東方風雲観察誌   作:カップワードル

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剣の風を志せ 基礎

森の奥のそのまた奥深く…私達は飯綱様を追い、歩いていた。

…飛びたいけど、森が深すぎて飛べないのよね…。

 

 

紆余曲折あった後、

「さて…着いたな」

飯綱様が呟く。

「漸(ようや)く…」

森の向こうには少し開けた場所がある。

そこが修行場所なのだろうか?

ちょっと狭い気がする。

「おお、丁度良さそうですね」

華仙が陣傘を少し持ち上げて口にした。

「ほう…わかるのか」

「少しですが」

「ふむそれだけわかれば上々。晄はさしずめ『ちょっと狭くない?』

などと考えておるだろうからな」

「ちょっ、な、何故わかったんですか!?」

「いいから行くぞ。ここがお前の修業場所だ!覚悟せい!」

な、何かその言葉、攻撃みたいなんですが…。

 

 

 

…あら?

平らな岩盤の上には小さく草が生え揃い、

所々土や岩が見え隠れしている。

岩山には小さな滝があり、小川が流れていた。

そしてその先には美しく広大な湖があった。

つまり…中々確かに良いところみたい。

空気は高山特有の澄んだ空気をしていて息を吸うと気持ちいい。

「確かに…中々良いところですね」

「ようやくお前にもわかったか。

だが、遊びに来ている訳では無い。気を引き締めて行くのだぞ」

「は~い…」

「さて…修業と言うと何をするのでしょうか?」

「おお、そうだな…

 

 

晄!」

「へっ、へい!」

「刀を構えろ」

「え?」

「問答無用だ、とっとと構えい!」

「あ~はいはいっ!

うー…んと。こ、こうかな…?」

私は刀を握り、目の前に刀を留めた。

「…教えておらんとはいえ、なっておらんな」

足下の子狐はやれやれと首を振りながら溜め息をつく。

…何か腹立つ。

「では、晄。私が攻撃してみましょう」

「え?うわっ!?」

華仙が杖を降ると刀はバチッと弾かれてしまった。

ちょっ、か、刀が!

「すみません、刀を…」

「や、良い。後で磨げば良い話だ

さて、晄よ、わかったか?」

「え?何がですか?」

「何故今こうも簡単に弾かれたか…だ」

「え?…どうしてって…。

 

力が入ってなかったから…かな?」

華仙はさっきちっとも力を入れていなかった。

手加減だと思うけど、それでもいとも簡単に私の手から刀が飛んだ。

だから、私が力を入れてなかったから…かな?

 

「惜しいかな。力の入れ具合がその構えではまずい」

「成る程…と言うとどうすれば良いのでしょう?」

「構えは様々あるが…まず刀を深く握れ。手と手が離れんようにな」

「うーんと…はい」

「そして、目は刀にやるな。前を向け、まっすぐだ。」

「えっと…はい」

「足だが…片足を少し前に、もう片足を少し後ろにおけ。

少し間を開けてな」

「はいはい」

「そして爪先(つまさき)少し外に。これで大体かな。では華仙殿。」

「はい。ていっ!」

「おっと!?」

 

キンッ…!

 

刀に杖がぶつかる音がした。

…あれ?刀が私の手元に…。

「ふむ、まぁ構えはこれからだ。くれぐれも傲(おご)るなよ。

 

さて、今度は剣の振り方だが…まぁこれもやってみるのが早かろう。

晄よ、ここに丸太がある。これを一度で斬ってみせい!」

丸太って…いやこれ結構でかい。

熊の胴と同じ位ありそうなものだけど…。

「え!?一度で…!?」

そ、そりゃあ…出来なくは無いけどさ…。

私は刀を強く握り、力を込めて思いきり丸太に降り下ろした。

やればいいんでしょうっ!?

「でぇいっ!!!!!」

 

ガッ…

 

「…あれ?」

 

…う、嘘…!刀が途中で止まってる…。

丸太にただ刺さっていると言う感じだ。斬っている、とは程遠い。

「あぁ、刀が痛む…」

飯綱様が嘆く。

「ちょっと華仙、これ抜けない…」

さっきから刀を抜こうとしてもウンともスンとも言わない。

深く刺さっているので…困った。

「どれどれ…それっ!」

「え!」

華仙がとくに詰まることも無くスッと抜く。

「刀を振るときも力の入れ方は重要なのだがな…。

やれ、これも一からか…。よし構えろ晄!」

「はい!」

「そうではない!さっきの構えだ!」

「あっ、はい…!」

慌てて、さっきの構えをとる。…こうだっけ?

「目線をまっすぐ!…よし。

刀を先の方に集中させい。して刀の動きを止めろ。震えておるぞ」

「うーんと…はい」

「ではゆっくり振り上げろ…そして刀の先に集中して…斬れっ!」

「ていっ!」

 

ズトッ!

 

今度も何だか鈍い音がする。

しかし、先程よりも丸太には深く刺さっていた。

…刺さっていた。

 

「うーむ。上半身と足…つまり腕以外動いていない」

「え…?」

「晄よ。それでは斬りにくくないか?」

「斬りにくい…?」

「いや、言い方が悪いな。体が動かんだろう」

「言われて見れば…確かに」

「剣だけを振っても体が動かんから結果、体にも刀にも負担がかかる。

体も一緒に動かせ。重心を傾ける様にやるのだ。

ついでに手首を少し捻るのだ」

「よいしょっ…とっ!」

刀を丸太から抜き再び刀を構える。

…なるほど、確かにこの構えは無理がない。

「よし…ていっ!」

 

ザンッ!

 

「おっ…!?」

「あっ…!」

「ふむ…上々だな。後は慣らして行けば基礎はまぁまぁだな。

…いやまだか。

この直感でしか動かない感じ…きっと防御も…」

「さ、さぁ…」

「基礎で良い。やって見せよ」

「じゃあ行きますよ…!」

「むむ…く、来るなら来い!」

私は刀を横に構えて腰を落とす。

 

キィン!

 

さっきの攻撃より力が入っていた。

う…腕に来る!イテテ…。

「それでは隙が有りすぎるし、負担が掛かりすぎる。お前にも刀にもな。

剣は打ち返すつもりで構えろ。

相手の剣とは逆に構え、出来る限り隙を無くせ!」

「ふ…ふむ?」

「ではもう一度!てやっ!」

「せいっ!」

 

キィンッ!!!

 

「お見事…」

「…?おっ?あれ、終わり?」

刀をとりあえず打ち返す様にしてみたのだが、

力があまり掛からなかったのでよくわからない。

「えぇ打ち返されました」

「ふむ。今のは中々…かもな。さて…基礎はここまで!」

「おっ!?じ、じゃあ…!」

「特訓だ!身体中を解すために!」

「なんじゃそりゃ!」

疲れて…るわけじゃあないけど。

でもどうなの、そういうの。

「今度は、妖力の制御、引き出しだ。これは中々難しいがな…」

「では、がんばってくださいね」

「ちょっ!

 

 

 

 

…や、休ませてッ~!!」

 

 

 

こうして本格的な修行が幕を開けるのだった…。

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