Metal Gear Fate/ Grand Order   作:daaaper

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作者です……

朝の10時から1時間半かけて左下の親知らずを抜いた作者です……

もう痛みと薬と消毒液で口がカオスです

何より……怖かった

だって終いには院長先生がわざわざ出てきたんですよ!?
いやもう……ヤダァ……まだ3本も残ってんのぉ……ヤダァ!

そんな訳で皆さん歯はお大事に(本当に)

※今日は長めです、時間があるときにお読み下さいm(_ _)m



炎上汚染都市冬木:2

「……スネークさん、ですか……?」

 

「ん、どうした?」

 

名乗り上げたその名前を妙に不思議がって……いや、どこか冗談めいて呟くマシュ。

その反応に不自然さを感じたスネークが聞き返す。

その問いに随分と言いにくそうな顔をした後、彼女は顔をこちらへわざわざ向けて話してきた。

 

「……あの、失礼を承知でお聞きしますがそれが真名……ですか?」

 

「……名前なんてどうでも良いだろう、それに俺は生前本来の名前で呼ばれた事なんざほとんど無かった。

それに俺自身もスネークと名乗っていた、まあ捨てた名でもあるが俺はスネークだ……ダメか?」

 

「あっいえ、ただその……まさか蛇と名乗られるとは思わなかったので」

 

「……今までそんな風に言われたことは一度も無かったな、それが普通の反応か」

 

「とりあえず、先ほどは助けて頂きありがとうございました」

 

「気にするな、敵を倒すのは当然だ、そうだろう?」

 

「そうですね」

 

「…………ついでにお前も出てこい、出なければ敵と見なすぞ」

 

「えっ?」

 

「何の事です?」

 

「気づいて無かったのか?……俺がここに召喚された時から俺たちを見ていた奴が居る」

 

「おっバレてたか?」

 

「……もともと他所からの視線には敏感でな、もっとも関心は俺よりこの娘のように感じたが」

 

「わかったわかった、正直に出てくるから勘弁してくれ」

 

そんな声が聞こえると4人の背後から両手を広げて現れた1人の男。

身長はスネークより高め、髪が青く、手にはその身長よりも長い杖、そして装飾品が多い。

話しやすい雰囲気はある……がまとっている雰囲気からは強さも感じた。

 

「まず先に言っておくが俺はあんたらとやり合う積もりは俺には無い。

それにいくらそこの嬢ちゃんが弱くても流石に2対1は今の俺にはキツイしな」

 

「それならまずは落ち着いた場所が欲しいな、流石に立ち話は俺は良くてもこいつらが可哀想だ」

 

「それもそうか、なら俺に着いてきてくれ、少し隠れるにはちょうどいい場所を知っている」

 

「だそうだが、マスター」

 

「えっぁ……はいお願いします」

 

「……こんなマスターで大丈夫かよ、おい」

 

「まぁ・・・どうにかなるだろう」

 

「へっどうせ俺には関係ねえしな、なら付いて来な」

 

流れに沿う形であっさりと返答したマスターに2人は若干呆れたが、お互いすでに敵では無いと直感していたために大して問題にはしなかった。

もっともスネークの方はどうやら楽は出来そうに無いとも直感的に思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……先輩?」

 

「ちょっと!待ちなさいよ!!」

 

ちなみに女性陣2人は若干蚊帳の外に放って置かれていた

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、10数分ほど歩くと青髪の男が言う隠れるのにちょうどいい場所……学校に着いた。

オルガマリーは最初の方は何やら騒いでいたがその道中、陥没した道があり青髪の男が

 

 

「ほら手を貸してやるよ」

 

「良いわよ別にっ」

 

「頑固なだけじゃモテないぜ、お嬢さんよっと」

 

「きゃっ!」

 

「…………なあ」

 

「なっ何よ……///」

 

「……お前さん、思ってたより重いな」

 

「・・・・・・はあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

『…………………………………………………』

 

 

という一幕があり、オルガマリーは口をそれ以来閉じた。

ついでにそんな女性の敵とも言える発言を行ったサーヴァントは3対1の状況に「フォウ!」

……3人と1匹 対1に追い込まれた。

 

そんな一幕がありながらも一行はとりあえずの休息を得る運びとなった。

 

 

「……なぁ、彼女は本当に重かったのか?」

 

「ぁあ?そうだが……」

 

「そうか……」

 

「?」

 

その後立香やマシュがオルガマリーのフォローに走る中、スネークはキャスターにそんな事を聞いていたが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと……まずは改めて、先ほどは助けて頂きありがとうございました」

 

「気にするな、さっきそこの嬢さんにお礼を言われて十分だ、それに坊主はマスターだろう?

それならお前は頭をわざわざ下げる必要も無いだろうに」

 

「いや、助けてもらって何も言わないのはどうかと……」

 

「……確かにな」

 

とりあえず一息つける場所についた一行は、まずマスターである立香のお礼参りで始まった。

もちろん物騒な物ではなく、普通に感謝の言葉を言うものだった……がサーヴァントからしてみればマスターを守るのは当然であり、マスターからしてみれば守られるのも当たり前のハズだ。

だがこの一般採用枠のマスターはいたって普通の家庭環境で育ち幸運にも常識という物を心得ている人間であるため、命を助けられたというのに何も言わないなどありえないことだった。

 

「マスターは人間らしい人間ですから」

 

「みてぇだな」

 

「それと……そう言えばそちらのお名前は?」

 

「そういや名乗って無かったな……だが坊主覚えとけ、真名ってのはサーヴァントにとってテメェが思っている以上に重要なもんだ、気安く聞くもんじゃねえ」

 

「っすいません!」

 

「…………本当に素直な奴だな、本当にこいつマスターか?」

 

 

そしてキャスターからしてみればマスターがここまで素直なのはありえないことだった。

 

 

「少なくとも俺がここに召喚されて、ここに居られるのはこいつのお陰みたいだがな」

 

「いやっそうじゃねえ。

大体マスターっていうのはな、捻くれてたり随分と無茶振りかましてくるような奴だぜ?

少なくともサーヴァントに鎌かけられて自分の非を認めるような奴じゃねえよ……」

 

「……何だお前随分と……いや、聞かないでおこう」

 

「ああ助かるぜ……でだ、まぁ俺のことはキャスターと呼んでくれ、大体聖杯戦争じゃサーヴァントのクラスで呼び合うのが通例だしな」

 

「勉強になります」

 

「……本当にマスターか?」

 

「お前、何回そのセリフを言うつもりだ?」

 

《会話の途中失礼するけど、そろそろこちらとしては本題が聞きたいのですが》

 

「あぁ?なんだそっちの魔術による連絡手段か」

 

「いや、単なる無線だと思うが」

 

そんなマスターと聖杯戦争に慣れているらしいサーヴァントとの物の見方に若干どころかだいぶ差があったがとりあえず情報のやり取りをし始める。

 

 

 

「・・・やっぱりおかしいわよ!!」

 

 

 

……かと思われたが、唐突にスネークに向かって指を指して向かって来た女性によって止められた。

先ほどまで口を閉ざしていた女性とは思えない声の大きさだった……原因はスネークにもあったりするが。

 

「所長!?」

 

「マシュ、ここは止めないで、これは大事なことよ!」

 

「えっと……所長」

 

「何よ!」

 

