【クロス】艦隊これくしょん×仮面ライダー龍騎【完結済】   作:焼き鳥タレ派

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第24話 Charming War Correspondent

──東條鎮守府

 

 

「……青葉、じっとしてられないな!」

 

使命感に駆られた青葉型1番艦重巡洋艦・青葉は、宿舎の自室で出発の準備を始めた。

カメラ、フィルムよし。メモ帳、もちろん!艤装、メンテ完了!

いつ招集があるかわかりませんからね。

艦橋を背負い、肩から斜めに連装砲を下げた彼女は、

カメラとメモ帳を持って部屋から飛び出していった。

 

 

 

 

 

○インタビュー其の一 城戸提督

 

 

バタン!

 

「どーもー、恐縮です!城戸提督、突然ですが青葉の取材にご協力お願いします!」

 

「え、誰、誰!?」

 

「青葉先輩!?一体どうされたんですか!」

 

いきなりノックもなしに飛び込んできた青葉に驚く真司と三日月。

真司は既に日常生活は問題なく送れるほどに回復していた。

しかし、はつらつとした元気にあふれる彼女の勢いは、

病み上がりの真司には少々キツかった。

 

「はい!この度、艦隊新聞にライダー提督の方々の特集を組もうと思いまして」

 

「ゴホ、ゴホ!ああ、そういうこと……。一瞬浅倉が襲撃かけてきたのかと思ったよ。

……君、うちの青葉じゃないよね?」

 

「艦隊新聞編集部、東條鎮守府支部から参りました!

編集部とは言っても宿舎の自室なんですけどね!

ここの“私”はしっかりやってます?……ってそれは今は置いといて。

城戸提督!貴方に突撃取材です」

 

「東條鎮守府って……。ああ、あの新しいライダーか」

 

「あのう、青葉先輩。

こういうことは一応事前に連絡をいただけると助かるのですが……」

 

早口でまくし立てる青葉に、三日月が苦笑いしながらやんわりと注意する。

 

「それでさっそくなんですが、2,3質問にお答えいただきたく。

おっと、その前に1枚!」

 

パシャッ!

 

三日月の言葉も聞こえていない青葉はカメラで真司を1枚撮った。

 

「うわっ!……まあ、今日は時間あるから別にいいけど、なんで今さらライダーなの?

俺達が来てからもう結構経つけど」

 

「それは……」

 

青葉は一瞬言葉を詰まらせて続けた。

 

「今、私達艦娘の間で貴方がた仮面ライダーの評価が真っ二つに分かれているんです。

一つはイレギュラーや深海棲艦と戦う英雄。

もう一つは……ライダーこそがイレギュラー。

自らの欲望のために艦娘を利用したライダーがいたのは事実ですよね。

特に4名の犠牲者を出した高見沢の侵略行為は大きかったです」

 

「そういうことか……」

 

納得が行った真司。

好むと好まざるとに関わらず、自分とて彼女達が静かに暮らしていた艦これ世界を

ライダーバトルの戦場にしている者の一人なのだ。

 

「でも、少なくとも司令官は!」

 

「わかってます!青葉だってライダーを信じています!でも……

今、艦娘の中にはライダーの存在に不安を抱えている人、

ごく一部にはライダーの排斥運動を始めようとしている人達だっているんです」

 

「ごめん、俺達のせいで……」

 

「真司さんのせいじゃないです!なにもかも神崎のせいじゃないですか!

青葉先輩、もう帰ってください!司令官はまだ怪我が治りきってないんです!」

 

「三日月ちゃん……。そうですね。ごめんなさい、いきなり来て」

 

「待って」

 

落ち込んだ様子で立ち去ろうとした青葉を真司が引き止めた。

 

「君が取材に来たのは、つまり、改めて俺達のことをみんなにわかってもらって、

そんな艦娘達の不安を和らげるために、取材してるんだよね?」

 

青葉はそのままニヤリと笑う。フフフ、その通りなんですけど、

読者の気を引く特ダネが欲しいのも本当なんですよねぇ……。

彼女は笑顔を引っ込めてから振り向き、真剣な表情で真司に駆け寄った。

 

「そうなんです!海の平和を願う重巡洋艦として、従軍記者として、

青葉はみんなにライダー提督が味方であることを知ってもらって、

安心して戦ってもらいたいんです!」

 

「わかる、わかるよその気持ち!俺も見習いとは言えジャーナリストだから!」

 

青葉が目をキラキラさせて真司の手を握る。

三日月は、見つめ合う二人を何やら淀んだオーラを放ちながら瞬きもせず見つめていた。

 

「……青葉先輩?先程も申しましたが、司令官は病み上がりなので手短に……」

 

「ああ、そうでした!では、さっそくインタビューに入らせていただきますね」

 

「うん、そこ座ってよ」

 

「では失礼して……。

ではまず、城戸提督、貴方はどういう経緯でライダーになったんですか?」

 

「現実世界にミラーモンスターって怪物がいるってことは知ってるかな。

俺、そいつらが起こした事件を追っているうちに、

被害者の一人の自宅に行ったんだけど、そこでカードデッキを拾ったんだ。

その時はそれがなんなのかわからなかったけど、

それからドラグレッダー。あ、俺の契約モンスターね。

そいつに命狙われるようになって、そうこうしてるうちに蓮たちと出会って

ミラーワールドやライダーの事を知ったんだ。

ドラグレッダーと契約してライダーになったのはその時」

 

「蓮さん、というと、秋山提督のことですね?」

 

「そうそう!蓮は仲間の優衣ちゃんって娘とミラーモンスター狩りをしてて、

モンスターやミラーワールドの存在もその娘に知らされたの」

 

「なるほどなるほど。では、ズバリお聞きします。

提督がライダーバトルに参加した動機はなんですか?」

 

「ライダー同士の殺し合いを止めるため。

……だったんだけど、今はいろいろ考えなきゃいけないことが出てきちゃってさ」

 

「と、言いますと?」

 

青葉は問いながらメモにペンを滑らせる。

 

