 ………しまった!!

 

《レド…》

 

「なんだよ…」

 

 分かってるから言うなよ?頼むから言ってくれるなよ?

 

《それは、相手の生存フラグをばっちり立ててますよ?》

 

 だから分かってるってぇの!!

 

「はん、もとからアレで倒れるような人じゃねぇー」

 

 

 うん、ちょっとはこれで終われば良いなぁ~なんて思ったけど元々あまり期待はしてなかったから問題ない

 

《……ホントに?》

 

 うるさいね!!つい、気を抜いて言っちゃったんだからしょうがないじゃねぇか!!

 

「ふぅ~危ない危ない」

 

 煙の向こうから紫の髪をなびかせ彼女は…クイントさんは無傷で姿を現した

 

《どうやらギリギリで防御されてしまったようですね》

 

「一発くらいは通ってくれても良いじゃんかよ…」

 

 大きく息を吐きヴァイサーガを構える

 

 時刻はそろそろ昼…飯も食べたいし、本来の仕事もしたい

 

「ラミア、アレでケリ着けんぞ…」

 

《了解》

 

「来なさいレド君」

 

 こちらの雰囲気を感じ取ったのかクイントさんは腰を落として迎撃姿勢を取った

 

「真っ向勝負!!」

 

 今の俺ができる最速の速さでヴァイサーガを振るい、地斬疾空閃を放つ…とヴァイサーガを前方に突き出し……爆発的に加速

 魔力でコーティングされた最速の突きを突き出す!!

 

「《風・刃・一・貫!!!》」

 

 クイントさんが防御魔法を展開するが一瞬の均衡の後

 その防御ごとクイントさんを貫いた…

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「いやぁ、まさか10日間で一撃入れられるとはおねーさんびくっりよ」

 

「むしろあの一撃で直撃じゃないのがおにーさんびっくりです」

 

《あの一撃で倒せないレドにおかーさんは驚きです》

 

 誰がおかーさんかコラ

 

 模擬戦も無事に終了して現在時刻が午後一時、ちょっと遅めの昼食中です

 

 模擬戦の結果は俺の勝ち…試合に勝って勝負に負けた感じだけど

 ルールは簡単で、俺がクイントさんに一撃入れるかノックアウトされるか時間いっぱい逃げ切るかのどれかである。

 

 

「しっかし…モグモグ…普通…モグモグ…あの状態から…ングング…避けます?」

 

《行儀が悪いですよ?》

 

 ラミア、いつから俺のおかーさんになった?

 

「…アレは避けたというより逸らしたのよ」

 

 …おぉ、ジーザス

 なんで俺が一人前のパスタ食うより早く三人前食い終わってるのこの人?

 

《逸らしたですか?》

 

「そ、あの最後に使った魔法…風刃一貫だっけ? あの魔法は一点突破で防御ごと貫く技だよね?」

 

「はい」

 

 風刃一貫はクイントさんが言うとおり、防御ごと相手をぶち貫く刺突技

 実際のところは風刃閃同様、魔力コーティングされたヴァイサーガで突き刺すだけだ

 カートリッジシステムを封印中の俺が考え出した苦肉の策である

 

《なるほど、防御魔法を半円状で展開したんですね》

 

「そうよん、さすがラミアちゃん。正確には展開位置を若干ずらしてだけどねん」

 

 つまるところ風刃一貫は……欠陥魔法?

 

「着眼点は面白いからまだまだ改良の余地ありってところかしら」

 

 むぅ…どうしたものか

 

「隊長に相談してみたらどう?」

 

「ゼスト隊長にですか?」

 

「そ、隊長は獲物が槍だし、いろいろ聞いてみるといいわよ」

 

 確かにゼスト隊長のデバイスは槍型だけども…ありゃどちらかといえば槍よりも青竜円月刀でしょうよ

 

「今度暇見つけて聞いてみます」

 

「そうしなさい」

 

 

 と駄弁りながら昼食も無事に終わったのでそのままクイントさんと別れて仕事に向かうわけですよ

 

 さて、今日はどこから片づけるかね

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「さてと」

 

 自分に与えられた研究室で食後のコーヒーブレイクをしつつ端末を起動させる

 

 マリエルほど広い部屋ではないものの俺も専用の研究室が与えられたので遠慮なく我が城とさせてもらってる

 

 

《試作型の図面は上がってますけど…》

 

「まぁ、一応ね……」

 

 でもこれは流石に……ひどいよなぁ

 

《とりあえず、ベルカ式のシステム適当に持ってきただけですからね》

 

「だよなぁ」

 

 流石にこれは無い とはいえ、恐らくこのままでも十分使える……使えるけど多分デバイスが持たないんだよね

 

