【クロス】艦隊これくしょん×仮面ライダー龍騎【完結済】   作:焼き鳥タレ派

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第26話 Another, Another, Buddy

龍騎は頭を掴まれたまま、ドラグセイバーを手繰り寄せ、思い切り振り払う。

 

「うわああ!!」

 

「はっ!」

 

謎のライダーは後ろにジャンプし、狙いが付けられていない一閃を軽く避けた。

龍騎は立ち上がりドラグシールドを左肩に移動した。

両手で剣を構えながら叫ぶように問いかける。

 

「お前、誰なんだよ!何のためにこんな戦いしてるんだよ!?」

 

「邪魔なんだよ、俺の思い通りにならないものは全て……!」

 

その時、後ろから笑い声が聞こえてきた。あのコートを着た男だ。

 

「彼の名は仮面ライダーカイザ!妄執に取り憑かれ、

戦うことでしか自己を保てなくなった哀れな存在!

だが、それ故に青臭いお前を遥かに上回る力を持っている!」

 

「あんたも誰なんだ一体!なんでみんなを巻き込んで……“ダァン!”ぐわっ!」

 

コートの男に気を取られている隙に、また銃撃を受けた。

 

「よそ見をしないでくれるかな。肝心な時に」

 

「汚ったねえな!カイザって言ったな!

デッキも持ってないお前が、なんでライダーバトルなんかするんだよ!

お前たちまでこんな戦いに関わる意味なんかないんだって!

お前にも待ってる家族がいるんだろ!」

 

「……俺達に帰る場所なんかないんだよ!」

 

カイザはベルトの背中に装着された、双眼鏡型のアタッチメント・カイザポインターを

外し、バックルに装着したカイザフォンからミッションメモリーを抜き取り、装填。

 

【READY】

 

そして、右足首に装着。そのまま龍騎に狙いを付けて足を蹴り上げた。

バックルに装着したカイザフォンをスライドしてキーを展開、ENTERを入力。

 

【EXCEED CHARGE】

 

カイザの身体のラインからカイザポインターにエネルギーが供給され、

黄色いレーザーが龍騎に向けて発射された。

命中と同時に、巨大な黄色い三角柱のエネルギーが龍騎に直撃。

 

「がはっ!くそぉっ!!」

 

凄まじい速さで回転する三角柱を抱え込みながら、

龍騎もカードをドロー、ドラグバイザーに装填。

 

『FINAL VENT』

 

異次元からドラグレッダーが現れ、龍騎の周りをうねるように飛ぶ。

そして、龍騎が軽くその場でジャンプすると、同時に後方から凄まじい炎を吹き付ける。

龍騎は足で三角柱を押し返しながらカイザに向けて

ファイナルベント・ドラゴンライダーキックを叩き込む。

 

一方カイザも、三角柱に向かってジャンプし、

両足で三角柱ごと龍騎に必殺技の飛び蹴り・ゴルドスマッシュを浴びせた。

 

炎と高密度のエネルギーが暴発し、その場で爆発が起こる。

煙にゴルドスマッシュの余剰エネルギーでXの文字が浮かんだ。結果は、両者互角。

それなりのダメージは受けたが、互いの力がダメージを相殺し、

致命傷に至ることはなかった。

 

「ごほっ!……君、結構やるけど、そろそろ目障りだよ。早く死んでくれないかなぁ?」

 

「ああっ、痛つつ……!勝手なことばっかり言いやがって!お前こそ黙らせてやる!」

 

カイザはXの文字を象った銃器・カイザブレイガンにミッションメモリーを装填。

 

【READY】

 

すると銃の下部から、カイザのアーマーを流れるエネルギーで形成された

ブレードが現れる。

 

「やらせるかよ!」

 

龍騎もカードをドロー、装填。

 

『STRIKE VENT』

 

右腕にドラグレッダーの頭部を模した装備が現れる。

龍騎がカイザを狙い、ドラグクローを放とうとした瞬間、

 

「遅いなぁ」

 

カイザが銃・剣一体となったカイザブレイガンで龍騎を銃撃。

命中したエネルギーは、ネット状に龍騎の全身を縛り上げる。

 

「うわわっ!なんだこれ!う、ご、けねえ……!」

 

「ふっふっふ……」

 

カイザは再びバックルのカイザフォンを展開。ENTERを入力。

 

【EXCEED CHARGE】

 

カイザ前方にX型のエネルギーが現れる。

右腕に握ったブレードを思い切り後ろに振りかぶり、全身で突進の構えを取る。

もう一つの必殺技、カイザスラッシュが龍騎に放たれようとしている。

 

 

 

一方、ディケイドは完全に体力を取り戻したリュウガの激しい攻撃に防戦一方だったが、

噴水のそばで動けなくなっている龍騎と、明らかに攻撃態勢に入っているカイザが

視界に入り込んできた。

 

「城戸!逃げろ!」

 

“無理だ!ほどけねえよ!”

 

くそっ、今も奴の攻撃の連打をソードモードのライドブッカーで受け止めるのが精一杯!

だが、これ以上は間に合わない。

ディケイドは右腕に力を込め、防御を捨てて、リュウガに右ストレートを食らわせた。

たった一発のために3度も斬撃を浴びたが、一瞬奴がふらつき、

カードをドローする隙が生まれた。

ディケイドはドローしたカードをディケイドライバーに装填。ハンドルを閉じた。

 

[ATTACKRIDE... ILLUSION!]

