ムギちゃんの幼なじみが軽音部に入部しました   作:孤独なバカ

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バレンタイン!!

「かいちゃんこれ。」

いつも通りムギと登校していると小さな袋を渡される。

「ん?なに?」

「今日ってバレンタインでしょ。だからいつものお礼にって。」

そういや、今日はバレンタインか。

「ありがとさん。でも軽音部のみんなでお金だしあってチョコ買えばよかったんじゃねーのか?」

「それじゃあお礼にならないでしょ。」

「なんか律儀だよなぁ。お前。」

俺は欠伸をする。

「まぁありがたくもらっとく。」

「うん。でも軽音部のみんなで買ったものもあるんだよ。」

「あーでも律にそのこと黙ってて言われなかったのか?」

「……あっ!」

「アホ。」

律哀れだよな。まぁ先週澪ちゃんたちと遊びにいくって言っていたからわかりきってたけど。

それからはいつも通りいつもの愚痴を聞きながら学校へ向かった。

これから予想外なことが起こるとはしらずに。

 

「これ、受け取ってください。」

「あ、うん。ありがと。」

キャーと叫びながら走り去っていく花井さん。

「お前今日何個目だよ。」

「さぁな。」

と一星にチョコを包みから開けて食べる。さすがに食べないのは失礼だから今のうち食べるのがいいだろう。

それに何個もらってようが、好きな人からもらえなかったら意味ないのだ。

「お前もそこそこもらってるじゃねーか。」

見ると一星のカバンにはチョコらしきラッピングされたものがあった。

「まぁな。でも俺彼女いるから。」

「……は?え、嘘。」

「ほんとだよ。夏実ちゃんと先週から。」

すると照れていた。こいつやることはやってやがった。

「うっわ。うざ。」

「ひどくないか?なら海斗も彼女作ればいいじゃん。」

「はぁ、そんな簡単に作れるわけないだろ。」

「たとえば琴吹は?いつも一緒にいるだろう。」

「ムギはねぇよ。ただの幼馴染だ。」

「じゃあ秋山は?」

言葉に詰まる。しかし

「おれじゃあ釣り合わないだろうあいつは。」

今や男子からも女子からも人気者になっているのを理由に逃げる。いつもなら追求してこなかったのだが

「そうか?秋山と海斗はけっこうお似合いだと思うんだけど。」

今日は逃げきれなかった。

「そうか?」

「てか海斗は気がついてないのか?」

「言わないといけないか?」

「あぁ。フェアじゃないだろう。」

なにがフェアじゃないのかわからないが

「気づかないわけねぇだろう。あんな露骨な態度を取られたら。」

そう気づいているんだ。気づいているからこそ逃げた。

「だろうな。俺が気づいてて海斗が気づかないはずないもんな。」

「おれは鈍感系でも難聴系でもないからな。知ってるよ。でもファンクラブっていうのがなぁ。」

「あぁなるほどそれに軽音部のこともあるだろしな。」

本題を言わなくてもたぶん通じているだろう。一星は俺の方を見て

「じゃあ海斗はそのままの関係で居られると思うか?」

思った以上に踏み込んできたのでくる。

「それは」

言おうとしたが何も言えなかった。言葉では言い表せない何かもやもやする気持ち。苦しくて辛くて泣きそうになる。

「冗談だよ。でも秋山さんも人気だから優柔不断だと新入生や他の男子に取られる可能性があるんだぞ。」

「……」

本当のことを言われて少し気落ちしてしまう。

「……俺は勇気を出したぞ。」

「わかってるよ。」

俺はチョコの袋をカバンに入れる。

ほんと嫌なタイミングで聞いてくる。

気持ちから逃げようとしていた。変わりたくない場所だった。

唯がボケて、律がそれに突っ込み、澪が笑い、ムギがお茶を淹れる。

俺はいつのまにか居心地がよかったのだ。

でも向き合わないといけない時が絶対くる。

だからこいつはうざいけれど

「ありがとな。」

俺は立ち上がり自販機へ向かう。

せっかくきっかけをえたんだ。しっかり考えよう。

 

「はぁ。」

考えた結果全く授業に集中できなかった。ノートを書く教科がなかったもののそのかわり先生からの呼び出しを受けた。

「失礼します。」

「あら、松井くんこっち。」

山中先生が俺を呼び寄せる。六時間目の授業は音楽で悩んで居たのでまったく上の空だったため先生の話を聞いてなくて呼び出しをくらってしまったのだ。

俺が山中先生の方へ向かうと椅子に座るように促される。それに失礼しますと椅子に座る。

「……どうしたの?松井くんが悩み事なんて珍しいけど。」

なるほど、お見通しだったわけか。

一瞬大丈夫かと考えたが相談できそうな人がいない中で先生に相談するのは一般的だろう。

「まぁ。少し」

「もしかしてみおちゃんのこと?」

図星だったので先生の方を見てしまう。

「……俺そんなにわかりやすいですか?」

「えぇ。もしかして告白されたの?」

「違いますよ。……ちょっといいですか。すこし長くなりますけど。」

「別に遠慮することはないわよ。」

「なら実は。」

と昼休憩にあったことを説明する。

「ってことがあって。」

「へぇ。まずひとつ確認していい?」

「なんですか?」

「松井くんはみおちゃんが好きなの?」

「たぶんですけど。」

「たぶん?」

「……俺こういうこと初めてなんで。わからないんです。」

俺は少し下を向く。

「文化祭の練習の時に澪と俺だけ部活終了時間ギリギリまで残っていたんじゃないですか。」

「えぇ。たしか唯ちゃんが喉潰しちゃったからね。」

「本音をいうと絶対無理だと思っていたんですよ。本番に近づくたびにひどくなっていくので。でも本番になると本当に急に良くなってすごくかっこよくてなんていえばいいのか分かんないですけど。」

