Metal Gear Fate/ Grand Order 作:daaaper
どうも、今度は炎症によってほとんど口が開かない作者です
お昼になってネットに接続したらいつの間にかこの小説がオレンジ色になってました。
そしてお気に入り登録者数が150を超えてました。
・・・ありがとうございますm(_ _)m
残念ながら執筆時間が来週を持って消える私ですが来年の4月以降から執筆時間がきっと戻ると思われます。
すでに30件の感想を貰えて、個人的には大変有り難いことだぁ……と思いつつも、
今日の投稿を持って一旦休止になります、早過ぎますが……
しかし、来週にはもう2本投稿できると思いますのでご安心(?)下さい。
また、感想欄は見ておりますので何かありましたら感想欄にて教えてください。
改めて読者の皆さんに、
どうかあと一週間ほど相手にして頂き、1年ほど待って下さいm(_ _)m
前書きが長くなりましたが、本編をどうぞ
※この話にてスネークのパラメータが書かれていますので、ご確認下さい
暗闇の世界が目を開ける事で明るい世界へと変わる。
体に痛みはなく手のひらを、指を、両手を見る限り怪我はなく欠損も無い。
「……どうやらまだ生きてるみたいだな」
「その通りだよ」
「!」
その瞬間、意識を戦闘の物へとすり替え寝ていた状態から一気に飛び上がり声がした方から距離を取る。
周りは……病院だろうか、白を基調とした部屋でベットが一つある程度の質素な部屋だ
そして寝ていたであろうベットの横には2人いた
1人は男……だがそっちは見たことがある、その顔はあのキャスターに軟弱男と呼ばれていたそいつだ
もう1人は見た記憶は無い美人
だがどこかで、どこかで見たことがあるような気がしないでも無い
……とりあえずその2人が敵では無いのは確かなので両手を上げて首を振った。
「すまん、つい癖でな……悪かった」
「いやいや、むしろその反応の速さに私は感心するよ〜むしろ興味があると言ってもいい!」
……この声にも聞き覚えは無い。
だがこの声の調子にスネークは覚えがあった……そう、自分の所にいた研究開発班のメンバーだ。
どうやら彼女は結構な腕利きではある様だが……しばらく観察に徹した方が良さそうだと判断し話を続ける。
「ああ、むしろ突然声をかけた僕たちの方に非はあるからね。
さて……早速だけど色々と話がしたいことはお互いたくさんあるだろう、ここでは何だから管制室に移動しながらでも構わないかな?」
「ああ構わない、それより確認したいが……あのマスターと彼女たち2人は無事か?」
「……まだ意識は戻ってないが、1日休めばマシュも立香くんも目は覚めるだろう、ただ所長は……」
「ああ、そっちは問題無い、恐らく“奴”がどうにかしてくれる……その点も含めて話すとするか」
「そうだね……ならついて来てくれ」
そう言って、2人は部屋から出てスネークを案内し始めた。
廊下に出ると随分と広い施設だとわかる……なおさら病院に思えてきた。
「改めて、人理継続保障機関:カルデアにようこそ、我々はあなたを歓迎します……もっとも今は復旧作業中ですが」
「問題無い、俺はここから去る気も無い……流石に人理焼却なんて代物をどうにかする事は俺だけでは無理だ」
「ほうほう、そこら辺は賢いみたいだね?」
「……ところで彼女は誰だ?」
「ああ、彼女は——」
「私かい?私は万能の天才と呼ばれるダ・ヴィンチちゃんさ!」
「レオナルド・ダ・ヴィンチか」
「……あれ?以外と驚かないんだね?」
「かのアーサー王が女性だったんだ、今さら不思議でも無いだろう……天才とか呼ばれる奴は大体こんな感じだしな、大方……モナ・リザに成りたかったからそんな姿をしてると言ったところか?」
「ほぉ〜、私のような天才を何人も見たことがあるみたいだねぇ?」
「……あんたがどんだけ天才かは今はまだわからんが、優秀なクリエイターだと言うのはわかる。
実際、俺の仲間にはそういう奴が多かったからな」
そう、驚異的というか狂為的と言った方が正しそうな研究員は何人もいた。
中には女性の方が美しいからなんなら女に成りたかった、と語る部下もいたりした。
そんな縁で、《モナ・リザ》がレオナルド・ダ・ヴィンチの女体化という説を知っていたというのもあり大方そんな感じなのだろうと予想していた。
……出来ればあまり信じたいとは思いたくない予想だったが、その答えは今目の前で歩いている
「……その点を一つ、確認したい。
あなたは……あなたはCQCの祖であり、アウターヘブン蜂起をした張本人、BIG BOSSですか?」
唐突にそう聞いてきた軟弱男には脆さはあったが、弱さはなかった。
……まあ確かにその点はこの組織にとっては重要な事なのだろう、スネークは真面目に対応する事にした。
「まあな」
「ですがあなたは近代……どころか現代の人間です。
あなたがどんなに実力者であろうとも、現代の人間が英霊召喚で召喚される事はほぼ不可能なハズ。
……あなたは一体どうやって召喚に応じたのですか?」
「……どうやら思った以上に俺は例外的らしいな、だがそれを知ってどうする?」
「・・・え?」
「ふむ……あまり知られたく無い事なのかな?」
レオナルド・ダ・ヴィンチ こと、ダ・ヴィンチちゃんが探りを入れるように質問する。
だがスネークとしては別に知られたくないのではなく、喋りたくないだけだ。
