朝右衛門を池田家に連れ戻した銀時達。
「万事屋さん、ご苦労様でした。本当に警察より先に早く連れてきてくれるとは」
池田家に到着した彼らを迎えたのは池田家当主 池田夜右衛門。彼は朝右衛門と共に万事屋を屋敷に招待する。
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「これが石川六衛門の首。これが鼬小僧次郎吉の首。そしてこれが……誰だっけな。どっかの誰かの乳首です」
万事屋は食事を振る舞ってもらうことになった。そこで彼らが見たものが、色々なドクロの中に一つ、ピンク色の球体。そう、銀時の乳首である。
「すいません、これどっかで見たことある乳首なんですけど」
「どれもこれも、我が池田家が葬った大悪党の首ばかりです」
「しかしアレは首なのか?……『首』って字入ってるから首なのか」
銀時のコレクションされた乳首を見て銀平が呟く。
「いや違うから。にしてもよぉ、あの当主の笑顔って人殺しの顔だよな。笑顔で近づいてバッサリ……死神も同じような感じじゃ……」
銀時がこう呟いた次の瞬間、物音たてずに夜右衛門が彼の背後に立つ。
「それは悪魔ですよ。死神は気づいた時には後ろに立ってます。そしてあっという間に命をさらってしまうのですよ。それと乳首、戻しておきました」
夜右衛門が去った後、銀時はジャージのファスナーを下げ、胸を見る。そしてそっと元に戻す。
「あ、あの……今日は遠慮しときます。なんか気持悪くなっちゃって……」
神楽以外の面子が帰ろうとする。
「ちょうどよかった。滋養強壮にいい池田家の特性料理をご用意しました」
彼らの前に並べられた食材は鶏、猿などの首ばかり。
「わっわ~!変わったものばかりですね。で……でももう少しなじみのあるものとかはないのかな……なんて」
「はい。じゃあデザートのどっかの誰かの乳首」
「……いい加減にしろよテメェら!とったりつけたり!人の乳首なんだと思ってんだよ!てめぇら一体……」
「なぜ、先代当主を殺めた裏切者を迎え入れているかと?他言すればあなたたちの首も斬らなければならないことになりますがよろしいので?」
夜右衛門は語り始める。池田家の過去を。
彼によると、自分と朝右衛門は兄妹のようなもの。自分は先代の実子、朝右衛門は拾われた孤児だが池田家では血は関係ないとのこと。
自分たちは池田家当主の証"夜右衛門"の名を継ぐため技を高めて来た。自分と朝右衛門、どちらが夜右衛門になっても家は安泰と言われていたが、ここで先代が過去に罪人の逃亡を助けていたことが判明。これが公に知れれば池田家は取り潰しを免れない。
そのため、先代を極秘に処罰した。その介錯を務めたのが朝右衛門。それでも先代の死は知られてしまう。このため朝右衛門は家を出て主人殺しの汚名を、死神の仮面をかぶる道を選んだ。彼女は全てを捨て夜右衛門の名を守った忠臣とのこと。
「だけどよぉ、やつが被ったのはそれだけじゃないだろ?まさか由緒正しき公儀処刑人の一族から辻斬りを出すわけにはいかねぇもんな」
銀時はあの首の皮一枚でつながった死体の件について話す。
「なるほど。死神は笑顔で近づいてくる。あながち間違いではないかもしれませんね。薄ら笑いですが……
あれは罪と呼べるものではありません。先代が逃がさなければ皆首を斬られていたはずの罪人たちです。私たちはあの日約束したのです。道を違う事があっても天はつながっている とね」
「隠し通せると?」
「あなたたちがおしゃべりでなければ」
「じゃあなんでそんなリスクを冒してまで話を?」
「とぼけないでください。この話をすればあなたは辻斬りに遭い首を落とすしかないでしょう。10年前先代が逃がした罪人の中にあなたの名前があるんですから。
坂田銀時さん」
「……!」
夜右衛門が見せた罪人たちの名が書かれた紙を見た銀時は驚きを隠せなかった。自分の名が書かれていたことに対してではない。自分の隣に
吉田翔陰
という名があったからだ。