「おい、海斗お前部活決まったか?」
クラスで唯一話しかけてくる男子生徒。いや、クラスでオレ以外の唯一の男子の金沢一星が話しかけてくる。
「あぁ軽音部に入ることにしたよ。」
「軽音部?」
「まぁバンドって言えば分かるかな?」
「んじゃお前ドラムかギター弾けるのか?」
「まぁ、それなりにはな。一星はどうなんだよ?」
「オレは帰宅部。この学校男子少なすぎるしな。まったく運動部も女子ばかりだしな。」
あぁ確かに男子が入りずらい奴ばかりだな。バレー部なんて初めて見たしな。
「そういやー海斗今日暇か?」
「わりー今日部活。」
オレはカバンをかつぐ。
「いいよな~お前は。部活決まって。」
「お前なんかやりたいんだったら生徒会でも入ればいいんじゃないか?男子の設備とかも増えるだろうし。」
と適当なことを言ってみる。すると
「そっか。そういう考え方もあったな!」
「はい?」
「ちょっと生徒会見てくるわ!」
一星はカバンをかつぎ生徒会室がある方向に走っていった。また余計な一言だったと苦笑しながら。」
オレたち軽音部は5人で活躍している。
ギター志望の平沢唯。かなりの天然でドジッ子性質だ。この中で唯一の初心者だった。
「ねぇかいちゃん、なんでギターをやろうと思ったの」
平沢が言ってくる。なんか知らないけどかいちゃんかかいで呼び名は統一されたらしい。
「まぁムギに弾いてみてっていわれたからかな?」
「ふーん。そういえばムギちゃんと仲良いけど付き合ってるの?」
「付き合ってないよ。よく言われるけどな。」
苦笑してしまう。
「ただ幼なじみじゃなく親友みたいなもんだ。家族よりも一緒にいる時間は長いしな。」
そういえば
「秋山、お前なんでベースやっているんだ?」
オレは秋山の方を向く。
「だってギターは……はずかしい」
「「はずかしい!?」」
意外すぎる言葉にオレと平沢が声を合わせる。
「ギターってバンドの中心って感じで先頭立って演奏しなきゃならないし、観客の目も自然と集まるだろ?」
「あぁ、確かにな。」
基本的にボーカルもギターがやることが多いしな。
「自分がその立場になるって考えただけで」
少し考え始める秋山。すると少しずつ顔が真っ赤になり始めて
シュー
「秋山!?」
「みおちゃんっ!?」
秋山は少し繊細であった。
「みなさんお茶が入りましたよー。」
ムギの声が聞こえてくる。
「そういえばずっと疑問に思っていたんだけど、この部活ってやけに物がそろっているよね。最近の学校ってこんな感じなのかな?」
「あぁそれな。それはな」
「私の家から持ってきたのよ。」
「自前!?」
平沢が驚いていた。まぁ確かにこんな高級なものを学校に持ってくる方が驚くよな。
「りっちゃんはドラムって感じだよね。」
「んなっ私だってちゃんと始めた理由があるのよ?」
「へーどんなどんな」
と純粋に聞いてくる平沢
「それはえーっと…あれよ」
と困ったようにしている田井中。
「………かっこいいから」
「ないんじゃん。」
「だと思ったよ」
お茶を飲みながら苦笑する。
「だ、たってさー!!ギターとかベースとかキーボードとか指がちまちまするのを想像するだけで」
頭をかき始め
「キーッ…ってなんのよ。」
「まぁ楽器選びでも人の性格が出るってことだな。オレみたいにどこでもいいってやつもいるし。」
「そういえばずっと疑問だったんだけど、何でかいちゃんは皆のことを苗字で呼ぶの?」
平沢が言う。
「普通男子が女子を呼ぶ時は苗字だろ。」
「だけどムギちゃんは名前で呼んでいるじゃん。」
「幼なじみで仲良いしな。それに10数年一緒にいて名前で呼ばない方がおかしいだろ。」
幼稚園のころからムギちゃんって行っていたしな。
「でもメンバーどうしが苗字っておかしいと思うけどな。」
田井中が言う。確かにそうだけど。
「んじゃ名前で呼ぼうか?」
「それがいいわよ。」
とムギも賛成らしいのでそうさせてもらうか。
「んじゃそうさせてもらう。そういや、唯ギターってもう買ったのか?」
「ん、ギター?」
えっと、もしかして唯忘れてたのか。
「あーそっか私ギターやるんだっけ!」
「…軽音部は喫茶店じゃあないぞ。」
澪のいうとうりだった。
「ギターってどれくらいするの?値段」
「安いやつだと一万円代、でもちゃんとしたやつの方がいいだろう。うちのやつでも安くて三万だな。」
「さんまんえん!?」
と唯がびっくりしている。
「オレが弾いているやつは三十万するけどな。」
「部費で落ちませんか?」
「落ちません。」
まったくしょうがない。
「唯、オレの家ギター売ってあるけど少しくらいなら安くしてやるけど来るか?」
「え?」
「一応楽器屋なんだよ。オレの家。んで少し売れないやつとかあまり物くらいなら半額くらいならいけるけど。来るか?」
「行く!!」
即答だった。一応心配で親父に言っといて正解だった。
「そういやかいとの家ってどこなんだ?」
「商店街近くの楽器店だよ。一階と地下が店で二階が家になってる。」
「なら今度の週末皆で商店街に集合だな。」
まぁそうなるよな。でも絶対に学校のやつにはばれないようにしないとな。