ISを動かした幼馴染に巻き込まれる話 作:帝国過激団
俺がISを動かしてしまった翌日。
昨日と同じでネットサーフィンの後、身だしなみを整え家の外に出た俺は、大量のマスコミに囲まれていた。
「あっ! 出てきたぞ!!」
「カメラ回せカメラ!」
「浅間さん! 今のお気持ちは!?」
お気持ち? 最悪に決まってんだろハゲ。
そう言う前に扉をバタンと閉め、リビングに戻り学校に電話をかける。
『はい、もしもし。』
「すんません。 3-1の浅間ですが泉谷先生はいらっしゃいますか?」
『わかった。 すぐ変わるから待ってろ。』
すぐに電話に応答があり、出たのは体育教諭の沢宮先生だった。
担任である泉谷先生を出して欲しいと言ったら、ちょうど職員室にいたようですぐに変わってくれた。
『おう、変わったぞ浅間。 んで、どうしたんだ?』
「助けてください、家の外に大量のマスコミが居て出られません。」
『ちょっと待ってろ… うわっ。』
しばしの沈黙の後、泉谷先生が声を上げる。
何を見ているのだろうか?
『テレビつけてみろ、ニュースなら何でも構わん。』
そう言われて、テレビをつけてみると…
「ふぁ!? 俺の家ですやん! え? 何あいつら傍迷惑なことしてくれてんの!?」
映っているのは俺の家と、大量のマスコミであった。
うん、問題を起こした政治家の気分。
『全国のお茶の間に生放送されているらしい… ひとまず警察を呼んで追っ払って貰え。 特例ってことで遅刻にはカウントしない。』
「ありがとうございます!」
先生に礼を言い、電話を切る。
つぎに110と電話機に打ち込み、警察に電話を掛ける。
『はい、こちら横浜警察。 事故ですか? 事件ですか?』
「事件です! 家が大量のマスコミに囲まれてるんです! 助けてください、住所は---」
♧♣︎♧
住所を伝えると、程なくして二台のパトカーがやってきて、中から出てきた男性の警官がマスコミを散らした。
本当マジありがとうございます。
「大変だったね。 学校まで送ろうか?」
遠慮しようかと思ったが、マスコミがまだそこら中に溜まっている可能性がある。
確かに、このまま1人で行ってはまた捕まるだろう。
「よ、良ければお願いします。」
「うん、じゃあ乗って。」
若い警察官の人は笑顔で、パトカーのドアを開けてくれた。
うん、なんかこう… パトカーの後部座席に乗るのって複雑だね。
前に職業体験で乗ったことはあるけどさ。
数分ほどパトカーに乗っていたら、俺の通っている学校の前に着いた。
降りようとするとドアが開かなかったが、若い警察官の人が外から開けてくれた。
「災難だったねぇ。 きみ、2人目の男性IS操縦者の子でしょ?