 

カードが発動すると、ディケイドの周囲に5体の分身が現れ、攻撃を開始した。

さすがにリュウガも戸惑う。

 

「こいつらと遊んでろ!……城戸ォ!!」

 

ディケイドは龍騎に向かって全力で駆けた。

 

 

 

ブレードモードのカイザブレイガンを装備したカイザが、

前方のエネルギー体と共に、まさに一瞬の速さで駆け抜け、

アーマーを流れるエネルギー・フォトンブラッドが実体化した剣で目標を切り裂いた。

確かな手応えを感じ、勝利を確信したカイザ。

しかし、彼が見たものは致命傷に近い傷を負ったディケイドだった。

 

ディケイドはカイザスラッシュが放たれた瞬間、龍騎とカイザの間に飛び込んだのだ。

立ち上がることもできないディケイドに龍騎が駆け寄る。

 

「おい、士?しっかりしろ、士!士あぁ!!」

 

ディケイドの上半身を抱えると、ディケイドの変身が解除され、士が姿を現した。

体中傷だらけで、口元に血が流れていた。ゆっくりと士が目を開く。

 

「ああ、城戸か……相変わらず抜けてるやつだ」

 

「馬鹿野郎、なんでこんなことしたんだよ……!!」

 

「……すまん、忘れた」

 

そして、士は気を失った。

 

「ちくしょう、なんでデッキもない奴がこんな戦いしなきゃいけないんだよ……!」

 

真司の頬に涙が伝う。

その時、本館からユウスケが出てきて、この惨状を目の当たりにした。

 

「おーい!小さい子達の避難終わったぞ!俺も戦う……って士!?

どうしたんだよ!酷い怪我じゃん!」

 

「俺をかばった。俺のせいで……」

 

「そんな……」

 

彼らに歩み寄る足音。

 

「あーあ。せっかくとどめを刺したと思ったのに。

赤の他人を庇って死ぬなんて、バカバカしいなぁ」

 

カイザが重症の士を見下ろして鼻で笑う。

龍騎は激怒するでもなく、立ち上がりながらユウスケに告げる。

 

「士を頼む。士に手当して、動けないこいつを守って欲しい。

それと、できるだけここから離れて」

 

「お前一人でどうする気だよ!?」

 

「いいから!!頼む……」

 

「わかった。……死ぬなよ」

 

ユウスケは士を抱きかかえて医務室のある本館に戻っていった。

工廠のそばで戦いを見ていた鳴滝は、ディケイドを瀕死に追い込み歓喜の声を上げる。

 

「ディケイド、聞こえるぞお前の悲鳴が……ハハハハ!!」

 

ディケイドの分身体を全員始末したリュウガもゆっくりと距離を詰めてくる。

強大な敵、しかも2対1に追い込まれた龍騎だが、それでも彼は引かない。

 

「……カイザ。俺は人間もライダーも艦娘も、みんなを守るために戦ってきたけど、

お前のことだけは許せないと思う」

 

「だったらどうしたいのかなぁ?」

 

龍騎は黙って1枚のカードをドローした。

背景の炎が実体を持って燃え盛るそのカードを引いた瞬間、周囲が炎に包まれる。

その激しい炎にたまらずリュウガもカイザも後退する。

 

「……!?」

 

「な、なんだこれは!」

 

龍騎は指先でカードを回転させる。

現れたのは、最後の切り札、“SURVIVE”だった。

 

“SURVIVE”をドローすると、ドラグバイザーが燃え上がり、

銃型バイザーのドラグバイザーツバイに変形。

ドラグレッダーの頭部を模したバイザーの口を開き、

内部のカードスロットに“SURVIVE”を装填。

勢いをつけ口を閉じると、龍騎の体が業火に包まれた。

 

『SURVIVE』

 

そして、業火の中から現れたのは、龍の顔面を象ったアーマー、

両肩から突き出る牙を思わせるプロテクター、

黄金の装飾が施されたヘルムでパワーアップした龍騎サバイブだった。

 

同時にドラグレッダーも、鋼鉄の装甲をまとった、

烈火龍ドラグランザーにパワーアップ。

その姿に思わずカイザもリュウガも動きが止まる。

 

 

 

それは鳴滝も同じだった。

 

「い、いかん!あと少しだというのに!……来い!

龍騎を倒してオーディンを手に入れろ!」

 

再び銀のオーロラを出してライダーを召喚する。

オーロラの向こうから謎の人影が歩いてくる。顔はわからない。

長身痩躯の男性らしき人物がベルトを巻く姿が見えるだけだ。

 

【レ・デ・ィ】

 

──変身!

 

【フィ・ス・ト・オ・ン】

 

ぎこちない電子音声が響くと、新たなライダーが現れた。

全体に白を基調とし、マシンと騎士の鎧を融合させたデザインのアーマーに、

十字架のような黄金のガードが施されたヘルム。

 

ベルトのバックルにはナックルのような武装が装着され、

腰の両側には何かの認証装置らしきスティックを収めたケースがある。

 

彼が艦これ世界に降り立つと、ヘルムの十字架が四方に展開、赤い両目が現れ、

アーマーに内包されたエネルギーで周囲に暴風が吹き荒れた。

龍騎を除く全員が手で顔をかばう。

その白のライダーは、龍騎サバイブに歩み寄ると、静かな声で諭すように告げた。

 

「破壊者を庇う愚か者。その命、神に返しなさい……」

 

龍騎は何も答えず黙ってドラグバイザーツバイを構える。

その時、空から青年の声が降ってきた。

 

 

「それって要するに死ねってことでしょ?似非教誨師さん!」

 

 

皆、思わず空を見上げる。倉庫の屋上からジャンプし、宙返りしながら着地。

ショートヘアを左右に分けた青年が驚異的な運動神経で戦場に降り立った。

 