「いや……まあ気分の問題だ、教えても構わないが……今は教えたく無いな。
だが俺はあの坊主に召喚された以上、あの坊主に従う、そしてあの坊主はここの所属するものだろう。
ならある程度俺もこの組織に従う必要があるだろう、俺はそれに抗うつもりは無いからそこは安心してくれ」
「……ロマン、どうやら彼は好意的な英雄みたいだ、別にその点は心配いらないだろう。
万能の天才である私が保証しよう」
「……それは保証になるのか?」
「なる!」
「そうか……で、実際どうなんだ?」
「……まあダ・ヴィンチちゃんが言うからには確かなんだろうね」
「ならよろしく頼む」
「ああ、こちらこそ」
「…………ねえ、何で私の言葉は信じないで彼の言葉はすぐ信じたんだい?」
「万能な技術者ほど人間関係で信頼できないものは無い」
「確かにねぇ……」
「ヒドイなぁ、私がそんな詐欺みたいな事をすると思うのかい?」
「…………………それは知らないが」
「今の妙な間は何だい!?」
全く疑う余地が無いわけでは無いが、彼……彼女が信頼出来るかどうかはロマンからの反応を見るに、それなりの前科があると見た方が良いだろう。
それでも技術の腕は確かなのは間違いないのも確かだろう。
「……でもひとつ、これからの為にも確認しないといけない事があるんだ」
「ん?何だそれは」
「君のスキルとパラメータだ」
そう言われて案内された場所は随分と現代的な場所。
見る限り通信設備と幾つものタッチパネル式の液晶にキーボード、職員は18人で今も彼ら3人が入ってきても誰として作業の手を止めていない。
そして正面のガラスがあったであろう吹き抜けの先には……太陽のような物体が浮いていた。
「あれは確か……カルデアス、とか言ったか?」
「ええ、惑星には魂があるとの定義に基き、その魂を複写する事により作り出された小型の擬似天体です
星の状態を過去や未来に設定する事ができ、現実の地球の様々な時代を正確に再現可能です」
「言ってみれば地球のコピーか」
「……驚かないんだねぇ、本当に」
「これ位なら幾らでも見てきた、人工知能とかな」
「なるほどねぇ……」
「……さて、まずは我々の話からしましょうか、こちらへ」
そう言われ、また歩くと今度は一つの研究室に案内された。
中は様々な物質に化学薬品、見たこともない何かがそこにはあった。
「……随分と薄いが、あの洞窟で感じた似たような雰囲気が漂ってるな?」
「たぶん魔力の事だろうね、まあここは私の工房さ」
「なるほど、ある種の研究室と工場を兼ね備えてるのか」
「……本当に良くわかるね」
「でだ、とりあえずは俺に関した事から片付けたい……俺のスキルとパラメータってのは何だ」
「……それはサーヴァントなら、わかってるだろう?」
「いやわかるが、何で俺のスキルとパラメータってのが気になるんだ?」
まずはそこだ。
スキルと言うのは各サーヴァントが持つ特技みたいなもの、パラメータはそれぞれのスペックだ。
スキル自体、スネークも自身が組織した軍隊で似たようなものを知っている。
「……まあ言っちゃ何だけど君がレイシフトでここに来て検査をしたんだ、身体的な意味でも魔術的な意味でもね」
「それでスキルっていうのはわかるもんなのか?」
「身体検査だからね、普通はわかるはずなんだけど……ねぇ」
「ん?わからなかったのか?」
「まあそういう訳だ、多分君のスキルの中に何かしら自分の情報を隠すスキルがあるんだと思う。
それが検査というものを一種の外敵からのアプローチとして発動したんだと思う」
「……じゃああれか、俺が自分で情報を言う必要があるのか?
だが俺は接近戦に強いってのと宝具ぐらいしかわからないぞ、それこそマスター権限ってのでマスターが自分のサーヴァントを解析する位しか方法はないだろう」
「そこでダ・ヴィンチちゃんの出番って訳さ!」
「………どうする気だ?」
「まぁまぁそう警戒しなくていいよ、多分君の体を“勝手に”解析したのがマズかったんだ。
少なくとも今は意識がある状態で、私たちのことを敵だとは認識していないだろう?
それならその妨害してると思われるスキルも発動しない、その状態で検査をするだけだよ」
「……俺はあまり検査は好きじゃないんだが」
「そうは言っても……一体何が出来て何が出来ないのか、どの位の戦力なのかを知るのがどれだけ重要かは
あなたならわかるはずです」
「……わかったわかった、それなら一つ注文だ」
「そう怖がらなくて良いさ!一瞬で終わるしね!」
「そうじゃない、そこの男に注文だ」
「……僕に?」
だが一つだけ、まずは解決したい問題がスネークにはあった。
自分には思い当たりのないらしいロマニはスネークの指摘に疑問で返したが、その注文内容は至ってシンプルだった。
「お前、言い方が嘘くさい、と言うより不自然だ。
聞いている方が違和感しか感じないから話し方を普通にしてくれないか、居心地が悪い」
「言われようがヒドイぞ!?」
「そうだ、そんな感じで構わない。
俺は単なる傭兵、実際サーヴァントだしな、気に食わなかったら文句を言うがへり下られてもやりにくい。
俺のことはスネークと呼んでくれれば問題ない、俺もその方がやりやすいしな」
「ほらぁ、やっぱり言ったじゃないか、君は話し方をわざわざ意識なんてしなくて良いんだよ」
「そうは言ったって相手は伝説の傭兵だよ!?