「あ、はい。 そうです。」
「ふふ、じゃあ頑張って、女尊男卑をちょっとでも弱めてくれ。 じゃあ。」
敬礼をする警察官の人に感謝の言葉とともに深く礼をして、回れ右して校門をくぐる。
やばい、もう遅刻だ。
出来るだけ急いで階段を上り、教室の扉を開ける。
「おはよう… ございます…」
教室では、1時間目の学活が始まっていて、球技大会のチーム分けなどを話し合っていた。
泉谷先生から話は聞いていたようで、俺に同情するような目を向けている奴が多い。
「よ、鉄平。 大変だったな。」
相応が俺の肩に手を置いて言う。
「ああ、本当もう大変だ。 日本のマスコミは腐ってやがる! そして警察官万歳!」
☆♣︎☆
受験後の授業である、レクや校内清掃や卒業式練習を終えた俺は、軽い鞄を背負って、一夏と談笑しながら校門に向けて歩いていた。
「ん? あの車はちーさんのじゃねえか?」
校門の前の道路に、昨日も乗ったちーさんの車があった。
その運転席の窓からはちーさんが顔を覗かせている。
「来たか鉄平、一夏。 ちょっと来い。」
ちーさんに呼ばれて、一夏と共に車のそばに行く。
「鉄平、お前しばらくはうちで暮らせ。」
「へ?」
素っ頓狂な声を上げた後、考える。
ああ、なるほど。 一夏は特に問題なく登校できたって言ってたな。
つまり、ブリュンヒルデたるちーさんのそばにいればマスコミも迂闊に手を出せないわけか。
「その通りだ。 さあ乗れ。」
考えたことを伝えると、肯定と共に急かされた。
一夏と共に車に乗り込む。
「ああ、一度、お前の家の前で止めるから荷物はその時に持っていく。」
「あ、はい。 わかりました。」
♤♣︎♤
「あー、必要なのは洋服と… 貯金箱と… パソコンと…」
家の中にある生活必需品たちを思い浮かべて、回収していく。
特にパソコンは大切、これがなきゃ死ぬ。
そんな時に、押入れの戸を開けるちーさんが見えた。
「ちょっとちーさん何してるんですか!? ストップ、ストーップ!! 男子中学生の押入れはマジでやばいから!!」
「ほう、何がやばいというのだ? もしやいかがわしい本でも隠し持っているのか?」
ニヤリと笑いながら問い掛けてくるちーさん。
俺にちーさんを止めることなどできず、ついには奥の段ボールが見つかってしまった。
「ちょ、一夏! 早くこの人止めろ!」
「あははー、ちょっとそれは無理だな。」
苦笑いをする一夏に助けを求めるが、応じてくれない。
クソ! この世に神はいないのか!?
「ほう、こう言う趣味だったか…」
「ストーーーップ!!!」
最終的に、いけない御本をちーさんに掘り起こされて、引越しの作業が進むのはかなり後になった…
♣︎♧♣︎
「うう… ひどいですよちーさん…」
引越しの作業を終え、俺は今織斑家にいる。
ここからしばらく、具体的には卒業式まではここで暮らすそうだ。
織斑家よりも安全という理由で、卒業式が終わったらIS学園の寮に他の生徒よりも早く入れるらしい。
「昔から千冬姉はああいう人だから…」
「そうだったな、傍若無人で冷却非道。 それこそが織斑千ふ…」
ここまで言ったところで、背後に凄まじい気配を感じた。
ち、千冬さん。 IS学園に帰った筈じゃ!?
「残念だったなぁ… トリックだよ…」
元ネタよりはるかに絶望的な台詞だ。
ちょ、止めて。 背後に般若らしきものが見えるから。
スタンドにでも目覚めたの? つまりそれが見える俺もスタンド使い?
なるほど、スタンド使い同士は惹かれ合う運命に---
-パァン!-
ちーさんの見事な張手が俺の頭部に決まる。
そんじょそこらの芸人よりもはるかにいい音が鳴り響く。
そして…
「いってぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
滅茶苦茶痛い。 そうだ、この人IS着てなくても世界一級だった。
♢♦︎♢
早いもので、既に俺たち三年生は卒業式を迎えていた。
在校生の作る花道を歩き、式の行われた体育館を出る。
ザワザワと騒々しい他の生徒たちの中、この騒がしさも終わりかと思うと若干の寂しさを感じる。
「お前らはIS学園行きだろ? いいなぁ、ハーレム。」
相応がそう呟くと、周りも騒ぎ出す。
やっぱりもうこんな五月蝿いのはいらねぇ!!
「変われるもんなら変わりてえよ、俺、今日からIS学園行きだぜ?」
「じゃあ変わってくれよ!」
「無茶言うなハゲ。」
「ハゲてねーし!」
馬鹿どもに別れを告げて、一夏と共に帰る。
さて、今日から俺はIS学園の寮で暮らすわけだ。
全くもって面倒臭い…
「それにしても… IS学園か…」
「ああ、本当に行きたくねえ。 なんで俺たちを女子校にぶち込むんだ…」
ただ一つだけ、IS学園に行くに当たって楽しみなこともあるんだがな…