「大事なことだとはわかりました、けど唐突に大声を出して人に指を指すのはどうかと俺は思います」

 

「………………………」

 

《正論だ……正論すぎて所長が黙った……!》

 

「……わかったわ、では改めてお聞きします」

 

「言い直しても手遅れだと思うがな、聴こう」

 

「っ余計なことを……!」

 

「所長、落ち着きましょう、気にしていたら何も進みません」

 

「んっんん……では改めて、ですがまず最初にキャスターの方に聞きます」

 

「ああん?……アレか、俺がお嬢さんの——」

 

「おい、とりあえず最後まで聞いてやれ」

 

「……わかったよ」

 

「……あなたはここで行われてた聖杯戦争の参加者ですね?」

 

「まあな、もっとも他の連中はありゃ脱落というか何というか……」

 

「どういう意味?」

 

「まあ途中までは聖杯戦争をしていた……だが、いつの間にか聖杯戦争からすり替わってた」

 

「すり替わってた?妨害が有ったとかじゃ無いのか?」

 

「ああ違う、突然この街からまず人が消えた、俺たちのマスターを含めてだ。

残ったのは何故か……まあサーヴァントだったからだったんだろうが聖杯戦争で召喚された7人だけだった。

そこから真っ先に戦いを再開したのはセイバーだったんだが……さっきのサーヴァントは見ただろ?」

 

「まあ俺は一瞬だったがな」

 

「私や所長は時間稼ぎのために戦ってましたからそれなりには見てましたけど……」

 

「私も見たわ、けどそれが?」

 

「あいつらはあんな見た目じゃ無かった、少なくともあんな黒いサーヴァントじゃ無かった」

 

「……じゃあサーヴァントが変質したとでも言うの?」

 

「恐らくな、最もセイバーに倒されたサーヴァントが、だが」

 

「そんな……そんなこと出来るわけが」

 

「いいや、聖杯そのものが汚染されてんだ」

 

「……それじゃ聖杯そのものが変質してるって言うの?」

 

「そのものが変質してるかはわからねぇ、ただそのお陰で聖杯戦争は黒くならなかった俺 対他のサーヴァントになってやがる」

 

「そいつは……面倒だな」

 

「だがあんたらが来る前に黒いライダーとアサシンは倒した、残る敵はセイバーとアーチャーの2人だけだ」

 

「待って、バーサーカーのサーヴァントは?」

 

「アレは放っておけば害は無いぜ、ただ……相手にしたくねぇってのもあるがな」

 

《今回の特異点は聖杯そのものが原因ってことで間違い無さそうだね》

 

「ああ、このわけがわからねえ状況は間違いなく聖杯そのものが原因だろうよ。

その聖杯をセイバーはわざわざ守ってやがる」

 

「場所はわかるのか?」

 

「ああわかるぜ、ただアーチャーの奴がその外周で守ってやがる。

そいつをどうにかしてからだ、俺もあいつとの決着は付けたいからな」

 

「場所がわかっているなら話は早い、それなら休憩が終わり次第さっさと仕留めに行くと——」

 

敵の居場所がわかったならすぐに攻め入るべきと言うのは古今東西あらゆる戦況で共通する定石だ。

キャスターが話した間に全員休憩はできた、自分とキャスター、後はマシュがそれなりに動けば十分に勝機はあるだろうと判断したスネークは動き出すが……

 

「待ちなさい、まだ話は終わってないわ」

 

所長であり、この場では一応ここでは一番偉いオルガマリーはそれを止めた。

 

《所長、これ以上話すことは——》

 

「……ロマ二、あなたおかしいと思わないの?」

 

《所長が珍しくリーダーっぽい雰囲気を纏っていることですか?》

 

「違うわよ!」

 

「……今までそう言う雰囲気作りだと思ってたが、彼女はそういう扱いなのか?」

 

「えっと……俺はまだ所長のことをよく知りませんけど……多分」

 

「所長は頑張り屋さんですからね」

 

「違うわよっ!!」

 

「……お前ら、俺が言うのもなんだけどよぉ……話を最後まで聞いてやれよ」

 

《それもそうですね》

「それもそうだな」

「その通りですね……」

「所長、お話をどうぞ」

 

「揃いも揃って…………!」

 

「まぁからかった俺が悪かったが……俺の何がおかしいって言うんだ?」

 

「…………そもそも貴方はどこの英雄なの?」

 

先ほどまでからかわれていた雰囲気とは打って変わり、オルガマリーは真剣にスネークに問いただした。

その態度は一介の魔術師として纏う一種の気味悪いもので、彼女の真横にいる立香やマシュが驚いていることからいつもの彼女とは違うのだろう、それだけ雰囲気を変える必要が俺自身にあるらしいとスネークは察するが思い当たる節は無かった。

 

「どこの英雄といわれてもなぁ……俺は国を捨てて活動していたからな、説明するのが難しい」

 

「……じゃあ聞くけど、あなた近代の英雄?」

 

「そうだがそれがどうした」

 

「……待て、あんた近代の英雄なのか?」

 

「ああそうだ、そう言えばマスター達は2015年から来たんだよな?」

 

「なっあんた——」

 

「別に俺も大体予想してたぜ、別に未来から来たってこと位で俺はお前達を邪魔する気はどの道ねえよ、自分の時代以外に俺は深く立ち入らねえ。

あくまで俺はサーヴァント、兵器として俺はあんたらに力を貸すさ」

 

「……そう、それなら問題無いけど」

 

「しかし、私たちが2015年から来たことに一体なんの意味が?」

 

「本当に2015年から来たのか、なら俺が死んだのは去年だ」

 

 

 

 

『・・・・・・・・・はああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!??』

 

 

 

 

 

「え……えっ?」

 

突然発生する大絶叫

耳を塞ぐのはたった2人、スネークと立香。

つまりこの場にいるそれ以外の人間とサーヴァント全員が絶叫し、明らさまに驚いていた。

 

「……おい坊主、これはどういう事だ。

所長はともかく、あの盾持ちの嬢さんに無線越しにいる男にキャスターまで叫んだぞ?」

 

「いや……うん、俺にもよくわからない」

 

「ちょっと待て!オメェ・・・ハァ!?」

 

「やっぱりおかしいわよっ!!」

 

「今回は所長の言う通りです……」

 

《これは・・・いやあり得るのか?》

 

「……おい誰か俺らに説明してくれ、全くお前達が驚いている理由がわからん」

 

この場にいる誰もが勝手に騒いでいた。

別に騒ぐこと自体は構わないのだが、それが自分が原因で騒がれているとなれば話は別になる。

何せ誰も説明しようとしてくれないのだ、それがマスターも知らないとなればそれなりに問題だ。

お陰でこの場にいない、オペレーターであるロマ二がそんな2人のために解説をし始めた。

 

《えっとですね……スネークさん、すいませんがもう少し質問しても?》

 

「構わんが」

 

《あなたは今回、ライダーのクラスで召喚されてますが何か逸話が?》

 

「ライダー?……まぁ良く馬には乗ってたが」

 

「そんなの私も良く乗るわよ!」

 

《……次に、あなたは国を捨てて活動してたと言いますが具体的にどこの国を捨てて何をしてたのですか?》

 

「国か?俺はアメリカで生まれたがその国から離れた、その後は世界各地で傭兵をしてた」

 

『傭兵!!?』

 

「……まぁ褒められる職業じゃ無いのはわかるが、そんなに驚くもんじゃ無いだろう」

 

《……所長、彼は平行世界から来たんでしょうか?》

 

「………いえ、それにしたっておかしいわよ。

無線通信、ましてや映像を通しての通信を普通だと思えるほどに科学技術が発達してる世界よ、傭兵ごときが英霊の座に就く訳がないわ」

 

「……俺は馬鹿にされてるのか?」

 

「ち、違います!所長が言ってるのはそういう意味ではありません!

