作者多忙と共に、諸事情によって長期間連載に空きができてしまったことをここにお詫びも仕上げます。
大学院で発生した問題のせいで、長らく筆をおいておりましたが、色々落ち着いたので再び筆を執った次第です。
別にFGOが面白くて手を付けてないわけではありません。
気が付けば、サクラコードのストーリーも佳境ですが気にしません。
序章は終わりましたが、ここから物語は動き出します。
運命がカードを混ぜた。さぁ、コールだ。
射命丸は悩んでいた。
ネタがない。
他人任せのコラムでお茶を濁すのも限界があるし、何より自分が面白くない。
山も平穏無事で、その山をにぎわすのはせいぜい手癖の悪い普通の魔法使いぐらいで静かなものだ。
夏の暑い日差しも和らいできて秋も近くなってくる。意気揚々としているのはせいぜい収穫を間近に控えた農民たちと、信仰の書き入れ時になる秋神姉妹くらいなもの。話題になっているのは白狼天狗たちを始めとして各部隊の装備の一新に伴う、武装や衣替えで各人の裁量に任されたデザインに関することくらい。
しかし、山に引きこもっている為に発想が乏しい上に、デザインができる人材が皆無であるため結局従来のものを踏襲したありきたりのものに落ち着きそうというのが山の天狗全体の見解であるし、射命丸自身も同様の見解だ。
一向に埒が明かない・・・
「・・・人里にでも行ってみますかねぇ。」
誰もいない部屋で1人呟くと億劫そうに立ち上がり支度をする。
愛用のペンに年季の入った手帳と自慢のカメラを用意して、人里ようにハイカラな記者風の服装に着替える。外に出て羽を広げて飛び立つと立哨をしている犬走椛が目についた。
速度を落として近づくとさもけだるそうな溜息にも似た声が聞こえてくる。
「はぁ~・・・何の用ですか文さん。」
「なんの用とはご挨拶ですねぇ。真面目に勤務している同朋をねぎらうのに理由など必要ですか?」
「労うというなら、何か手土産でも持ってきてから言ったらどうです。どうせ、私の視覚情報に用があるんでしょ?」
「流石は椛。若輩ながら隊長格にまで上り詰めただけはあります。話が早い。」
けだるそうなジト目で文を見つめる椛とは対照的に、満面の営業スマイルを浮かべる文。さっそう、しつこい営業に僻僻している消費者の図である。ごねたところで仕方ないと観念して椛は口を開く。
「・・・最近、人里に妙な外来人が店を開いたようです。」
「ほう。外来人・・・・」
期待は大してしていなかったが、思いもよらぬ収穫がありそうだ。実についている。これは面白いことになりそうだ。
「店と言っても軒先を借りて露店のようなものを開いています。件の人物は20代後半から30代前半の男性で、背は六尺近くでやせ型。人里では珍しい洋装。おそらくは、絵描きですね。床几のようなものに座り、三脚のようなものを用いて絵を描いていいます。」
「絵描きですか・・・・」
絵描き。その言葉が文の耳に残る。絵描き。そのような事を生業とする物は今の幻想郷にはいない。これだけでも話題になるし、外来人であるネタには事欠かないだろう。多分。人里に馴染んでいるだけで随分ましというものだ。普通は馴染めない上にこちらを見れば化け物だのなんなのとやかましいばかりである。まあ、馴染んでいるという事は幻想郷とうまく折り合いを付けることができているという事だ。これは期待できる。
「他に分かる事は?露店の場所は?住まいとかは?」
「・・・・一つ貸ですよ?」
「分かってますので、シャキシャキ話してください。」
「・・・霧雨道具店の店先に露店を構えています。稗田亭に寄食しているようです。いつもそこから出てきて、そこへ帰っています。客入りは上々ですね。物珍しさもあるようですがそれ以上に腕も良いようです。よく博麗の巫女、上白沢慧音が出入りしていりのが見えます。」
これは、幸先がいい。実に良い。人里でも有数の商店である霧雨道具店の店先を借りられるだけでも大したものだが、稗田亭に寄食し、博麗の巫女に寺子屋の女教師にして里の守護者が出入りしている。これは普通ではない。これは椛に聞きに来たかいがあるというもの。これだけ聞けば充分だ。
「椛ありがとうございました!それでは失礼しました!!この借りは必ず返しますので!」
とりあえずの感謝の言葉を口走ると、翼を広げて人里目指して勢いよく飛び立つ。その姿を見つめながら椛は一言こぼす。
「別に今日は店を開いているわけでは無いんだけど・・・まあいいか。今日どこに居るかは聞かれてないし。」
椛の言葉など耳に届いていないが、文は人里目指して翼を羽ばたかせる。まだ見ぬ外来人が自分の新聞を彩ってくれることを期待しながら風を切り、一言呟く。
「さあ、待っていてくださいよ。人間の絵描きさん♪」
さぁ、埒を開けに行こう。
文の思惑など福太郎は知る由もなく、絵描きはいつもの露店ではなく、奇しくも寺子屋に居た。
時は遡る事、2日前。
田村福太郎は、絵の注文も一通りこなし、納品も済み里の周辺を散策し、その溢れんばかりの好奇心を里の外に向けるものの、周囲の反対から外に出ることができず悶々としながら稗田亭に戻ると、稗田亭に馴染みの客人が待っていた。数少ない幻想郷の友人である上白沢慧音である。
「なぁ、福太郎。最近暇らしいな。実はお前を見込んで頼みたいことがあってな。その、どうだろうか、寺子屋の臨時講師になってくれないだろうか?勿論給金は払うし、私の出来る範囲だが、お前の望みを叶えてやろうとも思う。どうだろうか?」
「う~ん。なんかデジャブ・・・・」
「?」
何時かの足洗邸でのやり取りを思いだす展開が繰り広げられていた。まあ、あの時は報酬の提示はなかったが。
絵描きの足と記者の翼は入れ違い物語は動き出す。
今宵はここに栞を挟み、噺の続きはまたいつか。
いかがでしたでしょうか。今回はいつもよりもコンパクトになっています。いつもなら私なりの蘊蓄を混ぜてみたりしますが、今回は混ぜ込む要素が無かったのと、福太郎を幻想郷の各所に送り出すために舞台を整える必要があったので、文々。新聞の射命丸文を抜擢しました。外へ連れ出すには行動の自由度の高い人物が必要だったので、丁度よい人物でした。
当初は茨華仙も考えましたが、今後の福太郎を始めとした登場人物に今後の行動に自由度を与えたかったので文を採用しました。
さぁ、物語は動き出しましたが主人公がまだ人里から出てこれそうにありませんが、今後の展開にご期待していただきたいと思います。終わりじゃないからネ!!
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