ISを動かした幼馴染に巻き込まれる話 作:帝国過激団
誤字直しときました。 またやらかしたよこいつ…
翌週、俺はオルコットさんとの対決の日を迎え、一夏、箒ちゃんとともに第三アリーナのAピットにいる。
そして現在、先に試合を予定していた一夏のISがまだ届かないまま、予定の時刻を迎えようとしている。
「なあ、箒。」
「なんだ、一夏。」
一夏が箒に話しかけ、箒は一夏の方をむきながら答える。
「気のせいかもしれないんだが。」
「そうか。 気のせいだろう。」
あっ、これ… 箒ちゃんなんかやったのか…
「ISのことを教えてくれる話はどうなったんだ?」
「………………」
「目 を そ ら す な。」
そう、この一週間、一夏と箒は剣道しかやってなかったそうだ…
「し、仕方がないだろう。 お前のISもなかったのだから!」
まあ、そのとおりで、この一週間一夏はISに乗ることが出来なかった。
というのも、まずアリーナの予約が埋まっていたし、そもそも訓練機の貸し出しのために数十枚の書類を書いて提出しなければいけないのだ。
「まあ、そうだけどーーー じゃない! 知識とか基本的なこととか、あっただろ!」
「………………」
「目 を そ ら す な っ。」
目を逸らしながら無視する箒ちゃん、いやおい一夏、自分でなんとかする努力もしとけよ…
「鉄平は何してたんだ?」
「あ? 俺は春休み中にアリーナの使用許可とって、専用機動かしてた。」
「あれ? 鉄平も専用機持ってるのか?」
「ああ… つっても、ラファール・リヴァイヴに塗装して、
まあ盾にパイルバンカーやシュトゥルム・パンツァー仕込んでもいるが、切り札は言わないものだ。
「お、織斑くん織斑くん織斑くんっ!」
3度も一夏の名を呼びながらピットに駆け込んできたのは山田先生だ。
転びそうでハラハラするなこの人…
「山田先生、落ち着いてください。 はい、深呼吸。」
「は、はいっ。 す〜〜は〜〜、す〜〜は〜〜。」
「はい、そこで止めて。」
「うっ。」
一夏の言葉に、本気で息を止める山田先生。
酸欠で顔がどんどん赤くなっていく。
「やめろバカ。」
スパァァン、と織斑先生にはかなわないが、俺の手が一夏の頭を叩いていい音を鳴らした。
「…ぶはあっ! ま、まだですかぁ?」
そして次の瞬間、破裂するような打撃音。
そう、我らが帝王織斑千冬先生である。
「目上の人間には敬意を払え、馬鹿者。」
「千冬姉…」
-パァンッ!-
もう一度、打撃音が響く。
「織斑先生と呼べ、学習しろ。 さもなくば死ね。」
それが教職員の言葉ですか…?
貴方そのせいで彼氏がいなーーー
「ふん、馬鹿な弟と喧嘩ばかりのその友人にかける手間暇がなくなれば、見合いでも結婚でもすぐできるさ。」
その喧嘩ばかりの友人って誰のことですかね?
全く見当がつかない。
「お前だ馬鹿者。」
「織斑先生、俺は自分から喧嘩をふっかけたことは一度もありませんよ?」
「その代わり相手から喧嘩を売ってくるのを待っている訳だ。」
グゥの音も出ない、見透かされてんな。
「そ、そ、それでですねっ! 来ました! 織斑くんの専用IS!」
「よし、んじゃ俺が先出るわ。」
「え? ISは届いたぞ?」
「成る程、初期状態のISで戦うなんてさすが一夏さんだな。」
「あ…」
今来たばかりの機体ではフォーマットもフィッティングも済まされていないだろう。
「ま、出来る限り時間は稼ぐわ、その間に済ましとけ。」
「あ、ありがとうございます…」
「ん。」
一夏に向けて右手を掲げると、一夏も右手を持ち上げ、パァンと音を鳴らす。
「じゃあ行ってくるわ。」
「おう、頑張れ!」
一夏の激励を背中で受け止め、ラファール・リヴァイヴをまとってカタパルトに立つ。
「うし、浅間鉄平、浅間鉄平専用ラファール・リヴァイヴ行ってきます。」
段々と機体は加速し、フィールドに飛び出る。
そこには青いISを纏ったオルコットさんがいた。
ブルー・ティアーズ、イギリスの最新技術を駆使して作られた専用機か。
「あら? 先鋒は織斑さんでは? もしやわたくしを恐れてお逃げになられたのですか?」
「うんにゃ、専用機届くのが遅れてな。 俺が戦っている間に出来る限りフォーマットとフィッティングを済ませるってことで俺が出てきた。」
「専用機といえば… あなたのそれは量産機のようですが、ただの量産機でわたくしに勝てると思って?」
「さあな。 勝てるかどうかはわからんが出来る限り足掻いてやろう。」
「では、最後のチャンスをあげますわ。」
「へえ、チャンスっつうと?」
「わたくしが一方的な勝利を得るのは自明の理。 ですから、ボロボロの惨めな姿を晒したくなければ、今ここで謝るというのなら、許してあげないこともなくってよ?」
その言葉とともに、俺のISからロックオンアラートが流れる。
この選択で否定をすれば射撃、か…
上等じゃねえか!