その右手には一挺の銃。

銃身は黄色と青のラインが施され、カードの挿入口が付いたやや無骨な長方形。

そして銃口が二門の個性的な銃を手にした青年が龍騎に軽い足取りで近づいてきた。

 

「あ、あんた誰……?」

 

「仮面ライダー龍騎。君のことは知ってるよ。もっとも、別の世界の君だけどね。

……ところで、この世界にはライダーが多すぎる。お宝探しの邪魔なんだよね。

少し、減らしたほうがいいと思わない?」

 

「味方、なのか?っていうか、ライダーなの、君?」

 

「そーいうこと」

 

すると、青年は、ライダーカードを取り出し、銃身側面のカードスロットに

カードを装填。前にスライド。スロットにライダーの紋章が浮かび上がった。

 

[KAMENRIDE...]

 

──変身!

 

そして、銃口を上に向けトリガーを引く。

 

[DIEND!]

 

上空を撃つと、空に多数の直方体、そして彼の周りに、

赤、緑、青のライダーの姿が高速で行き交い、やがてそれらが一体化。

青年は、仮面ライダーディエンドに変身した。

ブルーを基調としたスーツに、多数の立方体で構成されたアーマー、ヘルム。

両肩から縦に走る2本のラインが特徴。

 

 

「ディエンドオォォーー!!」

 

 

鳴滝が叫ぶような悲鳴を上げる。

 

「なぜだ!なぜお前がここにいる!?」

 

「やっ、鳴滝さんじゃありませんか」

 

目を血走らせて叫ぶ鳴海に対し、ディエンドは道端で会った知り合いのように挨拶する。

 

「ああ、僕がいる理由?

やだなぁ、お宝の匂いを嗅ぎつけたからに決まってるじゃないですか。

そろそろ始めよう龍騎、見ていたまえ、これが僕の戦い方だ」

 

「あ、ああ……」

 

「じゃあ、行くよ……!!」

 

と、言うと同時、ディエンドは

クロックアップしたかと見紛うほどの猛スピードで駆け出した。

カイザに走り寄り、右フック、左回し蹴り、右ストレートと叩き込み、

 

「げほっ!」

 

次の瞬間にはリュウガの元に移動し、

至近距離で二連式銃を連発してエネルギー弾を放ち、

 

「がはあっ!!」

 

銃声も鳴り終わらないうちに白騎士ライダーの眼前へ。

 

「やあ、君も鳴滝さんの飼い犬かい?」

 

「そういう呼び方は好きじゃない。正義の味方と呼びなさい」

 

「その“正義”とやらで幸せにした人より、不幸にした人の方が、多いんじゃない?」

 

「黙りなさい!俺は常に正しい!俺が間違うことはない!」

 

 

「ディエンド、お前まで邪魔を続けるというのか……

構わない、イクサ、リュウガ、カイザ!2人を倒し、ディケイドを抹殺しろ!」

 

 

イクサと呼ばれたライダーが前に出た。

 

「わかりきった事。君を倒し、そのボタンを貰い受ける。他の二人は下がっていなさい」

 

そして、腰のケースに刺されたナックルフエッスルを抜き取り、

バックルのフエッスルリーダーに挿入。

イクサナックルを押し込み、フェッスルの情報を読み込んだ。

 

【イ・ク・サ・ナッ・ク・ル・ラ・イ・ズ・アッ・プ】

 

そして右手でイクサナックルを取り外すと、ナックルの先にエネルギーが集中。

イクサはディエンドに向けて拳を突き出すと、収束したエネルギーが発射され、

凄まじい破壊力がディエンドを襲う。しかし、

 

『GUARD VENT』

 

ガオオオオオ!!

 

龍騎がカードをドロー、ドラグバイザーツバイに装填。

直後、“SURVIVE”の力で装甲を強化されたドラグランザーがディエンドの前まで飛翔し

体を巻き、イクサナックルを受け止めた。

衝撃で土煙が舞い上がるが、ドラグランザーは無傷だった。

 

「サンキュー、龍騎」

 

「君達……!無駄な抵抗はやめなさい!私に倒されるべきだ!」

 

軽く片手を上げるディエンドと、攻撃を邪魔され怒るイクサ。

しかし龍騎サバイブはイクサを無視し、カイザに向き合う。

 

「そいつは遠慮なく倒すと良い。鳴滝がオリジナルから生み出したクローンだ。

中に人はいない」

 

「ああ!……お前たちに士は渡さない!絶対に!」

 

龍騎はドグバイザーツバイを構えると、銃口をカイザに向け、レーザーを連射した。

貫通力の高いレーザーで全身を叩かれ、カイザのアーマーに火花が飛ぶ。

 

「う、ぐあああ!!」

 

衝撃で後ろに倒れるカイザ。

 

「くっ、君……あまり図に乗らない方がいいんじゃないかな」

 

そんなカイザの後ろから、どこからともなく

側車の付いた大型バイク・サイドバッシャーが現れた。

 

「ふっ……」

 

カイザがサイドバッシャーに飛び乗る。すると、

 

【BATTLE MODE】

 

システム音声と共に、左アームに6門の砲、右アームに4本のクローを持つ

二足歩行戦車に変形。カイザが操縦席で司令を出すと、

左アームから6発のミサイルが発射され、ミサイルは更に小型ミサイルに分裂。

多数の飛翔弾の群れが龍騎サバイブに襲いかかる。

 

龍騎はドラグバイザーツバイで迎撃するが、この数はさばき切れない。

イクサと交戦しつつそれを見ていたディエンドが、ライダーカードを1枚ドロー。

ディエンドライバーに装填、イクサのキックから身をかわしながら、

銃身を前にスライド。

 

「あんまりスマートな使い方じゃないんだけどね。ごめんよ、兵隊さん!」

 

[KAMENRIDE...RIOTROOPERS!]

