【クロス】艦隊これくしょん×仮面ライダー龍騎【完結済】 作:焼き鳥タレ派
OREジャーナル編集部
その日、OREジャーナル編集部で企画会議が行われていた。
大久保がホワイトボードに『追うべき事件』大書し、令子達に向き合った。
「えー、今から見ての通り、真司不在だが、
俺達が追うべきヤマをどちらかに絞るべく話し合いたいと思う!」
「どちらか、というとやはり?」
令子の中でも可能性は2つしかないようだ。
「そう。今、日本、いや世界中をパニックに陥れてる“艦これ”を追うか。
それとも、これまで追ってきた連続失踪事件の調査を引き続き行うか、だ。
この選択を誤ると購読者数に直接響いてくるからな」
「結局タイムマシンは後回しなんですね……」
まだ可能性を捨てきれない島田が残念そうにつぶやく。
「いーかげん諦めろって!今まで一回も未来人が来たことない時点で無理なの!
……話戻すぞ。俺としては、敢えて読者の興味が完全に艦これに向いている今、
連続失踪事件の追跡を続けるべきだと思う。
これは俺の勘だがな、こいつにはデカいネタが隠れてる気がする!」
「それに、うちには大手マスメディアのような大規模な取材班や設備もありませんしね」
「ま、まあ確かにそれも一因だ。
アメリカ政府まで乗り出してきてる、艦これ絡みの事件には
とても俺達弱小編集部が割って入れるもんじゃねえ。
そこで誰も見てないような思わぬところから、
あっと言わせるような特ダネを引っ張ってくる!
これは普通に真相を報道するよりインパクトが違うんだよ!どうよ島田~」
「要するに、スキマ産業的手法ですね~」
タイムマシンの可能性を省かれた島田が一言で切り捨てる。
「……そういう表現もある。とにかく!異議がなければOREジャーナルとしては、
今後も継続して連続失踪事件に当たりたい。異議のあるもの挙手!」
全員異議なし。といっても、大久保含めて3名しかいないが。
「ちょうどよかった。せっかく集めたネタも無駄にならずに済みました」
令子が浅倉威脱獄事件を始め、
連続失踪事件の現場写真を保管したファイルを手に取った。
「ネタってなんだよ?」
ファイルに収められた数々の証拠物件から一枚のカラーコピーを大久保に渡す。
一際大きな関東拘置所の監視カメラの画像だった。
殺風景な誰もいない廊下に設置された配電盤に、男の姿が映っている。
「編集長、これ見てください、浅倉威が脱獄した日に、
拘置所の監視ビデオに写っていたものです」
「なんだこりゃ、なんでこんなふうに人が写ってんだ?」
「それは不明ですが、一連の失踪事件を調査するうちに男の身元はわかりました。
名前は高見士郎。アメリカの大学に在籍していたそうですが、
去年の4月に実験中の事故で死亡したとのことです」
「それじゃあ、これに映ってるのは死人か?オー、クール!」
「更に調査を進めると、事故の4ヶ月後、
日本の清明院大学の中から出た数人の行方不明者の中に、彼の名前があったんです。
そこでは神崎士郎と名乗っていたとか」
「なんだよ、それじゃあやっぱり生きてたってことか?」
「それもわかりませんが、清明院大学に入学したのはアメリカで起きた事故の直後」
「つまり、高見士郎は2度消えた、と……」
「そして今度はこの拘置所」
「この高見士郎がビデオに映り込んだ日に浅倉が説明付かない方法で脱獄。
その後も何度も姿を消して目下行方不明……」
「それだけじゃありません。
高見士郎のアメリカ時代を知るポトラッツ教授とも面会したんですが、
いつの間にか何処かへ消えてしまったんです。ずいぶん探したんですが……」
「浅倉威の脱獄と、高見士郎のアメリカ時代を知る人物の消失。
どちらにも高見士郎が絡んでる……臭うな」
「編集長、人を文字通り消滅させる何かががあるとしか思えないんです、
それも、こう何か人為的な」
「その鍵がこの高見士郎にあるってわけだな。こりゃデカいネタに化けるかもだ。
連続失踪事件が浅倉威脱獄事件に繋がり高見士郎失踪事件、
果てには人体消滅現象か……ますます怪しいな」
「やっぱり編集長も一連の事件は繋がっていると思いますか?」
「ああ、そうとしか思えねえ……おっし、よくやってくれた令子!