「個人の秘密に関わるから詳しくは言えないんだけどさ、

バトルを止めたら犠牲になる人がいる、でも止めなきゃ勝者以外は全員死ぬ。

今、こんな状況でどうにもならなくなっちゃってるんだ……」

 

「後者はわかるんですけど、

前者についてもう少し具体的な話を聞かせていただけませんか?」

 

「ごめん、それは、言えない。本当に俺だけの判断で話していい問題じゃないから」

 

「……わかりました。あくまでライダーの皆さんの素顔を伝えるのが今回の趣旨なので、

ここまでにしておきますね」

 

う~ん、青葉としては個人的に興味は尽きませんけど、本当に話したくない様子ですし、

下がる時には下がるのも取材の鉄則です。

 

「ありがとうございました。本当にすみません、急に押しかけちゃって。

特ダネの匂いがすると体が勝手に動いちゃうんです」

 

「もういいの?」

 

「はい。ライダーバトルの性質とかについてはもう皆さん大体ご存知ですし、

今回はあくまでライダー提督のプライベートを紹介して

身近な存在として知ってもらうのが目的なので」

 

「そっか。ありがとね、青葉!」

 

「お見送りします、先輩……」

 

「それでは、失礼します!」

 

バタァン!!

 

三日月は青葉が出ていくと、思い切りドアを閉めた。

その音に真司は飛び上がる思いがした。

 

「ど、どうしたの三日月ちゃん……?」

 

「別に?別にぃ、フフフフ……」

 

 

 

>青葉のメモ 1ページ

 

“紅き龍の戦士、仮面ライダー龍騎!

城戸提督が変身する仮面ライダー龍騎は、ドラゴンを従え、並み居る敵を焼き尽くす。

しかし、提督本人はいたって親しみやすい好青年であり、

一見戦いとは無縁の存在に思える。だが、彼は数奇な運命に巻き込まれ、

ライダーバトルに身を投じることになったという。

戦いを続ける理由は、ライダー同士の争いを止めるためだと言うが、

最近になって彼自身、戦い続ける自分に疑問を抱くようになったという。

その理由については答えてくれなかったが、いつか彼が打ち明けてくれる事を信じて、

今後の続報に期待したい”

 

 

 

 

 

○インタビュー其の二 須藤提督

 

 

>青葉のメモ 2ページ

 

“謎のライダー、仮面ライダーシザース!

須藤提督が変身する仮面ライダーという噂だが、ライダーバトルで重症を負い、

何故か城戸鎮守府で療養中。

まだ怪我の程度が酷く、インタビューすることは叶わなかった。

彼がなぜ、どうやってライダーになったのかは謎のままだ。

提督の回復を待って、再度取材を試みたいと思う”

 

 

 

 

 

○インタビュー其の三 秋山提督

 

 

コンコンコン!

 

「こんにちは、東條鎮守府の青葉です。

突然で申し訳ないのですが、少しお話を聞かせて頂けませんか?」

 

さっきは勢いで突入しちゃいましたが、今度はちゃんと入ります。

秋山提督は気難しいって評判ですから。

 

“青葉先輩ですか?待ってください、今……”

 

“開けるな。新聞記者なんか入れたらいつまで居座るかわからん”

 

うわあ、いきなり取材拒否オーラが漏れ出してますねぇ。

でも、これしきで引き下がってちゃ、新聞記者は務まりません!

 

「お願いします。一言でいいのでインタビューをお願いしたいのですが……」

 

“嘘をつくな。どうせ一言じゃ終わらないんだろう。ブン屋は一人で十分だ、帰れ”

 

“し、司令官……”

 

噂通りの気難しさ。こういうときは、下手に策を弄するより、

取材の意図をはっきり伝えたほうがいいですね。ドア越しにもう一度チャレンジです。

 

「いきなり来たのは本当に申し訳なく思っています。

でも、今の状況は、貴方がたライダーにとっても私達艦娘にとっても

不本意なものであると考えたんです。

青葉は皆さんのありのままの姿をお伝えすることで、

どうしても不要な誤解を解きたいと思い、取材を申し込ませて頂きました」

 

“……どういうことだ”

 

「仮面ライダーについて艦娘達に不安が広がっているんです。

救い手なのか、イレギュラーなのか。……貴方なら、この意味、わかりますよね。

私は仮面ライダーの皆さんの素顔を伝えることで、

貴方達は味方なんだ、良き隣人なんだということを知らせたいんです」

 

どうだろう。考え込んでいるようですね。しばしの沈黙。

 

“……入れ”

 

カチャリ

 

「どうぞ!」

 

やった!吹雪ちゃんがドアを開けてくれました。おお、居ました居ました!

噂通り、黒ずくめの提督が怪しげにこちらを見ています。

ああ、この仕事してればこんな視線慣れっこです。では、さっそく1枚。

 

パシャッ!

 

蓮は鬱陶しそうな表情のまま青葉に話しかける。

ソファを勧めることもなく、立ったまま取材を受けるつもりらしい。

 

「俺も暇じゃない、質問は簡潔に頼む」

 

「はいはい、もちろん!ではさっそくインタビューを始めますね!

……そうだ、せっかくなので変身後のお姿も撮らせて頂けたらと……」

 

「ふざけてるのか、デッキもカードもれっきとした殺人兵器だ。

変身するのは敵か自分が死ぬ時だ」

 

蓮が仏頂面を更にしかめる。

 

「す、すみません!そうですよね、私としたことが失言でした!」

 

いきなり地雷を踏んでしまいました。気を取り直してインタビューを……

 

「では、単刀直入に伺います。秋山提督、貴方はなぜ仮面ライダーになったのですか?」

 

「……“力”が必要だからだ」

 

「ええ……ですから、あの、なぜその“力”が必要なのかを知りたいのですが」

 

「……城戸にはもう会ったのか」

 

「城戸提督ですか?はい!もうインタビューを受けていただきました」

 

「あいつは何か言ってたか」

 

「いいえ。秋山提督については何も。ただ、この戦いを止めても続けても犠牲者が出る、

ということをおっしゃってて、それが何を意味しているのか気にはなっています」

 

「なら、そういうことだ。ライダーは皆、譲れない事情がある。

人には話せないこともな」

 

「……それには、貴方がライダーになられた経緯も含まれますか?」

 

「ああ」

 

「困りましたねぇ。これでは記事1段落分にもなりません……

そうだ!ご趣味は?普段何をされてるんですか」

 

「バイクだ。高速を飛ばして風を切っている間は、何も考えなくていい」

 

「バイク……あ、原動機付自転車ですね!最近陸軍が開発して……」

 

「全然違う。馬力も、免許も、何もかも。俺のは大型二輪だ」

 

駄目です~やっぱり話が噛み合いません……次は、恋バナでも行ってみましょう!