確かに王様とかとてつもなく偉い身分の人じゃないとはいえ年長者だよ!?」
「……お前の隣にいる奴も年長者だと思うが」
「彼は……ほら、ダ・ヴィンチちゃんだし」
「なるほどな」
「何がだい?私が何かした事が今まであったかい?」
何かが抗議している気がするが恐らく機能性だろう。
ここは機能的なものが多い、きっと何かが作動してる音に違いない。
「じゃあ改めてスネーク、とりあえず君の検査を始めよう、そこに立ってくれ」
「わかった」
「……ねえ君たち?ひどくないかなぁ、私は万能の天才ダ・ヴィンチちゃんだよ?」
「立ってるだけで良いのか?」
「うん・・・終わったよ、もう座ってくれて良いよ」
「………なぁ君たち、ここが私の部屋だって知ってるかい?」
「意外と早く終わったな?」
「いわゆるレントゲン撮影とほとんど変わらないからね。
実際マスター権限でのサーヴァントの解析もマスターがサーヴァントを観るだけだ、スキルやパラメータを見る程度ならそれなりの機材が必要なだけで大した手間じゃないんだ」
「…………ロマン、君が隠している柿ピー食べるよ」
「そうだスネーク、長話もなんだからそこにあるチーズでも食べながら話そう」
「ほお、チーズか」
「悪かったよ!今まで勝手にチーズを注文したり所長のマカロン食べたりロマニの歌舞伎揚げ食べたりマシュのメガネを改造したりしたけど!!
それでも私はただ単にみんなに楽しんでもらいたかっただけなんだっ!!」
「……ダメ人間だな」
「そうだねぇ」
さすがに同情の余地があるかと思っていたが……彼女が自白した内容を聞く限りだめだろう。
むしろ今白状したのがほんの一部でしかないのだろうと簡単に想像がついた。
……だからと言ってチーズで釣ったロマニもロマニでどうかと思うが、それで釣られたのが人類の万能の天才と呼ばれた逸材、英霊なのだが。
「それはそうと、俺のスキルとパラメータってのはどうなんだ?」
「うん、今プリントアウトしている……出てきたね、はいコレ」
「拝借する、と言っても俺に関した事だが」
「まあそうだね」
そう言いながらも渡された一枚の紙に書かれた内容を見る。
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対象:スネーク
真名:BIG BOSS
クラス:ライダー
▪︎パラメータ-筋力:B+/耐久:A/俊敏:B/魔力:E/幸運:E/宝具:C
▪︎クラススキル-対魔力:E/騎乗:C/保有スキル-心眼(真):B/カリスマ:A/射撃:A/クイックリロード:B/
/ゴースト:A+/対巨大:EX/死者の加護:EX/
【CQC(クロース・クォーターズ・コンバット】
▪︎ランク:C/種別:対人宝具/レンジ:1-2/最大捕捉:1人
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【⚫︎⚫︎⚫︎(ーー⚫︎ーー⚫︎ーー-----)】
▪︎ランク:?/種別:???/レンジ:???/最大捕捉:不明
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「……なんだこれは、健康診断か何かか?」
「いや君のステータス……なんだけど……どういう事だ?」
「どれどれ…………ねえ、一つ確認していいかな?」
「なんだ」
「君って本当に現代人?」
「当たり前だろう、俺はつい最近まで生きていた…………とは言い難いが、去年死んだ。
9.11の同時多発テロやその首謀者がアメリカによって殺された事も知っている、あとロシアがオリンピックの裏側で侵攻をしてた事もマンハッタン沖でのタンカー沈没も知ってるぞ」
「……知ってる内容がアレだけど……うん、まぁとりあえず嘘じゃないみたいだ」
基本的に英霊は召喚されると、召喚した聖杯から現代の知識を与えられる。
これは各時代で生きた英霊たちが現代社会で生きていけるように、というある意味オカンの様な配慮と言える
ここで言う知識というのは召喚された現地の言語、そして生活に関わる社会的な一般常識だ。
もっとも
例えば日本で召喚された場合、食文化で言えば米という存在と箸の使い方や食べ方は知識として与えられる。
その一方で生前よく食べていたパンの方が好みだ、という英霊も多い。
そして、それぞれの英霊が現界した時には当然生前の記憶や知識も含まれている。
それらから考えるとスネークが持つ知識はとても聖杯が与える代物ではなく生前知っていた“記憶”と言える。
……彼の場合は生前、記憶や経験を記録されたといった方が正しいが。
「というかロマニやあのマシュとか言った嬢さん、あとマスターの坊主も知ってたみたいだが?」
「そう……なんだけどさ、なんか色々と天才である私の予想外なんだけど……うーむ……」
「具体的にはなんだ」
「……とりあえず僕の口から説明しよう」
勝手に自分の世界に入っていったダ・ヴィンチをしばらく放っておき、代わりにロマンが説明を始めた。
「まず、宝具の説明欄が無い」
「ああこれか、説明文だったのか」
「……ごっそり抜けてるなんてこと自体初めてなんだ。
それに加えてもう一つの宝具はそもそも効果が不明、説明文も無し、名前も意味不明」
「おい待て、名前が意味不明は無いだろう、確かに顔みたいになってるが」
「そう言いたくなるくらい おかしいからねぇ……その点何か思い当たることはあるかい?」
「思い当たることなんてあるわけ無いだろう」
「いや、あるはずだ。
宝具っていうのはサーヴァントの最終武装、生前の偉業を形にしたものだ、心あたりはあるはずだよ」
「…………なるほどな、そういう事か」
「どういうことだい?」
「まず、お前たちが知っている俺に関する情報は事実の一部に過ぎない」
「だろうね」
「いいや、お前が思っている以上に一部分に過ぎない。
