その書斎に一人の少女がいた。
プロローグ1 幻想郷縁起追記
ある晴れた日の幻想郷。
人里にある大きな屋敷、稗田邸。
多くの書物が納められた書斎で、文机に座った年若き一人の少女が、静かに墨を擦っていた。
この少女こそ、この稗田邸の当主、<九代目のサバン>こと、稗田阿求その人である。
少女は墨を擦り終わると、真新しい筆をとり、墨をふくませていた。その顔は自然とほころんでいた。
何か楽しい事が始まるのを楽しみにしている子供のように。
だが、彼女は稗田の乙女。
幻想郷の歴史の編纂を使命とし、転生を繰り返しながら幻想郷縁起を書き続ける一族。
そんな幻想郷縁起に今、新たにある人物の記述を書き加えようとしていた。
筆を持つもふと考えにふけった。
「う~ん。彼のことを書くのはいいけれど、どんな二つ名にしよう?」
幻想郷縁起に彼女が人物について記すとき、その二つ名を合わせて記すのが彼女達の流儀であった。
その上で彼女の主観が強いのは、まあ、ご愛嬌というやつである。
彼女が記そうとしているのは、2年ほど前に幻想郷に現れた一人の外来人の絵描きについての事である。
彼が現れて調度2年が過ぎたため、彼の事を幻想郷縁起に書き足そうと思い立ったのである。
外来人が現れるのは特筆するほど珍しいことでははない。
それでも、阿求が彼の事を幻想郷縁起に書き記そうとしたのは、彼が余りにもイレギュラーだったからだ。
何がイレギュラーであったのか。
彼は外来人であったが、妖怪や神、人ならざる者のの存在をよく知っていた。
よく知るどころか、共に生活していたという。
彼が元居た世界は、彼に聞くところによれば幻想郷など比較にならないほど混沌としていて、危険にあふれているという。
彼はあまり自分の過去の事を語らなかったが、彼の話は、彼の描く絵は、種族を問わず、多くのものを引き付けた。
人外の危険性を知りながらも、分け隔てなく接していた。
あの、紅白の巫女とはまるで違った平等の形であった。
だからだろうか?彼は外来人でありながら、早くから幻想郷に馴染み、かつ八雲紫をはじめとした幻想郷の有力者から妖精に至るまで、あまたの人妖と友誼を結び、かつ愛され、様々な騒動に巻き込まれ、巻き起こしつつも、幻想郷各所に少なくない影響を及ぼした。
それもかなり良い方向で。
彼が来てから幻想郷に吹く風は、彼が吹き込んだ風は心地の良いものだった。
阿求は彼の武勇伝を思い出しつつ、どのような二つ名が良いか考え込んでいた。
すると、何か良い案を思いついたように、目を見開き、口元をほころばせながら、紙面に向かった。
「そうだ・・・。」
彼女は軽やかに筆を走らせた。
『平凡にして異端なる普通の人間の絵描き 田村福太郎』 能力 絵を描く程度の能力
「もうこれしかないわね。」
彼女は綴る、外来人の絵描きの事を。
物語はこれから始まる。
皆さんどうでしたか?この作品は全くの自己満足です。失踪しないよう頑張りますがどうなる事やら。
今回、このような作品を投稿したのは、白光(しろひかり)さんの作品『とある絵描きの幻想郷生活』(www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=tiraura&all=11417)に感銘を受け、自分でもやってみたいと思ったからです。続きはまだだろうか?
今後作品を展開されるのは独自設定などで構成されていきます。作者は東方初心者でプレイ経験もありません。また、多くの方の二次創作に影響を受けています。おまけに文才なんてどこかに置いて来てます。
みなぎ先生の作品を知ったのは完全版の『足洗邸の住人たち。』が発売され、試しに読んだのが始まりです。
みなぎ先生の作りこまれた世界観、キャラクターに引き込まれ、登場キャラの元ネタ、出典までイラスト付きで解説されており感心るとともに、大変勉強になりました。
また、この作品はpixivにも投稿しております。そちらも、見て頂けると幸いですが、いつも、加筆修正したがる癖がありますので、微妙に違いがありますが、悪しからず。
東方が楽しめる方、妖怪やモンスターなど人外が好きな方にお勧めの作品です。お勧めです。マイナーですが。後、東方に出てくるようなキャラもちらほらいたりします。
最後に。素晴らしい作品のを世に送り出してくれた、みなぎ得一先生、ZUNさんに感謝を込めて。
それでは皆さん、namarie。(エルフ語でサヨナラの意)