英霊を降ろす、つまり召喚される英雄は英霊の座から召喚されます、ですが近代以降では英雄は存在しないんです!」

 

「……ここに居るけど」

 

「だ・か・ら!おかしいって言ってるのよ!!」

 

「「・・・おかしいのか?」」

 

「……むしろ有りえねぇ事なんだよ、近代じゃ」

 

「どう有りえないんだ?」

 

「えっとだな……っ何で俺が説明してんだ……!」

 

頭を抱えるキャスター、原因は魔術を知らないがために自身が特異であると自覚が無い英霊。

……これはきっと誰も悪い訳では無い、ただ巡り合わせが悪かっただけなのだろう。

そんな彼の複雑な心情を知らずとも、純粋な彼女はフォローに走った。

 

「簡単に言うと文明の発達で人類が人類を簡単に滅せる時代になったので、逆に世界を救う人間がとても多くなったので近代では英雄と呼ばれるのが極めて難しいからです!」

 

「え?……どういう事?」

 

「これだから一般人は……!!」

 

「ええ!?何で俺が怒られてるの!?」

 

「私の説明が下手だったんでしょうか……」

 

「いやっ!今のマシュの説明が簡単そうなのはわかりるけど!今のだけじゃ俺もスネークさんも——」

 

「いや俺は理解したぞ」

 

「ファッ!?」

 

「……それとお前達が驚く理由も大体理解した、確かに一介の傭兵が英雄と呼ばれるのは筋違いだな」

 

「ええそうよ」

 

「けどよ、こいつが英雄の座から招かれたのもどうやら事実らしいしな」

 

《そこなんだよねぇ……去年死んだ英霊の座にも登りつめた人物なら僕が知っててもおかしく無いし……》

 

「……待て、もしかしたらお前が知ってるかもしれないな」

 

《えっ……しかし、スネークなんて英雄僕はもちろんここに残ってる職員も知りませんよ?》

 

「それもそうか…………すまん、忘れてくれ」

 

「そう言えばあなた宝具は使えるの?」

 

「宝具か?……まあ馬が一匹出せるくらいだな」

 

「・・・それだけ?」

 

「ああ宝具に関しては今のところそれだけだ、もう少し生身に近い力さえ得られれば他にも色々出せそうだがとりあえずはそれだけだ」

 

「……まぁ現代の英雄なんてそんなものね」

 

「待って下さい所長、スネークさんは私が探知する前に私たちの真後ろに立ってました。

それに私が探知できなかったキャスターさんを見つけ出す程の実力者ですよ?」

 

「……確かにそうね」

 

「俺もまさかバレるとは思わなかったぜ、しかも気配じゃ無く視線でだ」

 

「……普通だと思うんだが」

 

「・・・普通かねぇ」

 

「ああ」

 

気配でお互い感知することのできるサーヴァントが、その気配を消すには幾つか方法がある。

一つはアサシンや一部のサーヴァントが持つ気配遮断のスキル、ランクによるが気配を悟らせない事が可能。

あとは魔術による簡単な結界によって自身の気配そのものを外に漏らさない形で悟らせない方法。

 

キャスターの場合はルーン魔術を空間に書き込み、それを自身を囲む形で気配を漏らさない様にしてランサーとの戦いを見ていた……が、視線まではさすがに遮断するのは出来ない。

出来なくはないがそれは単に殻に籠っているのと何ら変わらないため意味がない。

 

《ちなみにあなたの礼装は何です?見るとハンドガンにライフル、あとナイフに見えますが……》

 

「いや、それはあくまで俺が標準装備してる武器だ、あと持ってるのは無限バンダナと……迷彩服だな」

 

「迷彩服はいわゆる野戦服でしょうけど……無限バンダナとは?」

 

「これか?これは弾薬供給が∞になるだけだが?」

 

「・・・はい?」

 

「いや、だから弾薬を補給するバンダナだが」

 

「……スネークさんが何を言ってるかわかりません」

 

「いやっだから∞に弾薬がだな——」

 

「それって魔法じゃないの!?」

 

「…………試しに何か出せるか?」

 

「構わんぞ、確かスモークグレネードは……ああ、有った、これがただ出てくるだけだが……」

 

そう言って彼の腰にぶら下がっているバックパックからスプレー缶のような物を取り出した。

 

「……数えるか?」

 

「ああ、頼む」

 

「……1・2・3・4・5・6・7・8・9・10・11・12・13・14・15・16・17・18・19・20・21・22・23

24・25・26・27・28・29・30・31・32・33・34・35・36・37・38・39・40・41・42・43」

 

「待て待て待て!!いったい幾つ取り出すつもりだ!?」

 

「いや、気がすむまでだが……」

 

「わかった、わかったからもう良いしまってくれ」

 

「お前馬鹿か?これだけの大きさでこれだけの量の物がこのバックパックに入ると思うか?」

 

「………………」

 

「………………」

 

「………………」

 

「………………」

 

《………………》

 

「どうした、全員して」

 

周りと無線越しにいる人間とサーヴァントが何やら物を言いたそうにこちらを見ていた。

……何人かからはむしろ軽蔑の眼差しも込められているが、別に悪いことを言った事も変な事を言ったつもりも無い、軽蔑の眼差しを向けられる理由なんぞ心当たりにも無かった。

 

《……とりあえず所長、力になってくれるみたいですし力不足という訳でも無さそうですから良いのでは》

 

「……先輩はどう思います?」

 

「俺?俺は別に何とも思ってないよ、少なくとも悪い人じゃないと思うけど。

悪い人が英霊の座にも居るのかは知らないけど、召喚した直後に俺がお願いしただけでマシュと所長を助けてくれたし」

 

「……良い悪いについては何とも言えねぇけど、少なくともこの男の実力は俺も認める。

何せあの黒いランサーが油断してたとはいえ俺がこいつの存在に気付く前にあいつの急所を射抜いてた。

正面からの戦闘は……まあ後で確かめるとして、少なくともハズレじゃねえと思うぜ」

 

「…………まっ害が無いなら別に良いけど」

 

他からそう言われてしまえば、疑っていた彼女も、所長としても彼を歓迎……とまではいかないものの認める他なかった。

例え彼女が認めなくともマスターとして契約しているのは立香であるためどうしようも無いのだが。

 

「何かすいません……俺もよくわかりませんけど、気分を害したなら謝ります」

 

「大丈夫だ、昔から怪しまれることには慣れている」

 

「……………………」

 

「それに警戒するのは指揮官として当然だ、彼女もまた優秀なんだろうな」

 

「っそんなに褒めても何も変わらないわよ!」

 

「問題ない、まぁあんたからの警戒心がこの探索中に解消できるかはわからんが全力は尽くそう」

 

「……そう……ならそろそろ出発しましょうか」

 

スネークの言葉に嘘は無い。

彼女は些細なことで気分が落ち込んだり不機嫌になったりと、人としてどうかと思う点はある、確かにある。

 