そして俺は根本の部分、生前の行いで自分に関する情報を秘匿することが体に染み付いている。
……あまり詳しく言いたくないが、とりあえず仮に俺が許可をしても俺の重要な部分を他人は知ることが出来ないだろう……魔術的に合ってるかはわからんが一種の怨念に近いかもな」
「……そんなに知られたくないのか」
「本能的に思ってるんだろうな、それか俺の性かもしれんが。
実際、CQCに関して教えろと言ったら体で教える以外に方法は無い、口だけで説明できるもんじゃ無い」
「あっそういう意味なんだ」
「あくまで俺の予想だがな」
「……じゃあ宝具の説明部分が抜けてるって言うのは……」
「そもそも説明が出来ないからだろう。
もう一つの方は……宝具自体が情報を秘匿する効果があるんじゃないのか?」
「じゃあ、その効果に思い当たるところはあるんだね」
「あるな、俺自身の情報は……そういう風に扱われたからな」
「?……それはどういう意味だい?」
「……すまんがそれは言えん、教えてもいいとは思うが……ダメだな、教える気になれん」
「そうか……まあ君がしたく無いことを僕はどうすることも出来ないからね」
「諦めてくれると助かる」
そもそもスネークはCQCはスキルの一部だと思っていた、だが実際には宝具だったらしい。
もっともだからと言って何か変わるのかと言えば本人にしてみれば何も変わる事は無い。
そしてもう一つの宝具に関しては……はっきり言ってスネークはその宝具の名前も効果もわかっている。
だがその宝具を完全に扱うことが出来るかと言えば、今は不可能だとしか言えない。
原因は……不明だが、恐らくそもそもこのサーヴァントという体に慣れてないのだろうと当たりをつけていた
「そう言えばサーヴァントになるのは初めてなんだが、随分と体が変な感じだな」
「ああ、それは多分召喚したばかりだからだと思うよ」
「それはこの世界に来たばかりで慣れてないからか?」
「うーん……少し違うね。
本来の英霊召喚ではその英霊の全盛期の姿が召喚されるんだ、スネークの場合は……40代かな」
「ああ」
「まあ、それはあくまで“本来の英霊召喚では”なんだ」
「……なら、ここでは特殊なのか?」
「最初に紹介したけど、ここは人理継続保障機関:カルデアだ。
そして人理継続の実務を遂行するためにサーヴァントを召喚するんだけど、召喚に応じる英霊が友好的で必ず協力してくれるとは限らないんだ、下手をすればこっちが殺られてしまう可能性もある」
「そういう物なのか」
「そこでここの前所長、今の所長の父君は召喚したサーヴァントの霊基をある程度弱体化させて召喚するシステムを採用し製作した」
「なるほどな、一種の安全対策か」
「まあね、もちろん安全対策のためにサーヴァントを弱くしても、いざ戦う時にも弱いままじゃお互い問題が発生するのは目に見えてるからね、その対応策もある」
「ああ、単純に霊基を強くすればいいのか」
「……頭が良いんだね」
「商業柄、少ない情報からわかることを繋ぎ合わせて推測しない奴は死ぬ世界だったからな。
このくらい俺の部下たちもわかると思うが」
「……傭兵って筋肉モリモリで単細胞かと思ってたよ」
「まぁそういう奴もいない訳じゃないが、長生きする奴はだいたい頭は回るぞ」
ロマニの指摘はあながち間違えてはいないのだが、それはある意味偏見だ。
戦場で生き残れる者は、
だいたいがあらゆる情報をかき集めその情報から瞬時に判断出来るか、
あるいはそれが出来なくてもある一点に特化しその一点だけは誰にも負けないプロか、
はたまた引き際を間違えない小心者、別の言い方で勇気ある行動ができる天才。
だが……ロマニの筋肉モリモリの単細胞と言われてスネークが思い出したのは一人の男だった。
具体的にはパイプ一本で敵兵をぶん殴って殲滅したり、あらゆる銃を二丁持ちでフルオートでぶっ放したり、本人の言葉を信じると岩男(ビル8階建くらい)の相手を1人で倒したご老体。
……今思い出すとある意味で化け物だとわかった
「……………あのご老体も化け物だったか」
「どうしたのいきなり!?」
「ああすまん、お前が筋肉モリモリと言ったからな。
ふとある奴……と言っても俺より一回り年上だが、ある兵士を思い出してな」
「君が化け物呼ばわりするほどかい?」
「そうだな……フルオートのLMGを両腕に抱えて二丁まとめてぶっ放したり、パイプ一本で敵1個大隊と機械化歩兵を殲滅した位だが」
「…………ごめん、それ冗談でしょ?」
「いいや?実際俺は見たしパイプの扱いも一流だった、恐らくあいつなら俺が召喚された街くらいなら余裕で生き抜くだろうな、特異点の解決に繋がるかは知らないが」
「……そうか……そうかぁ……」
「大丈夫か?」
「……彼は本当に現代の英雄なのか?……実は転生して、天性の肉体を……けどそれならスキルに……」
「おい、聞いてるか?」
「……ていうか人間なのか……これも遺伝子の……いやいや……うーむ……」
「Dr.ロマン、一体どうした」
「っぁあ問題ない!スネークの霊基も後でダ・ヴィンチちゃんが強化してくれるだろうし!
気にせずに次に行こうかっ!……と言っても次もまた突っ込みどころが満載なんだけどねぇ……」
「答えてやるからさっさと言え」
「……まあスキルに関してだ。
対魔力や騎乗スキルはライダーとしてのクラススキルだし、保有スキルの心眼(真)やカリスマもわかる。
射撃やクイックリロードというのも君の銃器に長けた腕前がスキルとして付与されたんだと思う。
ただ……残りのゴーストとか対巨大とか、何より死者の加護とかっていう名前からして物騒なものが並んでるんだけど……これの説明はしてくれるかい?」
次はそれだ。
一体なにをどうしたらゴーストだとか対巨大だとか、何より死者の加護など得られるのだろうか?
湖の精霊のおかげで水面に浮けるのと同じ理屈だったりするのだろうか?
だとするとそれは加護ではなく呪いではないのか?