 

トリガーを引くと、赤、緑、青のホログラフがいくつも行き来し、一つに重なる。

オレンジに近いブラウンの簡素なアーマーと鏡のように丸い顔、

最低限の銃器だけを持った量産型ライダー3体が、龍騎サバイブの前に召喚された。

 

彼らは銃を撃ちながらミサイルの群れに突撃、幾つかのミサイルを撃ち落とし、

龍騎の身代わりになってミサイルを食らった。

ライオトルーパーはホログラフの塵になって消滅。

 

「サンキュー、ディエンド!……危ない!」

 

イクサに気を取られていたディエンドの背後からリュウガが迫り、

ドラグセイバーで斬りつけた。

 

「がはっ!!……こ、これは、一本取られたね」

 

「ディエンド!今行く「どこを見ているのかなぁ」」

 

ガシィン!!

 

「がああああっ!!」

 

ディエンドに目を向けた瞬間、サイドバッシャーの巨大な足で蹴り飛ばされ、

地に転がったところを、更に踏みつけにされた。

 

「うぐああっ!」

 

「ほら、反撃してみろよ……どうしたァ!!」

 

その巨大な重量で龍騎を踏みにじるカイザ。

龍騎は、何とか体を斜めにしてカードデッキを守りつつ、カードをドロー、

肺の中の息を押し出されながらも、何とかドラグバイザーツバイに装填した。

 

『FINAL VENT』

 

カードの力が開放されると、大空を駆けるドラグランザーがカイザに体当りし、

サイドバッシャーを横転させた。そして、ドラグランザーの体から鏡の破片が弾け飛び、

空中で胴体や尾からタイヤを排出し、顔面にバイザーを展開。バイクモードに移行。

 

「はあっ!」

 

そして龍騎も両足に力を込めて跳躍し、

完全に大型バイクと化したドラグランザーに乗り、そのまま着地。

横転したサイドバッシャーと脱出したばかりのカイザに向かって最速ギアで加速、

腹に響くようなエンジン音を轟かせて敵に向かって猛スピードで突進した。

 

そしてウィリー走行しつつドラグランザーに何発も巨大な火球を吐き出させ、

そのままサイドバッシャーに体当たりした。

龍騎サバイブのファイナルベント・ドラゴンファイヤーストームで、

脅威となっていた二足歩行戦車は四散大破し、

直撃を免れたカイザも、爆風に吹き飛ばされた。

 

「うごあぁっ!はぁっ、くそっ……」

 

カイザがふらついて動けないのを確認すると、龍騎はディエンドの援護に回った。

彼は2対1で戦っている!すかさず狙いを付け、リュウガとイクサを狙撃。

ディエンドに攻撃のチャンスが生まれた。

 

「これで貸し借りなしだね。俺もそろそろ終わりにしようかな」

 

ディエンドはカードをドロー、ディエンドライバーに装填し、銃身をスライドした。

 

[FINAL ATTACKRIDE...DI-DI-DI-DIEND!]

 

狙いを定めたイクサの間にいくつもライダーカードのホログラフで出来た円が現れる。

収束するエネルギーが暴風を巻き起こす。

 

「何!?」

 

危機を察知したイクサも反撃に出る。

イクサの銃器・イクサカリバーのグリップ部分の長いマガジンを押し込むことで、

反対側に赤い刀身が現れ、カリバーモードに変形、

腰のケースからカリバーフエッスルを抜き取り、バックルに挿入。

 

【イ・ク・サ・カ・リ・バ・ー・ラ・イ・ズ・アッ・プ】

 

そしてディエンドがトリガーを引くと、ライダーカードが一気に収束し、

巨大なレーザー光線が放たれた。

 

「はああっ!!」

 

同時にイクサの背後に太陽が輝き、光る刀身を振り下ろし、

必殺技、イクサ・ジャッジメントを発動した。激突する2つのエネルギー。

強制的に圧縮された力が爆発し、全員を吹き飛ばす。

 

「くっ……!」「うわああ!!」「うぐっ!」「あああっ!!」「うわーっ!」

 

龍騎はぼやける視界の中でディエンドを探した。

彼は手探りでディエンドライバーを探し、おぼつかない足取りで

立ち上がるところだった。自分も立たなければ。

全身が痛むが必死に堪えて、両手を付いて立とうとする。

すると、背後から誰かに蹴り飛ばされ、再び前に転んだ。カイザだった。

 

「いでっ!こんにゃろ……!」

 

「君達ィ……痛かったなぁ?

ここまで人をコケにして、生きて帰れるとは思ってないよねぇ」

 

「龍騎伏せろ!」

 

ダダダダァ!!