もしかしたら、俺達、艦これを出し抜けるかも知れねえ!」
「編集長。私、高見士郎が在籍してた清明院大学を
もう少し詳しく当たってみようと思います。研究内容や事故の概要が知りたいので」
「おう、頼んだぞ!」
令子は上着を羽織ると急いでオフィスを後にした。
ここまで一人放っておかれていた島田は、誰もいない真司のデスクを見て、
独り言をこぼした。
「……な~んか同じ気がするんだけどな」
──浅倉鎮守府
ゴン、ゴン、ゴン、ゴン……
浅倉威は苛立ち、そして退屈していた。
先日の改造深海棲艦との死闘以来、戦いらしい戦いをしていない。
物音を聞きつけた足柄がノックもせず飛び込んで、
壁に頭を打ちつける浅倉の体に腕を回し、彼を押さえつけようとした。
「離せ女ァ!!イラつくんだよ、このヘドロみたいにネバついてる状況が!」
「いい加減にしてください!そんなにストレスが溜まっているなら
深海棲艦を倒しに行ってくださいよ!私の名前は足柄です!」
「足りねえんだよ……。作りもんのバケモノだと!」
大人しくなった、というより、もがくのが面倒くさくなった浅倉が動きを止める。
足柄は慎重に彼を抱く腕を緩める。
ひとしきり暴れて少し落ち着いたのか、浅倉は床に座り込む。
足柄はハンカチを取り出し、彼の額の血を拭こうとするが、浅倉はその手を払いのける。
そして彼女に吐き捨てる。
「女……俺を殴れ。
俺は殴るか殴られるかしねえと頭がぐしゃぐしゃするんだよ……!!」
「それ以上は止めてください。提督権限が発動してしまいます。
何故そんなに自分を痛めつけるのが好きなんですか?足柄です」
「殺し合い殴り合いより面白いもんがあるなら言ってみろ……さっさとしろ!」
「提督、止めてください!加減を命じてください!本気で殴ってしまいます!」
いくら狂っているとは言え、足柄も提督に暴力を振るいたくなどない。
重巡の力で本気で殴ったらどうなるか。
しかし、二度の命令で提督権限が発動してしまった。
彼女の体が勝手に動き、浅倉に向けて拳を振りかぶる。思わず目を瞑る足柄。
とうとう彼女が拳を放った。その瞬間……
『緊急連絡、緊急連絡!こちら作戦司令室。
作戦行動を一時中止し、伝達事項を受信せよ』
ギリギリの所で拳が止まった。
足柄の意識に、提督権限を一時中断できる作戦司令室の緊急連絡が飛び込んできた。
ホッとしつつ足柄は伝達内容を受け取る。
「……こちら足柄、伝達事項を確認。通信終わる。
では、私は仕事が残っていますので。失礼します」
彼女は緊急連絡を読み取ると、そそくさと執務室から立ち去ろうとした。だが。
「……おい、連絡の内容はなんだ」
「また、新たな海域が解放されたそうです、よ?」
ごまかそうとしたが、思いがけず浅倉から引き止められたせいで
若干声が上ずってしまった。浅倉がそれを聞き逃すはずもなく、
「提督命令だ、連絡の内容を答えろ」
はっきりと提督命令を宣言されては抗うことができず、足柄は答えた。
「新たな……。ライダー提督が着任されたそうです」
「ほう?ならお前とのド突き合いはまた今度だ。……また挨拶に行く」
浅倉が嬉しそうな笑顔で言った。
Login No.006 芝浦淳
「提督!次は私達の訓練場をご案内……うわわっ!危なかったぁ、
あ、すみません。失礼しました!」
「大丈夫―?気をつけてね!」
ウザいなあ、何もないところで転ぶ普通?
