政宗が六爪を構えて鈴々との距離をじわりじわりと詰めてきた。
(あんな武器の構え方見たことないのだ)
(流石は三國志の中でも武で有名な張飛の名を持つだけのことはあるな、闘気が尋常じゃねぇ)
「ごちゃごちゃ考えるのは性に合わねえ、俺から行かせてもらうぜ、DEATH BITE!!」
政宗は一瞬で鈴々との距離を詰めると左側の爪で鈴々を上に打ち上げようとしたが、鈴々は政宗が武器を振るうのと同時に後ろに下がり躱した。
「ほう初見でこれを躱すたあな、流石は張飛だな」
「速くて強いな兄ちゃん、でも鈴々は一歩も引けないのだー!!」
鈴々は連続で突きを繰り出した、対して政宗は六爪で迎え撃った。
「いい突きだ、だがな甘ぇ」
政宗は連続突きを六爪でいなしていたが最後の突きはいなさずに鈴々の蛇棒の上に乗り政宗は蛇棒の上を走って鈴々に近づこうとした。
「鈴々の武器の上を!?そうはさせないのだ!!」
鈴々は渾身の力で武器に乗っている政宗を上に打ち上げた。
「何て力だ俺が上に乗ってるのに打ち上げるとわ、だが上に上げたのは間違いだったな、HEEL DRAGON!!」
政宗は雷でできた球体を鈴々に向かって飛ばした、鈴々は渾身の力を使った後で動けずにもろに食らってしまった。
「ぐわぁぁぁ」
鈴々は吹き飛ばされ、政宗は着地して鈴々に近づいた。
「張飛お前は良くやったぜ、たがこれまでだな」
政宗が鈴々に間近に迫ろうとした時、倒れていた鈴々が横になりながら蛇棒を振りその蛇棒に当り少し飛ばされた。
「バカなあれを受けておいてまだこんな力が」
「り、鈴々はま、まだまだやれるのだこんな雷、じいちゃんのに比べたら・・・大したことないのだ‼」
鈴々はよろよろと立ち上がり天に向かって吠えた、政宗はそれに驚いた。
「真田とはまた違った力だな、だが面白ぇ!!」
政宗は張飛の力を見てニヤリと笑うとまた六爪を構え、鈴々も蛇棒を構えた。
「お前鬼島津の雷撃をいつも食らってんのか、なるほどな強いわけだ」
(正直危なかったのだじいちゃんと戦ってなかったら今ので倒れて終わりだったのだ)
「なら俺も少し本気で行くか、はぁぁぁぁ」
政宗がそう言うと場の空気が代わり、にやけていた政宗の顔が代わり鈴々を睨み付けた、そして六爪を鞘に戻して一本だけ抜き刀に雷を貯めていった。
(ヤバイのが来そうなのだ、まだ練習中だけど仕方ないのだ、じいちゃん・・・後は頼むのだ)
鈴々も蛇棒を振りかぶり政宗を睨むと、蛇棒の刃の部分から炎が出て来ていた。
(俺たちの世界の技を!?、張飛お前の覚悟見せてもらうぜ)
二人は互いに武器に炎と雷を溜め込み時を待った。
「行くぜ張飛これで終わりだ、TESTAMENT!!」
「はぁぁぁぁ、鈴々もこれで終わりにするのだ、猛虎粉砕撃!!」
二つの武器がぶつかり合ったその瞬間爆発が起こり政宗と張飛を包み込んだ、爆発の中でも政宗と鈴々は互いに一歩も引くことはなかった。
「奥州筆頭伊達政宗、推して参る!!」
「鈴々はどんなことがあっても負けないのだぁぁぁ!!」
やがて爆発が収まるとボロボロになった二人が真ん中に立っていた。
「へっ、張飛大した奴だぜお前は」
「り、鈴々は・・・」
二人は同時に倒れた、だがその表情は二人ともスカッとした顔で笑っていた、時は少し遡り義弘と楽進の戦いが始まろうとしていた。
「行くどー楽進どん!!」
義弘は剣を振り下ろしたが楽進は横に避けた、すると義弘はニヤリと笑った。
「かかったの、示現流瞬激、浮舟!!」
義弘は剣を振り下ろす際に剣を寝かせて振り下ろし、更に追撃で右と左に横凪ぎを放ち楽進は吹き飛ばされたが、受け身をとって見せた。
「そんな剣の振り方があるなんて」
「がはははは、楽進どんまだまだこんなんじゃおいは倒せんど」
「流石です島津殿!!」
楽進はまた拳を構え義弘も剣を構えまた硬直状態になった。
(流石春蘭様を倒しただけの事はあるな、私ごときが勝てるか?)
「楽進どんおまはんの心に雑念が見える、何を考えとるとね?」
「流石の実力だと思っていました、春蘭様を倒した実力、戦に出て傷ばかり増やしている自分が勝てるかと」
「それは違うど楽進どん」
「え?」
「おまはんの傷は民を守るためにつけたものじゃろ?ならその傷を誇りに思いんしゃい」
「誇りに・・・」
「そうじゃ、弱い事と傷が多いことは関係なか」
「・・・・ありがとうございます島津殿、心が晴れたような気がします」
「そうか、そりゃよか事ね」
「それでは島津殿最後に私の全身全霊の攻撃を受けていただきます、はぁぁぁぁ」
楽進はそう言うと右足に気を溜め込み始めた、義弘はそれを見てニヤリと笑った。
「そうかねならおいもそれに答えられるだけの技で迎え撃つとすっど、示現流天雷!!」
義弘が叫ぶと空から雷雲が現れその雷雲が義弘の愛刀青嵐に向かって雷を落とし刀に雷を纏った。
(雷が島津殿の刀に!?)