 

「ズバリお聞きします!現在、提督にお付き合いしてる方はいらっしゃるでしょうか」

 

その質問が出た途端、書類を漁りながら話をしていた蓮の動きが止まった。

青葉がまた地雷を踏んだのか、と嫌な汗が出た時。

 

「……いる」

 

「え、本当ですか!?あ、いや、失礼……どんな方なんですか?

カワイイ系?それとも美人系?」

 

「俺と付き合うほどの変人だ。……もういいだろう、仕事が残ってる。帰ってくれ」

 

「はい……」

 

「あ、お見送りします!」

 

吹雪ちゃんに見送られて執務室を後にしました。

恋人の話になった時、急に空気が変わったので退散しました。

とりあえず記事になるだけのネタは揃ったので深追いはしませんでしたが、

ライダーバトルと何か関係があるような気がしてなりません。

 

 

 

>青葉のメモ 3ページ

 

“漆黒の騎士、仮面ライダーナイト!

秋山提督が変身する仮面ライダーナイト。

その実力は正規空母・加賀女史が認めるほどであるのは周知の事実だ。

現実世界では、原動機付自転車を遥かに上回る馬力の二輪車を乗りこなし、

広い道路を疾走するのが趣味だという。

そして、今回の取材で衝撃の事実が明らかになった。

なんと秋山提督には恋人がいるというのだ。

寡黙で自らのことを殆ど語らない彼の意外なプライベートに記者も驚きを隠せない”

 

 

 

 

 

○インタビュー其の四 手塚提督

 

 

手塚提督は物静かな方だと聞いているので、今度は安心して取材を申し込めそうです。

丁寧にドアをノックし、返事を待ちます。

 

“どなたですか~”

 

お、この声は漣ちゃんですね。

 

「東條鎮守府の青葉です。手塚提督はいらっしゃいますか?」

 

“いますよ~。ご主人様、お客様がNowLoadingですがどうしますか?”

 

“入ってもらって”

 

“どうぞ~”

 

ドアを開くと目の前に漣ちゃん、デスクの椅子に手塚提督がおかけになっていました。

 

「青葉先輩がログインしました」

 

「あはは。漣ちゃんは相変わらずですねぇ。おっと失礼しました、手塚提督。

突然の訪問、お許し下さい。本日は貴方がたライダーの

普段の生活に付いて取材させて頂きたく思い、無礼を承知で……」

 

「気にしないで、さっき城戸から連絡が来たんだ。

多分そっちにも行くからインタビューを受けてやって欲しいって。

とにかく立ち話もなんだから、座って話そう」

 

入れ違いでしょうか、どうして秋山提督には手回ししてくださらなかったんでしょう。

手塚提督は青葉にソファを勧め、ご自分も向かいに座りました。

城戸提督、ありがとうございます!

 

「いやぁ、こうもすんなり取材を受けていただけるとは思いませんでした。

ご協力感謝します」

 

「感謝しなきゃいけないのは俺達のほうだ。

城戸から聞いたよ、君がライダーを取材している理由。

……確かに、俺達が君達に不安を与えていることは否定できないし、

一部のライダーが君達を傷つけてしまったのも事実だ。

話せる範囲でいいなら俺が知っていることを話すよ」

 

「ご理解頂き恐縮です!では、まず、貴方がライダーになった動機を教えて下さい」

 

「うん、漣たちにはもう話したんだけど、本当は俺じゃなくて、

友人がライダーになるはずだったんだ。

でも、彼は自分の願いのために他人と争う事を拒み、

最後にはミラーモンスターに殺された」

 

「……」

 

ああ、漣ちゃん、うつむいてます。

聞いちゃいけないこと聞いちゃったみたいですねぇ……

 

「気にしないで。話を続けよう。それで俺は友人の遺志を継いで

ライダーバトルを止めるために彼のデッキを引き継いだんだ」

 

「目的は城戸提督と同じなんですね」

 

「まぁ、大まかにはね」

 

大まかには?細かいところでは違うってことなんでしょうか。……止めときましょう。

これ以上突っ込んで、また違う種類の地雷を踏んでも嫌ですから。話題を変えましょう。

 

「では、本題に入りましょう!今日はライダー云々の話じゃなく、

提督の素顔を読者にお伝えするために来たんですから」

 

「なんでも聞いて欲しい」

 

「月並みですが、提督のご趣味は?」

 

「やっぱり占い。現実世界でも粗末な占い屋をやってるからね」

 

「お噂は聞いてますよ!なんでも百発百中に近い的中率だとか。

女の子ってこういうのに弱いんですよ~」

 

「君も占ってみようか?」

 

「いいんですか!?お願いします!」

 

手塚提督はポケットからマッチ箱を取り出すと、一本に火を付けました。

マッチはしばらく普通に燃えていましたが、いきなり大きく燃え上がり、

あっという間に消えちゃいました。手塚提督の表情が厳しくなります。

ああ、なんだか嫌な予感……

 

「どうですか?青葉の運勢」

 

「……君、今日は一人で行動してるの?」

 

「ええ、そうですけど」

 

「これからも取材を続けるなら、誰かに付いてきてもらったほうがいい。

遠くない未来に、悪意に満ちた気配が見える」

 

「え……?そ、そんなやだなぁ。脅かさないでくださいよ!」

 