明林大学2年生、芝浦淳は作り笑いを浮かべて五月雨に呼びかけた。
「さて、このゲーム、どうやって面白くしてやろうかな」
淳は顎に手を当て、企みを膨らませた。
遡ること数日前。
薄暗い店舗に色とりどりの光を放つゲーム筐体がひしめき合うゲームセンター。
その一画に様々なタイトルの格闘ゲームが集まっている。
一人の大学生がゲーム筐体に向かい、CPU相手に戦っていた。
今日は乱入来ないな。まぁ、来ても最近は下手くそばっかでつまんないんだけどね。
「ふふっ、雑魚過ぎ……ん?」
ゲームに勝利した瞬間、耳鳴りのような反響音が聞こえてきた。
ゲーム画面の黒い部分に見慣れた姿が映り込んでいる。
振り返ると神崎士郎が淳を見つめていた。
「何をこんなところで遊んでいる」
淳は大きくため息をついてレバーから手を離した。
「あのさあ、ゲームマスターならもっとちゃんとやってよ。
最近ライダーの姿全然見ないんだけど。
ライダー戦わせたいなら責任持ってマッチングしてよね」
「お前が出遅れているだけだ……。艦隊これくしょん」
「は?あのオタ臭いゲームが何。あんたの口から出ると笑えるんだけど」
「ライダーならそこにいる。もたもたしているとライダーバトルが進み、
力を付けたライダーがお前を殺しに来るだろう」
「おたく頭大丈夫?あんたまでアレが未来や別世界にあると思ってるわけ?
あんなのただサーバーがエラー吐いてるだけだよ。
それに……、サークルの連中がやってるの見たけど、
あんなスピード感ゼロのゲームのどこにライダーがいるんだよ。
画面の中のミラーワールドでしたってオチじゃないよね、ハハ」
「信じたくなければ好きにしろ。
ここにいる限りミラーモンスター狩りの他にできることは何もない」
そういうと神崎は去っていった。
置いて行かれた形の淳は、またため息をついて席を立った。
……そして、帰宅した淳が自室のパソコンでDMM.comにアクセスし、
今に至るというわけである。サイバーミラーワールドに転移した淳は、
初めは驚きこそしたものの、漠然と“面白いこと”を求めていた彼の驚きは
すぐに興味へと変わった。秘書艦に選んだ五月雨に連れられ、
鎮守府を巡る工程も終わり、今は執務室で休んでいた。
「……以上が、この鎮守府の主な施設です。
他にご不明な点があればなんでも聞いてくださいね」
なんでゲームのキャラが生きてんだよ。
「うーん、今のところはいいや。ありがとう!」
「どういたしまして、提督!
あ……、ところで貴方はこの世界でプレイを続行されますか?それとも……」
五月雨が不安げに、ちらりと01ゲートを見る。
「もちろんここで戦うよ!俺、戦っても結構強いんだ」
淳はカードデッキを取り出し、ヒラヒラさせてみせた。
「ええっ!?じゃあ、提督も仮面ライダーなんですか!」
ふぅん、あいつの与太話でもなかったってことか。
他のライダーねぇ。一体誰がいるのかなっと。
まぁ、俺に勝てるやつがいるとは思えないけど。
「そうなんだ。っていうことは、俺の他にもライダーがいるってことだよね。
誰が来てるのか教えてくれないかな」
「はい!まず仮面ライダー龍騎こと……」
五月雨は現在艦これの世界に来ているライダーについて淳に説明した。
彼女の話を聞きながら彼は思案する。当然ろくでもないことを。
「以上がライダー提督の方々です。
あ!いけないわたしったら!長門様に報告しないと、お電話お借りますね」
「うん、慌てないで」
なおも考え続ける淳。そうだ、あの連中使えそうじゃん。
対戦相手は……あいつしかいないっしょ!現役の人殺しK.O.するとかマジ面白そう!
「ふぅ、お待たせしてすみません」
「いいよいいよ。それよりさ……俺、一旦現実世界に戻っていいかな。
ここで暮らすための準備が必要でさ」
「あ!ちょっとだけ待っていただけませんか!?
今、司令代理の長門様がこちらに向かっています。
少しだけお話する時間を頂きたいんですけど……」
チッ、面倒くさいなぁ、誰だよ長門って。
「うん。なんだい話って」
「はい、ライダーの方々についてはいろいろな事情があることは把握しています。
それについて提督がお忙しい時に代理で司令を務める長門様からお話が……」
その時、ドアからノックの音。淳が返事をする。
「どうぞ」
「失礼する。貴方が新しい提督、そしてライダーだと聞いた。
私は司令代理の戦艦長門だ。貴方の活躍に期待する」
長門は姿勢を正し、淳に敬礼をした。
なんか微妙に態度もガタイもでかい女が来たんだけど?