「楽進どん気を散らすでなか」
「!?」
「おいの技はこれで終わりじゃなか」
義弘は雷を纏わせた刀に更に自分の気を込めた、そして二人の武人が互いを見やった。
「島津殿行きます!!、飛べ我内に燃える炎よ猛虎襲撃!!」
「鬼の太刀しかと見んしゃい、示現流鬼刃!!」
楽進の足からは炎が飛び、義弘の剣からは雷の斬撃が飛び二つの技がぶつかり合い砂塵が舞った。
(くっ、流石は島津殿すごい威力だ猛虎襲撃を放ってなかったらやられていた)
楽進が義弘の技を相殺出来た事に安堵していると砂塵が晴れてきて義弘の姿が見えてきた、だが晴れた瞬間楽進は驚愕した、技を放った筈の義弘の剣からもう一発の鬼刃が放たれようとしていた。
「猛虎襲撃中々の技ね、じゃどんおいはその上を行かせてもらうどー」
義弘は叫ぶと鬼刃を放った、楽進は大技の反動で動けなかった。
(凄い、春蘭様たちが島津殿を武人の頂点に立つと言うのも分かる、武人の頂点に立つ者に認められた、人生に悔いはない)
楽進は自分の死を覚悟して眼を閉じて笑った、その楽進に容赦なく鬼刃が直撃し、また砂塵が舞った、義弘は剣を担ぐと楽進の元まで歩いた、すると砂塵が晴れて見えてきたのは倒れた楽進とそれを庇おうとする二人の女性だった、一人は倒れた楽進に呼び掛け一人は武器を構えて義弘に向けていた。
「凪ちゃん!!起きるの凪ちゃん」
「・・・・・」
「おまはんらは誰ね?」
「うちの名は姓は李 名は典 字は曼成、此方は姓は于 名は禁 字は文則、凪が吹っ掛けた勝負やとやかくは言わへんでもこれ以上やるつもりやったら」
すると今まで楽進を揺すっていた于禁が李典の隣に立って武器を構えた。
「うち等が黙ってへん!!」
「そうなの!!」
すると義弘はゆっくりと李典たちの方に歩いてきて、于禁の頭にポンと手を置いた。
「大丈夫じゃ楽進どんは死んどりゃせん」
「え?」
「おいの役目は追撃してくる曹操軍を止めること、それにこん若者は死なせるには惜しい」
すると義弘は李典たちの目を覗きこんだ。
「おまはんらも楽進どんとは違う意味でいい目をしとるな」
義弘がそう言うと鈴々たちが戦っていると思われる場所から爆発が起きたのが義弘には見えた。
「ん?鈴々どんか、こりゃ急がんといかんな」
義弘は鈴々に向かおうとして李典たちに背を向けた。
「そうじゃ楽進どんが起きたら伝えといてくれんね」
「な、何をや」
「何時でも挑戦は受ける、またかかってきんしゃいとな」
「敵わんな、凪こりゃえらい奴に目をつけられたで」
すると義弘は鈴々の元に走って向かって行き李典たちは気絶した楽進を連れてその場を後にした、義弘が鈴々のいる場所に着くと倒れた政宗と鈴々がいた。
「鈴々どん随分無茶したの」
義弘は鈴々を担ぐと政宗がよろよろと立ち上がった。
「見事に引き分けられちまったぜ」
「独眼竜・・・」
「うまく鍛えてやれよ、そいつまだまだ強くなるぜ」
政宗はそう言うと義弘に背を向けた。
「帰るんかね?」
「ああ俺はな、まあ華琳はどうだか知らないがな」
政宗はそう言うと曹操軍の中に戻っていった、すると少しして華琳が春蘭と秋蘭を連れて鈴々を担いでいる義弘の前に立った。
「ごきげんよう鬼島津」
「華琳どんとうとうおまはんらと戦うことになったの、でどうするね?おいを倒して桃香どんを追いかけてみるかね?」
すると義弘は気絶した鈴々を地面に寝かせて鈴々を守るように立ち、まさしく鬼の様な闘気を華琳たちに向けた。
「凄まじい闘気ね」
「さあ、どうするね?」
「春蘭、貴女今の島津と戦って勝てると思う?」
「・・・・華琳様には申し訳ありませんがおそらく無理でしょう」
「あら、貴女にしては随分弱気ね」
「今の義弘殿の闘気は私が戦った時以上です、華琳様の命なら喜んで戦いますが、良くて相討ち私と秋蘭はいなくなると思います」
「私の天下に必要な貴女たちをこんなところで失うわけにはいかないわ、島津今回は劉備は追わないわその代わり伝えなさい、私たちが雌雄を決する場は必ず訪れる、それまでにせいぜい強くなりなさいとね」
「分かりもした必ず伝えよう」
「それではね鬼島津、貴方とも次会うときは必ず倒させてもらうわ」
「そりゃ楽しみね、おいを倒す若きが出てきてくれるとは願ったり叶ったりじゃ」
華琳は兵士たちに撤退の命令を出すと自分も馬に乗り退却していった。
(桃香どん、もう後には引けんど)
「さて鈴々どん、待たせたの帰るとするかね」
華琳たちが撤退したのを見届けると義弘は悠然とした足取りで一刀たちの待つ陣に帰って行った。
今回はじっちゃん鈴々大活躍でした、原作では鈴々一人で魏軍を撃退しますが、じっちゃんと凪の戦いをどうしても組み込みたかったのでこんな組み合わせにしました、それではまた39話でお会いしましょう、感想、評価お待ちしています。