その日の夜呉と蜀の本陣では将たちが集まっていた。
「佐助よ心して行け、向こうには独眼竜に竜の右目もおるからな、二人とも火計は警戒しておろう」
「まあ、そういうことに鼻が利くのは右目の旦那の方でしょうけどね」
「剣よ武田の忍を助けてあげなさい」
「はい、謙信様」
「佐助よ一刻待って火が着かぬようならワシ等は曹操たちに突撃をかける、よいな」
「御意、ちゃちゃっと着けてきますよ」
「佐助早く行くぞ」
かすがはそう言うと皆の前から姿を消した、そして佐助も遅れて自分の影に入り込み姿を消した。
佐助とかすがの二人は程なくして曹操の軍船奥へとに忍び込んでいた。
「ここら辺で火を着ければ回りにも燃え広がるだろ」
「さっさと着けて帰るぞ佐助」
「かすがはせっかちだな」
「やはり来たな」
「「!?」」
二人は声のした後ろを振り向くとそこには片倉小十郎と前田利家が立っていた。
「やっぱり旦那が待ってたか、槍の又座は想定外だったけど」
「てめえが来るなら軍神の剣も来るだろうと思ってな」
「すまないな上杉殿の忍、慶次が世話になっているそなたと戦いたくはないがこれも曹操殿への恩義のためだ」
「気にするな」
四人は互いに武器を構えいつでも戦える体勢を整えた、すると船内の奥の暗闇から何かを引きずるような音が聞こえた。
「旦那たち以外にも誰か居るのか?」
「いや、俺たちだけのはずだ」
小十郎のその言葉を聞き四人は暗闇に向かって武器を構えた。
「おやおや、邪魔をしてすみませんね」
「そ、その声は」
暗闇から聞こえる声を聞き利家はその声の主に心当たりがあった。
「久しぶりですね、利家」
暗闇から出てきたのは大きな二本の鎌を持った明智光秀だった。
「明智、貴様!!」
「上杉の忍ですか、貴女とも黄巾党以来ですね」
「明智てめえなにしに来やがった?」
「フフフ、私はある方のために動いているだけですよ、その方を呼ぶためにはこの船に火がついてもらわないと困るのです」
「あんたが誰かのためにってなると一人しか思い浮かばないね」
佐助の一言で四人の頭のなかには一人の男の姿が浮かんでいた。
「しかしあいつは死んだろ!?」
「でもお前の話じゃ南蛮で死者をよみがえらせる薬を松永が奪っていったんだろ?、こいつと松永がつるんでいるとしたら」
「賢しい忍ですね」
「じゃあほんとに信長様を・・・」
「ご想像にお任せします」
「もし魔王を甦らせようとしてるなら」
小十郎は鋭い目付きで光秀をにらみ剣を構えた。
「ここでてめえを殺してその企みを潰す、それだけだ」
「貴方にそれが出来ますかね」
「そこまでにしてもらえないかね?」
その声は光秀がやって来た船内の奥から聞こえてきた、そしてゆっくりと歩いてきたその男は各地で不穏な動きをしていた松永久秀だった。
「松永っ!!」
「こりゃヤバイのが出てきたな」
「準備は?」
「啓が時間を稼いでくれたからね、滞りなく終わったよ」
久秀は手を上にあげて指をパチンと鳴らした、すると船内から爆発が起き周囲が火の海となった。
「なっ!?」
「竜の右目よ啓と殺し合うのも良いが、私たちにはやらねばならないことがあるのでね、失礼するよ」
久秀はそう言うと光秀共々その場から姿を消した、佐助たちが気配を探ったが見つけることはできなかった。
「右目の旦那悪いけど俺たちはこれで消えるよ」
「ああ、この戦まだ何かありそうだ、俺も政宗さまの元に行く」
かすがと佐助は信玄たちの元に戻り、小十郎と利家も魏の本陣に戻っていった。
その頃蜀と呉の本陣では敵陣で火の手が上がったのを見て両軍が突撃を敢行した。
さらに魏の本陣でも突然の爆発と蜀と呉の突撃に将も兵たちも動揺が隠せなかった、しかしこの中でも政宗と華琳はどっしりと構えていた。
(小十郎のやつしくじったのか?)
「皆落ち着け!!」
華琳の覇気を交えた言葉に動揺していたものたちは全員華琳の方を向いた。
「お前たちはこの曹孟徳の兵だ、落ち着いて迎撃すれば必ず勝てる、総員戦闘準備!!」
華琳の言葉に将兵たちは湧きだち蜀呉の突撃に備えた、そして程なくして一つの船が軍船に突撃しその中から二人の男が曹操軍の軍船に降り立った。
「鬼島津見参!!」
「政宗どのー!!」
最初に現れたのは義弘と政宗の永遠のライバルの真田幸村だった。
次の話で赤壁の戦いを終わりにしたいと思います、それではまた五十六話でお会いしましょう、感想評価よろしくお願いいたします。