 インテリジェントデバイスは繊細だから

 

「ある程度調整は必要としてやっぱりこれじゃ面白くないよなぁ」

 

《カートリッジの口径を小さくしてみてはどうです?》

 

 

 ふむ

 

 小口径にすることでデバイス、術者に掛かる負担を軽減

 高火力の魔法を使う場合はカートリッジのロード回数を増やせば…

 

 

 アレ?悪くないんじゃ…

 

 となると…システム自体は、現状のベルカ式をベースに改良して、試作機は拳銃みたいにしてみようか…

 

 

「ラミア、口径はどれくらいが最もバランスがいい?」

 

《そうですね、レドが使う場合を前提として直径0.40~0.45インチが妥当では?》

 

「その場合のカートリッジによるブーストはどんなもんよ?」

 

《しばらくお待ちください》

 

 

 コアが点滅すると同時に目の前の端末が動き出し計算していく

 

 

 

《一般武装隊員が使用するとして約1.2~1.4倍の上昇でしょうか、現状のベルカ式カートリッジシステムで約1.8倍であることを考えれば十分かと?》

 

「なるほど問題はなさそうだな……」

 

 

 ん~でもこれって現状の技術で簡単にできることなんだよなぁ…

 ついでに効率があまり良くない…魔法を行使するたびにカートリッジをロードしてたらアッという間にカートリッジ切れを起こすんじゃ

 

「駄目だ、もう一度ゼロから考え直すぞ」

 

 

 

 そもそもカートリッジシステムの運用方法は

 

 ①. 魔導師の保有魔力量増加

 ②. 行使魔法の不足魔力の補填

 ③. 魔法の発動に要する魔力供給時間の短縮

 ④. 圧縮魔力を利用した魔法の行使

 

 の四種類

 

 

 ①はある魔法に必要な魔力を10としたとき、事前にカートリッジに込められた魔力を用いて9を補い残り1の魔力を行使者が供給する、というような運用法

 ここにおいての1の魔力とは、魔力操作・制御のための魔力である

 いわばダイナマイトの火種のようなものであり、カートリッジの含有魔力量を把握していなければ、当然魔法行使は失敗に至る

 魔力の扱いは相応の精密・綿密な技術が必要であり、不慣れな者がカートリッジロードの度に相当の精神力、ひいては体力までも消耗することは珍しくない

 

 ②は①が魔法行使時間の延長を目的としているのに対し、より上級の魔法を扱うことに主眼を置いたといえる

 高位魔法の発動に必要とされる供給魔力の不足分をカートリッジによって補填する運用法

 高位魔法の操作・制御が出来なければまず叶わない運用方法である

 

 ③はベルカ式魔法が近接系魔法による個人戦闘に特化していることから、長時間の詠唱やいわゆる「溜め」、広範囲に及ぶ大規模魔法などを戦闘に組み込むことが難しい

 とはいえ現状のカートリッジシステムの主な運用はこれが一番多い

 無理やり供給時間を短縮し、魔法を発動させる運用法である

 本来の過程を踏まない発動であるため魔法の精度は低下するが、近接戦闘においても隙を生じさせない魔法行使としては有力であると考えられる

 

 ④は通常の魔力出力量では発動させることの出来ない、大量の魔力を必要とする魔法の行使を目的に運用すること

 カートリッジシステムの搭載・使用を前提とした魔法の行使であり乱用出来ず、瞬間的・限定的ではあるが、通常の数倍の出力をはじき出すことを可能とする

 ②の運用法の発展とも言え、デバイスの高出力形態への変形などもこれに分類される

 この運用方法を成立させるには、爆発的なエネルギーに耐えうる堅牢なデバイス、通常では扱わない過剰エネルギーを魔法として制御する行使者の技量が要求される

 ベルカ式魔法における、正に必殺の一撃といえる。

 

 以上の点を踏まえてもう一度思案すると…

 

「そもそもミッド式でカートリッジシステムを用いる必要性が低い?」

 

《確かに現状ではミッド式でのカートリッジシステムのメリットよりもデメリットの方が大きいですね》

 

 魔力運用技術は魔導師本人およびデバイスの処理能力を上げることである程度は対応できる

 だがどちらにしてもデバイスにかかる負担が大きすぎる

 

 

 運用方法をモニターに出して思案する

 

 

「……アレ?」

 

《どうしました?》

 

「この運用方法ってさぁ、一瞬のものじゃないか?」

 

《どういうことです?》

 

「いやね、どの運用方法も一瞬でカートリッジに内包されてる魔力使いきってるじゃん」

 

《元々がそういう目的で作られてるものですから当然ですよ》

 

「何だ気付いてないのか?」

 

 