だが同時に彼女が備えている能力は評価している。

よく知らない魔術に関する知識は魔術師としてはもちろん、責任者として異常なものを異常だと見抜く力。

その異常さは自身もよく理解していなかったが、その本人すら認知していなかった異質さを公の場で指摘した行動は高く評価すべきだとスネークは見ていた。

 

彼女魔術師という部類においてどれだけの物かは知らないが少なくともそれなりに優秀、

命を預けるにはいささかメンタル面での頼りなさを強く感じるが、責任者としての自覚は文句無い。

むしろマスターである坊主……藤原 立香の方がお人好しすぎてこちらが心配する、その点彼女はある意味では話しやすい人間、そう彼女への印象を結論付けていた。

 

「ちっと待ってくれ、行く前に少し確かめたいことがある」

 

《?何でしょう?》

 

「ああ、さっき言っていた俺の戦闘能力か?」

 

「まあそれも有るが……」

 

「……なるほど、嬢さんの実力か」

 

「ああ、あんたは特に問題無さそうな気がするが……お嬢ちゃん、お前宝具が使えないだろ?」

 

「えっ?けどここに……」

 

「……すいません先輩、これはあくまで私にとっての武器です。

私は消えかけていたとあるサーヴァントと取引を交わしてデミサーヴァントになりました。

お陰で私は死ぬことを免れ、先輩と無理やり契約して先輩を助けることができました。

……ただそのサーヴァントからは真名を教えてもらえず、この武器がどんな武器なのかも私は知らないんです」

 

「それじゃあマシュは本来の力を出せないってこと?」

 

「……はい」

 

「本来ならマスターが召喚時にある程度わかるものだけど……そもそも魔術師じゃないならわかるはずも無いわね」

 

「えっ……じゃあ」

 

「そうよ、あなたが未熟だからというのもあるわけ」

 

「……だが宝具ってのは英霊を英霊たらしめるそのものだ。

嬢ちゃんがサーヴァントとしての力が有るなら必然的に宝具は扱えるはずだ、決して切り離すことが出来る様なもんじゃ無いからな」

 

「それでお前が手合わせしてやるのか?」

 

「ああ、本能が刺激されれば宝具は発動すると思うぜ」

 

「けどキャスターさん、危なく無いですかそれ」

 

「んな手加減くらいわかってる、俺もそんな馬鹿じゃねえよ」

 

「そうじゃ無くて……最初この街に来た時、赤い矢の雨を散々降らされたんですけど、そんな手合わせなんてしていたら狙われませんか?」

 

「……そういやアーチャーの野郎が動いてたな…………だが問題ねぇ、どうせ今頃セイバーの所に籠ってるハズだ、向こうはもう2人しかいねぇからな」

 

「問題無いマスター、仮に向こうが撃ってきたら俺が対処する」

 

「出来るんですか?」

 

「スナイパーの相手は散々してきた、一度向こうの奇襲が失敗すれば俺はそこから追跡できる。

それにカウンタースナイプも今の俺でも出来るからな……アサルトライフルは今のところ無いがな」

 

「……あんた本当にライダーか?」

 

「らしいぞ、俺もよくわからんが」

 

「そうかい……じゃあとりあえず外に移動だ、ちょうどいい広場もあるしな」

 

《周辺に敵サーヴァントの反応も無い、訓練にはちょうど良いだろうね》

 

「マシュは大丈夫?」

 

「ええ、私も先輩の盾として強くならないといけません、それにこのままでは敵のセイバーを相手にするのは厳しいでしょうし」

 

「そうね……宝具無しで相手するのはマシュじゃ厳しいわ、せめて敵の真名さえわかればある程度はどうにかなるかもしれないけど……」

 

「キャスターさんはそのセイバーの名前は知らないんですか?」

 

「知ってるぜ、それに教えても良いが……」

 

「俺たちの実力次第か?」

 

「……わかってるじゃねぇか」

 

「どういうことですかスネークさん?」

 

「さん付けはやめろ坊主……早い話、荷物が居ても足手まといならその荷物を捨てるか壊すかって事だ」

 

「それって……!?」

 

「まあ下手すれば消されるな」

 

『っ!?』

 

「おいおい、やる前からビビらせてどうすんだよ……つうか手加減するって言ったろ!」

 

「だがこのまま行ってもバテるのは目に見えてるだろうに」

 

「……まあな、特に嬢ちゃんは連戦したら心が潰れるだろ」

 

「ああ、嬢さんの動きを見る限り素人だ、何せあのランサーから逃げることすら難しそうだったしな、だからこそ使えない奴は置いていくしか無いだろう」

 

「……お前さん、随分と薄情だな」

 

「だが幸い彼女は盾持ちだ、お前の攻撃くらい捌けそうだがな」

 

「おいおい、俺にケンカ売ってんのかぁ?」

 

「まずお前はキャスターに向いてない、確実に前衛で殴り合うタイプのハズだ。

でなければ杖を槍術みたく両手で添えたりはしないだろう、まあ魔術使いってのがそうしないとは俺には断言できないが少なくとも貴重な道具だ、武器でない物をわざわざ槍みたく扱いはしないと思うが?」

 

「…………俺の本職はランサーだっつぅのに、つうか師匠から教わっただけでキャスターとかねぇだろ……」

 

「愚痴はそれまでにしておけ、とりあえず彼女を追い込んでやれ」

 

「……おうよ」

 

スネークの言葉に肩を落としながらも、このままではどうにもならない、特にマシュはまずサーヴァントの肉体を使いこなせていない、それには実践あるのみだと2人の戦士は体で知っていた。

さらにキャスターには、マスターの方にも戦闘経験をさせるという思惑もあったが当のマスターはそんなことに気付いているわけも無く、校庭に5人は移動した。

 

 

 

 

♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢

 

 

 

 

「・・・さて嬢ちゃん、こいつはあくまで嬢ちゃんに戦闘って行為に“慣れてもらう”だけだ。

マスターとサーヴァントはどんなに憎たらしくても関係は切れねえ、マスターがヤられちまえばサーヴァントは現界する事が出来ねえ、嬢ちゃんがヤられちまえばマスターはその後ヤられる……意味はわかるな?」

 

「はい、全力で行きます!」

 

「良い返事だ……おい坊主!」

 

「はっはい!」

 

「お前さんはどうやら魔術師じゃねえ見たいだが嬢ちゃんのマスターだ、しっかり指示出せよ」

 

「が、頑張りますっ!」

 

「……ここまで教えがいのあるマスターってのも珍しいけどな・・・じゃあ行くぜっ!!」

 

その合図と共にキャスターは野生の獣の様な気迫を纏、バックステップを踏む。

ただそれだけしかしていないが、マスターである立香はそのプレッシャーに煽られたらしい。

それではこの先何も出来ずに死ぬ。

だがマシュが盾を構えたことで彼も心構えが固まったのか、ほんの少し煽られただけですぐに立ち直った。

 

 

だがそんな少しの間はサーヴァントを相手にするには致命的だ。

 

 

「そんな呑気に突っ立ってて良いのかよ!」

 

 

瞬間、キャスターの振るった杖の軌道上に火の玉が出現し2人に襲いかかって行った。

まだまだ本気を出していないのか、火球は一般人でも捉えられる速さだった……避けられるかは知らないが。

 