だが、手塚提督は青葉をじっと見ています。

 

「やっぱり、なにか、変なことに巻き込まれちゃったりするんでしょうか……?」

 

「何も対策を講じなければ、そうなる。でも、運命は変えられる。

人も艦娘もそれは同じだ。俺の占いはその手助けに過ぎない」

 

「はい……。では、今日の取材はここまでということで、

ご協力、ありがとうございました」

 

私は手塚提督にお礼を述べると、ドアを開けて退室しようとしました。

すると、誰かに手を掴まれました。不安げに私を見る漣ちゃんでした。

 

「青葉先輩、本当に気をつけてくださいね。ご主人様の占い、激ヤバですから……」

 

「う、うん。ありがとね」

 

今度こそドアを開けて執務室を出ると、1階のホールでベンチに腰掛け

メモをまとめました。……ペンを握る手がどうしても汗ばみます。

 

 

 

>青葉のメモ 4ページ

 

“ミステリアスな魅力、仮面ライダーライア!

手塚鎮守府で悩み事を抱える艦娘は、皆一度は

お世話になった事があるのではないのだろうか。

仮面ライダーライアに変身する手塚提督は凄腕の占い師!

実は取材の際に、提督のご厚意に甘え、記者も占ってもらったのだ。

しかし結果は、遠くない未来に不幸が起こるとのこと。

これには記者もショックを受けたが、同時に彼はこう訴えた。

「運命は変えられる。人であろうと艦娘であろうと」

その言葉を信じて記者もこの結果を打ち払いたいと決意を固めた”

 

 

 

 

 

○インタビュー其の五 浅倉提督

 

 

「さーて、不幸が起こるとしたらここですよねぇ……」

 

嫌なことはさっさと終わらせたほうがいいと来たものの、

第一浅倉鎮守府の本館前で、青葉は中に入れずにいました。

何と言っても、凶暴さでは右に出る者がいないともっぱら噂の

浅倉提督の根城なのですから。同じ重巡の足柄さんでも扱いに困っているらしいとか。

人間の力じゃ重巡に敵いっこないのに、

一体普段どんな生活を送っているんでしょうか……。

 

だめだめ!取材対象を怖がってちゃ、新聞記者なんて務まりませんよ!

パシッと両頬を軽く叩いて気合を入れると、

本館のドアノブに手をかけ、大きな扉を開きました。

 

何故でしょう。どの鎮守府も同じ作りのはずなのに、この本館だけ、

まるで生きる屍が蠢く洋館みたいに嫌な冷たさの空気が張り詰めています。

人っ子一人見当たりません。

 

青葉は勇気を振り絞って2階の執務室へ続く階段を一歩一歩上ります。

そして、とうとう執務室のドアの前にたどり着きました。深呼吸してノックします。

返事がありません。ただ、扉を叩く音が響くだけです。

思い切って中にいるはずの人物に声をかけました。

 

「ごめんくださ~い!東條鎮守府の青葉です!

今、ライダー提督の皆さんに取材を申し込んでいるのですが、

少しだけお話をお聞かせ願えませんか……?」

 

少し待ちましたがやっぱり返答はありません。よく見るとドアはわずかに開いています。

……仕方がないので、そっとドアを押して開きました。

そして一歩中に入るとギョッとしました。部屋を間違えたのでしょうか!?

独房としか思えない、コンクリートの床、窓に鉄格子の付いた部屋。

積み上げられたダンボール以外には家具も何もない、その異様な光景に目を奪われて、

足元の存在に気づくのが遅れました。

 

 

「……誰だ」

 

 

「キャア!!」

 

思わず大声を上げてしまいました。

窓のそばに座り込んでいた男が私に話しかけてきたのです。

茶色く染まった髪、蛇革のジャンパー、金属の飾りが付いた首輪、

そして、暗がりに白く浮かぶその瞳!

別に睨まれているわけでもないのに、嫌な寒気を感じさせます。

なぜ手錠がはめられてないか不思議なくらいの男を前に、

知らない間に後ずさりしていました。すると、突然肩に手を置かれ、

 

「キャアア!」

 

また悲鳴を上げてしまいました。振り返ると、そこには見知った顔が。

 

「どうしたの、青葉。こんなところに」

 

足柄さんでした。安心はしましたが心臓がバクバクいってます。

 

「足柄さんじゃないですか、脅かさないでくださいよぅ」

 

「あなたが驚きすぎなのよ。肩叩いただけじゃない。

……ああ、提督。また電気も点けないで!」

 

足柄さんはズンズン中に入ると、天井から吊り下げられた電球の紐を引っ張り、

明かりを点けました。明るくなった部屋はやっぱりほとんど物が無い

殺風景な部屋でした。よく見ると足柄さんは食事を乗せたトレーを持っています。

トレーを男のそばに置くと、

 

「ほら、お昼の食事。1250までに食べてね。

食器を下げないと食堂のおばさんが困るから」

 

いつも通り、といった様子で男に話しかけます。

男はまず牛乳を一気飲みし、筑前煮、ご飯、味噌汁、たくあんをごちゃ混ぜにし、

箸でかきこむという、若干というか、かなり行儀の悪い食べ方で

あっという間に平らげてしまいました。その様子をあっけにとられて見ていると、

足柄さんに話しかけられました。

 

「ところであなた、何しにきたの?」

 

ああ、大事な用を忘れるところでした。

青葉は足柄さんに今日の取材活動について伝えました。

 

「そういうわけで、ここの提督にお会いしたいんですけど、

どちらにいらっしゃいますかねぇ」

 

「それなら足元にいる奴よ、残念ながら」

 

ため息をついて、正体不明の男を指差す足柄さん。

……ええっ!この人が浅倉提督!?確かに凶暴な人だとは聞いてましたけど、

ここまで“らしい”人だとは……。

だめだって青葉、ビビっちゃだめ!取材対象を怖がるなって、

さっき言ったばかりでしょう?

