東方風雲観察誌   作:カップワードル

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祝(?)十万文字!漸くか!
うー・・・これからも頑張りますです。
中身も頑張らないと…ですね。

タイトル修正。


百八本の逆襲歌 中編

「グォォオォオンッ…!喰らい殺してくれん…!」

 

百足が顎を大きく開けて走りよって来る。

その動きはとても速く、足が凄い勢いで波打…見ない見ない。

しかし、一直線な攻撃だ。避けるのはそう問題は無い。

 

私はその場に屈みこみ『その時』を待つ。

音と妖力が体に伝わる。自分がどこで相手がどこにいるか…。

そして私は何をするべきなのか?

 

明鏡止水はそれを自然と体に伝えてくれる。

 

「ククク…観念したのか…?大人しく我、腹の中に収まるが良い…!」

 

一刻一刻と近づいて来る…。

体勢を崩さず、『その時』に備える。

 

「まずは貴様からよ…!天狗…!!」

 

… … … …。

 

…今ッ!

 

私は一気に体を伸ばして、飛び上がり百足を飛び越える。

百足は先程まで私が居た所にかぶりつく音や風、

妖気を通して動きが読める。

刀を抜き、飛び越え様に百足を斬り裂く。

 

「グオオオオオオオオオッ…!!!!?」

 

き、決まった…!!

ちょっと口角が上がる。斬れたのは下半身だ。

 

…!

 

「ガァアアアアアァッ…!!!!!」

「させないっ!」

 

百足はすぐさまに振り向き喰らいつこうとしていた。

私は飛び上がって百足の顎を斬り払う。

片方の紅い牙の様な顎が宙を舞う。

 

残心…それは攻撃の後も油断しない事。

飯綱様の教えが思い返される。

かつてのようには…もういかない!

 

「グオオオオオオ… … …!!」

 

地面に流れ落ちる百足。流石にしばらく動けないと思う。

…ふぅ、まず一匹大人しくなったわね。

明鏡止水を止める。

どうやらずっと続けているとえらい疲れるものらしい。

切った途端に凄い汗が吹き出して来た。

 

妹紅を見る。どうなっているかしら?

 

「…あの蜘蛛一体どこに…?」

 

妹紅が辺りを探していた。

そう言えば、

蜘蛛と一緒に出てきたのに当の蜘蛛とは全く連携していない。

どうやら共闘って言う事じゃないのかしら?

 

「そこか…?」

「ッ!!?」

「な!?」

 

どこからか声が聞こえる。

辺りを見回すが、姿が見えない。近くにいないの…?

 

「さて、早速一人さね!」

 

妹紅の後ろの…地面から蓋みたいな物が飛んだ。

地面!?

 

「活きの良さそうなお嬢ちゃんだねぇ!いただきます!」

「キャッ…!?」

 

妹紅を捕まえて穴に引きずりこもうとする蜘蛛。

これはヤバイって…!!!

 

「妹紅から離れなさい!」

 

刀を抜き、蜘蛛に斬りかかる。

 

「むむっ!そうはさせるか!イワナ!何とかしておくれ!」

「グルル…傷がまだ完全に治っておらんと言うに…!」

 

え…嘘?

後ろを振り向こうとしたその時紅い頭に吹っ飛ばされた。

 

また恒例の木にぶつかる落ちですか、そうですか…。

飛ばされながらそんな下らない事を考えていると。

 

…あれ?何か体が止まったわね?

 

「ははは!引っ掛かったねぇ!その網からは逃げられない!

そしてこの小娘も病に冒されやがて動けなくなっちまうのさ!

もうあんたたちは終わりさ!覚悟しな!」

 

私は蜘蛛の巣に引っ掛かった様だ。体中から細い透明な糸がのびている。

して、このままだと妹紅は障気に当てられてしまう…!