 

「マシュ!」

 

「はい!」

 

 

その攻撃をサーヴァントであるマシュが立香の前に立ち、火球を盾によって防ぐ。

どうやら融合したサーヴァントの戦闘経験がある程度肉体に反映されているらしい。

 

だがそれだけでは不十分だ

 

 

「そりゃあ止められるか!ならドンドン行くぜぇっ!!」

 

 

キャスターが次の攻撃を始める。

その攻撃を必死に盾で食い止めながらマスターを守るマシュ……そして守られるだけのマスター。

 

 

そんな校庭で繰り広げられる3人の攻防を屋上から2人……スネークとオルガマリーはその戦闘を観察していた

 

 

「……ふむ、第一段階はどうにかクリアだな」

 

「何が第一段階よ……あれじゃ一方的に攻撃されてるだけじゃない」

 

「まあ今のところはな……だがまずは彼女の、マシュの役割を彼女自身の体で覚えさせる必要がある」

 

「……どういう事?」

 

「あんた、戦術的な知識はあるか?」

 

「……少しなら」

 

「ならマシュだけを運用するとしたらどうする?」

 

「そうねぇ……前線で敵の攻撃を受け止めて貰うかしら?」

 

「そいつはダメだ」

 

「はぁ!?」

 

「考えてみろ、雑魚ならまだ良いがマシュだけでキャスターを倒せるか?

仮に彼女が宝具を使えたとして、その一撃でキャスターを屠るほどの火力はあるのか?」

 

「…………無理ね、マシュは完全にディフェンスタイプのサーヴァントよ、いくら脆いキャスターだからってマシュが殴ったところで倒せないわ」

 

「そうだ、だから彼女はカウンター以外での攻撃手段はほぼ無い。

おそらくあのキャスターが距離を開けて遠距離攻撃に徹してるのはそれを彼女自身に気付かせるためだ」

 

盾持ちと呼ばれる者の立ち回りとは確かにオルガマリーが言った通り、前線で敵の攻撃を受け止め敵のヘイトを集める事が基本的な運用法だ、後方に下げれば強固な守りも可能になる。

 

だが同時に盾では敵を倒す事が出来ない

 

雑魚敵程度なら余裕だろうが、強者を相手にするにはあまりにも火力不足だ。

攻撃は最大の防御、防御は最大の攻撃とはよく言うがそれが出来るのはある程度実力差がある場合の限る。

特にジャイアントキリングでは、格下が格上を倒すためにひたすら最大火力で相手に攻撃し相手から攻撃させない事で倒すことも出来る……もっとも最大火力が維持できなくなれば確実に負けるのだが。

 

だが防御からの攻撃はカウンター以外では、自身ではなく他からの攻撃が要になる。

彼女が持っている脇差のような短剣もカウンターのための装備ではあるが、英霊と呼ばれる者たちは基本的にその全員が戦闘に慣れている。

特に三騎士と呼ばれるセイバー・ランサー・アーチャークラスで現界したサーヴァントは戦場での英雄である事が多い。

たかが盾を持ってるくらいでカウンターを許す程度の実力は持ち合わせていない。

 

そのため、今のマシュに求められてるのは確実に敵の攻撃を防ぎ敵の注意を自身に向ける事にある。

 

「……けど、マスターがあんなんじゃマシュはカウンターどころか攻撃に移れないわ。

距離があり過ぎて攻撃の間に接近しても、マスターを狙われて終わりよ」

 

「ああ、すでにマシュは自分の役割に気付いている、次はあの坊主の番だ……どう動く?」

 

マシュは賢い。

すでにスネークが言った通り、敵の攻撃を防ぐ事に特化しマスターを守りつつも何とかキャスターに近付こうとする……がキャスターは攻撃しながらも後退しているため攻撃のしようが無い。

 

 

「どうした!そのまま火を浴びるだけかぁ!?いつまで耐えられると思ってやがる!!」

 

「っっ!」

 

 

すでに攻撃手段は“2人”を狙う火球では無く、“マスター”を狙う火球へと変化していた。

マスターを狙っているため込められている魔力は人が気絶する程度の物だが、代わりに弾速が速い、そのためマスターを守るために盾を振るうマシュはその火球の軌道を見定めなければならず余計に疲労していく。

 

 

「……………」

 

だがマスターは、藤丸 立香は何も出来ない…………と諦めるほど柔な男では無かった

 

 

自身に迫り来る火の玉、当たればほぼ確実に自分は死ぬだろう(威力はキャスターが加減しているが)

 

それを必死に防いでくれるマシュ

 

そんな彼女を……自分より身長が低い少女をただ放って置くほど少年は甲斐性なしでは無かった

 

 

「マシュ!合図したらキャスターの方に突撃して!」

 

「な、本気ですかっ!?」

 

「大丈夫!俺も付いていくから!!」

 

「っわかりました!」

 

 

再び火球が襲いかかる

 

今までと同じ通りその火球はマスターを狙った的確なもの

 

その軌道を読み取り手に持つ盾でその火球を打ち消す

 

そろそろ辞めどきか……とキャスターが思った時

 

 

「マシュ!」

 

「ハイッ!!」

 

 

その場から一気にマシュが走り出してきた

 

ようやく動いた状況

 

だが防御捨てたという事はマスターの守りが無いという事

 

今の間合いならマシュはキャスターに攻撃できるが同時にマスターもやられる

 

 

 

「だあああああぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

そのマスターがシールドと共に移動していなければ、だが

 

 

 

 

「・・・へっ!そう言うの俺は好きだぜぇ!!」

 

 

一瞬、あまりにも予想外に……予想外に出来るマスターに驚いたもののすぐにルーンを描く

 

今までは杖から火の玉が飛んでくる攻撃だったが今はそれでは足留めにならない

 

キャスターは後退しつつも彼らが踏むであろう場所に魔術を仕掛けていく

 

 

 

「……ほおぉ、あのマスターは以外とやるな、中々の度胸が有るじゃないか」

 

「…………………」

 

 

それはマシュも、キャスターも、スネークも、オルガマリーも予想していなかった。

一般人の、素人の、魔術師でも戦士でもないただの少年が自身の置かれている状況を見極め行動に移したのだ

実際にはマシュが動き辛そうにしているのに気付き、それならばマシュについて行けばいいという発想だったがそれでも自身のサーヴァントも動きに合わせるというのはたとえ魔術師でも難しい。

 

 

なにせ魔術師なら敵の脅威が及ばない場所で観戦した方が良いと判断・断定するからだ

 

 

「あの様子ならもう少しすればあのキャスターにもある程度攻撃できる様にはなるだろう。

それでも彼奴らが半人前なのには変わらんが……足手まといじゃ無いな」

 

「……一つ良いかしら?」

 

「言っておくがお前が実力不足だとは思わんぞ、俺は」

 

「・・・え?」

 

「俺は色んな奴を見てきた。

戦場で死にかけた所で巡り合った奴、世界平和を願っていた奴、純粋に力を求めて俺の下に来た奴、

研究者として助けを求めた奴、戦いにだけ身を投じた……まあ色々な奴が居たが……才能が無い奴も居た」

 

「……私の才能が無いとでも言いたいの?」

 

「俺は魔術って存在を死んでから知った、未だによくわかってはいないと言った方が正しい。

だが魔術師だろうが兵士だろうが人間という括りに変わりはない。

俺の経験からしてお前は、お前に無いものを求めてる、お前が求めてるものをあの坊主が持ってる」

 

「……ついさっき現界しただけのあなたに何がわかるのかしら?」

 

「お前がわざとらしく無いキャラを作ってるくらいは知っている」

 

「っあんたに何が——」

 

「わかる訳が無いだろう、そんなもの」

 

「はあ!?」

 

「それはお前自身とっくに気付いてるはずだ、俺から言わせればお前のあの坊主に対する態度は上司や上官として坊主の実力不足に対する物じゃない、単なる憂さ晴らしだろう?」

 

「……………………」

 

「だが勘違いするな、お前の言ってる事に間違いは無い」

 

「……言ってる意味がわからないんだけどっ」

 

「あの坊主が実力不足なのも、使えない人間なのも事実だろう。

だがそんなあいつを、あいつら2人を支えてやるのは誰だ?