 

「あ、えーと、はじめまして浅倉提督。東條鎮守府の青葉ですけど……

ちょっとだけ、お話を聞きたいんですけど……」

 

「失せろ」

 

……この取材、思っていた以上に難航しそうです。

後ろで足柄さんがまた、ため息をついています。なにか取っ掛かりは……

あ、ありました!

 

「立派な勲章ですね~!先日の深海棲姫撃破のニュースには驚きました。

たった一人で最強クラスの艦隊を殲滅するなんて、どんな戦略を採ったのか是非……」

 

「失せろって言ってんだ……!」

 

今度は気のせいじゃなく本当に怒ってます!

ここは引くべきでしょうか、留まるべきでしょうか、青葉の記者経験でも解析不能です!

その時、足柄さんが割って入ってきました。

 

「ちょっとくらい協力してあげたらどう?

普段提督らしいことなんかこれっぽっちもしてないんだから!」

 

「黙れ女、こいつをつまみ出せ、蹴り飛ばされたくなかったらな」

 

「そのうち諦めると思ったら大間違いよ。私は、足柄!

……青葉に協力してあげたらご褒美にカップ焼きそば買ってあげるから」

 

「……5だ」

 

「2よ!いつも誰が食べたカラ片付けてると思ってるの!?」

 

「ゴミ箱置かねえ奴が悪い」

 

「ああそうですねぇ!どこかの誰かさんが八つ当たりしたせいで

ベコベコになるまでは置いてあったんだけど、どこに行ったのかしらー?」

 

なんだかこのやり取りを見ていると、

さっきまでビクビクしていた自分が馬鹿らしくなってきました。

しかし、足柄さん。この殺気出しまくりの提督と普通に口喧嘩してるの、凄いです……。

あ、話が付いたみたいです。

 

「3ね!あと、今度からゴミ袋置いてくから自分で片付けること!」

 

「……勝手にしろ」

 

「青葉。もう大丈夫よ、なんでも聞いて。

……渡すのは取材が終わってからですからね!」

 

「あ、ありがとうございました。……って行っちゃった。そうだ、取材取材!

オホン、では浅倉提督。先の大勝利、おめでとうございます。

圧倒的戦力差を覆した最大の要因は何でしょう」

 

「……欲望だ」

 

「欲望?具体的には一体……」

 

「殺してえ。それだけだ。国だの家族だの、戦いに余計なもん持ち込むから負ける。

それは奴らも言っていた」

 

「……奴らとは、深海棲姫のことでしょうか」

 

「他に誰がいる」

 

やっぱり、この人には注意が必要です。だからこそ、無用な不安は取り除かないと。

 

「それは……わかりやすい理論ですね!ところで話は変わりますが、ご趣味は?」

 

「……狩りだ」

 

「おお、狩猟ですか。この辺りではどういった獲物が多いんですか?」

 

「トカゲだ」

 

「うっ、捕まえて何を?」

 

「食うに決まってる」

 

聞くんじゃなかった……。もうネタも溜まったしそろそろ頃合いですね。

 

「本日はお忙しいところどうもありがとうございました。

インタビューの内容は来週月曜の艦隊新聞に掲載予定ですので是非ご覧ください」

 

「いらん、失せろ」

 

「失礼します!」

 

外に出てドアを閉じると、どっと汗が吹き出した。大きく深呼吸する。

やっぱりあれくらい戦いに飢えてないと深海棲艦には勝てないんでしょうか。

なんだか艦娘として自信がなくなってきました。

 

「お疲れ様。狂犬の相手は疲れたでしょう」

 

足柄さんは話が終わるまで待っていてくれたみたいです。

 

「ありがとうございます。おかげさまでちゃんと取材ができました。

あ、カップ焼きそばのお代は私が……」

 

「いいのよ。いつものことだし、あなたのやろうとしていることは、

艦これ世界全体のためになることだから」

 

「……ありがとうございます!」

 

足柄さんの協力のおかげで、浅倉提督の取材も無事終わりました。

はじめに来た時は不気味に感じた本館も、帰りは平気でした。

よく考えたら、今、お昼の時間でみんな食堂にいるから人がいなかったのも当然ですね。

 

 

 

>青葉のメモ 5ページ

 

“神か悪魔か、仮面ライダー王蛇!

今回、記者はライダーの中で最も凶暴と恐れられている、

仮面ライダー王蛇こと浅倉提督の独占取材に成功した。

先日彼が艦これ世界の危機に立ち上がり、単身深海棲姫の支配海域に突撃し、

奇跡の勝利を収めたことは記憶に新しい。狩猟が趣味だという彼の戦闘能力の高さは、

これまでのライダーバトルで2度勝利していることからも窺い知れる。

浅倉提督に強さの秘訣を問うと、ただ殺意に基づく欲望だと答えた。

では、彼は我々の味方なのだろうか?

情報統制が布かれていたが、現実世界での彼は、

決して英雄とは呼べない人物であることは既に広く知られている。

浅倉提督を心強い味方と受け入れるのか、危険人物と遠ざけるのか。

それは読者の皆様に委ねたい。最後に申し上げたいことが一点。

彼はカップ焼きそばが好物だ”

 

 

 

 

 

○インタビュー其の六 北岡提督

 

 

パシャッ!パシャパシャ!