 

ディエンドライバーを連射し、カイザを遠ざけるディエンド。

得られた僅かな時間で立ち上がり、彼のそばに寄る。しかし、3人の強敵は今だ健在。

リュウガ、カイザ、イクサがそれぞれの武器を構えながら、

一歩一歩確実に近づいてくる。切り札は尽きた。どうするべきか。

二人は追い詰められていた。

 

 

 

 

 

──医務室

 

 

本館の医務室で眠る士は、まだ意識が戻らなかった。

夏美は、包帯だらけの体になった士の手に指先で触れる。

外からは激しく争う音が鳴り止むことがない。

 

「どうして、こんなことになっちゃったんでしょう……」

 

悲痛な面持ちでつぶやく夏美。そんな彼女を見て三日月が声をかける。

 

「信じましょう。

真司さんだって、こんな風に何日も意識を失う怪我を負ったことがあります。

でも、ああして無事に帰ってきてくれました。士さんもきっと目を覚ましてくれます」

 

夏美は黙って頷く。そして、ベッドのそばに置いていた“それ”を手に取る。

 

「預かってたこれ、最初から渡してれば……」

 

「それは、なんですか?」

 

「士の、大事な物……」

 

夏美は士の手にそっと彼の宝物を置く。

その時、ヴォン、と起動音が鳴り、それの電源が入った。

 

「これって、もしかして……」

 

不思議な現象に夏美も三日月も驚くばかりだった。

 

 

 

 

 

──本館前広場

 

 

その頃、龍騎とディエンドは庭石を遮蔽物にしながら

敵ライダー達と激しい銃撃戦を繰り広げていた。

ドラグバイザーツバイ、ディエンドライバーの連射。

向こうはカイザブレイガン、イクサカリバーガンモード。

無数の光線が飛び交う中、リュウガは何もせずにただそこにいるだけだが、

龍騎は何らかの悪意を感じ取っていた。

 

「ああ、くそっ!このままじゃ……“チュイン!”痛てっ!数に押されちゃうよ!」

 

「頭を下げたまえ!これで、行けるかな!?」

 

ディエンドはカードをドロー。ディエンドライバーに装填し、スライドした。

 

[ATTACKRIDE...BLAST!]

 

引き金を引くと、散弾銃のように放射された無数のエネルギー弾が、

誘導性能を持って3体に命中。

だが、火花を散らして後ろに倒れるが、大きなダメージには至らず、

すぐに立ち上がって銃撃を続けながらこちらに向かってくる。

 

いくら“SURVIVE”状態でも見たこともない強敵相手に3対2では

勝てる見込みは少ない。焦った龍騎は撃ち返しながらディエンドに話しかける。

 

「ねえ!もう他のライダーは呼べないの!?」

 

「……これでダメなら諦めてよね!」

 

再びディエンドがカードをドロー、銃身に装填し、スライド。

 

[KAMENRIDE...GAOH!]

 

ディエンドライバーで前方を撃つと、三色の立体ホログラフが高速で行き交い、

やがて一つの象を結び、実体化した。

アーマー、ヘルム、両肩のショルダーガード全てが、

鋭い牙を持つ何かの口をモチーフにしている、凶暴さを体全体で表現するライダー。

鈍く金に光る存在。その名も仮面ライダー牙王。彼が姿を現した。

 

「……最後の晩餐だ」

 

飛び交う銃弾も意に介さず、彼は3人のライダーに向かって歩き出す。

 

「あいつは……?」

 

「仮面ライダー牙王。頼れるオジサンだよ、時々手に負えないけどね。

逆に言えば、彼が負けたら僕達も終わりってことだけど」

 

龍騎達が話す間にも牙王はイクサに歩み寄り、ノーモーションでいきなり殴り飛ばした。

後ろに吹っ飛ばされるイクサ。

 

「うっ!ぐあ!」

 

「お前らはここで途中下車だ」

 

「誰だか知らないけど消えてくれないかなぁ!?」

 

カイザがカイザブレイガン・ブレードモードで斬りかかるが、

 

カァン!

 

牙王は左腕のガントレットでブレイガンの刃を受け止めた。

 

「お前……喰われなきゃわからないらしいな」

 

刃を掴んだ牙王は、思い切りカイザを二発殴り、

頭を掴んでそのまま顔面に全力の膝蹴りを食らわせた。

頭が揺れ、その場に倒れ込むカイザ。

 

「がぁっ!……」

 

その圧倒的な力に龍騎も息を呑む。

 

「すげえ……あいつらが手も足も出ない……」

 

「僕のお宝でも自慢の一品だからね、このカードは」

 

牙王は、今度は彼の剣・ガオウガッシャーを抜き、リュウガにその手を伸ばす。

刀身を支える柄に当たる部分は大型の装置になっており、

刃はアーマーと同色のノコギリのようなキザギザ状になっている。

 

その大型の剣を構え、リュウガと相対する牙王。リュウガもドラグブレードを構える。

次の瞬間、二人の激突が始まった。

牙王が斬りかかると、リュウガも下からドラグブレードを振り上げ、

相手の武器を弾き飛ばそうとする。だが、力は互角。

牙王はリュウガの刃をノコギリ状の刃で引っ掛け、動きを止める。

しかし、動けないのは牙王も同じ。動きが見えない鍔迫り合いに痺れを切らした牙王は、

舌打ちすると一歩身を引き、ガオウガッシャーを解放する。

 

そして、今度は斬りつけると同時に、回転蹴りを放つ。

リュウガがドラグブレードで相手の刃を受け止めた瞬間、右脇腹に鈍痛が走った。

牙王が放った丸太のような足が命中したのだ。

 

「ごほっ!!……」

 

リュウガがドラグブレードを落とし、その場で咳き込む。

チャンスと見た牙王はデンガッシャーを真上に掲げる。

刀身が鞘の装置を外れ、装置から放たれるエネルギーで空高く浮遊する。

 

「これが本当のクライマックスって奴だ」

 

そして牙王が今にも金に輝く刀身を振り下ろそうとする。

だが、リュウガが素早くカードをドローし、ブラックドラグバイザーに装填。

 

【STRIKE VENT】

 