右手に対艦ライフル、左手にデザートイーグルを呼び出す。
「ボロボロにされるよりもここで謝ると方がよっぽど惨めなのさ。 誇りを掲げる英国淑女ならわかってくれるだろう?」
「勇気と無謀を履き違えておいででは?」
「ならば無謀のままに戦ってみせるさ、
ーー警告、敵IS射撃体勢に移行。 トリガー確認、初弾エネルギー装填。
「英国淑女は随分と野蛮なようで!」
キュインッ!という音とともに放たれる青い閃光を避けながら前に飛ぶ。
距離は50mほど、十分射程圏内だ。
-バァン! バァン!-
デザートイーグルから二発、実体弾を撃つ。
オルコットさんはそれを避け、後ろに引きながら再度ビーム兵器を放つ。
「流石に避けられるか。」
「さあ、踊りなさい! わかくし、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる、円舞曲で!」
「悪いがダンスは踊れねえんだわ! だからこっちの
何発も放たれるビームを避け、対艦ライフルを放つ。
銃口の先から炎とともに巨大な銃弾が放たれ、オルコットさんへ飛んでいく。
オルコットさんは回避起動をとるため、大きく左手へ飛ぶ。
好機!
-バァン! バァン! バァン!-
デザートイーグルを三発、うち二発がオルコットさんに命中する。
肩に一つ、足に一つ、大したSEは削れていないだろう。
ーーーどうする? 一夏のために回避に徹するか? それとも倒しちまうか?
「織斑先生! 一夏のフォーマットとフィッティングは後どれぐらいかかりますか!?」
『少なく見積もって10分だ。 出来る限り時間を稼いでくれると助かる。』
織斑先生に通信をつなぐとそう答えが返ってくる。
「了解!」
体勢を立て直したオルコットさんの射撃を避け、後退する。
「それなりにはやるようですわね… こちらも少し、本気を出して差し上げましょう!」
オルコットさんの背から、四つの青いビットが飛び出す。
ブルー・ティアーズ、イギリスの特殊兵器だ。
機体名と同じとややこしい名だが、このブルー・ティアーズを積んだ実戦投入の一号機なのでその名が付けられている。
「さて… 10分でも1時間でも持ちこたえてやろう!」
ビットが撃ったビームが全方位から襲い掛かってくる。
ハイパーセンサーにより全方位を見渡せる状態では、それらを避けるのはそこまで難しくない。
一夏のフォーマットとフィッティングが終わり次第反撃に移ろう!
☆★☆
「ハア… ハア… なんで、なんで当たりませんの!?」
何十回目かの一斉射撃を回避する。
避けるだけならば簡単だ。
『浅間! 織斑のフォーマットとフィッティングが終わった。』
「そいつは朗報だ!」
全方位射撃を回避し、前方に飛び出す。
「なっ!」
狙うはビットだ。 あれらがあっては邪魔で攻勢に移れない。
俺から逃れるためにビームを撃つビットの一つにデザートイーグルの銃弾を叩き込む。
ビットは少し落下したのちに爆発した。
「なっ、ブルー・ティアーズが!?」
狼狽えるオルコットさんを尻目に、二つ目に移る。
どうやら、このビットは逐一オルコットさんが集中して命令をしない限り、動けないようだ。 しかも命令をしている時はオルコットさんは動けない。
近場のビットに狙いを定め、対艦ライフルの引き金を引く。
-ズガァン!-
次の瞬間、ビットが吹き飛んだ。
「くっ、戻りなさい! ブルー・ティアーズ!」
オルコットさんの命令に従い、残り二機のブルー・ティアーズがオルコットさんの元に戻る。
俺は右手をヒートホーク、左手をルイス軽機関銃に持ち替え、前方へ飛ぶ。
放たれる青いビームを体を捻って避け、ルイス軽機関銃の引き金を引く。
「くっ…」
オルコットさんは射撃から逃れるために右側に飛び始める。
それを追いかけながら射撃を続け、弾が切れたタイミングで対艦ライフルに持ち帰る。
「?」
オルコットさんが振り返り、こちらにライフルを構える。
そのライフルから放たれる射撃を避け、対艦ライフルを構えた瞬間。
ーーー笑った…?