 ラミアなら簡単に気付きそうなものだがまだまだ人間ほど柔軟な思考はできてないみたいだな

 

 

《気づく?》

 

「良いか、一瞬でカートリッジの魔力を使いきるということでデバイス、術者に負担がかかるのはわかるな?」

 

《はい、だから今その負担をどうにかしようとしているのですよね?》

 

「そうだ、だがこれが中々難航しているわけだ」

 

《だからこその小口径のカートリッジではないのですか?》

 

「いやね、負担が軽減できないのなら負担の原因を無くしてしまえばいいと思わないか?」

 

《まさか!?》

 

 

 ようやく俺が言いたいことに気付いたらしい

 

「そ、要するに『一瞬』でカートリッジの魔力を使うから負担がかかるわけだ。なら魔力を『一定時間』かけて消費すれば良い」

 

《危険すぎます!!確かにその方法なら負担は少ないでしょうけど魔力制御に失敗した場合のリスクが大きすぎますよ!!》

 

「確かにリスクがでかいけど要は制御に失敗しなけりゃいいだけだろ」

 

《まったく簡単にいいますね…》

 

「だが、俺が思うにこの方法じゃないとおそらくミッド式でのカートリッジシステムの使用はほぼ無理だろ」

 

 リスクは大きいけどデバイス、術者にかかる負担は制御に成功さえすれば軽いはず……失敗するとシャレにならんけども

 

《はぁ、わかりました。言い出したら昔から聞かないんですから…》

 

「流石は我が相棒よく俺のことわかってるじゃないか」

 

《ええ、伊達にあなたの相棒なんてやってませんからね》

 

 とりあえずのミッド式カートリッジシステムの完成系は見えてきたあとはいかにしてそこに行くかだ

 

「やはり専用のプログラムが必要だよな」

 

《カートリッジシステム本体はある程度の改修で問題ありませんね》

 

「とはいえ、カートリッジ使用するたびに専用プログラム流すとかストレージじゃ難しいよなぁ」

 

《ストレージデバイスには不向きですね、供給魔力適当量の繊細なコントロールは臨機応変に行わねばなりませんし》

 

 さて、ここで供給魔力適当量について補足しておこうと思う

 

 本来魔法には供給魔力適当量というものが存在する。これに満たない魔力では十分な魔法効果が発現せず、それが過剰であっても操作や制御を失ったり、過剰魔力の無駄、最悪暴発の危険性すら孕むこととなる

 よって、余剰魔力分も効果的に発現できる術式、あるいは制御しうる術者の技量が必要不可欠となるというわけだ

 

 何故この魔力適当量をコントロールするのにストレージが不向きかというと

 いかに専用の術式プログラムを用意したとしても術者のその日の体調、使用魔法による魔力適当量はある程度均一とはいえ若干ながらバラつきがある

 

 一々術式プログラムをカートリッジ行使するたびに微調整していくのは非人格搭載型のストレージデバイスでは難しいのである

 無論、術者にそれだけの技量があるのなら問題はない。

 

「でも一般局員が使用しているデバイスはストレージかぁ…」

 

《あぁ、そういえば首都防衛隊所属のミッド式魔導師もほぼ8割がストレージデバイスでしたね》

 

 駄目じゃん

 

「う~む…」

 

 さてさて、どうするべきか…

 

 困ったときのマリエもんなんだが毎回あいつに相談持ちかけるのは何か負けた気がするので却下…次の定例会で話すけど

 

「とりあえず、ストレージデバイスとインテリジェントデバイス。それぞれ専用の物を用意するしかないな…」

 

《具体的な仕様はどうします?》

 

「ストレージデバイスに使用するものは小口径でインテリジェントデバイスは何種類か用意しておこうか…」

 

 現状俺が求められることは管理局に所属す魔導師の戦力UPだから…

 

「まずはストレージ用のカートリッジシステムから仕上げる。」

 

《よろしいのですか?》

 

「何がだよ?」

 

《ストレージのカートリッジシステムでは術者にある程度負担がかかってしまいますよ?》

 

「技術なんてもんは日々進化していくもんだぜ?」

 

 今は無理かもしれないがこの先技術が進歩していけばより負担が少ないものがつくられていくだろうし

 

「それにな試作品なんてもんは欠陥や欠点がお約束なんだよ」 

 

 稼働データーもなしに完璧なものを作れるわけなんかないんだから…俺は過去の経験(アシュセイヴァーの不具合)から学習したんだ

 

《そうですか、なら少しでもまともなものを作り上げてください。私も微力ながらお手伝いいたします》

 

「ああ、頼りにしてるぜ相棒?」

 

《頼られてあげましょう相棒》

 

 それじゃ、頑張ってまともなものを作り上げましょうか…

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。