リュウガの右手に黒い龍の形をした装備が現れ、

彼のそばに漆黒の龍、ドラグブラッカーが現れた。

 

「はあっ!!」

 

そしてドラグブラッカーが黒く燃え上がる炎を牙王に浴びせた。

攻撃態勢に入っていた牙王は回避が遅れ、黒い炎に包まれる。

 

「がああああ!!」

 

超高熱の炎を浴び、叫び声を上げる牙王。しかし、何か様子がおかしい。

 

「ううっ!ぐあああ!!」

 

牙王の戦いを見ていた龍騎達も異変に気づく。

 

「なんだよあれ……炎が固まってる!」

 

「固体化する炎、か。あれに捕まったら、もがくこともできず焼かれ続けることになる。

食らいたくはないな……!」

 

全身に固体の炎が回った牙王に、ドラグブレードを拾ったリュウガが迫る。

そして、身動きの取れない彼の前で立ち止まると、次の瞬間、刃で薙ぎ払った。

炎もろとも砕け散る牙王。彼もまたホログラフの塵となって消えていった。

 

頼みの綱を失った龍騎達。体を走る痛みが治まったカイザ、イクサが立ち上がり、

リュウガも加わって、今度こそ彼らを始末すべく歩を進める。

少し黙った龍騎はディエンドに話しかける。

 

「なあ、ディエンド。最後になるかもしれないから教えてよ。君の名前は何。

どうしてライダーになったの?」

 

「縁起の悪いことは言わないでくれたまえ。

僕は海東大樹、ライダーになったのは世界中のお宝を手に入れるためさ……君は?」

 

「俺、城戸真司。

ここじゃライダーバトルっていうライダー同士の殺し合いが始まってて、

それを止めるためにライダーになった。

本当!やっぱりライダーが殺し合うなんて間違ってるよな~この状況見ると!」

 

龍騎は無理に明るく笑うと、ドラグバイザーツバイを構え、戦闘態勢を取った。

 

「ああ間違ってる。僕がお宝を目の前に倒れるなんて、さ」

 

ディエンドもディエンドライバーで狙いを定める。再び戦闘が始まろうとしたその時。

 

 

「そう、この世界は間違ってる。そして間違いを正せるのは、その世界の人間だけだ」

 

 

二人が振り向くと、夏美の肩を借りながら、本館から出てくるディケイドの姿を見た。

 

「士……無事だったのか!」

 

「なんだ士、酷いザマだな」

 

「ふん、お前も、似たような、もんだろうが……」

 

そして、ディケイドは自身のヘルムをモチーフにした携帯端末を取り出した。

画面にこれまで旅した世界を守るライダー達のアイコンが並ぶ。

ディケイドは、タッチパネルに指を滑らせた。

 

[KUUGA! AGITO! RYUKI! FAIZ! BLADE! HIBIKI! KABUTO! DEN-O! KIVA!]

 

コール音が鳴り響く。そして、ディケイドのアイコンをタッチ。

 

[FINAL KAMENRIDE]

 

ディケイドライバーのハンドルを開くと、ドライバーの周りに9つの紋章が浮かぶ。

直後、ディケイドのヘルム上部にディケイドのライダーカードが装備される。

アーマ全体のパッションピンクは両肩のラインを残して鋼鉄の鈍色に変わり、

両腕と胸にかけて、9人のライダーカードが収められた

ヒストリーオーナメントが現れた。

 

ディケイドが旅の途中で手に入れた、変身用端末・ケータッチで

コンプリートフォームに変貌を遂げたのだ。

そして、ディケイドライバーを外して右腰に装着し、代わりにケータッチを装填。

 

「士……」

 

初めてその姿を見る龍騎はただただ驚くだけだ。

それは敵も同じだったが、我に返ったイクサが突撃してくる。

 

「二人共、俺を援護しなさい!」

 

ディケイドはケータッチを取り外し、スペードのアイコンをタッチ。

 

[BLADE!]

 

続いてFの文字をタッチ。ケータッチがライダーカードの情報をロードする。

 

[KAMENRIDE...KING!]

 

すると、ヒストリーオーナメントのカードが全てブレイドに切り替わり、

ディケイドのそばに仮面ライダーブレイドキングフォームが現れた。

ディケイドは右腰に装着したディケイドライバーを叩く。

隣のブレイドも全く同じ動作をする。

 

[FINAL ATTACKRIDE...B-B-B-BLADE!]

 

二人とカイザの間に、5枚のラウズカードのホログラフが現れる。

そして、二人が剣を振り下ろすと、斬撃はラウズカードの力を得て、

凄まじい衝撃波となり、イクサに直撃。致命的損傷を与えた。

 

「馬鹿、な……俺は、間違え、ない……」

 

そう言い残した次の瞬間、イクサは爆発し、艦これ世界から消滅した。

戦いはまだ終わらない。次は一撃で倒されたイクサに驚愕するカイザに標的を定める。

 

「よくもやってくれたな。4倍にして返してやるよ!」

 

「君にできるのかな……はっ!」

 

カイザは跳躍してディケイドに飛び蹴りを浴びせようとする。

ディケイドはまたケータッチを手に取り、Φ(ファイ)のアイコンをタッチ。

 

[FAIZ!]

 

またFのアイコンをタッチし、ライダーカードの情報をロードする。

 

[KAMENRIDE...BLASTER!]

 

今度はヒストリーオーナメントのカードが全てファイズに切り替わり、

傍らに仮面ライダーファイズブラスターフォームが現れる。

右腰に装着したディケイドライバーを叩くと、

動作がシンクロしたファイズも同じ動きをする。

 

[FINAL ATTACKRIDE...FA-FA-FA-FAIZ!]

