江陵での戦いから一年後蜀と呉は連合を結成し赤壁に大船団を布陣させた、対する魏の曹操も二国よりもさらに多い大船団を編成し赤壁に布陣を敷いた、ここに赤壁の戦いの幕が降りようとしていた、運命の大戦を前に義弘は三国の大船団を見ていた。
「壮観よまさか赤壁の戦いの場においが立てるとはの、長生きはしてみるもんね」
すると後ろから足音が聞こえてきた、その足音の主の信玄は義弘の隣に立ちまた船団を共に眺めた。
「全くよ、何の憂いもなくこの船団を見たかったがお主のあの話を聞いてはそうもいかんな」
「松永の事ね?」
「あの男は危険よ、太平妖術の書や死者を甦らせると言われる薬、どれも危険な代物ばかりじゃ」
「確かにの、じゃが奴を探そうにもまずはこの戦いを何とかせんといかん」
「そうじゃな、ワシ等の面倒を見てくれた、雪蓮や劉備のためにもな」
「ええ、魔王の復活だけはなんとしても阻止せねばなりません」
二人が話していると謙信が話に加わった、義弘と信玄も謙信を見て黙って頷いた、義弘た謙信が蜀の陣に帰ると騒がしい声が聞こえてきた。
「小生は絶対に嫌だ!!」
「官兵衛さんもう決まったことなんですよ」
「どげしたとね?」
陣の真ん中では一刀と桃香と官兵衛が言い合いをしていた。
「鬼島津、小生は三成と組むのだけはごめんだ、小生を穴蔵に閉じ込めたのは三成と刑部だ、何故小生が三成のために力を尽くさなきゃならんのだ!!」
「おまはんの言いたいことも分かるが冷静になりんしゃい、何も三成どんのために働くことはなか、今まで通り桃香どんと一刀どんのために働くと思えばよか」
「嫌だね、小生は合わん奴と組んでまで二人を助けたいとは思わん!!」
「官兵衛さん・・・」
「一刀や桃香には悪いが小生は蜀を抜ける」
「官兵衛どん本気ね?」
「ああ」
二人は少しの間睨み合った、すると官兵衛は背を向け陣から去っていった。
「官兵衛さん戻って」
桃香がその後を追いかけようとしたが一刀が桃香を制止した。
「官兵衛さんは頑固な人だから言っても無駄だよ」
「でもご主人様」
「今は曹操との戦いに専念しよう、義弘さんたちがいるとはいえ必ず勝てるとは限らないんだから」
桃香は後ろ髪を引かれる思いではあったがぐっと自分の気持ちを抑えて愛紗たちにこの事を伝えに行った、官兵衛が出ていったことを聞くと皆はショックを隠せなかった。
「官兵衛が出ていくなんて」
「ビックリなのだ」
翠と鈴々が驚いていると氏政が黙って席を立った。
「氏政さん?」
「官兵衛殿が離れるのならワシと風魔もそうさせてもらおうかのう」
「氏政さんたちまで行っちゃうの!?」
「桃香殿、すまんなワシは官兵衛どのに恩義があるんじゃ、それを反故にはできん、それにワシと風魔居らずともこの陣容なら勝てるじゃろ」
「でも」
「いずれは来る別れが今となったというだけじゃ、桃香殿今までほんとにお世話になった」
氏政は深々と頭を下げると風魔と共に陣を出て官兵衛を追いかけた、桃香自分が情けないから氏政たちが出ていったと思い顔を下に向けた、すると義弘が桃香の肩を叩いた。
「桃香どん、しっかりしんしゃいおまはんのせいじゃ無か、あの三人は覚悟があって出ていった、ただそれだけのことね」
「でも・・・」
「おらんくなったもんはもうおらん、おまはんは君主じゃ今おるもんたちの事を考えんしゃい」
義弘の言葉に泣き出しそうな気持ちをぐっと抑え桃香は皆の方を向いた。