 

「ああ、違う違う!この右斜め45度が一番美しい角度なんだって!」

 

うう……。取材を受け入れてくれたのはいいんですが、

北岡提督はかなりの“なるしすと”みたいで、こうして納得行くまで

何度も写真を取らされています。

せっかく大柄な男性が入れてくれたお茶も冷めてしまいますよ。

飛鷹さんも呆れた様子で提督を見ています。

 

「んー、今のショットがいいんじゃないかな。記事には一番画になるのを使ってよ」

 

はぁ、やっと満足してくれたみたいです。それでは取材を……

 

「それでは北岡提督、貴方について色々質問させていただきますから、

差し支えない範囲でお答えください」

 

私達がソファで向かい合うと、北岡提督は大げさに足を組みました。

 

「何が知りたいのかな。

どうして俺がイケメンなのか?頭が切れるのか?金持ちなのか?」

 

「あ、いや、それもおいおい伺うとして……まず、ご趣味は?」

 

「贅沢なことならなんでも。食べ歩きなら100g1万円以下の安物の肉は食べない。

栄養摂取以外、舌に乗せる意味が無いからね。

ドライブも好きかな。ベンツやポルシェで銀座の街をわけもなく走ったりしてるよ。

まぁ、リンカーン・コンティネンタルも味があって気に入ってるけど」

 

「は、はぁ。それは羨ましい限りですね。

ところで、現実世界では弁護士をされているそうですが、

どういったお仕事なんですか?」

 

「俺みたいに卓越した頭脳を持つ人間だけが就ける職業だよ。

見てごらん、この六法全書。この鈍器になりそうなほど分厚い本に

日本の法律全てが書かれてる。

 

だからってこれを丸暗記すれば弁護士になれるわけじゃない。

それくらいなら暇な中学生でもちょっと頑張ればできる。肝心なのは思考の瞬発力だよ。

 

まず弁護士資格を取るには司法試験に合格しなきゃいけないわけだけど、

選択式問題と論述式問題があるわけ。どちらも架空の事件や裁判の事例をもとに

適切な回答をしなきゃいけないんだけど、限られた時間で、

誰それに責任がある、こういう法律が適用される、といったことを瞬時に判断して

必要な情報を探し出し、正解を導き出さなければならない。

 

晴れて合格しても、本格的に独立するにはどっかの法律事務所で

何年も下働きするのが普通なんだけど、

まぁ、俺は普通に当てはまらないスーパー弁護士だから?

いきなり事務所を構えて今までに数百件以上の……」

 

長い……。メモの余白がそろそろ無くなりそうです。

男の方が冷めたお茶を入れ直してくれました。

強引にでも止めないとこのままじゃ日が暮れてしまいます。

 

「あ、あの!」

 

「なに?ここからがあの裁判のクライマックスなのに」

 

「それについては十分、理解できましたので、そうですね……

あ、そうだ!あの男性とはどういうご関係ですか?」

 

「吾郎ちゃん?うちの優秀な秘書兼ボディーガードだよ。

炊事、洗濯、格闘、顔そり、なんでもこなす頼れる秘書だよ」

 

「秘書?じゃあ、飛鷹さんはどうなさってるんですか」

 

「役割分担してる。吾郎ちゃんは今言ったように俺の身の回りの世話。

飛鷹は提督としての仕事のサポートって感じ。一流の弁護士は秘書も一流でなきゃね」

 

やっとわかりやすい話になりました。

お二人の写真も一枚お願いして、北岡提督の取材はこの辺にしときましょう。

 

「今日はお忙しい中、取材にご協力頂き、ありがとうございました。

最後に、秘書のお二人の写真も撮らせていただきたいのですが……」

 

「飛鷹、吾郎ちゃん。ちょっと来て!」

 

「何よ、甲板の手入れで忙しいのに」

 

「どうしましたか、先生」

 

「彼女が二人の写真を撮りたいってさ」

 

「はぁ、俺でよければ」

 

「写真!?それ、新聞に載るのよね。ちょ、ちょっと待って!」

 

飛鷹さんは慌てた様子で低い本棚に置いてある鏡で、

ささっと髪を直して服を整えました。

 

「それでは、まず、吾郎さんから。3,2,1!」

 

直立したまま無表情でしたが、かえって自然な感じでいいですね。続いて飛鷹さん。

 

「次は飛鷹さんもお願いしまーす。3,2,1……あの、飛鷹さん」

 

「な、なにかしら」

 

「せっかく巻物を広げてポーズを取っていただいたのに申し訳ないんですが、

普段通りの感じでお願いします」

 

「そう……」

 

「では改めて。3,2,1、……はい、結構です!」

 

「はぁ、緊張した」

 

「俺のインタビューなのに、なんで飛鷹が緊張すんのよ」

 

「しょうがないでしょ!写真とか慣れてないのよ……」

 

「皆さん、本当にありがとうございました。

必ず良い記事にしますから、来週の艦隊新聞をお楽しみに!」

 

さて!執務室を出た青葉は、また1階のベンチで走り書きのメモを整理していました。

忘れないうちに補足を入れたり、ざっと内容の順序に番号を振ったり。

……そうだ、ライダー以外にも書くことがありますね。

ここらでついでにまとめておきましょうかね。

 

 

 

>青葉のメモ 6ページ

 

“スーパー弁護士(自称)、仮面ライダーゾルダ!

現実世界では、弁護士という難関試験を突破しなければ

資格を入手できない職に就いている北岡提督。記者は彼の素顔に迫ってみた。距離的に。

掲載《予定》した写真は彼指定の角度で撮影したものであり、

北岡提督は自らの姿にこだわりを持つ、いわゆる“なるしすと”であることが

うかがえる。私生活では贅沢な暮らしを好み、

聞いたことのない車種(記者は大発しか知らない)、恐らく高級車を乗り回し、

高級料理に舌鼓を打つのが楽しみだそうだ。ライダーとしての戦闘能力も高いとの噂だ。

以前、彼と艦これ世界の攻撃者と戦った事がある天龍さん(仮名)は、

“機械兵を呼び出して、見たこともない兵器を撃ちまくった。

連中が生きてたのが不思議なくらいだぜ”と語る。

癖のある人物だが、今後も味方でいてくれれば心強いことは間違いないだろう”

 

 

 

 

 

ふぅ。昼食も取ってない青葉は、間宮で冷えたお茶を飲みながらメモを読み返します。

ここまで書いて、もうすぐ新聞一巻分のネタが貯まることに気が付きました。

この辺であのライダー達のことも書いておきましょうか。

都合のいい話ばかり書いてもかえって不信を招くだけです。

 

 

>青葉のメモ 7ページ 敵性ライダー達

 

本項では、敢えて艦これ世界に危害を加えた敵性仮面ライダー達を紹介しておきたい。

 

 