おれは頭を搔く。

「でもいつのまにか目で追ってしまって。話しているのが楽しいのに胸が痛くて。症状をインターネットで調べたら恋って出てきて。なんか怖くなったんですよ。」

「軽音部のこと?」

「はい。今までの関係が全部崩れてしまうんじゃないかって。」

「だから気づかないふりをしていたと。」

すると山中先生が少し羨ましそうに見る。そして

「本当にそう?」

「えっ?」

「本当に君はそう思ってるの?」

 

どういうことだ。

さっき山中先生に聞かれたことを考える。

あのあと山中先生は青春はいいわねといい。あとは自分で考えなさいといわれた。

わからない。

こんなことは初めてだった。

「……部活行くか。」

俺はカバンとギターを持ち部室へ向かう。

正直部活にあまり行きたくなかった。

今澪にあったらどんな顔すればいいのかわからない。

「はぁ。」

重い足取りで部室に向かう。

しかし嫌な時間は早く訪れいつのまにか部室前についていた。

俺は一回深呼吸をして落ち着かせる

早く部活動を終わらせて帰りたかった。

そして意をけっして俺はドアを開ける。

するといつもの通りお茶会している澪達がいた。

「よう。」

「あれ?かいちゃん遅かったわね。」

とお茶を入れ始めるムギがいた。

「ちょっと授業中に考え事してて山中先生に捕まってた。」

「ふーん。もしかして好きな人でも考えていたのか。」

「そんなわけないだろ。」

と律の頭を軽く叩く。

うん大丈夫だ。隠せるだろう。そしてムギがいれた紅茶を飲む。

「へー。てっきりみおちゃんのことを考えているのかと思ってた。」

「ゴフッ。ってあちぃ」

「「「かい(ちゃん)!?」」」

動揺で咳き込んでしまい、さらに紅茶を手にこぼしてしまう。さらにパリンとティーカップが割れガラス片が飛び散る。

「わ、わりい。」

「大丈夫?」

「珍しいわ。かいちゃんがそんなに動揺するなんて。はいハンカチ。」

「わりぃ。これいくらだった。」

「別にいいわよ。でも大丈夫?」

「あぁ。少し驚いただけだから。」

「かいちゃんごめん。」

「べつに大丈夫。」

ちょっとヒリヒリするけど別にどういったことではない。

「かい本当に大丈夫か?」

「あぁ。大丈夫。ちょっとほうき取ってくる。」

「それよりもかいちゃんは手を冷やしてきて。火傷痕残るから。」

「あぁ。」

俺はお言葉に甘え水道に向かう。水を出してを冷やす。そこまでひどくないのでしばらくしたら大丈夫だろう。

「……ここまで俺ダメなのかよ。」

恋愛関係はもともとダメだと思っていたけどここまでダメだとは思わなかった。

「……帰ろ。このままだったら多分もっとひどくなるだろうし。」

少しの間顔見れないだろうしちょうどいいか。

「かい?大丈夫?」

「……」

タイミング悪すぎだろ。澪が来る。

「大丈夫だよ。軽い火傷だから。」

「そっか。よかった。」

と笑う澪に少し目を逸らす。

「かい?」

「どうした?」

「私なんかしたかな?」

「えっ?」

「さっきから避けられているから。」

あ〜なるほどな。

「なんにもしてねぇよ。ちょっと一星にいわれたことをひきづっているだけだから。」

「何言われたの?」

「まぁ、いろいろと。恋バナとか。」

水道の水を止めて歩き出す。すると澪がびっくりしていた。

「どうした?」

「男子って恋バナするの?」

「あ〜けっこうするぞ。今日はほとんどのろけ話を聞かされただけだけどな。」

「へぇ〜。じゃあかいも好きな人の話するの?」

「するけど?」

「えっ?」

意外そうにしている澪。

「おかしいか?俺だって好きな人はいるぞ。」

「そ、そうなんだ。」

「ってか好きなやつくらいいるだろうよ。普通は。」

「そうだよね…」

俺がいうと澪は下を向いていた。

「それってムギのこと?」

「なんでみんな真っ先にムギをいうんだよ。あいつは幼馴染でかわんねぇよ。これまでも、これからも。」

「そうなの?」

「あぁ。好きなやつは別にいるから。」

俺がいうと澪はまた落ち込む。なんかこいつ見てると悩んでくるのもバカバカしくなってくる。

「はぁ。澪ちょっと帰り時間空いてるか?」

「えっ?うん。おかあさんに連絡すれば」

「なら少し空けておいてくれないか?ちょっといいたいことがある。」

 

「かいちゃん大丈夫?」

「あぁ。全然平気だから大丈夫。」

部室に戻ると唯が心配そうに俺の手を見てきた。

「わりぃ。今日用事あるから先帰っていいか?」

「あっ私も用事ある。」

「あれ?かいちゃん今日なにかあった?」

「アキの合格祈願。明日入試だろ。」

「澪は、ってそういうことか。」

ニヤニヤしながら律がこっちを見る。

「じゃあかいこれ。」

律は3つのラッピングされた袋を渡される。多分唯、律、澪のだろう。

「あぁ、サンキュー。」

俺は受け取りカバンの中に入れる。

「んじゃ帰るわ。」

「じゃ。また来週。」

「じゃーね。みおちゃん、かいちゃん」

俺たちは部室から自分のギターとベースを持ち出し外に出る。

まぁなるようにやってみようか。

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