オレの名前は松井海斗。
今日から私立桜が丘高等学校に入学したばっかりの普通の高校生だ。この学校は去年までは女子高だったらしくほとんどが女子の生徒だ。オレがこの学校に入学したのは理由がある。それは
「かいちゃん待ってよ。」
「はぁムギ、お前相変わらずゆっくりしすぎだ」
とオレの幼なじみの琴吹紬が走ってくる。もともと両親が仲良しなのでよく遊びに行っていた。んで中学のときに進められてこの学校に入学したんだけど。
この学校本当に男子が少ない。感覚的に男子一に女子二十くらいの比率だ。男子はオレのクラスには二人しかいなかった。よく恋人に間違えられるが、オレたちはただの幼なじみであり、親友同士みたいなものだった。
「そう言えばムギはどの部活にするんだ?」
「合唱部にしようと思ってるの!どう、かいちゃんも入らない。」
「まぁ、いいけどな。歌歌うのは好きだし。」
正直に言ってオレは部活はどうでも良かった。小中と何にも部活入っていなかったので正直きっかけを作ってくれたことはうれしい。
「多分合唱部だから音楽室だよね。」
「んじゃね~のか?新歓もジャズ研と合唱部後吹奏楽部しかなかったからな。」
本当は軽音部があれば入りたかったんだけどな。ムギはピアノをやっていたけどオレはギターを少しやっていたから、ボーカルをやってみたかった。
そしてしばらく歩いていくと音楽室が見えてきた。
中に入ると二人の女の子がいた。黒髪のストレートな女の子と茶髪のショートカットに黄色いカチューシャをつけた女の子がいた。確か秋山と田井中だったはずだ。
「あのー見学したいんですけど…」
「軽音部の!?」
「いえ合唱部の…」
ちょっと待て
「おい、田井中。軽音部って言ったか?」
「確か松井だったよな?お前も見学したいのか?」
「そんなことはどうでもいい。けど軽音部なんて新歓のときなかったよな。」
「あれ、かいちゃん軽音部に興味あるの?」
「ギターはやったことあるからな。まぁバンドって言うのもやってみたかったし?」
すると田井中がオレの方を見る。
「まぁできるぞ。」
「なら軽音部に入りませんか?今部員が少なくて」
と手を握られると手はマメだらけだった。多分長い間ドラムを叩いていたのだろう。
「こら!!そんな強引な勧誘したら迷惑だろう!!」
「おい、秋山」
と秋山の手を取る。すると指の先っぽが固い。
「えっ、松井君?」
「ふーん、秋山はベースかギターで田井中はドラムってところかな?」
と手を放す。するとこっちを見る秋山
「えっ、どうしてわかったの?」
「手の先が固かったからな。田井中はドラムスティックの持ちすぎで手にマメだらけだったし、ずいぶん昔から楽器を触ってきている証拠だろ。オレはいいぜ。軽音部に入っても。」
「えっ、いいの?」
と秋山がオレの方を見る。
「まぁな。少しなら楽曲も作ってあるし、それでもいいんだったらな。」
「ありがとー!これで後一人入部すればっ」
「ってことでごめん。オレこっち入るから。」
とムギに言うけど
「なんだか楽しそうだから、キーボードくらいしかできませんけど入部させてください。」
とムギが言う。
「よっしゃー…これで部員が揃ったぞー。」
と田井中は両手をあげ喜ぶ。やるからには、本気でやりたい。そう思える部活にしたかった。
「でもさすがに4人じゃあ少なくないか?せめてリズムギターかほしいよな。」
「あぁ、確かにな。でもまずこのメンバーでどれくらいできるのか確かめるのが最初じゃあないのか?」
とわいやいしながらこれからのことを話し合う。ここからオレは一生の宝物になることは予想もできなかった。
そして部活動勧誘期間の終わる直前、
「えっ、もう一人入部希望者がいるのか?」
ともうなじんできた秋山からオレは聞き直す。
「そうらしいよ。入部届けが出されたんだって。」
「まじか。それならボーカルもう一人ほしいよな!オレだけだったらこのメンバーの良さがでないだろうし。」
オレたちが練習しているメロディーは女子向けのメロディーなのでできれば女子に歌ってもらいたかった。
「みんなー!!入部希望者がきたぞ!!」
「本当か」
と歓声が上がる。田井中が手を引いている相手は、茶色のセミロングに黄色い髪留めをしている女の子だった。
「ようこそ軽音部へ」
入っている。さっき手のひらを見たところ初心者だろう。
「歓迎いたしますわ~」
「ちょっと待て、お前本当に軽音部希望者なのか?」
するとみんながこっちを見る。
「何言ってるんだよ~!部室の前にいるんだぞ。」
「例えばさ間違えて入部したとかな。」
するとその女の子がびっくりしていた。
「そうです。間違えて入部したんです。」
オレは苦笑してしまう。
「えっと軽音部だから簡単な楽器を使った音楽だと思っていたんですけど。」
確かに軽音ってバンドのことだとわかってない人もいるけどな。
「も、もっと違う楽器をやるんだと思って…」
「えっ?じゃあ何ならできるの?」
「カスタネ…ハ、ハーモニカ。」
「あっハーモニカあるよ?吹いて見せ」
「ごめんなさい吹けません。」
「あっオレ吹けるけど」
「「「「ふけるのかよ」」」」
昔ムギに吹いてっていわれた時に練習したんでからな。
「でも、うちの部に入ろうと思ったってことは音楽には興味あるってことよね。」
まぁ多分そうだろうな。
「他に入りたい部活とかあるの?」
「ううん、特には…」
「それならさ私たちの演奏一度聞いてから入部するか判断しない?」
「え?演奏してくれるの?」
「もちろんいいわよっ!」
「んじゃ最初だし翼をくださいでいいか?」
とギターを準備してあるので用意してから言う。
「いいんじゃないかな?」
「んじゃいくよ。ワン、ツー ワンツー」
とメロディーを載せて歌う。最初だけあってまだメロディーもぐちゃぐちゃだ。
そしてひきおわる。するとパチパチと一人だけの歓声が聞こえてくる。
「えへへ…どうだった?」
「なんていうか…すごく言葉にしにくいんだけど…あんまりうまくないですね!!」
すごくばっさりだな。
「でも歌はとてもうまいし、楽しそうな雰囲気が伝わってきました。」
おっいい流れじゃないか
「私この部に入部します!!」
軽音部に一人メンバーが入った瞬間だった。
「ありがとう。これから一緒にがんばろう。」
「あっでも私楽器全然できないし。」
「んなもんやっていったら覚えていくよ。オレたちも教えていくし。」
「そうだね。さっきの演奏聞いてたら私でもできるかもって思えてきた。」
「それはよかった。」
田井中はイラついていたがオレは正直楽しみだった。このメンバーとバンドを組んでどこまで行けるかやってみたい。自然とそう思った。