 

ディケイドはライドブッカーのソードの剣先から、ファイズはファイズブラスターから

強烈なビーム砲を放ち、周囲の物体を破壊しながらカイザを薙ぎ払った。

カイザはアーマーごと粉砕され、やはりホログラフの砂と化して消えていった。

 

「俺は……守らなくちゃ、ならない……真理」

 

ディケイドが二度目の変身を果たして、ものの数分で状況が一変。

ただ見守るだけだった龍騎にディケイドが呼びかけた。

 

「城戸、あいつはお前の敵だ!」

 

龍騎は一人になったリュウガを見る。そして、リュウガもこちらを見つめている。

 

「……うん、うまく言えないけど、なんか、そんな気がする」

 

龍騎はカードをドロー、ドラグバイザーツバイに装填。

 

『SWORD VENT』

 

ドラグバイザーツバイに内蔵されたブレードが展開。

その時、リュウガも決着を付けるべく、最後のカードをドロー。

ブラックドラグバイザーに装填した。

 

【FINAL VENT】

 

リュウガはそのままふわりと上空に浮遊し、

ドラグブラッカーが彼の周りを旋回飛行する。

強化されたドラグブレードを両手持ちにして最後の敵に斬りかかろうとする龍騎。

しかし、

 

「待て」

 

士に呼び止められた。

 

「どうしたんだ、いきなり」

 

「あいつは、二人でやるぞ。さっきのを見てただろう」

 

「え……あれ、俺にも出来るの?」

 

「お前の刃には力がある。お前は知っているはずだ、思い出せ」

 

龍騎は手にしたドラグブレードを見る。……なんとなく、わかる気がする。

このブレードから力を感じる。それで、なんで俺に力が与えられたのかも。

 

「やろう、士!」

 

「ラストは派手に飾るぞ!」

 

ディケイドはケータッチを取り外し、龍のアイコンをタッチ。

 

[RYUKI!]

 

最後だ。ディケイドはFのアイコンをタッチ。ロードは必要ない。

本物がそばにいるのだから。

 

[KAMENRIDE...SURVIVE!]

 

ヒストリーオーナメントのカードが全て龍騎に切り替わる。

ディケイドの隣に龍騎が立った。互いに顔を見合わせ、ただ頷く。

そしてディケイドが右腰に装着したディケイドライバーを叩くと

二人の必殺技が発動した。

 

[FINAL ATTACKRIDE...RYU-RYU-RYU-RYUKI!]

 

上空のリュウガが飛び蹴りの姿勢を取り、後方のドラグブラッカーから受けた

暗黒の炎の勢いで、ファイナルベント「ドラゴンライダーキック」を放った。

だが、ディケイドと龍騎は、逃げることなく、右上、左上から刃を振り下ろす。

燃え上がる剣閃がクロスし、2つの炎の塊がリュウガに命中。

後ろのドラグブラッカー共々焼き尽くした。

地面に投げ出され、もはや立つこともできないリュウガ。

 

「何故だ、何故俺を拒む……お前と、俺は、……同じ」

 

リュウガは最後の一言を言い残すと、体内で暴走したエネルギーに耐えきれず、

爆発、消滅した。巨大な爆音が鼓膜を叩き、鎮守府中に響き渡る。

ディケイドと龍騎は、静寂が訪れるのを、じっと待っていた。

 

 

 

一方鳴滝はというと。

 

「あ、ああ……なんということだ!リュウガが、リュウガがやられた!

おのれディケイド!やはりお前は、世界を破壊し尽くす、おぞましい存在だぁぁ!!」

 

叫びながら銀のオーロラの向こうに逃げていった。

 

 

 

そして、鎮守府を封鎖していたオーロラも消え去り、

艦これ世界を襲った異変は無事終息した。それを確認した二人も変身を解く。

真司は笑顔で、士は仏頂面で、互いの健闘を称え合う。

 

「ありがとな、士。俺を助けてくれて。俺だけならやられてた。もう怪我はいいのか?」

 

「いいわけないだろう。あちこち痛くてどの医者にかかればいいのかわからん。

ケータッチにほんの少し残っていた、ファイナルアタックライドの力がなければ、

まだベッドでおネムだったろう」

 

「ああ、じゃあ休まなきゃ!医務室戻ろうよ!肩貸すから」

 

「そういや海東はどこ行ったんだ?いつの間にか消えてたが」

 

「そういえば……どこだ?士が来るちょっと前まではいたんだけど。

良い奴だったよ!あいつも俺、助けてくれたし」

 

「騙されんな。あいつはコソ泥だ。何か取られても知らんぞ」

 

ギィ……バタン!

 

そんな二人の会話を本館の大きなドアが遮った。

 

 

 

 

 

──ミラーワールドΣ(シグマ)

 

 

白の世界。やはり神崎とオーディンは、そこでただ時を過ごしていた。

この世界に時間の概念があればの話だが。

神崎は目を閉じると、何かに耳を澄ますようにしばし集中した。そして目を開く。

 

「……そうか。リュウガが敗れたか。

ライダーバトル初の死者がミラーワールドの存在とは、皮肉な話だ。

だが、これでいい。ようやく歯車は動き出したということだ」

 

「間に合うか、神崎」

 

「間に合わせる。必ず」

 

太陽もないのに明るい空間で、次の一手に考えを巡らす神崎だった。

 

 

 

 

 

──城戸鎮守府

 

 