聞くとあの坊主以外にマスターとしての適性がある奴はいないそうじゃないか。

そんな未熟者を教えてやれるのは誰だ?」

 

「……別に、また他のマスター適性をもつ魔術師を集めれば良いわ」

 

「それが難しいことくらい、組織の長であるあんたが一番分かってるんじゃないのか?」

 

「……………………」

 

「……まあ良い、だが一つだけ言わせてもらう。

お前が今出来ることは何だ?

お前が為すべきことは何だ?

自分の立場を守ることか?組織を守ることか?この特異点の解決か?

……もう一度言うぞ、お前が、いま、ここで、出来ることは何だ?」

 

「……………………」

 

その言葉にただ黙るオルガマリー。

彼女の心境は……探るのは無粋だと判断し話を切り上げる。

ちょうどマシュとマスターが一息つき、地べたに座っていた。

 

「……どうやらひと段落ついたみたいだな。

なら俺も合流するとしよう、お前さんも適当なタイミングで降りてこい、俺もキャスターもやりたい事が終われば移動するつもりだ、何なら迎えに来るが?」

 

「…………勝手に降りるわよ」

 

「そうか、ならそうしてくれ」

 

そう言って霊体化し屋上から去ったスネーク。

その場に立った1人残されたオルガマリーは空虚で一面灰色で黒い空を、街を見つめた。

 

「…………そんなこと、私だって………!」

 

 

 

ただ自身の事を忌々しく思いながら

 

 

 

 

♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢

 

 

 

 

 

「おお、いやぁ〜ここまで滾らせるマスターってのも珍しいな!」

 

「「はああぁぁぁ・・・」」

 

「…どうやら一皮剥けたみたいだが……そのおかげで放心させてどうする」

 

「いやぁ、ちっと本気が出したくなってな、つい」

 

「……まあ構わんが、とりあえずお前らは休んでろ、誰も文句は言わん」

 

「いやっ……はぁ……キャスターさんを……はぁ……倒せなきゃ……敵のセイバーなんてっ」

 

「おい、最初の目的をマスターが見失ってどうする」

 

「私も……まだ行けますっ!」

 

「そのガッツは後にとっておけ、それにこいつは俺らの味方でお前らが動ける様にわざわざ相手したんだ。

そもそも、今の坊主と嬢さんの動きなら時間稼ぎで良いところだろう」

 

「「………………」」

 

「だが十分合格だぜ、少なくとも嬢ちゃんもそこの坊主も俺の足を引っ張る様なお荷物じゃ無えよ」

 

「だそうだ、良かったな」

 

「「あ……ありがとうございます……!」」

 

「まっ、これからお前ら2人にもセイバー討伐を手伝ってもらうが……その前にお前ら2人に一つ見てもらうとしようかっ!」

 

「……何だ、俺ともやるのか?」

 

「当然だ!どっちかと言えばあんたの方に俺には興味がある……現代の英雄ってのがどんなもんだかな?」

 

「……言っておくが俺は俺が英雄だとは思ったことは無い、弱いとも思わないが……お前さんの御目にかかるような実力を持ち合わせてるかは保証できんぞ?」

 

「まぁそう言うなよ…………テメェ、まだ本気なんざ出してないだろ?」

 

 

瞬間

 

 

先ほどよりも大きくバックステップを取ったキャスター

 

だが先ほどまで纏っていた野性味あふれる獣の様な雰囲気から

 

獰猛な野獣がキャスターからは剥き出しだった

 

それはつまり、いままで本気を出してなかったのはキャスターの方であると素人の立香でもわかる

 

マシュも休憩のために息を抜いていたがそのプレッシャーから反射的に盾を構えた

 

先ほどまでキャスターと相手をした彼女が、マスターを守るという条件反射から取った行動だ

 

それほどまでにキャスターから醸し出される雰囲気は異質だった

 

 

 

だがそれ以上に異様だったのは

 

 

 

そんなマシュの本能が呼び起こされる様なプレッシャーを受けても

 

 

 

普通に葉巻を吸い始めた男だった

 

 

 

「……確かにキャスタークラスの英雄ではないな、後方支援の人間にそんな気迫は必要無い」

 

「俺には拳で殴るのが性にあってらぁ、杖なんかより槍寄越してくれってなっ!!」

 

その言葉通り、杖を槍の様に構えそのままスネークの方へ突っ込んで来た

 

俊敏Cとはいえ、英雄と呼ばれえ英霊の座に招かれた存在

 

その鍛えられた肉体がキャスターのそれでは無いのも有り、距離はあっという間に詰まった

 

デミサーヴァントであるマシュはどうにかキャスターの姿を捉えられたが、一般人のマスターには瞬間移動にも等しく彼からすればいつの間にかスネークの目の前に立っていたと言う印象だった。

 

 

構えられた杖はそのまま武器として、キャスターの得物として、そのままスネークへ襲いかかり

 

 

一瞬で勝負はついた

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

端から見ていた2人は言葉も出なかった

 

 

キャスターの杖さばきは見事の一言に尽きた

 

その先端は心臓を指し

 

光一線と突き刺さる

 

それはキャスターのもう一つの側面が持つ宝具の因果

 

一種の呪いの如く、見事に対象の心臓を刺し穿つ

 

 

 

 

 

・・・・・・様に思えた

 

 

 

 

否、実際に穿っていたハズだった

 

 

寸止めとはいえキャスターの得物は的確に相手の心臓を指していた

 

 

そう、指して“いた”

 

 

的確に、相手の服に、体にぴったりと突いて“いた”

 

だがいつの間にか隙間が“あった”、拳一つはある空間が先端と対象の体には“あった”

 

 

 

「見事な槍捌きだ」

 

 

 

その空間を杖が突き進む

 

 

だが対象の体に突くまでに軌道が修正される

 

 

杖は対象の右に逸れる

 

 

対象は左にズレる

 

 

それを確認し一旦退くことを選ぶ

 

 

地面から足が離れ

 

 

杖が手元に戻り

 

 

対象が目の前にいた

 

 

 

「……だが俺に接近戦は分が悪いみたいだな」

 

 

 

そしてそのまま彼の世界は

 

目の前の世界は回った

 

体は宙を舞い

 

背中から着地した

 

背中に走る衝撃

 

その衝撃自体は大したものでも無く、ダメージも無い

 

受け身も取った

 

 

 

だがそんな少しの間はサーヴァント相手には致命的だ

 

 

 

