「何モンだ、あんた」
「そんなに警戒しなくてもいいんだけどなぁ。それより、あんたも夜王のとこ行きたいの?だったらついてくるといい。
そこの子供もね」
神威は落ちていたクナイをある方向に投げる。そこにはあの時連れ去られた晴太がいた
「俺は子供と女は殺さないようにしてるんだけどなぁ・・・こいつらの子供は期待できないか」
向かう場所が同じということもあって警戒しながら神威に同行する二人。そして神威は笑顔で自分を襲ってくる百華たちを殺していく
「・・・どうして・・・」
「どうした?何か質問?」
「どうして!あんたはヘラヘラして人を殺せる!?酷すぎるよ!」
晴太が神威に叫ぶ
「酷い?こいつら、君の母親をここに閉じ込めてた連中だよ?慈悲をかけなくたっていいじゃないか。そして笑顔は俺の作法。どんな人生であれ、最期ぐらいは笑顔で送って、健やかに死なせてやらないとね。逆に言えば、俺が笑顔の時は殺意があると思っていい。
冗談だよ」
「・・・・」
「俺は子供と女は殺さない。子供はこの先強くなりそうだから。女は強い子を産みそうだったら殺さない。
そんなとこでコソコソしてないで早く来なよ。今からお母さんに会えるんだよ?」
神威が晴太から視線を移した先には巨大な扉。ここに晴太の母・日輪がいるらしい
「母ちゃん!おいらだよ!あんたの息子の晴太だよ!」
晴太は扉を開けようと体をぶつけながら叫ぶ
「私に息子なんて居やしないよ!あんたの母ちゃんもね・・・」
「そんなことはあるまい」
「!!」
「ワッパ、お前の母親ならここだ」
晴太達の背後に現れた鳳仙。彼は髪の束を床に落とす
「お前の母親は日輪ではない。とうの昔にこの世におらん」
「・・・なに、言ってるんだ」
「吉原の花形たる花魁が誰にも露呈することなく子を産むなど、出来るわけがあるまい。8年前、ある遊女が子を孕んだ。しかし吉原で子を孕めば腹の子ごと始末される。そこで一部の女はこの女を匿い子を取り上げた。それがワッパだ。そしてその女はお前を産んだ後に衰弱でこの世を去った。残念ながらそこにいるのはお前の母親ではない」
「・・・・」
「わかったらその形見を持ってそこの男と消えろ。目障りだ」
それでも扉を開けようとする晴太。自分を産んだ母はいなくても、自分を闇から地上へ産み落としてくれた、命を張って守ってくれた母ならここにいるからだ。
その瞬間、扉に『洞爺湖』と字の彫られた木刀が刺さる。そしてこの衝撃で扉が開く
「おいおい聞いてねぇぜ?吉原一の女がここにいるって聞いて来たのによぉ、どうやら瘻つきだったらしい」
「貴様・・・誰だ」
「なぁに、ただの女好きの遊び人よぉ」