せかんどらいふ   作:にゃー1

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にゅーわーるど

 

初めに、其れはただ真っ黒で何もない空間に居た。

 

――――意識はあるが身体というものがあるのかも曖昧だった。

 

 

其れは、暗闇を嫌った、すると、そこは一面が真っ白な世界に変化した。

 

――――その世界はまるで其れの知っている世界に似ていて、またそれを嫌った。

 

 

其れは、想像した、一面の花々が咲き誇る庭園を。また、そこは想像した通りの世界へと変化した。

 

――――其れは、気分を良くし、笑顔を浮かべた。その行為は其れの輪郭を曖昧だった身体を美しく創り出した。

 

 

其れは、自分の身体を確かめるように動かし、尻尾を追いかける犬のようにくるくると回った。

 

――――世界は、それに呼応するように真っ青で高い高い空を生み出した。

 

 

其れは、高い高い空を見上げ、己が長く絹のような髪を掻き上げる。

 

――――そこには、神様なんておらず、それでも、其れの思うがままに想像を叶えた。

 

 

()()()()()()()()()はとうに無く、健康的で、美しい細く長い肢体が其れにはあった。鈴のように綺麗な笑い声は、高く広い空へと響き渡り、お日様を浴びた温かな布団のように庭園の草花は大の字に倒れる其れを包んだ。

 

其れは、周りに咲く花を優しく摘み取ると真っ青な空へと放り投げる。優しく吹いた風はその花弁を綺麗に散らしながら空へ吸い込むように運び上げる。それは、小さな、小さな球体へ変化し、小さな小さな世界を創り出した。そこには命が2つしか存在しない。

 

美しいお姫様と、勇敢な王子様だ―――。

 

その世界の二人は本当に幸せそうに日々を生きた―――。

 

その幸せで変化のない世界を見て、其れは嬉しそうに笑う。己の生み出した世界が思い通りに動くことに満足した。

 

ただ、その世界はそれ以上変化しない。二人で完結し、ただ幸せという感情を植え付けられた人物が平凡に暮らすだけ、当たり前にあるはずの様々な感情はそこには存在せず、だからこそその世界は始まりと同時に完結していたのだ。

 

 

―――――もっと、楽しませて。

 

 

其れは、もっとと望んだ。もっと様々な感情を――――様々な生き様を――――。

 

じりっと頭を蝕む痛みを思い出しそうになり、頭を振って消した。時々浮き上がりそうになる意識は重りを付けて、固定した。もう二度とこの庭園から出られないように――――。

 

――――厳重に、思い出さないように、沢山の鍵が付いた鎖を巻いて。

 

 

 

 

其れは、もっともっと沢山の花々を摘み取ると空へと放り投げた――――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ここは、私だけの箱庭、私だけのために物語を紡ぎましょ―――』

 

 

 

 

 

 

 

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