「勝負ありで良いか?」

 

「…………ああ、俺の負けだ」

 

 

 

キャスターの胸にはナイフが着けられている

 

あとはナイフを持つ対象次第で心臓が突かれるだろう

 

自身の杖は手元にはない

 

ルーン魔術で抵抗は出来るが……それはキャスター自身が望むものでは無かった

 

 

結果、相手…………スネークの勝ちで手合わせは決着がついた

 

 

 

 

 

 

 

♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢

 

 

 

 

 

 

 

「……マシュ、今何が起こったの?」

 

「……私が見た限りだと、キャスターさんが接近してスネークさんの心臓を刺したかと思ったらいつの間にかキャスターさんの杖がズレてキャスターさん自体が投げ飛ばされてたとしか……」

 

「いやっそれは……うん……そうだけど」

 

「先輩が言いたいこともわかります……何でキャスターの体が宙に浮いていたのか……」

 

「うん……」

 

端から見ていた2人には出す言葉が無かった。

何せ見た事実が事実として理解することが不可能だったから。

 

まず瞬間移動の如く一瞬で近付いたキャスター、そして自身の杖のリーチを生かせる間合いから仕掛けた。

スネークの拳が届く事はなく、一方的にキャスターが攻撃できる間合い。

そして何より的確にスネークの心臓を突いたことから、決着は着いた……様に見えた。

 

だが実際には

 

・杖が心臓を突く直前に、杖自体の軌道がスネークのナイフによってズレていた

・いつの間にかスネークはキャスターの目の前にいた

・キャスターの間合いでは無く、眼前で拳が届く間合いにお互いがいた

・スネークは体術でキャスターの体を投げ、地面に落とした

・そのまま回避する隙を与えず、流れる様にキャスターの胸にナイフを構えていた

 

……以上がキャスターがスネークに仕掛けてから決着が着くまでの全て。

ちなみにマシュと立香が言葉に表せることが出来ないのは、あまりにも情報量が多い出来事が一瞬で行われたため、上記に書いた事は全て10秒足らずに起きていた。

もっとも2人は理解に追いついていないどころか、視認して理解すら出来てないこともあるのだが。

 

「……あんた本当に現代の英雄かぁ?

ましてやライダーなら なおさら接近戦じゃ無く突進とかそんなんじゃねえの?」

 

それはキャスターも同じらしく、結果に不満は無いもののスネークに疑問を呈していた。

 

「お前がどう思うかは知らんが、俺は現代に生きた一介の傭兵だ、ライダーだろうが俺が得意なのは接近戦だ

お前がわざわざ接近してきたおかげで、むしろ俺としてはやりやすかったがな」

 

「……お前、どうやって俺の杖の軌道を変えた」

 

「見えてただろう?まっすぐ俺の胸の向かって来てたからナイフで左にずらしただけだ」

 

「違ぇねぇ……………だが俺の杖は確かにあんたの体を突いたハズだった、手応えもあった、だが実際にはまだ突き刺してる途中だった……テメェ、一体どんなカラクリを俺に仕掛けた?」

 

「そう言われてもな……俺は普通にCQCを仕掛けただけだが」

 

「CQC?何だそれ?」

 

英単語3文字を言われたキャスターは当然それに興味を持つ。

だがそんな魔術など記憶にも心当たりも無く、なおさら疑問に持った……が意外な所から答えが出てきた。

 

「えっと……確かClose Quarters Combat の頭文字をとったもので、日本語に訳すなら近接戦闘術と言った所でしょうか」

 

「よく知ってるね、マシュ」

 

「はい、本だけはよく読んでますから」

 

「ならあれか、柔道とかそういう感じのやつか」

 

「キャスターさんの認識で間違いは無いかと……ただ」

 

「ああ……そんな体術だけで説明できるもんじゃ無えと思うんだが?」

 

「……そう言われてもなぁ」

 

そうあり得ないのだ。

仮に、仮に百歩譲ってキャスターの手応えは勘違いだとしても、だ。

一瞬で間合いを崩すのはわかる、だが素人とはいえマシュの攻撃を捌き切ったキャスターがこうもあっさりと技を掛けられるとは思えなかった。

キャスター本人も正面戦闘が不向きなクラスで現界したとはいえ、今現在の状態でもあっさりと投げ飛ばされるほど下手では無いと自負していた。

 

であれば考えられる可能性は2つ、

 

1つはキャスターが接近戦ではとても弱く、それを誰も自覚していなかったために負けた

 

もう1つは…………………………

 

 

 

《・・・・・・ああああぁぁぁぁ!!?》

 

 

 

マシュの解説から突然無線が入って来たかと思えば、ずっと見えていたらしいロマ二が突然叫んだ。

……わざわざ画面まで出して驚いたため、4人から睨まれるドクター。

 

《いやっそんなに睨まないでくれっ!僕が悪かったけど!!》

 

「……それでドクター、何かわかったのですか?わざわざ声まで出して」

 

《マシュのその言い方が一番きつい!

……いや、マシュが言ったおかげで一つ思い出したことがあってね》

 

「なにがですか、Dr.ロマン?」

 

「何がわかったんだよ軟弱男」

 

「……………………………………」

 

《軟弱って……いやその通りだけどっ……ウッウン…………彼の、スネークが一体誰なのかわかった》

 

「っ本当ですか!」

 

「……やはりバレるか、まあ隠す意味もここでは無いか」

 

「何だよ、あんた隠したかったのか?」

 

「……まあ事情があってな」

 

その気持ちはキャスター自身もわからない訳ではなかった。

どの英霊も、英雄として名を馳せているだけあり一般的にも英霊の間でも有名な者が多い。

だがどの英霊ににある程度、どころか大体が美談や誉れある話とともに、汚らわしく醜い伝承も多い。

この英霊も何かしら触れられたく無い物があるのだと予想するのには、キャスターも苦労しなかった。

 

《それなら……僕が言うのは差し控えますが》

 

「いや、構わん、どうせわかるのはあんたとこの嬢さんくらいだと思うしな」

 

「それでドクター、スネークさんは一体誰なんですか?」

 

気になるマシュはロマ二に躊躇なく聞く。

スネークの言葉にはロマ二も思うところがあるようだが、本人が話して構わないと言ったのだ。

それこそ、じゃあ喋らない、と言うのも英霊に対しても人としても失礼だろう。

 

 

《……まあ彼自身が良いというなら僕から言わせてもらう。

彼はCQCの創始者であり、冷戦の最中で世界を核戦争の危機から救い、その後傭兵として世界中に名を馳せた伝説の傭兵……現代としては十分な英雄だと言える、彼の名は称号として世界的にあまりにも有名だ》

 

 

「・・・ええ!?」

 

「マシュ、わかったの?」

 

「ハイッ!というか先輩はご存知無いのですか!?」

 

「えっ……何を?」

 

「つい最近情報が解禁されて話題になったじゃ無いですか!

CQCを産み出し、世界を何度も核戦争の危機から救い、その後傭兵として世界を渡り歩き、最後は兵士のために蜂起をしたあの伝説の人物ですよ!?」

 

「……ある意味では間違いでは無いがなぁ……」

 

「ん?」

 

ボソッとつぶやくスネークの言葉に反応したキャスターだったが、あえて何も言わなかった。

 

《まぁマシュの言う通りだけど彼が成し遂げた事は本を読んだり、軍事や医療に興味がある人間じゃないと詳しくは無いだろうからね……けどこの称号は知ってるんじゃないかな?

