この話は自分のお気に入りでもありますのでどれだけ時間がかかっても何とかして完結させたいです!
それでは約一年半越しの32話をどうぞ!
魔法城 城下町 商業区のとある一角。
ひっそりとたたずむ…いや、佇んでいた喫茶店…
例のごとく木っ端微塵になり影も形もない。
そこに4体の魔物+2の姿。
「ふぅ〜久々にスッキリしました☆」
とても爽やかな笑顔の天使、サリエル
その対である悪魔というと
「………」
サリエル渾身の一撃が腹に着弾し白目でぶっ倒れている
そして、その他魔物はというと…
4人中2人サキュバスの店員とサリーは気絶、エリスは目を見開き、力無く崩れ落ちている。
もう1人ユーは、目を輝かせ爆心地に興味津々だった。
と、状況を確認したのだが、とても大事な事を忘れてはいないだろうか。
この状況を見て違和感を持った人がいるなら相当熱心な読者様だろう。
まぁ、なんだ。主人公がいないのだ。
「おらぁぁ!サリエルお前ぇぇ!俺が死んでんじゃねぇか!」
「あ、サトシさんご無事で何よりです。サトシさんだけ守護魔法を付け忘れていたので♪」
「ご無事じゃねぇよ!無事に見えるのはデスベホマのお陰だよ!それと、この状況の何処がご無事なんだよ!」
サリエルが辺りを見渡し…指を鳴らす。
数秒後木っ端微塵になっていた喫茶店が元に戻る。
「………は?」
「辺りの状況?はて、なんのことでしょうか」
「デタラメもいい加減にしろよコノヤロー…」
「さて、そろそろ狸寝入りはやめにしませんか?暇で仕方ありません」
「相変わらずむちゃくちゃしやがるなぁ天使ってもんわ…
まぁだからこそ…倒し甲斐があるってもんよ。
我が名はアモン 七悪魔の1柱 強欲を司る悪魔だ。邪魔する奴らは全員消し飛ばしてやるわぁぁ!」
おっちゃん…もといアモンは自分の名前を叫びながら姿形を見る見るうちに変えていく。
原型が人型なのは分からなくないがそれはまさにクトゥルフの如き異形である。
「さすがは悪魔、思考回路が醜ければ見た目も醜いようですね
ほんと、あなた方は視界に入れるだけで極めて不快です。」
初めてサリエルから害意や敵意、悪意のようなものが感じられた。
瞬間、天使と悪魔の双方の体が消えちょうどその間の中心で高速で飛翔する物体がぶつかり合う
ぶつかった衝撃でサリエルの体が後ろに傾く。
サリエルがノックバックしたのを見てさらに右ストレートを繰り出すが、サリエルはそれを待っていたかのように腕を掴みそのまま床に叩きつける。
すぐに受け身を取り反撃を試みるが、無理な体勢からの攻撃はあっさりといなされカウンターを受けてしまう。
「そう来なくては面白くありません♪」
「そんな余裕こいてられんのも今のうちだぞ?」
お互いに一旦距離を取り睨み合う。
「なんだよ…これ」
「す、凄い…」
一連の攻防を見ていたサトシたちはただただ固まって凄まじい戦いを見ていることしか出来なかった。
「さて、そろそろ手加減はなしだ」
そう言うとアモンの体の横に黒い塊が現れる。
そして、それは大剣にみるみると形を変えていく。
それを見たサリエルも上空に手を掲げるとその手に白く輝く大きな鎌が出現する。
「大鎌とはまた天使という名の死神だな」
「ただただ大きい剣を振り回しているだけでは勝てないと思いますがねぇ」
お互い皮肉を言いながらながらガンを飛ばし合う。
先に動いたのはサリエル。
地面を軽く蹴るやいなや光速で懐まで詰め寄る。
が、アモンは待っていたかのようにサリエルが来るタイミングで大剣を振り回す。
サリエルがこれを鎌でいなしそのまま反撃に移る。
アモンは目の前に迫る鎌を避けられないと判断し柄の部分を片手で受け止める。しかし、サリエルは鎌を防がれることを予想し鎌から既に手を離し渾身の拳がアモンのみぞおちに入る。
吹き飛ばされたアモンをそのまま追いかけ追撃。
そこからはかなり悲惨だった。
1度崩れた均衡は戻ることなくサリエルの圧倒的優位のまま一方的な展開が繰り広げられる。
が、