本館前。あの激闘からしばらく経って、士が全快したこともあり、

光寫眞館のメンバーは再び旅立つことにしたのだ。見送りに出る真司達。

 

「もういいのか、体は」

 

「ああ。これ以上寝ていたら、体が鈍るだけだ」

 

「元気でな、士も、夏美さんも、ユウスケも!」

 

別れを告げる真司。三日月と長門もそれぞれの形で別れを惜しむ。

 

「みなさん、世界を守る旅、どうぞお気をつけて……」

 

「三日月ちゃん、元気でね」

 

「恐らく、二度と会うことは叶わないだろうが……皆、壮健でな」

 

「長門さんもお元気で!」

 

そして彼らは我が家のある西へ去っていく。真司達は、その後ろ姿が見えなくなるまで、

運命のいたずらがもたらした来訪者を見守っていた。

 

 

 

 

 

──光寫眞館

 

 

現像室から出てきた士はため息をついた。

 

「はぁ……」

 

「どうしたんですか、士くん?」

 

「これまでの中で最悪の出来だ」

 

士はテーブルに現像したばかりの写真を放り出した。

そこにはびっしりと0と1が無作為に並んでいた。

 

「ううわ……ピンぼけですらない」

 

「うん、これは機械語だな」

 

横から覗き込んだ栄次郎が解説を始める。

 

「機械語、ですか?」

 

「コンピューターは本来この0と1の組み合わせを読み取って、

様々な計算や処理をおこなっているんだ。

機械語を人間にわかりやすくしたのが

プログラミング言語やパソコンソフトだったりするんだよ」

 

「おじいちゃん、物知りですね」

 

「これって、士が撮った長門さん?

これじゃ、ピンぼけしてるのかどうかもわかんないな」

 

ユウスケも興味深げに謎の写真を覗く。

 

「どのみち、これじゃあ話にならん。次に期待だな。暇つぶしにまた麻雀でもやるか」

 

「へっへっ。そう思って、いつでも打てるように手入れは欠かしてないよ」

 

ドン、と栄次郎が重そうに持ってきた麻雀卓を置くと、

振動で固定が甘いスクリーンのチェーンがジャラジャラと音を立てて回転。

降りてきた真っ白なスクリーンにまた絵画が現れた。

光寫眞館のメンバー皆がその前に立つ。

 

「やれやれ、こいつはまた面倒が起きそうだ」

 

 

 

 

 

──第一浅倉鎮守府

 

 

「じゃあ、お皿下げるわよ、いいわね」

 

「……」

 

足柄は浅倉が食べた昼食のトレーを持って執務室から出ようとした。

しかし、その時違和感を覚える。なにかしら、いつもと違うような……。

キョロキョロと辺りを見回す足柄。そして気づいた。

 

「え、どうして!?どこ行ったの!」

 

壁に埋込むタイプのおかげで、浅倉の八つ当たりから難を逃れている棚。

そこに並べていたはずの勲章が足りない。思わず浅倉に顔を近づけ問い詰める。

 

「ねえ!あそこにあった勲章どこにやったの!?」

 

「……2つあるだろうが」

 

「それじゃない!あんたが貰った一番位の高い甲種勲章!

まさか使ったわけじゃないわよね?

資材が必要になるほどうちは切迫してないっていうより、

あんたろくに艦娘出撃させた試しがないもんね!?」

 

「うるせえ……やった」

 

「やったですって!?誰に?」

 

「どっかの若造だ。盗みに来たっていうから、くれてやった」

 

「そんな、人間がログインしたならシグナルが……じゃない!

なんてことしてくれたの、あんたは!!」

 

「カカカ……お前、言ってたよな、勲章をやるシステムなんかない。

試してみただけだ……」

 

「だからって、本当にあげちゃう馬鹿がどこにいるの!

あれがどれほど貴重なものかわかってるの!?」

 

「クックックッ……」

 

「何がおかしいの!」

 

「お前をからかうのは、戦いの次に面白い……」

 

とうとう足柄がプッチン来てしまった。器がひっくり返るのも構わず、

食器のトレーを引っつかみ、ベコォン!と浅倉を殴った。

もっとも、器は軽いアルミ製で割れる心配はなかったが。

 

「そうだ……!殴れ、俺を殴れ!」

 

「言われなくてもボコボコにしてやるわよ、このアホ提督!馬鹿提督!」

 

その後、ずっと執務室に浅倉の笑い声と、足柄の大声と、

何かがベコベコいう音が続いていたという。

 

 

 

 

 

──次元回廊

 

 

丸まったテレビモニターのように、様々な世界を映し出すトンネルを歩きながら、

海東大樹は、高級サテン生地が施された立派なケースに収められた、

大きな勲章を眺めていた。

 

「使うと莫大な量の鋼材や燃料に変わる不思議な勲章、か……

僕に使い道はないけど、希少価値は高いかな」

 

今回のトレジャーハントに十分納得が行った海東は、パタンとケースを閉じると、

また、別のお宝を求めて異世界の旅へ戻った。

 

こうして、三者三様の騒動は幕を閉じた。

士達は平和と真実を求めて旅を続けるのだろう。

真司達はまた明日からライダーバトルの宿命との戦いに戻るに違いない。

そして彼、海東大樹は、これからも気ままなお宝探しに明け暮れるのだ。

 

 

 

>仮面ライダーリュウガ 消滅

 

 




*召喚されたカイザ達は、元の世界の本人をコピーしたクローン的存在なので、
草加雅人や名護さんが死んだわけじゃないです。
今回も作者のわがままにお付き合い頂きありがとうございました。
あと、結局ユウスケ戦いに出せなくてすみません。
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