東方風雲観察誌   作:カップワードル

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この作品は東方projectの二次創作、二次設定、
オリジナルキャラクターが含まれますので、それを好まない方は
左右に走りつつ、右手でコーラを振りつつ、左手はピースサインをして変顔で「シンジラレナ~イ」と言いつつ、ブラウザバックしてください。


風は雲を運ぶ
王都に風が吹く


山の奥深くのまた、その奥深く…

一人の女性が歩いていた。

やがて歩き疲れたのだろうか?

ゆっくりと切り株に腰かけた。

そして女性は語り始める、ある者の記憶を…

 

ー・・・さて、ここいらで昔話でもしましょうか。

と言ってもとても昔の話だから私の記憶もおぼろげなのだけど…。

ある一匹の烏天狗(からすてんぐ)がいたのよ。

別段彼女は、普通の烏天狗。

 

ある事を除いて、だけれどね。

どうしてこんな話をするのか?フフ、聞いていればわかるかしら。

 

さぁ語り始めしょう…

風に舞い、雲に消え入る天狗の話を…!

 

■■■

 

私は晄(あきら)、烏天狗の一人である。

特段優れた階級では無いし…いやそれどころかしたっぱだ。

力だって無い。妖力は尚更の事だ。

しかし私は変わり者と皆に呼ばれていた。

何故なら、私は、『あるもの』に興味があるからだった。

それは…

 

「ちょっといいか?ここいらで良い刀鍛冶がいると聞いたんだが…」

「あぁ!旦那!そいつはあっしの事でしょう」

 

この人間達の事である。

私は人間に興味がある。

当然、食い物としてとか、脅しがいがある、とかでは無い。

妖怪はどれ位人間を知っているのだろうか?

 

「ほうお前がか?良かろう早速刀を頼めるか?」

「承知で。あぁそうだ。手のひらを見せちゃくれやせんか?」

 

結論を言うと実は深く知る者は少ない。

それ故に私は人間を知りたかった。

私は日々人間に紛れて人間を観察している。

人間とはどんな生き物なのか?妖怪にとってどんな存在であるのか?

疑問は尽きない。

 

半ばこの観察は日課になりつあった。

暇さえあれば、否、暇で無くとも欠かす事は少ない。

 

私は真実を日々探し求める一人の探求者に過ぎぬと言う事だ。

 

とかなんとか。

 

 

…さてと!それはさておき、今日は人間が苦労して建てたであろう、

あの城を観察しようと思うわ。

 

さて、出発!

体をゆっくり浮かし、この大空へ飛び出す!

ふぅ!風が気持ちいい!!

 

 

「ひぇ!?」

「どうした!その様な情けない声をあげて」

「今、髪の長いおなごが空を…!」

「…はぁ。ただの見間違いであろう。どうせただの烏(からす)だろうて」

「ぬぬぅそうでしょうかねぇ~?」

 

 

巨大な城が私の前に立ちはだかった。

さてこうしてお目当ての城に着いたのだが

岩山の如く巨大な城の門には槍を持ち、門にたち塞がる門番が。

 

…あの渋い顔からして門からの侵入は不可能っぽいわね。

いかにも「通しません」って顔だもん。

門から通る、なんて最初から考えてなかったけどどうやら正解ね。

 

まぁ翔べる私からすれば別に門なんてお構い無し、飛び越えて行けば問題無しよ!

私は意気込んで空を翔ぶ。

 

そのまま門を飛び越えて、その向こうに落ち着く。

想定通り特に問題は無かったわね。

ちょっと残念だけど。なんて考えられる位余裕だ。

 

で、軽く飛び越えて来た訳だけど庭にはあまり人間は見えない。

あまりって言うか誰もいない。

 

鶏すらいない。庭なのに。

…ゴメン。

 

 

ふとすると近くから足音がいくつか聞こえて来た。

ん?誰か来たのかしら?これは好機ね!

耳を澄まして聞いてみましょうか。

私はわくわくしつつ耳を中庭に傾ける…。

 

 

「どうだ、あやつめの方は?」

「勉強熱心でございました。今日も書をちゃんと読み書きしておいでで。良い後子息様でございます」

「後子息だと!?あんな奴私は産んだ覚えも無いし、これっぽっちとて愛しいと思わぬ!」

「それはあんまりでございましょう!あなた様を父として後子息様は…!」

「うるさい!このわしに楯突くと言うのか!