そういった考えが浮かぶのはある意味で当然のことだった、ロマニの個人的な興味本位の部分もあるが。
「ああこれか、むしろ俺としてはクラススキルとか他のスキルに関しての情報が欲しいがな」
「ああ、なら後でコピーで良ければスキル一覧を渡しておくよ」
「それは助かる、というかそういう一覧があるんだな」
「……wikiに載ってるから」
「………それで俺のスキルに関してか、まあ順番に行こう。
まずゴーストだが、恐らく俺が単独潜入を得意としてたからだろうな」
「確かに僕たちが知ってる内容でも君が単独で敵地に潜入していたとはあったけど……どうしてゴーストなんだい?」
「……俺の上司だった男が初めてのミッションで言った《お前は正真正銘のゴーストに成れ》ってな」
「それってどういう……?」
「そのままの意味だ。
その場に存在しているが、誰にも悟らせない、誰にも気付かれない、だからそこに存在していない存在。
単独潜入で求められる兵士はそういった存在だ、たとえ相手に何かしら干渉しても一切バレない存在。
それを表現するのにゴーストって言うのは一番しっくり来る」
例え真後ろを歩いていても気付かれない、ドアを通り過ぎても誰も気にしない。
例え人を排除しても誰も気付いていない、少し寝ていただけで誰も気にしない。
それが何者かの仕業など考えない、考えさせる証拠を与えない、痕跡が無い。
それがスネークが最初の潜入任務、Virtuous Mission(バーチャス・ミッション)で与えられた指標
確かに存在はしている、だが存在は知られない、だから存在していない、つまりゴースト。
「……じゃあ気配遮断みたいなものかな?」
「そんな大層なものじゃないと思うが……気配遮断っていうのは正面に立っていてもバレないんだろ?」
「まあね、言葉通り気配を外部に漏らさないように遮断してるから」
「俺の場合は死角にいると影が薄くなるだけだ、そんな超人的な事はできない」
「……けど、アーサー王の真後ろに立って声を掛けてたよね?」
「あのくらい普通だろう、俺としてはあいつの体に直接C4を仕掛けようと思ったがその鎧がどれだけ丈夫なのか判断できなかったからな、確実性を取っただけだ」
「そうなんだ……そうなのかぁ……」
考えてみてほしい、相手はかのアーサー王でサーヴァントだとはいえ女性である、人である。
だというのに目の前の男は敵だからという単純な理由で直接爆破しようとしていたと言う。
もはやハーグやジュネーブなど何もない……まぁサーヴァントに条約が適用できるかは怪しいのだが。
だとしても人体もろとも発破とは一体誰が思いつくだろうか。
むしろ発破より拘束する方が確実に仕留められるとかいう男はどうなのだろうか
「……まあとりあえず、君は噂どおり潜入も出来るわけだ」
「サーヴァント相手にも通じるかは知らないがな」
「……アーサー王を眩ましたなら問題ないんじゃないかなぁ!」
「いや、どんな敵がいるか知れたものじゃない、油断は出来ないだろう」
「………………」
君の方が知れたものじゃ無いよ、と言いたかったがそれを言っても何故か怒られる訳でもなく、
ただなんとなく「お前は何言ってるんだ?」と返されるような気がしたロマニは何も言わず話を進めた。
隣でブツブツなにか発してるのは機能性だろう、この部屋の仕様だろう。
「じゃあこの対巨大っていうのは?」
「それは多分メタルギアの事だろうな」
「メタルギアってあの核兵器を搭載した機械兵器のこと?」
「別に核兵器を搭載してるとは限らないがあれのほとんどはデカイ、それを何度も相手にしたからスキルにもなったんじゃないか?」
「それなら対メタルギアとかになりそうだけどね」
「それもそうだな……ああ、そういえばモンスターを狩ったこともあったな」
「そんなモンスターって、さっきの兵士みたいな相手を仕留めたからってスキルに関係は無いだろう?」
「いや、普通にドラゴンだが」
「「ドラゴン!?」」
突然の幻想種、それもドラゴンと来たら魔術師なら誰でも驚く。
そもそもドラゴンは神秘に満ちた時代でも希少な存在であり、素材としても一級品、そしてそれだけ強かった
だが神秘が薄まるにつれて、ドラゴンはおろか素材となりうる神秘の濃い魔物と呼ばれるものですらほとんど見つける事はできない、あの冬木でみた骸骨ですら本来は貴重な素材であり、現代で見ることなどとうに叶わないものなのだ。
せいぜい現代で現れるのは死徒、グールくらいだが……それはまあいいとしてドラゴンである。
そうドラゴン、そんな単語があろう事か現代の英雄であり傭兵だった男から出てきたのだ。
死んだ後、そして今も現在進行形で魔術の知識を仕入れている彼がドラゴンなんて言葉を自分から発するとは思えない、故に思考に没頭していたダ・ヴィンチですら反応した、それが事実なら放っておけない。
「君いまドラゴンって言ったよね?言ったよね!?言ったな!!?」
「いやっおい、何をそんなにお前は興奮しているだ?ロマニ、こいつをどうにか——」
「いまドラゴンって言ったよね!?なんで君からドラゴンなんて言葉が出るんだい?!