【BIG BOSS】って》

 

「あっ聞いたことあります、確か誰も傷付けずに任務を・・・・・エエエエエエエエエェェェェェェ!?」

 

「……あんた、有名みたいだな」

 

「まぁ……な」

 

《まさか英霊の座に就いているとは……》

 

ロマニの嘆きはもっともだ。

何せ近代どころか本当に現代の英雄、それこそマシュが言ったようについ最近、と言っても1・2年位前の事だが、それでも本当に最近知った英雄だった。

それも【BIG BOSS】の事は知っていて当然の様に思っていて、そもそも現代に英雄など存在するわけが無いという先入観の両方が強かったため気付くハズが無かった。

 

「俺は所詮一介の傭兵だ、まず魔術なんて存在も死んでから知った。

それに俺は生前の癖でな、英霊の座でも好き勝手やらせてもらってる、おかげで良い訓練になるんだが他の英霊にもあまり名は知られてなくてな、実際このキャスターもあまりピンと来てないしな」

 

「……BIG BOSSなんて名は聞いたこともねぇな、とりあえずわかる位だ」

 

《あくまでそこは2004年の冬木、まだ彼の情報は解禁されて無いからでしょう。

ですが現代の一般常識として彼の名は知られてます、一般人である立香君ですら知ってるほどですから》

 

「……俺はここじゃあんまり有名じゃねえからなぁ……だが——」

 

「お前がどこかの英雄なのはわかるが、そう言うな。

だが俺は英霊・英雄なんて器じゃ無い、単なる一介の傭兵、1人の戦士でしか無い。

……それでだ、坊主とあとそこにいる男にも言っておく」

 

「何ですか?」

《何でしょう?》

 

「……俺は確かにあんたらの言う【BIG BOSS】だ。

だがその名前は好きじゃ無い、それに俺が英霊の座に招かれサーヴァントとして現界できたのは世界を救ったからじゃない、現代に英雄がいない、世界を救うことはあまりに簡単だからだからな」

 

「……俺が聖杯から得た知識の限りじゃ、一度でも核戦争の危機から救うってのは随分と大変なことだと俺は思うがな」

 

「正しくは3回だがな」

 

『3回!?』

 

「……お前らは知らないだけで核戦争の危機ってのは俺が知ってるだけでも10は超える。

俺が知らないのも含めれば100は超えるかもしれん、だから俺はあの嬢さんの説明で納得できた。

たかが世界を救うってだけじゃ誰もが知る物語の英雄なんかと並べる訳がないとな」

 

『…………………………』

 

確かにオルガマリーは現代に英雄は存在しないと言った。

だがそれは文明の進歩によって神秘という“奇跡”が、人間によって介入し理解できる“現象”という代物へと落とし込められ、何より文明の進歩で誰もが世界を簡単に救う事が簡単になったから、と言う意味だ。

 

例えるなら、ある企業の会長が財力を使ってアマゾンの森林の伐採量を増やし狩り尽くす。

それだけで地球は滅亡する、そのようにいつどこでも人類/地球がピンチに陥いる可能性が現代にはある。

だが同時に、そんな森林伐採は許さない!という人や団体もいつでもどこでもいる。

結果として「世界を救う、なんて程度の事じゃあ現代では英雄とは呼ばれない」という状態となっており、誰も知らない内に世界を救っている(滅ぼさないように行動する)者は非常に大量に居ると言うわけだ。

 

この例えは良く使われる例えではある。

一般人である立香もマシュからこの話はサーヴァントを従わせるマスターとして聞いていた。

 

 

だが、一体誰が「核戦争なんざよくある事だ」と言わんばかりの事実があると受け入れられるだろうか?

 

 

森林伐採ならまだ例えでわかる。

だが、空想の話だと、自分には関係無い話だと単なる知識としてだけ知っていた核戦争。

そんな理不尽な出来事が一回どころか何十回、何百回と起きかけていたという事実。

 

突如舞い込んできたスネークの言葉に全員が言葉通り絶句した。

それがスネークの作り話の可能性も無いわけではないが、彼がわざわざ嘘を言う意味は無い。

……それなら聖杯戦争どころでは無い気もするが、これはもうどうしようも無い。

 

 

だが同時にそれでは彼が“英霊である理由”になっていない

 

 

「……だがお前」

 

「お前が言いたい理由はわかるがその理由をここで説明する気はない。

今はそれよりこの事態の解決の方が先だ、俺の身の上話なんかより人類の未来の方が優先度は高いだろう」

 

《……彼の言う通りだ、確かに彼が……スネークが何故英霊の座に至れたのかは気になるけど今はそれよりこの特異点の解決が先だ》

 

「・・・まぁ俺の身の上話はこれが終わってからでもしてやる、どうやら俺はこの問題が解決してもこの場から消える訳じゃ無さそうだしな」

 

「そのとおりよ」

 

その声がする方を見ると、カルデアの所長であるオルガマリーがいた。

どうやら自分が為すべき事はわかったらしい。

 

「私たちは人理継続保証機関カルデアの一員、であればこの特異点を解決し人類の未来を保証する事が第一。

改めて聞きます……藤丸立香、マシュ・キリエライト、私に力を貸して下さい」

 

「所長、俺はそもそも——」

 

「坊主、ここは普通に答えてやれ」

 

「でも……」

 

「おそらく私も先輩と同じ考えです、元から私は所長の部下です。

今は先輩のサーヴァントですが……それでも所長は所長です、それこそいまさらの事だと思いますが……」

 

「……うん、俺はそもそもよくわかって無いけど……人類のためにって言うより所長さんの力になりたいって言うのが今の心境です、最初から力を貸していたつもりでしたけど……力不足ですいません」

 

「…………………」

 

「まあそういう訳だ、俺ももちろん手を貸す」

 

「俺はそもそもこの狂った聖杯戦争を片付けたいだけだがな」

 

「……そうね、そんな事最初から決まってたわね」

 

「そういう事だ」

 

「……まっ、あんたらが少なくとも戦えるってのはよくわかった、これならあのセイバーとも戦えるだろうよ」

 

「そういえばお前は敵の名前を知ってるらしいな、相手の名はなんて言うんだ?」

 

「……あれは英霊の座に招かれた奴なら、奴の宝具を見ただけですぐわかる、あれはそういう物だからな」

 

「それで」

 

「……現代産まれのあんたらでも知ってるだろう。

ブリテンの王にして誉れ高き騎士の王、

王を選定する岩の剣の二振り目【約束された勝利の剣】という名の聖剣を持つ王」

 

「・・・それって」

 

 

「アーサー王だ」

 

 

その名は誰もが、世界中の誰もが知る聖剣の持ち主であり騎士王の名にふさわしい逸話を持つ伝説の王。

その名にマシュや立香、オルガマリーが戦慄する。

何せ伝説の王が敵として、それも三騎士の一角であり最強とも言えるセイバーのクラスで居座っているのだ。

 

 

セイバーの名に、かの王ほどふさわしい存在も居ない

 

 

そんな相手に自分たちは勝てるだろうか?

 

 

そう思わずにはいられなかった

 

 

 

 

 

 

「なんだ、それなら十分に勝てるな」

 

 

 

 

 

 

一匹の蛇を除いて

 




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