ISを動かした幼馴染に巻き込まれる話   作:帝国過激団

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主人公君はめちゃくちゃ目つきが悪くて背が高いです。
髪は黒で、適当に目に触れない程度に切っているので余計怖いです。


#4

「鉄平、本当に行っちゃうの?」

 

「ああ、IS動かしちまったからなぁ… まあ、休みに外出許可を取れたら会いに来る。」

 

 今俺が話しているのは、赤い髪に紫のバンダナをした一つ年下の超絶美少女、彼女の蘭だ。

 IS学園行きの電車に乗る前に、彼女の家に最後の挨拶に来た。

 

「私、絶対IS学園合格するから!」

 

「おう、一緒に高校通うの、楽しみにしてるぞ。」

 

 精一杯の笑顔でそう言うと、蘭は俺の胸元に抱きついてきた。

 蘭も身長が低い訳ではないが、俺はそれなりに背があるためこれぐらいになる。

 

「せめて… 鉄平分の補充を…」

 

「んじゃ俺も補充しとこう。」

 

 そのまましばらく抱き合っていると、部屋のドアを開けて弾が入ってきた。

 

「ヒュー、お熱いねぇ。」

 

「うおっ!?」

 

「ひゃっ!?」

 

 お互い、驚いて距離をとった。

 ノックをしろよノックを!!

 

「だってノックしたら2人とも止めちゃうだろ? 折角茶化しに来たんだからな!」

 

 ドヤ顔とともに高笑いをする弾の顔を殴り飛ばしたくなるが、我慢だ。

 代わりに蘭が殴り飛ばしたからな。

 

「も、もう! 勝手に入って来ないで!!」

 

「いってぇ! 相変わらず容赦ねえなぁお前!」

 

「そっちが悪い!」

 

 口喧嘩を始める蘭と弾。

 そして一通り話して満足したのか、弾がこちらを向いて言う。

 

「まあ、鉄平。 俺も一応幼馴染なんだ、別れの挨拶ぐらいさせろ。」

 

「おう、あばよお兄様。」

 

「ああ、行ってこい弟。」

 

 蘭と弾に挨拶も済ませたし、もう行くか。

 

「んじゃ、行ってくるよ。 休みがあれば来るから、またな。」

 

「うん! またね!」

 

「おう、またな。」

 

 2人に別れを告げ、五反田家のから出る。

 

「鉄平! 頑張ってね!」

 

「…おう!!」

 

 玄関の外まで見送りに来てくれた蘭と弾に手を振り、今度こそ別れを告げる。

 そのまま駅まで歩き、IS学園のモノレール乗り場行きの電車に乗る。

 近くに優先席も無いようなので、携帯を弄っていることにしよう。

 

 ♤♠︎♤

 

「おお。」

 

 モノレール乗り場から見えるIS学園に、思わず感嘆の声を出してしまう。

 一度来たことはあるが、あの時は暗かった。

 もちろん、それでも圧倒的な存在感を放ってはいたが、やはり太陽が昇っている時間だと違う。

 

 遠くに見えるIS学園を眺めていると、モノレールがついた。

 そのモノレールに乗り込み、今度は携帯を取り出さずに、だんだんと近づいて来るIS学園を眺めていた。

 モノレールがIS学園に到着し、動きが止まる。

 開いたドアから外にでると、予めちーさんに渡されていた地図を見て寮の方に歩き出す。

 世界中の生徒が集まって来るのだから、当然校舎は途轍もなく大きい。

 

 島の中心あたりにあるモノレールの駅から、島の端の方にある寮に行くにはかなり時間がかかりそうだ。

 景観を楽しみながら歩いていると、寮に着いた。

 幸いなことに上級生に見つかることはなかった。

 

 寮の自動ドアを潜ると、そこには黒いレディーススーツを来たちーさんがいた。

 

「こんちは、ちーさん。 やっぱそのスーツ似合ってますね。」

 

「そうか、ありがとう。 早かったな、鉄平。 部屋に案内する、ついてきてくれ。」

 

 踵を返して歩き出すちーさんに後ろから付いて行き、何階か階段を上る。

 

「ここの部屋だ。」

 

 ちーさんが一つの部屋の前で立ち止まり、俺に鍵を渡してくる。

 鍵を受け取って、部屋の扉を開けてみる。

 

「おお…」

 

「中々に広いだろう? 入学式にはペアの者もこの部屋に入るから綺麗に使うように。 それと部屋のものは壊すなよ?」

 

「当たり前ですよ、しかし本当に広いですね。」

 

「私も当初は驚いた。 流石はIS学園とな。」

 

 この人でも驚くことがあるのか?

 と心の中で思った瞬間、後ろからパンと頭を叩かれた。

 流石はブリュンヒルデ、読心術まで使えるのだろうか?

 

「私も人間だ、驚きもする。」

 

「いや、本当なんでわかるんですか… ところで今のちょっと背伸びして頭叩くの、本当に可愛かったのでもう一回やってくれませんか?」

 

 冗談のつもりでそう言ったら、某一歩なみに見事なリバーブローが突き刺さった。

 

「お、お前は何を言っている!?」

 

「グッ… グオオオォォォォォ… 冗談、ほんの冗談です。 脇腹にブローは止めて…」

 

「お前が悪い!」

 

 腹を抑えてうずくまる俺に、蹴りでも入れてきそうな雰囲気のちーさん。

 顔が赤くなってませんか?