「皆、官兵衛さんたちは出ていってしまったけど私たちはこの戦を勝たなきゃならないの、こんな私だけど精一杯頑張るから皆力を貸して!!」
「桃香の言うとおりだ俺たちはこの戦い、何があっても負けるわけにはいかないんだ!!」
「ご主人様・・・」
桃香と一刀の言葉に蜀の将全員が力強く頷いた、そしてその日の夕方桃香たちは呉との合同軍義の場に赴いた。
「劉備、家臣が逃げたそうね?」
「え?、ええまあ・・・」
「全くこの子に背中預けてほんとに大丈夫なのかしら」
「それについてはほんとにすまない孫策さん」
一刀が間に入り深々と頭を下げると流石の孫策もなにも言えず周瑜の言葉で軍義が始まった。
「気を取り直して軍義を始めよう、三国が布陣を敷いた今いよいよ本格的な戦が始まる、時に諸葛亮私はこの戦を決めるのはこれしかないと思っている」
周瑜は紙を一枚出した、すると朱里もポケットから一枚の紙を出した。
「奇遇ですね私もこれしかないと思います」
周瑜と朱里が同時に紙をめくるとそこには火の一文字だけがかかれていた。
「曹操軍は我等二国を合わせても届かぬ敵そして船戦となれば」
「ええこれしかないでしょう」
二人の言葉に幸村が訳もわからず信玄に耳打ちした。
「お館様お二人はなぜ紙に書いたのでしょう、!?」
次の瞬間信玄は幸村を殴り幸村を天幕から叩き出した。
「馬鹿者がそんなことも分からぬのか!!、壁に耳あり障子に目ありという言葉の通り誰がどこで見たり聞いたりしてるか分からん、じゃからふたりは紙に書いたのじゃ」
「な、何と!?流石は希代の名軍師に御座りまする」
周瑜は咳払いをして信玄たちの方に向いた目を軍義の本題へと戻した。
「とりあえずこれを使うことに諸葛亮も異論はないな?」
「はい」
「なら後、問題は一つ」
「風ですね?」
「そうだ今は曹操の陣からこちらへ風か吹いている」
「それは私にお任せてください」
「任せろって何、祈祷でもやるの?」
「違いますよ孫策さん、昨日この辺りの漁師に聞いたらこの時期この赤壁では夜に南東の風から東南の風へ変わるそうなんです」
「なるほどそれを利用するわけだな?」
「ええ」
「可愛い顔して考えることはやはり諸葛孔明ね」
「なら事は急いだ方がいいな、今日の夜にも行動を起こそう、それでは各自隊の編成に戻ってくれ、決戦は今夜だ!!」
そう言うと全員が天幕を出て自分の隊へと戻っていった、そして信玄と周瑜そして黄蓋の三人が残った。
「信玄公これでもまだ私たちの策はいらないと」
「ならん、此度の戦これで済むとは思えん、仲間は一纏めにしておくべきじゃ」
周瑜はこの軍義が始まる前に信玄に呼び出されていた、それは周瑜と黄蓋の二人のみでやろうとしていた、黄蓋に偽りの投降をさせ敵陣で火を着けるという苦肉の策というものだった、しかし信玄はそれを却下したのである。
「火をつけるのは佐助と謙信の剣に任せよ」
「は、はい」
「わかったわい」
二人はまだ納得いかないようだったが信玄が有無を言わせなかった。
(松永が暗躍している以上まともな赤壁の戦いにはならんはず、何かしらの策を打っているじゃろう、島津や謙信の考えてる通りにならねばよいのだが)
信玄はゆっくりと自分の隊へと向かって行った。
多分この次の次辺りからオリジナルストーリに入ると思います、これからも少しずつでも進めていますので応援のほどよろしくお願いいたします、それではまた五十五話でお会いしましょう、感想、評価お待ちしております。