オルコットさんが笑みを漏らした。 勝利を確信した、といった笑みを。
「ブルー・ティアーズは六機ありましてよ!」
先ほど仕留めそこなった二機が飛び出し、スカート状のアーマーの突起が外れ、こちらを向く。
そこから放たれたのは… ミサイルだ。
まずい、回避だ。
一旦前進に回しているエネルギーを切り、スラスターに集中させる、間に合え、間に合わせろ!!
ミサイルがISの装甲に触れる直前、あと0.1秒でもあればミサイルが直撃していたタイミングで、機体が殺人的な加速で背後に飛ぶ。
「ぐ…」
無理な軌道をした負担で、体から軋む音が聞こえる。
しかし、ラファール・リヴァイヴはミサイルのスピードを超えた。
「い、イグニッション・ブースト!?」
後退にエネルギーを回しながら、対艦ライフルを構える。
ーーーその驚いた面、打ち抜かせてもらうぜ?
言葉に出たか、心の中でだけ思ったことかはわからない。
アイアンサイトの先にオルコットさんの顔を捉えて、躊躇なく引き金を引く。
同時に、左手のヒートホークをミサイルに投げつける。
バレルの先が炎を噴き、銃弾が発射される。
それは、風を切って回転しながらオルコットさんの顔に進んで行き、回避のために右へ飛ぼうとする彼女の頭に直撃した。
「なっ!?」
同時にミサイルの1つが投げられたヒートホークにより二つに割れ、同時に爆発する。
もう1つのミサイルを対艦ライフルを持ち替えてストックで殴って爆発させて、再度
「い、インターセプター!」
オルコットさんが近接用のブレードを実体化させ、迎え撃ってくるが、対艦ライフルを盾にして防ぐ。
「隠し玉ぁ持ってんのはーーー」
シールドの装甲が弾けとび、両方のシールドについた
「ーーーお前だけじゃあねえんだよ!」
オルコットさんの首を右手で掴み、同時に
「くっ… わたくしは… まだ…!!」
インターセプターの攻撃を腹に受けるが、大したダメージはない。
手を離さず、攻撃を続けーーー
《試合終了。 浅間鉄平くんの勝利です!》
ーーーアリーナに山田先生の放送が響いた。
オルコットさんの首を離し、地面に戻る。
試合が終わったことで素に戻った俺は、急にさっきまでのセリフがこっぱずかしくなってきた。
「あー、オルコットさん、すまなかった。」
「…構いませんわ。」
「そ、そうか… 怒ってる?」
「いえ、怒ってなど… いませんわ。」
まずい、煽りにとられたか?
…ああもういい! ピットに帰ろう!
「んじゃ、また後で。」
「ええ、また、後で。」
ISを再び飛ばしてAピットに戻る。 オルコットさんも向かい側のBピットに帰って行った。
「終わりましたよ、織斑先生。」
「ふむ… まあ、及第点だろう。」
「えー… 直撃は一度も受けてないんですが?」
「それでも数度掠っただろうが。」
「返す言葉も無い…」
俺を迎え入れたのは織斑先生のスパルタンなお言葉だった。
これだけやって及第点ってお前…
「だがまあ… よくやったな、鉄平。」
「ええ、やってやりましたよ、ちーさん。」
ちーさんが差し出す拳に、ISを解除してコツン、と拳を合わせて答える。
「凄えな鉄平! 勝っちまうなんて!」
「ああ、まあな。 んで、次はお前の番だ。 頑張ってこいよ。」
「あ、ああ。 そうなんだが…」
「どうした? なんかあったのか?」
ISに不備でもあったのか、一夏は浮かない顔をしている。
「それが… 俺のIS、白式っていうんだけど… ブレード以外の武装が無いんだよ。」
「…逝ってこい。」
一夏の肩にポン、と手を置いてもう片方の手でサムズアップしながら言う。
いや、スナイパー機に対して近接オンリーとかそれなんて無理ゲー…
「…まあ、出来る限り足掻いてみせるさ。」
「おう、行ってこい。」
一夏の戦闘!? カットに決まってんだるぉ? 原作通りだよ、寧ろそれより酷いよ! 慢心がなくなったオルコットさんにフルボッコだドン!