・元仮面ライダーガイ

芝浦淳という青年が変身していた仮面ライダー。

何らかの方法で一般人を狂人に変え、他提督達に宣戦布告。

狂人をけしかけ、提督権限を悪用し、艦娘をライダーバトルに巻き込んだ

卑怯なライダー。自らの力を過大評価していたが、

実戦経験の圧倒的な差から仮面ライダー王蛇の前に敗れ去り、

現在は浅倉提督の鎮守府でこき使われていると秘書官・足柄さんは述べる。

 

 

・元仮面ライダーベルデ

この悲劇を忘れてはならない。高見沢逸郎という男が変身していた仮面ライダー。

彼は艦これ世界に来てしばらくは紳士的な振る舞いを見せていたが、

提督権限を手に入れた途端、その仮面を捨て去り、凶悪な本性を露わにした。

ホールに集めた艦娘達に榴弾砲を数回に渡り発砲。

多数の駆逐艦達に重症を負わせ、艦これ世界の征服を宣言。

折り悪く他のライダーが不在にしていることを良いことに、

数日後に戦車や移動式噴進砲等の軍隊を引き連れ、本格的に侵略行為を開始したが、

奇跡的に蘇った7人の勇士達によって撃退された。しかし、彼女達のうち4人が戦死。

苦い勝利となった。彼は現在、手塚鎮守府で監禁されている。

 

 

・仮面ライダーオーディン

鎧の装着者、神崎との関係。一切が謎に包まれた仮面ライダー。

まだ艦これ世界に直接的な危害を及ぼしたことはないが、神崎が語るには、

ライダーバトルの勝者を決める審判者であるという。

その戦闘能力は凄まじく、先日、城戸提督がオーディンと激闘の末、重症を負った。

回復傾向に向かってはいるが、まだその傷は癒えていない。

 

 

以上、これまでに確認された敵性仮面ライダーの詳細である。

これを見てライダーをどのような存在だとみなすかは読者の皆様に委ねたい。

我々のために戦った者もいれば、我々を傷つけた者もいるのも事実である。

当新聞はあくまで皆様に判断材料となる真実をお伝えするだけだ。

 

 

 

 

 

そうそう。あいにく噂しか聞いたことがありませんが、あの方も紹介しなくては。

 

>青葉のメモ 8ページ

 

・元仮面ライダーファム

霧島美浦という女性が変身していた仮面ライダー。

あいにく彼女はライダーバトルを棄権し、現実世界に帰ってしまったらしく、

インタビューすることは叶わなかった。鳳翔さん(仮名)によると、

ライダーの力そのものは捨てていないらしく、ミラーモンスターなる怪物と戦いながら、

時々彼女に会いに来るらしい。

霧島女史がなぜライダーになったのか、鳳翔さんに尋ねてみたが、

柔らかな笑顔でごまかされてしまった。

ただ、彼女は新たな生き方を見つけた、と語るのみだった。

 

残りは2人。気合い入れて行きましょう!

 

 

 

 

 

○インタビュー其の七 香川提督

 

 

「私は仮面ライダーではありませんから取材するだけ無駄だと思いますがね」

 

「ええっ!?」

 

すんなり執務室に入れてくれたのも束の間、

いきなり非ライダー宣言をされて困ってしまいました。

 

「では、どうやって、この世界に……?」

 

「神崎君が落としたファイルを流し読みした時の記憶を元に、

ライダーシステムを再現したんですよ。

ちなみに、変身したときの名は、オルタナティブ・ゼロ。

つまり疑似ライダーの試作品です」

 

「香川提督は、神崎士郎の知り合いなんですか!」

 

「ええ、彼は私の生徒でした。以前は江島先生の研究室で……。

ゴホン、まぁ、とにかく、ライダーのプライベートを取材したいなら

ここに居ても得るものはありません」

 

研究室で?青葉、気になります!

 

「江島さんの研究室で、神崎士郎が何をしたっていうんですか?

ライダーバトルや提督方となんの関係があるんですか?」

 

「……あなたは一体何を取材しに来たんですか。

ライダーの私生活ですか、神崎君の身辺調査ですか。目的は、はっきりなさい」

 

「すみません……」

 

なんとなく厳しい目で見られると、これ以上食い下がっても無駄な気がしたので、

帰ることにしました。この企画の趣旨からも外れそうですし。

 

「では、失礼します。突然の取材を受けていただき、ありがとうございました」

 

「別に構いませんよ……。そうそう、東條君の取材はもう済みましたか?

彼は正真正銘、本物の仮面ライダーです」

 

「いえ、東條提督は私の所属鎮守府の提督なので、最後にしようと思ってました。

ちょうど次で終わりです」

 

「そうですか。彼がお客様に失礼をしなければいいのですが。それではお気をつけて」

 

「はい、私はこれで」

 

 

 

>青葉のメモ 9ページ

 

“もう一つのライダー? その名はオルタナティブ・ゼロ!

香川提督が変身するオルタナティブ・ゼロ。勘の良い読者ならお気づきだろうが、

彼は厳密には仮面ライダーではない。記者も彼について記事にしようか迷ったのだが、

香川提督に重大な秘密があることがわかり、企画の趣旨からは少々外れるものの、

彼のインタビューを掲載することにした。

なんと彼は、あの神崎士郎の大学時代の教授だったというのだ。

彼が神崎を追ってこの世界に来たのは間違いない。

そのことについて多くは語ってくれなかったが、提督はまだここに来てから日が浅い。

今後の動向に注目が集まるところだ”

 

 

 

 

 

──東條鎮守府

 

 

「我が家に戻って来ましたー!さあ、最後の取材、張り切って行きましょう!」

 

どの鎮守府も同じ作りとは言え、やっぱり自分の家に帰るとほっとします。

さて、ここのライダー提督で取材は終わりです。

挨拶がてら、突撃取材、行ってみましょう!

