「銀さん!」
「何つっ立ってるんだ?早く行け」
「え・・・?
いいの・・・?こんなボロ雑巾みたいなガキがあんなきれいな人を・・・母ちゃんって・・・呼んでいいの?」
「今さら何言ってんだよ。呼んでやれ。腹の底から母ちゃんって」
銀時に促され、晴太は日輪の元へ歩み寄る。彼が『母ちゃん』と呼ぶと日輪がそれに『晴太』と返す。この二人は血こそ繋がってなくても家族であることに間違いはないのだ
「そうか。貴様がワッパの雇った浪人。わしの
「好き勝手ぇ?冗談よせよ。俺ァどの女も買った覚えはないぜ?」
「そうか。ならば今から酒宴を用意してやる。血の宴をな」
「心遣いありがたいがそいつは遠慮させてもらうぜ。ジジイのV字の生え際見ながらの酒なんてうまくねぇからな。例え別嬪さんでも、鎖でつながれているとなりゃあ、うまい酒が台無しだ」
するとおとなしくしていた神威が鳳仙の肩に手を置きながらこんなことを言い出す
「つまりこの人は鎖から解き放たれた別嬪さんと酒を飲みたいと。それだけの理由で夜王に喧嘩売るなんて、とんでもない人が来たもんだねぇ」
「神威!貴様何が目的だ?わしの命を獲ろうとした次はワッパを日輪の元まで手引き。そしてわしの邪魔・・・」
「おー怖ッ。大丈夫、もう邪魔したりはしませんよ。それにしても聞いて呆れるよ。夜王を腑抜けにした女、どんな強者かと思ったらボロ雑巾に縋る惨めな女とは。
違うんだよ。俺の求める強さは・・・」
「妹だろうと親父だろうとぶっ殺す。そういう奴かい。皮肉なもんだな。テメェみたいに血のつながった妹を殺そうとする兄貴もいれば、血は繋がってなくても親子より強い絆でつながれた連中もいる。どっちが本当の家族なんて知りゃあしないがね」
銀時は神威を見下ろす
「その絆とやら、見せてもらおうではないか。日輪を、奴らの絆を、そして
この夜王の鎖、地球人風情に断ち切れるか」
鳳仙が身の丈より巨大な番傘を構える
「エロジジイの先走り汁でできた糸の腐りなんざ、一太刀でしめぇだ」
銀時は扉に刺さった木刀を抜く
そして彼は鳳仙に木刀を振り下ろす。それが防がれると左手の真剣を振るがその刃が鳳仙に当たる前に蹴りを食らってしまう。さらに追撃されるが、銀時はまだ倒れない。しかし彼は一瞬たりとも気を抜けない状況に陥っていた
「あの夜王相手に十秒持つなんて。すごいねお兄さん。俺応援したくなってきちゃった」
神威が銀時を称賛する
「なめんじゃねぇぞクソガキィ。十秒どころか天寿全うしてやるよ。そして孫に囲まれて穏やかに死んでやるよ」
「貴様の天寿などとうに尽きておるわ。この夜王に盾突いた時からな」
次の瞬間、ただでさえ強い鳳仙の力がより強くなる。銀時は足元の崩れた廊下の破片をもう片方が跳ね上がるように踏む。鳳仙がその破片を防いでいる間に木刀で彼を斬りつけようとするが避けられ、銀時は壁際におい詰められてしまう
その隙を突き、鳳仙は銀時の顔面を掴み、壁にめり込ませる
「最初からわかっていた事だ。弱者は弱者らしく、大人しくしていればいいものを――」
しかし銀時は鳳仙の右目に月詠から借りたキセルを突き刺す
「銀さん!」
銀時の元に行こうとする晴太と銀平
「来るな!母ちゃん連れてとっとと行きやがれ!それに銀平、お前もやることあんだろ。守ってやれ。その親子を」
「・・・」
銀平は彼の言うことに納得のいかない表情を見せる
「俺が信じられねぇのか?ふざけんな。俺は信じてるぜ。その親子をお前が守ってくれることを―――」
その瞬間、銀時の居る場所から轟音が響く
「・・・・!」
煙で頭部が視認できないが、彼は、銀時は
「ぎ・・・」
ピクリとも動かなかった
「銀さァァァァァん!!」