彼女は記憶を持ってエルネスティの双子の妹として転生を果たした。
ただし場所は地球ではなく、幻晶騎士という名の魔力で動くロボットが存在する異世界。
ある日、彼女は幻晶騎士を見て呟いた。
「ドリルがない」
…と、
ここではない異世界、そこにある国の一つに「フレメヴィーラ王国」という国がある。
西欧風の建物が建ち並ぶ街並み、文化もそれ相応のものだろうか…?
だが地球とは明らかに違うものがある。
一つが『魔法』……そして、もう一つが──
「ろぼっとだっ…!」
私の後ろには私の両親、私の隣には少女と見紛う少年──私の双子の兄、エネルスティが舌足らずな口調で囃し立てている。その目は輝きに満ちていた。
彼の視線の先にあるのは……全身を甲冑で覆った騎士を大きくしたような
巨人、正しくは「
この世界には巨大な魔獣に抗うために作った人造の騎士が存在する。
そしてこの世界には「ロボット」という言葉、名称は存在しない。
この世界には存在しない言葉、地球の言葉を口にした我が兄、それは一つの可能性を示している…
「まさか、転生者…?」
何気なく放った私の言葉に兄はビクッと肩を振るわせた。
その反応を見て確信、同類と判明したのは言うまでもない。
「えーっと、もしかしなくともルナも転生者ですか…?」
こちらに振り返り恐る恐る問い掛ける兄にルナ──私は頷いて肯定した。
「それは好都合です。ともに幻晶騎士を操る騎士になりましょう」
多少は悩むかと思いきや、すぐにそんなことを宣う。
それが私と彼が一緒に行動する切っ掛けの一つとなった。主に幻晶騎士に関しての時だが…
私の返答を心底愉しそうにウキウキとした表情で待つ兄。その後ろでは未だに幻晶騎士同士で轟音を轟かせながら戦いを繰り広げている。
剣と盾のみという武装ながら、その巨大さとそこから発生する大きな音が合わさって迫力を生み出す。その光景を見るだけでも十分楽しめることだろう。
だが…
「 ドリル がない…」
遠くの方を見つめながら漏らした私の言葉に思わず目が点になる兄。
「ええ、それだけではないわ。
ロケットパンチは? ファンネルみたいな遠隔操作できる武器。ミサイル、銃、ロマン砲…
キャタピラ、足にタイヤみたいなものはないかしら? 背中に翼がないから空は飛べそうにないわね」
一気に捲し立てるように語る私。私もまたいろんな意味で兄と同類なのだ。
最初は呆然とした顔で見ていた兄も理解したのか、私に負けず劣らず語り始める。
そして、語り合うこと暫し…
「「 無いのなら造ればいい 」」
私たち双子はそう結論付けて行動を起こすこととなる。
騎士になるために体力と魔力を鍛え上げ、その最中に知り合ったアディ、キッドの双子にドワーフのバトソンを巻き込んで、騎士になるために己を鍛えに鍛え上げた。
やがて祖父が経営する「ライヒアラ
ここでも兄を中心にさまざまな騒動を引き起こし……その中でも大きいのが幻晶騎士よりも巨大な魔獣「
この時たまたま居合わせた兄が敵前逃亡をした騎士から幻晶騎士を奪い取って交戦。乗っていた幻晶騎士がスクラップ寸前になるまでの破損を受けたものの、これを見事に討伐せしめた。
その討伐の報酬として幻晶騎士のエンジンであり要部分になる
無論、これで諦める私たちではない。寧ろ、幻晶騎士を造る許可を得てラッキー。…と思っているぐらいである。
新たな幻晶騎士の作成は困難に満ちていた。
紆余曲折を経て学園にいる生徒たちに協力を得ることができたものの、作成するまでに多くの労力を要したのである。
当然と言えば当然と言えよう。国が抱えている専門の機関ではなく、学園内にある施設で尚且つ学園の生徒がやっているのだから…
──そして…
「遂に ドリル が完成したわ」
従来型をそのままパワーアップさせた「テレスターレ」
それとは別に作った試作機「名称未定1号君」
これのコンセプトはいろんな武装を取り付けて試すこと。ドリルは勿論のこと、地球の創作物にあった武装を可能な限り開発して取り付けたのである。
そのためにこの「名称未定1号君」は普通の幻晶騎士が一個の魔力転換炉で動くのに対し、二個の魔力転換炉で動かしている。
そうしないと武装を放った瞬間、魔力切れで動かなくなる時があるのだ。
余談だが…「名称未定1号君」に取り付ける武装の中には今の技術では実現できなかったものもある。その一つが飛行能力。
この世界には巨大ロボットを作る技術があるのに何故か、空を飛ぶ飛行機等の乗り物がなかったのだ。これにはさすがに諦めざるを得なかった。
あとは「ファンネル」。魔法があるのならいけるのでは? …と思っていたのだが、魔法はそこまで万能ではなかった。
ついでに言うとロケットパンチもワイヤー付きである。これを無くすと魔力が切れるまで飛んでいってしまうのだ。
そうして完成した「名称未定1号君」は外観こそはテレスターレを大きくしたものだが、この幻晶騎士は武装しているものが違っていた。
左手が「ドリル」でしかも機体の半分ぐらいの長さを持つ。
右手がワイヤー付き「ロケットパンチ」。回転しながら飛んでいき、目標物を穿つ。
肩には長い砲身を持つ「ロマン砲」が二つ。平時は砲身を二つに折り畳むことが可能。
足の裏には「キャタピラ」。これで移動もバッチリ。
「正直、やっちゃった感があるのは否めませんが…」
「しょうがないわよ、兄さん。そこに作る技術とそれを形にする場所がありますもの…
それに武器のテストは必要でしょ?」
全く悪びれる様子のない私に、兄もまた「うんうん」と首を縦に振って頷くのであった。
この日を境に幻晶騎士の性能は飛躍的に伸び、さまざまな形を見せるようになる。
その中心的な存在がのちに我が兄を団長とし、ライヒアラ騎操士学園の元生徒を団員とする「
(´・ω・)にゃもし。
こういうのもアリかなと思って……あと最近、短編を書いてなかったので。