本当に君は現代の英雄なのかい!?実は古代ローマからテルマエから湧いてきたんじゃ……!?」
「お前が一番錯乱してどうする……」
「ねえ君、そのドラゴンってどれ位の大きさだい!?」
「どれくらいって言われてもな……15m以上はあったか?」
『…………………………』
「……今度はどうした」
『そんなのいる訳ないじゃないかぁ……』
唐突に残念がる2人。
それはそうだ、全長15m越えなどそもそもドラゴンとか言う前に生物として陸上で存在できるか怪しい。
世界最大級の生物であるシロナガスクジラは33m程あるが、それは浮力の効く海上でだからこその話。
基本的に10mを超えると生物は自身の体重で潰れるかまともに動くことが出来なくなる。
彼ら彼女らが想像していたのは体長が人と同じくらいか数メートルかのワイバーンに近いものを想像していた
確かに伝承ではそう言った化け物もいただろう……が彼が生きていたのは現代、そんなものが居れば瞬く間にどこかの軍が動く、神秘の濃度や現実的な問題でも小型のワイバーンの様な物を予想していた。
当然15mのドラゴンなど存在するわけが無い、と半ば呆れながら解説する運びとなった。
「いやそう言いたいのはわかるがな、実際にいるぞ?」
「いやいや、いくら天才の私でも現代で実現可能な事と不可能なこと位予想つくさ」
「天才なら予想つくだろうな、そりゃ」
「僕もダ・ヴィンチちゃんと同じ意見だ、いくらなんでも世の中実現できる事と出来ない事は分かれてる」
「人理焼却はどうなんだ、そこのところ」
「良いかい?この時代で、陸上で、そんな馬鹿でかい化け物が大暴れしてれば何処かしらの軍が動く。
そうなればすぐに世界が大騒ぎさ、そうでなくとも15m越えの生物なんてまともに動けないだろう。
そんなことも君はわからない訳じゃ無いだろう?」
「そもそも軍が無いがために俺らが動いたんだがな、それと15m越えのモンスターなんざそれなりにいるらしいぞ」
「らしいぞって……スネークは理屈では知らないと思うけどこの時代は神秘、つまり奇跡が科学によって証明されているんだ、だから幻獣みたいな怪物なんかも姿を消していった、いま残ってるのはせいぜいグール……ゾンビみたいな物くらいだ、時々小型のモンスターも報告されるけど滅多に発見されやしない」
「確かに小型のモンスターもいたが、馬鹿でかいのもいたぞ。
というかそんなに信じられないなら別に良いじゃないか、居た物は居たんだ」
『良くない!!』
ここでフォローする点は2つ。
1つはロマニやダ・ヴィンチが言う通り、神秘が極めて薄まった現代においては空想の物語に出てくるようなモンスターはほとんど残っていない、存在したことは魔術の世界で確認されてはいるがまず残ってない。
つまりスネークが語ってることは奇想天外なことであり、それ故に探求する価値があるためブレーキ役であるロマニですら興奮している、もっともいない事を前提に話は進めてるが。
そしてもう1つはスネークは実際にドラゴンを見た、と言うより自身の基地に襲撃してきたこともある。
ただ、このモンスターに関してはクリサリスと呼ばれたAI兵器の写真がUFOの存在を示す証拠として流失してしまった一件があったため、彼が指揮していた組織によって完全な隠蔽がなされたため世に残っていない。
襲撃してきたモンスターはコスタリカにも上陸したが、上陸したモンスターを倒す術がコスタリカには無かったためにスネーク達のところに依頼が来たため情報は今まで漏れてない。
つまり魔術の世界にいるこの2人どころか、普通誰もまず信じられないがドラゴンは現代で生きていた。
「……なら今度写真を見せる」
「写真があるの!?」
「いまは無理だ、だがさっきロマニが言っていた霊基の強化でもしかしたら可能になる……かもしれん」
「ダ・ヴィンチちゃん!」
「ごめん、今すぐには手を付けられない。
まずは施設の復旧と唯一のマスターである立香くんと所長であるオルガの復帰は最優先だ。
マスターである彼は多分明日には目を覚ますだろうけど……」
「……そう言えばそうだったね」
「冷静になったか……」
突如沸き起こった2人からの熱意と言葉の雨。
それらにスネークは素っ気なく返したが、彼らの一番の上司がまだ寝たきりだったのを思い出した二人は黙り切ってしまった。それを見てスネークは一先ず落ち着いた2人を見て安心した……が、彼女が寝ているのは“奴”のせいであることをまだ説明していないことを思い出し、目の前で黙りこけた2人に声をかけた。
「ところで彼女、お前たちの所長の事なんだが」
「オルガマリーのことかい?
彼女は君たちと一緒にレイシフトでちゃんと戻って来てたよ……流石の私も一体何処で受肉したんだかさっぱりでね、まるでサーヴァントみたいに魔力で出来た肉体で“何か”を包んでる。
おかげで命に別条は無いし、どうやらこの世界に留まれているみたいだけどねぇ」
「……何故か目を覚まさないんだ、投薬もしてみたが……効果があるかどうか……」
「それなんだがな、恐らく俺が原因だ」
「!?どういうことだい!」
「……そう言えば、君はレフがマリーをカルデアスに放り込もうとしたのを阻止したらしいじゃないか。
一体どうやったんだい?」
「……ほぼ確実に“死者の加護”だろうな、もっとも俺もいま名前を知ったが間違いない」
「詳しく聞こうか」
本腰を入れたダ・ヴィンチはそれなりに真剣に話を聞く態勢になった。
命に別条は無いとはいえ所長である彼女の容体は原因不明、それを知っているとなれば真面目にもなるらしい
「まぁ理屈自体は簡単だ。
俺は昔、まぁ縁あって降霊術に長けた“奴”と出会った、それから時折いわゆる幽霊が見えるようになった」
「それがスキルになったのかい?」
「みたいだな、名前には加護とついているが別に俺を直接守ってくれた事はないがな。