貴様の首なぞいつでも飛ばしてやれるのだぞ!」

「………申し訳ございません」

「……よい。お前のことよ、あやつに同情でもしておるのだろうて

全く、我ながら良い部下を持ったわ」

「………お褒めに預かり光栄です」

「よい!今はあやつめをしつけろ!わしの恥にならぬ様にな!」

「…………御意」

 

 

二人の会話は終わったらしい。

切りどころがわからずなんか一通り聞いてしまった。

大変な事を聞いてしまった気が…。人間も大変ねー。

他人事(ひとごと)とはいえその苦労を忍ぶ。

なんだか疲れちゃったわ。今日はこれくらいで戻ろうかしら……。

そう思い、城に背を向けようとしたその時。

 

「… … … !」

え?

「… … … !」

童(わらべ)の…声?何か聞こえる…。

「… … … !」

間違いない。童ね!

じゃあ童の姿を見て

心を浮かせつつ帰りましょうか~。

特に憂う事無く、むしろ希望を持って泣き所へ飛びたつ。

 

■■■

 

どうして僕はこんな事に…

「おーい!」

どこからか、声が聞こえた。

……?誰?

その声には聞き覚えが無かった。

不思議だな、

と思いつつも自分には関係が無いと思い無視してうちひしがれていた。

 

「おーい!こっちよ!童!」

しかし声は僕を呼んでいる気がする。

確認しよう部屋を見回しても誰も見えなかった。

こっち?…外?

僕は部屋をくまなく探した後外へ鞋をはき出てみる。

 

「あれ?誰もいない…?」

外に出るがやはり周りには誰も見えなかった。

やっぱり…気のせいかな?

頭をかいているとまた声が響く。

「あぁ!その屋根の上よ!」

その声を聞き、頭をかくのをやめた。

屋根の…!?

僕は驚き、急いで屋根を見た。

 

屋根の上…そこには黒く、長い髪に白と黒の装束を来た美しい女性がいた。

…美女と屋根。

普通に考えるとそんな組み合わせなど思い付かない。

しかし謎の組み合わせが現に目の前にいた。

どういうことなの…?

 

そんな疑問を抱えているとその女性が話しかけてきた。

「童!どうして泣いていたの?」

 

どうして…?

それは今、僕の口から一番出してはいけないものだ。

だから…言わない。そう決めこんでいた。

 

「… … … 」

しかし口は不思議と開いていた。

 

……なんでこんな事を話そうとしているだろう?と言うか誰なの?なんで屋根の上にいるの?

相手の質問を無視して、自分の思う疑問を投げかけた。

「あなたは誰ですか?」

「私?私は晄!童は?」

 

即答だった。考える間もない。

答えるの早いなぁ。僕は何だか困ってしまった。

 

そして何気なくこちらの名前を聞かれた。

…名前を言う位なら別にいいかな。

 

「…あきひと」

こちらも何気なく…とはいかなかったけどゆっくり答えた。

「あら!なんだか私と似た名前ね!」

にっこり笑いながら返事をかえす女性…いや晄さん?

名前についての反応は予想していなかった。

少し…いや大分調子が狂う…。

「そ、そう。

 

と言うかなんで屋根の上にいるの?」

一番聞きたいのはそれだった。

なんで、屋根の上にいるの?瓦直し?泥棒…?

色々な事が思い付く。後者じゃないことを祈る…。

「童…じゃなくて、あきひとよね!さっきはどうして泣いていたのよ?」

しかしそれは華麗に無視された。一番重要な事が聞けなかったよ…。

…じゃあこっちも無視しようかな。

………言いたく無いから。

 

 

そういえばどうやらこの人は百姓らしい。名字無いみたいだし。

「ねぇ、さっきはどうして泣いていたの?」

三度聞かれる。

しかしそれには僕は答えたくなくない…。

それを言うと僕が壊れてしまいそうで…苦しくて…悲しいから。

 

…でもどうしてこんなに聞いて来るのかな?