俺も暇じゃないんだからさっさと終わらせてよね。
「よろしく、俺、芝浦淳。頑張るよ」
「こちらこそ。……それで、貴方もライダーだと五月雨から聞いたのだが、
やはりここにはライダーバトルのために?」
「うん、そうなんだ」
「失礼は承知なのだが、もし差し支えなければ、貴方の“願い”は何なのか、
聞かせていただけないだろうか」
いきなり図々しい女だなあ。“楽しいから”で十分だろ?一応深刻そうな顔しとくか。
「……ごめん、それは、言えないんだ」
「そうか……。いや、私こそ立ち入ったことを聞いて済まない。
他の提督方もどうにもならない事情を抱えていらっしゃるようなので、
何か力になれればと思ったんだ。
せめて、提督権限を活用してこの世界では不自由なく生活して欲しい」
「提督権限?なんなのそれ」
「五月雨から聞いてないのか?」
「あわわわ、ごめんなさい。
私、提督がライダーだってことにびっくりして、それで……」
「まぁ……。以後気をつけるように。私から説明しよう。提督権限とは……」
長門は淳に、この世界である程度自由に振る舞える提督権限について説明した。
彼は表情にこそ出さなかったが、しめた、と思った。
なるほど、要はこいつら使い放題ってことじゃん。面白いゲームになるぞ!
淳は内心ほくそ笑んだ。
「ありがとう、よくわかったよ。いや、正直驚いてばかりだけど、頑張るからよろしく。
じゃあ、一旦俺は準備に戻るから」
「うん、焦らず支度をしてくるといい」
「も、戻ってきてくださいね~!」
手塚鎮守府 工廠
「はい、これでバッチリです!」
手塚海之こと仮面ライダーライアの足首に水上戦闘用シューズのバンドを巻いた明石が、
満足気に出来栄えを眺める。ライアが変身を解く。
「ありがとう、明石さん。これで、俺も海で戦える」
海之も鎮守府での生活に慣れ、明石に足用装備を用意してもらっていた。
「いえいえ!私はこれが仕事で生きがいですから。
……あのう、ついでと言っちゃなんなんですけど」
「何かな?」
「占ってほしいことがありまして。
もうみんなの間で評判なんですよ、提督の占いは恐ろしいほど当たるって!」
「うん。何を占うのかな」
明石は工廠の隅に安置された艦娘用装備を指差す。
「あれ見てもらえますか?あそこにある25mm三連装機銃なんですけどね、
散々改造してあって、これ以上弄るとまともに機能しなくなる可能性があるんです。
しかし、明石はあと一歩!のポテンシャルがあると踏んでるんですけど……
思い切って手を加えるべきか、ここで満足すべきか、道を示してください!」
「わかった。待ってて」
海之はメダルを指で高くはじき、パシッと左手の甲に叩きつけた。表だった。
「君とあのカラクリに強い
ネジはまだあるよね?」
「わぁ……。ありがとうございます!もちろんネジはあの子のために取ってあります!
それじゃあ、さっそくあの子のドレスアップを開始しますね!」
笑顔で去っていく明石を見送り、自身も立ち去ろうとした時、
漣と長門が海之の元へ駆けつけてきた。
「漣さんがログインしました!ご主人様に連絡だよ!」
「提督、急を要する連絡だ。城戸提督が現実世界から鎮守府に戻られた!」
「!? 彼はライダーバトルを止めようとしている、って言ってたよね。
会うことはできるかな」
「もう先方に連絡してある。今すぐ出港が可能だ!」
「連れて行ってくれ!」
「あ、ご主人様、私も行っていいですよね~!」
城戸鎮守府 執務室
あの後、すぐに転送クルーザーで城戸鎮守府に移動した海之は
漣たちと執務室に向かった。
ドアをノックすると“どーぞー!”と声が聞こえたので入室。
中には城戸鎮守府所属のもう一人の長門、黄色い瞳の駆逐艦の少女、
ラフなジャケット姿の茶髪の青年、そして黒いコート姿の男がソファに身を預けていた。
「はじめまして。俺は手塚海之。ここにライダーバトルを終わらせようとしている
ライダーがいるって聞いたんだけど……」
「ああ、俺、俺!城戸真司ってんだ!
