「何なんだよ……!」
「自分の名前が何故ここに書かれているかですか?」
「……隣だ」
銀時は『吉田翔陰』を指さす。
「なるほど。
「はず?」
「実は生きていたのですよ。あなたのそばで……ね。あなたのそばの彼は翔陰の片割れ。もう一つは行方不明です。この二つの存在が一つに戻る前に彼を消さなければならない」
銀時はもう気づいていた。夜右衛門の言う"彼"というのが銀平であると。そしてもう片方も以前見つけていたのだ。朝右衛門と出会う直前、自分の後ろを"黒い銀平"が横切ったのを。
「二つに……?だが戻るのか……?」
「ええ。一人だけいますよ。それができる人」
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「はぁ!?辻斬り犯を先に押さえられただぁ?!」
「身柄をよこせと言っても無駄ですよ。もう首だけらしいので」
辻斬り犯についての情報を聞いた真選組。
「身柄は俺たちではなく見廻組へ。そして即日打ち首が決定し、池田夜右衛門によって処刑は執行されました」
「ンなバカな……!」
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一方銀時らは朝右衛門を書類上死んだことにして彼女を死体運搬船に潜り込ませた。
その陰で新八と神楽はとんでもないことになったと今の状況を嘆いている。
そして、この船は真選組に見つかってしまう。
「下手人を隠してんだろ?おい総悟調べろ」
すると神楽が死体の入っている樽の一つを開ける。
「何言ってんだ!この通り死体しかねぇだろうが!」
新八と神楽は変装をしていたが、銀平は何もしていなかった。だが、真選組には自分が真挑組を抜けたことを知られていなかったため、特に怪しまれもしなかった。
「おい銀平、お前もさぼんなよ」
「異常無しっすよ十六郎」
「十四郎だ!」
ここまでは特に異常はなかったが次の瞬間、ある樽から白いふさふさした物が飛び出てくる。
「何か出てきた!」
「あらら、ネズミが入ってるみたいだね」
「ほんとだね!」
神楽と新八は交互にそのふさふさを膝で蹴り始める。そしてそれを土方が調べると
「七代祟るぞこらぁぁ」
血まみれの銀時が出てきてそれに驚いた土方が後方の本物が入っている樽に突っ込む。
「死体なら見飽きてるはずでしょ土方さん。そんなことよりやつらの手に渡る前に下手人を探さなきゃ」
「やつら?」
「そう、次期将軍を噂される一橋喜々に取り入れるための、死神だよ」
総悟がこう説明した次の瞬間、一橋派の人間が多数現れる。
「一橋さんよぉ、あいにく俺たちは媚が苦手なんでぃ。この件から手引かねぇなら次期将軍だろうが何だろうが一橋公の責任を問う事になるぜ」
「結構。この船の積み荷は正規の手続きを取り手配したもの。罪を問われるいわれはない」
一橋派の人間が刀を抜く。
「この船には喜々様に献上された一振りの刀、その試し切りのための死体があるだけと聞いている。
死神よ、その者どもを斬り捨てよ!我々に与すれば池田家の地位も安泰」
「……」
「この件も闇に葬ることができる」
「……」
「何を戸惑う事があろうか。親の首を斬ったそなたの剣はとっくに汚れていよう……」
朝右衛門に銀時らを斬らせようとするが次の瞬間、その人間の口に銀時の木刀が刺さる。
「……てめぇか。今くっせぇ口でしゃべったのは。こいつの剣のどこが汚れてる。死神なんざどこにいる。目ん玉ひんむいてよく見ろ」
「き、貴様ァ!!」
「死神ならここにいるぜ。ブタ共」