私こと新呼称提督は先日昨日つい24時間ほど前にシラヌイなるピンク色の髪を持つ眼光鋭い麗しい少女に剣林弾雨飛び交う狂気の戦場に連れ出されてゲームスタートから現実がフロムソフトウェアに最適化された理不尽極まる新しい人生ゲームを即時即決即断して二人仲良く協力プレイしないと即座にすぐさま即死死亡蘇生不可14へという状況に陥れられた。
14へ。ゲームオーバー。現代そう現在の終着。
その文言にふさわしい、鉄屑の墓場に二人はいた。
誰がどうやったのか知らない知ったことではない知りたくもない。
会社や病院にある大きな食堂で残された残飯をバケツにまとめるような、残飯処理機にかけるために残置したかのような。いやそれは職員がしっかりと確実に職務に忠実であればの話を仮定すればであって、それを放置すればどうなるのかは想像にたやすく。生き物を生きていたものを生命活動を止めたそれらを、どれだけの間ただ只タダ積み重ねていけばどうなるのかということで。控えめに言って肥溜めと表現して差し支えない穴蔵で息を潜めるように二人は生きていた。
毎日『それ』は増えた。
毎日のように『それ』は増えた。
毎日数えられないほど『それ』は増えた。
つまり。
「燃料と弾薬が確保できてしまったな」
「・・・マジですか?」
シラヌイの言葉が思わず乱れる。
ともあれシラヌイの装備は『それ』からの鹵獲品で補うことに成功した。
本人は最後まで嫌がったが、背に腹は代えられず幾らでも互換できる使い捨てし放題の便利な武器庫を手に入れたような感覚を持たせる他ない。
「味方から撃たれないことを保証できないんですが・・・」
「撃ってくるならそれは敵だ」
「そんな無茶苦茶な」
「私は一人、その味方である君も一人。
合わせて二人の孤立無援で奮闘している健気な姿を見て、敵と判断するならばーー」
俗に言う屁理屈と呼ばれるたぐいのものと話題そらし、問題のすり替えを行うことでどうにか納得させた。納得させて、どうにか現状を打破するための鍵を見つけるためふた手に分かれて探索する。捜索する。どちらかというと自らの脳髄を捜索しているような。そもそも味方とは何なのか敵とは何なのかなにを持って味方としなにを持たないから敵とするのか。シラヌイとは?契約とは?ではその味方とは?捜索する。少なくとも一定の時間になると鉄屑を捨てに現れる鈍色をコールタールで塗り潰したような何もかもを塗り潰してやるという怨念じみた執念を感じさせる所作で動き回る化生が味方でないということが理解できる程度で。捜索する。
捜索する。
が。
当然のごとくなにを見つけることも出来ずになんとはなしにそれを手に取る。必要にならないと感じるもの、状況次第では遊戯の補助となりうるもの。そこには子供が遊ぶような喜ぶような玩具の類があって。しかしそれはよく分からないものであった。机を並べた対面に遊戯者が着席し戦術と戦略を競い合う世界で最も流行している机上遊戯の一つであり、紙幣を刷っていると揶揄される類のそれ。
ーーの、ようなもの。黒いだけのカード。
触る眺める踏みつける舐める食べる噛み付く服の中に入れる海水につける掃除道具の代わりにする意味不明な儀式をカード一枚のために行う等など人がその一生でその脳髄に煌めく綺羅星の如く思いつく限りの下らないことを順番に実行して、最終的に黒いカードを血染めにしてやったところで。飽きたのでその辺どっかに放り捨ててやる。
と、ぽちゃん、と海面にうまいこと界面上に屹立し、光り輝き、煌き、それは生命の誕生の瞬間のキセキを目の当たりにしているような。
閃光。そしてーー
「なのですwwwwww」
「えっ」
「なにすっとぼけた顔してやがるなのですwwwwwお前が呼んだんだろなのですwwww」
「えっ?」
「ちょwwwwこいつなにも分かってやがらねぇなのですwwwwww
なのですwwwwなのですwwwwwwなのですwwwwwwwwwww」
間違いなくその瞬間になるまでその場所にいなかったシラヌイにも見目劣らぬ容姿の年端もいかぬ少女がその外見に似つかわしくない嗤い声を上げて喜んでいた。
傑作だ。痛快だ。快刀乱麻だ。
目茶目茶で破茶目茶で苦茶苦茶なのが可怪しくてたまらないと。嗤い続ける。それは今の状況を笑っているようであり、自分自身に対して嗤っているようであり、そのまなこに映る相対するものを藁っているかのようであった。そのうち余りにもツボにはまったのかお腹を両手で抑えて「なのですwwwwなのですwwwwなのですぅううううううううwwwwwwがほごほっげっほっ!」むせた。
そしてようやく正気になった様子でこちらを見る。
歪んだ笑みを顔いっぱいに浮かべながら、その眼は全く笑っておらず。
「まぁいいなのです、契約するなのですか?」
「ーーきみも、そうなのか?」
「それだけでも、おまえがなにも知らないということは充分に理解したなのです」
「なにも、そうだ。なにも知らないとも」
「どの口でそれを、といいたいところなのですが…」
「ーー?」
この少女は何か思うところがあり、何かをあえて言わずに確認を取っているかのような手順を踏みながら、何も分かっていないとようやく確信した様子で。「信じられねぇなのです…」と頭を一通り抱えた後に「いかづち」「私の名前はいかづち」「天よりきたるもの」「宙よりそそがれる光」
「これより提督の麾下にはいってやるなのですwwww」
今度は満面の笑みを浮かべると、(勝手に)ケイヤクを結ばされた。
プラズマを書こうとしたら知性派でっていうにしか出来なかった…