 

 

 

コンコンコン、と丁寧にノックし呼びかけます。

 

「司令官、重巡洋艦・青葉です。突然で申し訳ないのですが、

今、ライダー提督の皆様に普段のお姿について取材させていただいているんです。

ご都合が良ければ少しお話を伺いたいのですが……」

 

“……いいよ”

 

やった、取材OKです!さっそくドアを開けて中に入ると、

司令官がソファに座って文庫本を読んでいました。

 

「いやあ、すみませんねぇ。思い立ったら体が動いちゃって。

あ、まずは一枚お写真よろしいですか?」

 

司令官は面倒くさそうな顔をしながらも文庫本から目を離してこちらを見てくれました。

パシャッ!う~ん、いい画が撮れました。

 

「座れば」

 

「ありがとうございます!

では、さっそくインタビューを始めさせていただきたいと思います」

 

「早く終わらせてよね、本当は、こういうの好きじゃないから」

 

「“本当は”というと?」

 

「先生が言ってた」

 

 

“皆さんと良好な関係を築き磐石な体制を築くのも、戦いのうちですよ?”

 

 

「先生、というと、香川提督のことですか?」

 

「先生の言うことに間違いはないからね。先生は、真の英雄だから」

 

「英雄?あの方は現実世界で何か偉業を成し遂げられたんですか?」

 

「違うよ!先生は、多くを助けるために、ひとつを犠牲にする勇気を持ってる。

それが例え家族であってもね!」

 

おっと、若干彼が苛ついたのを感じたので話題を変えます。

でも、今の発言、何か引っかかります。とにかく今はインタビューを続けましょう。

 

「それでは、司令官はなぜ仮面ライダーになったのですか?」

 

「……僕も、英雄になるためだよ。コアミラーを壊して、ミラーワールドを閉じて」

 

「コアミラー、ですか。それは一体何なんですか?」

 

「先生は何も話してなかったの?」

 

「初耳です」

 

「なら、僕から話せることはなにもないよ。他には」

 

強引に話を切られてしまいました。

どうやら司令官は香川提督を絶対視してるようですね。

彼が口止めしているなら、きっと司令官は答えてくれないでしょう。

無難な質問に切り替えます。

 

「そうですか……そうだ、ご趣味は?」

 

「……読書。この本が好きなんだ」

 

「どれどれ……」

 

司令官が差し出した文庫本の表紙には

”変身 フランツ・カフカ著”と書かれていました。

 

「読んだこと、ある?」

 

「え、ああ、すみません。不勉強なもので……」

 

「それほど難しい本じゃない。構えずに読んでみれば」

 

あれ、機嫌を損ねたかと思いましたが、

第一印象ほど排他的な性格じゃないのかもしれません。

個人的なことなら、もっと突っ込んでも大丈夫かもしれませんねぇ!

 

「さっき司令官は、“英雄になるため”にライダーになったとおっしゃいましたが、

英雄を目指すようになったきっかけは?」

 

「英雄になれば、みんなが僕を好きになってくれるかもしれないから……」

 

「……あのう、ご両親は司令官がこちらにいらっしゃるのはご存知なんですか?」

 

「勇気さえあれば、誰でも英雄になれるしね」

 

提督は、青葉の質問には答えず、また文庫本に目を落としました。

新聞記者が特定の取材対象に必要以上に介入するのはご法度なのですが……

 

「司令官、ライダーバトルなんかに頼らなくても、

貴方を好きになる人はきっと現れます」

 

「……君に何がわかるの」

 

表情は変わりませんが、明らかに怒ったのが声色でわかります。

でも、伝えるべきことは全部伝えきらなければ意味がありません。

 

「英雄になんてならなくても、必ず愛してくれる人に巡り会えます。

だって、そうじゃなきゃ世の中英雄だらけじゃないですか。

司令官だってそうなんです!」

 

「昨日今日会ったばかりの君に何がわかるんだって聞いてるんだよ……!」

 

「司令官がライダーバトルで命を落としたら、

悲しむ者が必ず一人はいるってことは知っておいて欲しいです。

……今日はありがとうございました」

 

「……」

 

私は席を立つと、そのまま執務室から退室しました。階段を降りて1階のロビーへ。

メモを整理しようとペンを取り出しますが、なかなか筆が進みません。

さっきはどうしてあんなことを言ったんでしょう。司令官の顔を思い出します。

ずっと無表情でしたが、どこか悲しげな目をしていたのは気のせいでしょうか。

 

 

 

>青葉のメモ 10ページ

 

“期待のニューフェイス、新人ライダー(仮)!

記者は、先日艦これの世界に降り立ったばかりの新人ライダーに、突撃取材を敢行した!

まだこの世界での戦闘記録がなく、姿形、名称は不明だが、今後の活躍に期待が持てる。

東條提督は、物憂げな表情の不思議な青年で、読書が趣味。

愛読書がカフカの“変身”だというのは奇妙な偶然だ。

ライダーバトルに参加した動機を問うと、英雄になるためだという。

なんでも、コアミラーなるものを破壊すればミラーワールドを閉じることができ、

英雄になれるというのが彼の持論だ。

その意味は記者にはわからず、彼も口を閉ざすばかりだったが、

閉塞感の漂う諸々の戦いに風穴を開ける吉報であることを期待したい”

 

 

 

 

 

メモを書き終えた青葉は、肩をぐるぐる回し、大きく深呼吸しました。

 

「ふぅ~やっと終わりました!あとはこれを記事にまとめて、

全鎮守府の“私”に送信すれば刷り上がるのを待つだけです。

これでみんなが少しは明るい気持ちになってくれれば、

記者冥利に尽きるというものです」

 

気づくともう夕暮れ時。朝から色んな所を回ったので流石に疲れました。

ゆっくりお風呂に浸かって体を癒やしましょう。

……あれ?そういえば手塚提督が言ってた“不幸”ってなんだったんでしょう。

結局これと言った事件は起きませんでしたが。

まぁ、占いは占いですから外れることもありますよね。

 

 

 

そして、安堵しきった青葉は宿舎への帰路についた。

自らの活動が皆の喜びに繋がると信じて。

しかし、彼女自身の不幸が去ったわけではないことを彼女は後に知ることになる。

 

 




*大して進展もないのにやたら長くてすみません
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