俺の命が関わっている状況下で少し手助けをしてくれたくらいだ」
「……それが所長とどういう関係が?」
「どうやら俺が死んだ後でもこいつらは俺の周りに居るらしくてな、こうして現界してもいた。
もう少し俺の霊基が強くなればある程度意思疎通も出来るような気もするが、あの時は坊主に令呪を切らせてこのスキルの効果が強くなったんだろう、それで所長を確保するように頼んだら動いてくれた」
「ふむ、つまり君は幽霊を操る超能力者ってことかい?」
「いや違う、どっちかといえばそういった超能力を扱える知り合いが今も居ると言った方が正しいな」
「そうかい……じゃあ彼女に効果があるかは一種の賭けに近かった訳だ」
「いいや、随分前に彼女が死んだ人間だというのは見当がついていた」
「えっ・・・ぇえ?」
「お前はっ……見てたなら覚えてるだろ、キャスターがあのお嬢さんを重いと言ったこと」
「えっあっぁあ、ああ覚えてる」
「あの時は俺にしか見えてなかったみたいだが、彼女の体には何人か取り付いていた」
「それってつまり、彼女はもう取り憑かれているってことかい?」
「違う、あくまで“付いて”いただけだ、別に何の意味も無い、言葉通りくっ付いていただけだ」
「その幽霊が付いていた分、重かったと?」
「多分な、別に生きてる奴でも肩が重くなるくらいはあるみたいだがその程度だ。
あのキャスターは性格は置いておくが人を見る目があった、人の体重を測り損ねることはない無いと思った。
そのときから当たりを付けててな、あのマシュっていう嬢ちゃんとはまた違う感じがしていたのもある」
「君がサーヴァントだからなのか、元からの素質なのか……本当に魔術を知らなかったのかい?」
「ああ」
「……そうかい、それで君はどうやってレフから彼女を助けられたんだい?」
「魔術に詳しくはないが、彼女が何かに引っ張られるように宙を浮いたのはあいつの魔術には違い無かった。
だがあれは多分物体を引っ張ったり動かしたりする代物だろう、ならそれに干渉する事も不可能じゃ無いだろうと直感的に思った、そこでマスターの令呪を切ってもらって干渉力を強化してもらったと言った所だ」
「まぁ理屈は通ってる、実際それが成功したんだろうね
じゃあ彼女がレイシフトしてちゃんと戻って来れたのはどうしてだい?」
「……そう言えば固定化、とかスネークは言ってたよね?」
「正しい言い方は俺にもわからんがな。
“奴”は死にかけた者の魂、っていうのかわからんがそう言った物を扱う力が強い……俺の感想だがな。
そして、“奴”は死んでからそれなりに時間が経っている人間でも蘇生させる事が出来る」
「……死者蘇生ってことかい?」
「なのかもしれん、俺も詳しくことはわからん。
だが“奴”は彼女を俺の横に連れてきた時、俺を見て頷いた、だから大丈夫だろうと思った」
「……じゃあ結局、何もわからないってことか……」
「それで今の所長の容体とどういう関係が?」
「“奴”は今頃、彼女と話でもしてるんだろう、あー・・・出来るかわからんがやってみるか」
そう言うとスネークは席を立ち、目を瞑っていた。
……側から見るとただ立って目を閉じているだけで何をやってるのかまるでわからない。
かく言う天才は見当が付いたらしいが、至って常識的で少し頭が良いロマニは突飛な発想には至らなかった。
「やはりお前らには見えないか……仕様がない、口で説明するか」
「・・・見えないって・・・まさか」
「お前らの目の前にいるぞ」
「なにが!?」
「死んだ兵士たちの魂、まぁ幽霊と言った方がわかりやすいか?」
「いや!いやいやいやいや!!カルデアになに持って来てるの!?
ていうかそんなあっさり卸せるというか出てきてくれる物なの!?」
「落ち着くんだロマン、とりあえずこいつを飲みたまえ」
「うん……うんそうだね、とりあえずは落ち着こう。
そうだよ、別に見える訳じゃないし見えなければいないのと同じだもんね」
「まあゴーストだからな」
「そう言うことだ、さぁ飲みたまえ、ちょうど喉も渇いただろう?」
「ありがとう、ダ・ヴィンチちゃん」
ダ・ヴィンチから渡されたコーヒーをもらい、一杯飲み目を閉じる。
コーヒーの苦みと酸味は目を覚ますのにも気を落ち着かせるには一番効く。
そしてコーヒーに含まれるカフェインは気管の拡張を促し血管を広げ脳への酸素と血液量を増やす。
結果、ロマンは気分が落ち着き一時的に幾分が頭の回転が良くなった。
「ふぅー……落ち着いたよ、ありがとうダ・ヴィn——」
「「「「「……………………………」」」」」
「・・・・・アア?」
「「「「「……………………………」」」」」
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!?!?
」
「どうした!?」
突然絶叫したロマニ。
そのまま椅子に思いっきり体重をかけて後ろに倒れた、幸い頭は打っていないが異常だ。
……何よりそんな同僚を見てニヤニヤしている者が異常だが。
「多分この薬が効いたんだねぇ」
「……その明らかに怪しい茶色い小瓶は何だ、劇薬でも混ぜたのか?」
「身内にそんな事はしないよ、これは人の目には見えない物を見えるようにする物さ。
本来は魔力そのものを見えるようにって目的で私が作ったんだけどね、少し改良して霊体化したサーヴァントも見えないかなぁ〜と思ったんだけど、いまピンッと来てね!試してみたらビンゴだよっ!」
「……おい」
「大丈夫さ、私もいま飲んだから問題ないさ」
「………そう言う問題じゃないと思うが」
“毒を入れたわけじゃない”、というのではなく“自分も飲んだから問題ないさ”と言う辺りから問題だ。
まず同僚を実験台の如く……もはや実験台として薬を仕込むこと自体大問題だろう。
恐らく彼女にとって身内に“劇薬”はアウトだが“薬”はセーフなのだろう、一体どこの製薬会社だ。
そも、その“薬”は安全なのだろうか?