そんな疑問が込み上げて来た。

 

そしてその疑問は可能性に変わった。

……はなそうか…なぁ……。

どこか救われる気がしたのかもしれない、

頑張ってその事実を口にする。

「僕は…望まれて生まれ…た子では…無く…て…」

重い…悲しみが一つ一つの言葉を発する度にのしかかってくる…。

やっぱり話したくない…いや、話してはいけないんだ。

それが自分でもよくわかる。

 

しかしそんな重く鈍い言葉にはえらく軽く鋭い言葉が突き返された。

「大丈夫よ!世の中そんなやついないわ!

童ならもっと元気に生きなさい!」

僕の言葉はあっけなく否定された。

重たい事実は何だか希望のある否定で返された。

少し…心が晴れた気がした。でもそれが果たして真実なのかな、と

この否定に対する疑いが心の中から浮き出てきた。

 

嬉しいけどどうしてそんなことを…?この人一体何者なの?

そんな疑問ばかりが僕の中で生まれている。

僕の味方なのか?それともただの通りすがりなのか?

それを知りたくて質問をする。

 

「晄はどうして平民なのにここにいるの?」

 

疑問はまだ多いけど、一番か二番位重要な、何故ここにいるのかを、

質問を変えて聞いてみた。

一体何者なの…?

 

「平民?とんでもない。私は天狗よ!」

 

 

 

…………え?天狗?

僕は言葉も考えも一度全て失う。

人間じゃ無かった…!?

目が点になった。ついでに白黒した。目もこすった。

 

「ハッ!!!まっ…待った!無し!今の無し!私はただの平民よ~」

 

何かに気付き、いきなり否定し始めた。

天狗かぁ初めて見たなぁ。

そんな暢気な事を思っていると、まだ天狗あたふたしていた。

あの否定のしよう…笑っちゃいそう。

人間と変わらないなぁ…。

僕は先程までの苦しさを大分晴らしていた。

 

「あぁもう今日は厄日ね!あきひとこれは掟よ!秘密よ!約束よ!

だから絶対に私の正体言ったら駄目よ!いいわね!」

早口になりながら色々言い迫って来た。

やっぱり言ったら駄目なんだ。

少し、いやかなり笑っちゃう。だって必死過ぎるから。

「さて!じゃあ、あきひと!どんなことにも負けずに強く生きなさい!じゃあね!」

晄が急く口調で喋りながら背を向ける。

あ…もう行っちゃうのかな。

そう思うととても寂しくなった。

「待って!」

不意に声が出た。

今この人を帰したらきっともう二度と会えない気がしたから。

だから、すこしずるいけど…さ。

 

「さっきの約束!僕の約束を聞いてくれたら守るよ!」

「~~~!な…何よ?」

「僕と友達となって時々遊んでくれること!」

…どう?

晄の言葉を待つ。

でも友達になってくれても、なってくれなくても

僕は言わないつもりだ。

大体これな自分ながらにも卑怯である。

…でもそれ以外でこの人を引き留められるとも思っていなかった。

「…えぇ!良いわよあきひと!その条件なら飲んであげる!」

「本当に!?」

「えぇ!本当よ!…たぶん」

思わず跳び跳ねた。

こんな事を言ったのに友達になってくれるなんて…。

 

…最後の言葉は聞こえなかったな。うん。

 

 

こうして僕に初めての友達ができた。

初めての友達が人間じゃないのは、

僕の環境のせいもあった。

けど今はそんな事はどうでもよかった。

楽しかった。嬉しかった。誰かが僕を信じてくれたから。

次に会うときが楽しみだなぁ。

そう思いつつ、晄を見送る。

屋根の向こうに消えるその時まで…。

 

その時は意外と早かった。ちょっと悲しい。

 

 

■■■

 

「よっ…っと!」

私は、塀を飛び降りあきひとのいた城を後にした。

いやはや…本当に今日は吉日ね!

条件をつけられた時はどうしてやろうかと思ったけど、(具体的には控えます)

可愛い条件でよかったわ~。

まさかの人間を知る機会もできたし、本当に今日は吉日ね~。

さてそろそろ私も帰るとしましょうか!

そんな事を思いつつ、私は山の方向へ飛んだ。

 

次回に続く!

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