そっかぁ、他にも俺の考えわかってくれる人がいたんだ……あ、ほら座って座って!」
待ちわびていた真司が駆け寄ってきた。既に真司達にも話は伝わっていたらしい。
もっとも、大きな出来事や情報は全鎮守府で共有することは、
もうだいぶ前から決まっていたので当然といえば当然だが。
真司は嬉しそうに席を勧める。一方、蓮はあからさまに機嫌の悪そうな顔をしていた。
ソファに腰掛けた海之は、そんな蓮に話しかけた。
「ずいぶん、深刻な荷物を背負ってる顔だね」
「占いを頼んだ覚えはない」
「運命を受け入れてはいるが、矛盾も生まれてる」
「よせ!」
苛立った蓮が大声を出す。いきなり険悪な雰囲気になり、皆そわそわした気持ちになる。
「何の真似だ」
「このあいだ占いで、重要な人間に出会うと出た。お前だと思うんだが」
「お前など知らん、ペテン師が!」
どんどん怒りのボルテージが上がる蓮の間に入る真司。
「まあまあ、そう怒んなよ、それより……ほら、大事な話あんだからさ」
思わず立ち上がっていた蓮は、海之を睨みつけ、またソファに座り込む。
「ともかく、初めて味方に会えてよかったよ。よろしくな!
そっちの無愛想な方は蓮っていうんだ!一緒にライダーバトル止める方法考えようぜ」
「うん、改めてよろしく」
「……本気でそんなことができると思ってるのか」
「やってみなきゃわかんないだろ!ほら、現におんなじ考えの人が出てきたんだし!」
「手塚とか言ったな。お前にも聞きたい。まさか本気でこの馬鹿と組むつもりか」
「俺は占い師だ。俺の占いは当たる。だが、それがどんなに悲惨な運命を示しても、
人にはそれを変えられる力があると信じている」
「ふん、どんなライダーが来たかと思って見に来たが、
結局馬鹿が一人増えただけだったな」
蓮は立ち上がって退室しようとしたが、ドアの前で振り返らず問いかけた。
「三日月、以前の例え話、答えは出たのか」
「え……」
戸惑う三日月。ライダーバトルを止めると死ぬ者がいるとしたらどうするか。
当然答えが出るはずもなく、黙り込んでしまった。
そして蓮も、答えを聞く事なく、去って行ってしまった。
「おい蓮、待てって!」
「いや、大丈夫だ。俺達は奇妙だが、確かな縁でつながっている」
追いかけようとする真司を海之が止めた。
「どういうことだよ、それって……」
「わからない。でも、近いうちにまた出会う。それは確かだ」
「うーん、まぁ、蓮は気分屋だからなぁ。そうかもな」
その時、デスクの電話が鳴った。
「私が出よう」
城戸側の長門が受話器を上げた。
内容は聞こえないが、なにやら切迫した声が漏れてくる。
「……何!?それは本当か!わかった、すぐ提督に知らせる!」
電話を切った長門が急いで真司に報告する。
「提督、大変だ!」
「どうしたの、長門?」
「芝浦鎮守府が、全ライダー提督に宣戦布告した!」
「宣戦布告!?それって、実質ライダーバトルじゃん!」
「始まってしまうのか……」
束の間の平穏が破られ、驚く真司。海之も重苦しい表情になる。
「敵は、敗北した場合、鎮守府の全権限を明け渡すよう求めている!
また自分の鎮守府をバトルフィールドに指定している。……どうする提督」
「どうするって……行くしかないじゃん!手塚も行こう!」
「わかってる。俺は殺し合いの運命を変えるために来た」
「真司さん……」
三日月が不安げな顔で真司を見る。真司はそんな彼女に笑顔で答える。
「大丈夫だから。絶対誰も殺させないし、この鎮守府も守るから」
「……はい!」
芝浦鎮守府
洋館を飛び出した真司と海之は、転送クルーザーで芝浦鎮守府に転移した。
桟橋を歩いていると、先に到着していた他のライダー達も広場へ向かっていた。
蓮はいつもより難しい顔、北岡は面倒くさそうに、浅倉は嬉しそうな笑顔で。
洋館前広場に着くと、そこに待っていたのはライダーらしき、まだ顔に幼さの残る青年。
そして。
「遅いよ!いい年して時は金なりって言葉知らないの?」
大小様々な金属を引きずるような音。続いて足音。
大鎌、モーニングスター、斧を装備し、仮面を付けて
全身を覆うローブを身につけた怪人達だった。