「っっっっ!!」
突如、形勢が逆転する。
猛威を振るっていたサリエルの連撃が一瞬だけ止まったのだ。
そのすきを見てアモンが瞬時に大剣を振り回す。
「全ては…あの方の、、ために…」
床に突っ伏しているサキュバスが最後の力を振り絞り行動阻害魔法を放ったのだ。しかしそれはとても微弱なものだったが、サリエルに隙を作るのには長過ぎる時間だった。
サリエルはなんとか体勢を持ち直したが一度始まってしまったアモンの連撃を止められるはずもなくただいなすことしかできなかった。
しかし、そんな圧倒的不利な状況にも関わらずサリエルは額に汗を浮かべ悪戯が成功したかのような意地の悪い笑みを浮かべている。
突然、パンッという破裂音と共に網膜を焼く光がその場にいる全員に襲いかかる。
「サリエル〜何してんのさ〜」
「さすがは死神w鈍臭いなww」
「センパ〜イ大丈夫ですか〜?助けに来ましたよ〜!」
眩しすぎる光の中から聞きなれない声が聞こえる。
視界が少しずつ戻る。しかし、少しずつ見えてくる光景がどう見ても自分の知っているものではなかった。
魔王城以外は全て荒れ果てた荒野になっており、上空には羽根の生えた女性が3人、宙を舞っている。
「来るの遅くないですか?」
「そんな急に言われてもすぐに行けないよ!私達だって忙しいんだから!」
「忙しいって…どうせ空で遊んでるだけでしょう…」
「ま、まぁ、センパイ、無事で何よりです。」
「もう!そんな感動的な再会のシーンとか要らないからチャッチャと倒してチャッチャと帰るよ!」
「で?どいつ?悪魔ってのはお前か?」
あまりの衝撃に三人の天使を口を開け見上げている俺を指していた
「へ?えっ、ち、違う違う!俺はただのリビングデッドだから!」
「まぁ、とりあえず殺してみたらわかるか」
サトシの全力の否定を無視して近寄ってくる。
「カミエル!!」
サリエルが声を張り上げる静止させる。
「天使という立場でありながら彼に手を出すことがどういうことか分かっていますよね?」
「分かってるって、冗談だよ冗談」
少しどんよりした真面目な雰囲気だったが我慢出来ずある言葉が零れる。
「え、、ほんの数分前に天使に殺された気がするんだが…」
「あれは、、、事故です。」
「いや、俺だけ守護魔法かけ忘れてたんじゃなかったっけ!?」
「……わ、私はいいんです!誰が転生させてあげたと思ってるんですか!」
(ひ、開き直ったァァァ!)
顔を赤らめ息を荒らげて暴論を突きつけるサリエルに向かってる 後ろにいた天使も話しかける
「で?サリーこいつをどうすればいいの?」
純粋無垢な笑顔を浮かべグッタリとしたアモンの首根っこを掴みながら…
「牢獄にでもぶち込んでおいてください」
「りょーかい、んじゃ帰るね〜」
少し面倒な仕事が終わった程度のノリで軽く話している。
「ええ、お疲れ、ありがとう。ラシエル」
「同期の頼みなんだから当たり前でしょ〜」
「助かるわ」
サトシたちの理解が追いつかないまま天使達は光の中へと消えていった。
「さて、これにて一件落着ですね♪ご協力ありがとうございます」
「いや、いいんだけど、、」
呆気なさすぎる終わり方に一同動揺を隠せずにいる
「さて、私もこれで仕事終わりですので帰らせていただきますね♪
あ〜久しぶりに働いたな〜!もう当分働きたくな〜い!家でゲームしてゴロゴロしよ〜!」
サリエルはぐーっと背伸びをして空へ飛び立ち、光の中へ消えてしまった。
「あ、」
「ん?」
「あ、街の修復忘れてた…まいっか♪」
「あいつ街めちゃくちゃにしといて逃げやがったぁぁぁぁぁ!!」
叫ぶサトシと嘲笑うサリエルを除いたその場にいた全員がしばらく唖然としていた。
ご閲覧誠にありがとうございました!
本当に久しぶりのため投稿するのがかなり緊張しておりますがご拝読頂けのであれば幸いでございます!
これからもどれだけの時間がかかるか本人もわかっておりませんが完結させるまで終わる気は毛頭ございませんので是非また見てください!