東方風雲観察誌   作:カップワードル

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二 章 が 増 え す ぎ


雲は森に留まる

… … …。

 

 

 

ハッ!

 

 

「あれ…ここは…」

 

跳ね起きて周りを見回す。

痩せた森に、焚き火に…

そして白髪(しろかみ)の少女が眠っていた。

 

一応、朝は越せたようだ。

空を見上げると、僅かながらにも木漏れ日が差す。

空も快晴って事かしら。

 

さて、今日も今日とて、旅の始まりと…。

と、その前に…。

私は白髪の少女に目を向ける。

 

「まず、起こした方が良いわね。

 

おきなさい!おきて~!」

 

私は少女に声をかける。…意外と目を覚まさない。

 

「…起きて~」

 

揺すってみる。

 

手を鳴らしてみる。

 

軽く顔を叩いてみる。

 

 

…起きないなぁ。

多少動きはするが、目が覚めてはいないのは明らかだ。

無断で、食べ物を探しに行くのも悪いと思ったんだけど…。

中々強者ね。起きないわ。

 

無理に起こす事は出来るとは思う。

でも、私は無理に起こすつもりはない。

何故なら、大抵無理に起こすとコチラが酷い目に会うからだ。

思い返せば天狗のほとんどは中々寝起きが悪かった。

あの経験がまだ恐怖として根付いている。

 

…でも、起きるまで待つといつになるかわかんないし起こさないとね。

 

私は少し離れて起こす事にする。

 

 

さて、ここから大声出せば流石に起きるでしょう。

じゃ、やるわよ!

私は息を吸い込んで大声をあげる。

 

「おッ! きッ! てェェェエェェエェェエエエェーッ!」

 

「あぁもう!うるさい!」

 

私の顔に火が飛んで来ました。

離れたから良い訳じゃなかった!

 

「アッチャッ~!!!!?」

 

 

 

□□□

 

 

 

一応、起きてくれたようである。

私の悲鳴で。

 

「今から食べ物を探してくるわ。何か欲しいものある?」

 

山だから、取れる物は限られるかもしれないけどね。

 

「… ここには食べ物なんて無いと思うわ。

10日位居るけど、食べられる物なんて見つからなかった」

「え"」

 

そ、そんな…!じゃ、じゃあ私、食べられんとですか!?

そげなこっちゃどうすんねん!死ぬで!?

 

「じゃ、じゃあ、あなたは何食ってたの…!?」

「私?いや、何も食べて無いわ」

 

す、凄いわ。よく10日間耐え抜いたわね!

私は一食抜くのだって耐えられないって言うのに…。

 

…ん?あれ?何かおかしくない?

 

「あの…」

「え?何?」

 

… … …そういや、名前まだだったんだだっけ。

 

「えっと私は晄。知ってると思うけど妖怪よ」

「…そう。私は妹紅(もこう)。藤原 妹紅」

 

藤原…?

ま、それはまず、いいや。

「あなた…人間なの?」

「ッ!!!」

 

妹紅が体を震わせる。

殺気が、こう感じられる。逆鱗だった…。

怖い、そして…何より興味があった。

 

「…人間じゃなかったら…何だと思うのよ?」

 

妹紅が訪ねる。

焚き火に手をかざし、火の力を強めている。

 

「…あなた、匂いは人間よ?

でも、その身体は人間の代物じゃない…。

さしずめ、元人間ってとこ?」

「… … …」

 

図星らしい。

半妖とも違う。当然妖怪でもない。

つまりは…あまり妖怪とは縁のない感じ。

 

「…あなた、仙人でしょう!」

 

私はまっすぐ指をさす。

知り合いにもいるから、何となくそんな気がする。

まだ修行中らしいけど。元気かな、華仙…。

 

「そんなんだったら良いのにね…」

 

違った。

妹紅はやれやれ、と言わんばかりに手を顔に当てた。

むむぅ、違うのか…。

 

そういや、お腹が空かなくなった。

 

「じゃ、じゃあ…天人?」

 

返事は来なかった。

反応からして、違うのだろう。

天人でも差し支え無さそうに見えるのに…。

ほら、全体的に白くてキレイだし。

 

「…もう、いいでしょう?この話はこれでおしまい。

今回は見逃してあげるから、とっとと消えなさい」

 

妹紅はどこか遠くを見て言った。

やっぱり、目を私に合わせる事は一切しなかった。

彼女はただただ孤独を望んでいた。

 

「私は…ただの…人間なのよ。妖怪なんかにはわからないわ」

 

噛み締める様なかすれた声が突き刺さった。

 

…わからない。

 

人間だから…妖怪だから…?

 

どうして、そこまで妖怪を嫌うのだろう。

 

そりゃ人間も妖怪も違うけどさ…。

 

彼女は何かを拒絶し、その先を閉ざしてしまっていた。

 

妖怪を信頼しろ、なんて言いやしない。

でも彼女は信頼そのものを捨て、希望をも閉ざしてしまっている。

孤独、そして絶望…。

このままこの二つに彼女は立ち向かわねばならない。

…私なら、とても勝てそうにない。

 

私は、ふとあきひとを思い出した。

あきひとは、自分信頼をする事を捨てようとしていた。

 

ふとその後ろ姿が重なった。

 

…助けたい。

そんな孤独な背中なんて見たくない。

私は助けになりたいと思った。

 

「ねぇ、妹紅」

「まだ、何か用なの?出口なら行き方は教えるわ」

「あなたにしばらく、付き合わさせてもらうわ」

 

そう言うと目を見開いて、あっけらかんときしていた。

やっぱり驚いてる?

 

「お断りよ。どっか行きなさい」

「ふふ、私はそのお願いをお断りよ」

 

妹紅が顔を上げて、私の顔を…いや目を見た。

 

「…そう、勝手にしてよ。もう」

 

再びその目は焚き火に戻って行った。

 

 

 

□□□

 

 

 

「出口を知りたいの?」

「うん。外から食料を持ってくるわ。お腹、空いてるでしょ?」

「私の分なんていらないわ」

「そういう訳にもいかないわよ~!

十日間も食べて無いんでしょう?

今、あなたは首の皮一枚で生きてるかも知れないけど

食べなきゃ本当に死んじゃうわよ。と言う訳で強制」

「…~… そ。じゃあ適当に選らんで」

 

妹紅は相変わらず孤独を欲していた。

でもそういう訳には行かないわよ。残念!

 

「じゃ、ちょっと待っててね」

「… … … …」

 

 

 

 

 

 

こうして、また新しい仲間が増えた。

ちょっと警戒心はまだあるみたいだけどね。

 

 

続く

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