勝てるとか思ったのに、むしろ酷く危機的状況になってしまった。

強くなったのは私だけじゃありませんでした、はい。

 

 

「妹紅~ッ!逃げて!」

私は声をあらげた。絡み付く糸が体を捕まえて離さない。

絶体絶命以外の何者でもない。

 

「…私をなめてもらっちゃ困るわ」

 

妹紅の体が突如炎に包まれる。ついでに蜘蛛にも燃え移る。

 

「キャアァアァアッ!も、燃える!助けて!!」

 

蜘蛛が火だるまになりながら地面で悶える。

…開いた口が塞がらない。格好良すぎませんか?

 

「情けない奴…!」

「ぐぬぬ、薄情な奴めが!移れ移れ!」

「やっ、やめろ…!!」

 

炎を散らす蜘蛛、逃げる百足…。

 

…同士討ちを始めたわよ?

しかしこれは好機ね!何とかしてここから抜けだしてやるわ!

私は体を揺らし脱出を試みるがゆっさゆっさするだけで進展がない。

 

「…助けてあげるわ」

「妹紅!ありがっ…」

 

妹紅が手に炎を宿していた。

助けてくれるのは嬉しいわよ?でもその炎は何。

 

「その炎は一体…」

「妖怪だから死にはしないわよ?」

 

この人間は私を殺す気だ。間違いない。

飯綱様も使った懐かしい死刑宣告だ。

 

「イーヤーッ!助けてーッ!殺されるゥウッ!!」

「動かないで!刀、借りるわよ!」

 

私の手から刀を取る。

お、オォ?

 

「動いたら体斬れるわよ。いい?」

 

あぁそういう事なのね…ハハハ…。

いやいや危ないってばよ!

 

妹紅が刀を降りかぶり、網を斬ってゆく。

何だか力が急に抜けてゆく。

 

「助かったわ。ありがとうね妹紅」

「それは彼奴らを何とかしてから言って!」

 

そうだった。

私は刀を握り周りを見る。もう敵は立て直してしまった様だった。

 

「…やれ、危なかった。人間の小娘にしてはやるねぇ!」

 

上から声が響く。

上空に蜘蛛は飛んでいた。滞空している、と言うべきか。

蜘蛛は雲とともに我々を見下ろしていた。

 

「まさか、アレ飛んでるの!?」

 

妹紅が声をあらげる。

小さな蜘蛛は時々空を飛んでるけど

あの蜘蛛はどう考えても飛べる感じじゃない。

それに飛んでると言うよりあれは浮いてると言うべきかも。

妖力を使ってる訳でも無さそうだし…。

 

…だったら、答えは一つよね。

 

「それにしてもそっちの天狗はともかく人間のお嬢ちゃんは

そろそろ病に倒れているはずなんだけどねぇ…?

お嬢ちゃん一体何者だい?」

 

「…!」

 

私は刀に妖力を込めて、目を空に置き狙いを定めた。

 

「あんた、人間じゃないのかい?それとも何か特別な…」

 

刀の妖力を…放つッ!

「空を流れよ!剣風!」

剣の風が勢いよく飛んだ。当たれ…!

 

「何だ!?ゥアッー…!!」

 

蜘蛛が地面に落ちて行く。

「ガゴッ…!」

ついでに百足に落下する。

 

「今の…蜘蛛に当たったわけじゃないのにどうして?」

「それは…あれはただ蜘蛛の糸に乗ってただけよ。

私はその糸を切っただけ」

「…あぁそういうの」

 

真実は意外に簡単なものなのですよ。

蜘蛛の糸を綱わたりできるのはきっと蜘蛛位よね。

 

「やってくれたな…!!」

「もう手加減なんかしやしないよ…!」

 

…まだ、戦いは続きそうね。

 

 

 

 

 

 

油断したら…死ぬわ。

 

 

続く。




土の中に入って蓋をする蜘蛛は実在します。
戸立て蜘蛛、と言う地蜘蛛の一種です。
何気に希少な生き物です。
外で見かけても殺したりしないであげてください。
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