 ちなみに身長は俺185cmに対してちーさん166cm、日本人女性にしては高めだが、俺からしたら結構低い。

 

「おほん。 で、では私は職務に戻る。 何しろ多忙な物でな。 荷物は部屋の中に運び込まれている筈だ。」

 

「はい… 頑張ってください…」

 

 よろよろと立ち上がり、ちーさんを見送る。

 

「あ、危ねえ、あのまま立ってたらガゼルパンチからのデンプシーロールを喰らうところだった…」

 

 チャンピオンの必勝パターンをなんとか回避した俺は、靴を脱いで部屋の中に入る。

 部屋の中は凄いの一言に尽きる、部屋の中にあるキッチン、さらには風呂も部屋の中にあるようだ。

 かなり大きなサイズのベッドが二つに、机には2人分のパソコンがある。

 さらにタンスが二つに本棚。

 なんだこれめちゃくちゃ豪華じゃねえか。

 そして床に置いてあるこの段ボールたちは俺の荷物だろう。

 

 それにしてもこれ、2人部屋にしても大きすぎんだろ。

 

「まずは物の整理をするか…」

 

 段ボール箱の中一つを開けると、中に洋服類が入っていた。

 普段着が数着とIS学園の制服が上下二着ずつ。

 あとついでに貯金箱も。

 次の段ボールの中には教科書と参考書と本と、ノートパソコンが入っていた。

 

 ひとまずこの2つを整理しよう。

 服はタンスに、本は本棚に、ノートパソコンは… 充電しておこう。

 

 さて、残ったのは段ボール一つと小包一つか。

 段ボールは多分趣味の裁縫のセットだろう。

 ならもう一つはなんだ?

 

 取り敢えず、一つ開けてみることにした。

 中には予想通りの裁縫セット。

 ひとまず机の上に置いておく。

 

「んで、最後はこれか… なんだろう?」

 

 最後に小包を開封すると、中には俺の家の押入れの奥に置いてきた筈のエッチィ本たちが入っていた。

 荷物を用意したのはちーさんだろうから、これもちーさんの思惑だろう。

 畜生、物理だけでなく精神でも仕返しをしてくるとは…

 

 取り敢えず、俺はイケナイ本たちを小包に入れ直し、見つからないようにタンスの下に隠した。

 大丈夫だ。 同室は一夏だろうし、タンスは個別の物だ。 見つからないだろうし見つかっても問題ない。

 

 ちーさんの不敵な笑みを思い浮かぶ。

 畜生め!!

 

「あー。」

 

 ベッドに倒れこんで天井を見上げていると、不意に腹が鳴った。

 そういえば1時ぐらいになるが昼飯を食べていないな。

 足を振り下ろし、その弾みで立ち上がる。

 春休み中も学食は使えるらしいし、財布の中には十分な金が入ってる。

 よし、飯を食いに行こう。

 

 ♧♣︎♧

 

 さて、食堂に来て昼飯を取る俺は、早々に後悔をした。

 いや、飯がまずい訳ではない、むしろ『IS学園学食万歳!!』と、声を大にして言いたいレベルで美味い。

 ならば何故後悔をしているのかというと…

 

「ねえ、あれ2人目の子よね?」

「目つき悪いけどかっこいいわね。」

「えー、私は1人目の方がいいと思うけど…」

 

 見物人がめちゃくちゃいるのだ。

 俺は上野動物園のパンダか?

 むしろパンダの方が人語を理解できない分マシな気もする。

 何故ここまで人が集まっているのかというと、それは俺が食券機の前で悩んでいる時まで遡る。

 

 レパートリーの多い料理を見ながら、何を食うのかを決めていた時に、おそらくは食事を終えたであろう先輩に会った。

 

「え? 君もしかして… 2人目の男性IS操縦者!?」

 

「あ、はい、そうです。 浅間 鉄平って言います。」

 

 俺の存在に驚いた先輩は、自分の名前を言ったら一目散に走って行ってしまった。

 おそらく、その先輩のせいで噂が広まってしまったのだろう。

 ちなみに、最終的にカツ丼を選んだ。

 

「にしても… この状況は…」

 

 帰る時にまた面倒なことになりそうだ。 と思いながら箸を進める。

 最後の一口を食べて、合掌をしてから立ち上がる。

 トレーを返して、料理をしているおばちゃん方に挨拶を忘れずに。

 

 そして、食堂の入り口…

 これは非常にまずい、20人ほどの先輩方が溜まっている。

 

「あの、すいません。 開けてもらえますか?」

 

「あっ、うっ、うん!」

 

 道を開けてもらうようにお願いすると、素直に退いてくれた。

 まるで海を割るモーセのような気分だ。 いや、こっちの方はスケールがめちゃくちゃ小さいけど。

 

 ザワザワという女子の声に混じって、ある発言が聞こえた。

 

「男の癖にIS学園に入るなんて… 身の程知らずな…」

 

 その言葉に反応して、つい、ついだ。

 後ろを向いて声がした方向を睨みながら…

 

「あ"?」

 

 威嚇してしまった。

 中学の時は喧嘩を売られたら必ず買うスタンスだった為に、体が勝手に睨んでしまった。

 

「ひっ。」

 

 恐らくは発言したであろう先輩が一歩後ずさって恐怖の声を上げる。

 

「あっ、すいません。 体が勝手に反応しちゃいまして。」

 

 一応謝っておこう。

 "2人目の男子は超DQN"なんて噂が立ったら嫌だし。

 

 そのまま、できる限り周りを意識しないようにして寮に帰る。

 そして、部屋に戻ってベッドに寝転び

 

「これ、毎回こんな注目受けなきゃいけないの…?」

 

 軽い絶望とともに溜息をついた。

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