「万能の私が作ったんだ、万全だよ!」とか言われそうだが全く信用できない。
尊い犠牲を払い、スネークはここにいるレオナルド・ダ・ヴィンチを危険人物と断定した。
そんな危険人物はご機嫌になったのか目を閉じ椅子の上で回転していた。
このことをスネークは永遠にわすれないだろう
「……眠れロマニ、お前のことを俺は忘れない」
「僕は……別に死んでないだけ……だよね?」
「それはツッコミなのか?」
「うーん、思ったより副作用があっt——」
「「「「「U((・⊥・))U((・⊥・))U((・⊥・))U((・⊥・))U((・⊥・))U」」」」」
「エエエエエエエエエエエエエエエエエエェェェッェェェェェェェェェェェェェェェェ!!?!?」
・・・わからない方がいるため、説明させてもらうと
ダ・ヴィンチちゃん薬を飲んでご機嫌
→目を閉じる
→ロマニ椅子から倒れる
→ダ・ヴィンチ目を開け状況確認
→自分の目の前で幽霊(5体)が《U((・⊥・))U((・⊥・))U》という感じでEXILEしてた
以上
「良くやった」
「「「「「( ̄^ ̄)ゞ( ̄^ ̄)ゞ( ̄^ ̄)ゞ( ̄^ ̄)ゞ( ̄^ ̄)ゞ」」」」」
「いやいやいや!?なんでビシッと敬礼してんの?!」
「「「「「(¬_¬)(¬_¬)(¬_¬)(¬_¬)(¬_¬)」」」」」
「なんで全員して目を逸らしてるの……?っていうかチューチュー◯レイン出来るんだ!!」
「「「「「(=´∀`)人(´∀`=)(=´∀`)人(´∀`=)(¬_¬)」」」」」
「なんか一人ボッチじゃないかなぁ!?」
「良くやった、戻って良いぞ」
「「「「「(`_´)ゞ(`_´)ゞ(`_´)ゞ(`_´)ゞ(`_´)ゞ」」」」」
「あっ消えていった……」
「……珍しくダ・ヴィンチちゃんが大声を出してた……」
これが伝説の傭兵《BIG BOSS》
あの万能の天才にしてカルデアの天災でありダメ人間のレオナルド・ダ・ヴィンチを絶叫させ大声でツッコミをさせるという快挙を自身のスキル(?)で可能にする男。
なお、そんな快挙絶対に彼は喜ばない。
「気は済んだか?」
「……死んでもあんなに表情豊かなもんなんだねぇ……」
「そんなにかい?僕は驚きすぎてあんまり良く覚えてないけど……とりあえず幽霊ってのは本当なんだね」
「まあな、もっとも俺は操れない、“奴”が降ろしてくれてるだけだが」
「その“奴”って言うのは?」
「ああ、降霊術を使える俺の…………知り合いであり戦友であり、命の恩人かもしれない」
「そうかい……いやぁ〜久しぶりに驚かせてもらったよ〜」
「……いや、肝心な事忘れてるけど、所長の容体はどうなんだい?」
「たぶん問題ないな、息さえしてれば勝手に起きる。
別に悪霊でも無いしな、俺では理屈は説明できないが大体俺の側にいるのはあんな感じだ。
早ければ今日、遅くともマスターたちが目を覚ます頃には起きるだろう、体の調子まではどうなってるかわからんが」
「そこら辺は問題無かったよ、ほぼ生身と同じだ」
「そうか、ならお前たちが聞くことは無いか?」
「私には山ほど聞きたいことがあるけどね、流石に復旧作業が先さ。
もっとも君のお陰でさっさと作業を終わらせる必要が出てきたけどね!」
「……まぁ俺としての魔術の知識は仕入れたい、暇になったらここに来るとしよう」
「本当かい!?」
「ああ、ならさっさと終わらせるんだな」
「そうかいそうかい、なら早速仕事をしよう!」
そう言うとダ・ヴィンチは意気揚々に部屋から出て行った。
その光景を見てスネークは溜息をついたが、一方のロマニは目を丸くした。
「……あのレオナルドが……仕事をするだって……?」
「何だ、あいつはサボリ魔なのか?」
「そうだね、少なくとも進んで仕事をし始めるタイプじゃ無いよ。
あくまで自分の興味と趣味の範囲内で仕事をしているタイプだ」
「なら腕は確かなわけだ……腕だけは」
「その通りだよ」
あの手のタイプは自他共に認める天才、やる事為すこと全て周りに影響を与える。
それが多くの人に役立てば仕事、迷惑をかければ煙たがられ、多大な迷惑を与えると事案になる。
……過去にそんなこともあったとスネークは思い出していた。
「さて……そろそろ僕も仕事に戻らなくちゃね」
「何だ、俺の相手は仕事じゃ無かったのか?」
「優先順位では同じくらいさ、ただ君とはこれから長い期間一緒にいることになる。
それならいま急いで聞くより時間をかけてそれとなく聞き出せば良い話だろう?」
「それを本人の前で言ってどうする」
「いや、だって君相手に腹芸なんて僕には無理だよ」
「……そうか、とりあえず人理の修復とやらに協力しよう、このまま座に戻ってもやる事は無いしな」
「随分な皮肉だねぇ」
「単なる事実だ、まぁよろしく頼む」
「……肩を外されたりしないよね?」
「おいおい……まあお前とは話しやすくなった、これから頼むぞロマニ」
「こちらこそ、僕の事はロマンとでも呼んでくれ、スネーク」
こうして人理修復の旅は始まろうとしていた。
マスターに降りかかるのは様々な困難と、数多くの名を馳せた英雄
彼一人ではとても敵わない相手、一般人にはどうしようもない相手だ
だが彼には頼りになる後輩が一人
そして・・・・・・・・・・・・
「そういえばロマン」
「ん、さっそく何だい?」
「ここでは何処で葉巻は吸える?」
人を、世界を、時代を導いた一匹の蛇が仲間だった。
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