懐かしい風が私を通り抜け、
懐かしい門構え、そして懐かしい城下町…。
私は帰って来たのだ。あきひとの…城に。
「やったぁ!帰って来た!確かに帰って来たわ!
イィィイイィイイヤッホー!」
「お、落ち着いてよ。周りの人が見てるわよ!?」
「ご、ごめんごめん…ハァ、懐かしいわね…」
あれから十数年経ったのよね…。私は何かこう来るものがある。
相も変わらず城は大きくそびえ建っていた。
城下町も相変わらずだ。私は、ゆっくりと足取りを進める。
…ごめん、嘘ついた。小走りの小躍りしてます。
「…はぁ。広いわねぇ相変わらず…」
妹紅が溜め息を吐く。無理もない。
少し小さい山や平野位なら丸々収まってしまうくらいはある。
とりあえず、真ん中を突っ走っていけば城に当たる筈。
「そんな安直な事でいいの?」
「大丈夫よ、問題無いわ。さぁ行くわよ~!」
私は脇目も振らず走り出した。
妹紅は、半ば疲れ気味でゆっくり歩いてきた。
□□□
「待たれよ。お前達は何者だ?
ここは神聖なる場所、それに見合う者だけがここを通る事を許されよう」
あぁ、城って門番いたっけ…。ド忘れしてたわね…。
私は岩の様にそびえたつ門番に対する
手段が思いつかず呆然とする。それは山登りを諦めかける登山家の如し。
「…どうしよう?」
「いや、知らないから…。て言うかあんたも関係者なんじゃないの?」
「ん~…極々僅かな人々にね~…」
打開策を思いつかず、こそこそ話し合う私達。
しかしすぐに門番が近寄ってきた。
「…その白き髪、貴様!妖怪か!?」
「…!!」
ま、まずい!変な思い込みされてしまった!
弁解するのも大変だし信じてもらえなさそうな気もする。
え、えっと…!適当に私は言葉を言ってみる。
「こ、この人は藤原一家の…えぇ~先祖!御先祖様です!」
「えぇっ!?ちょっと!」
「何だとっ!?」
土壇場でとんでもないことを言ってしまった…。
ご、ごめんなさい妹紅。心の中で百回位謝る。
しかし門番は顎に手を当てた後、じっくり考えこんでいた。
「…そうか、今日は盆であったな。やや、失礼致した。
ささ、お通りくださいまし」
とんでもない奇跡が出たもんだ。私は目が点になる。
妹紅も流石に驚いている。目も覚めるほどの奇跡だ。
「そ、そうか。では案内するんじゃ」
…妹紅が結構乗り気だ。
もう、問題無いわね。私は胸を撫で下ろし門をくぐろうとした。
「じゃあ行きま「待て、御先祖様はまだわかる。しかしお前は何だ?」」
…あ "う "そ、そうか。
ど、どうしよう。天皇の姉です、とかそんな事言っても難し…
「そやつは天皇陛下の姉と申しておったぞ?」
え、妹紅、ちょっと待って。それを知ってるのは本人だけ…。
私が困惑してきると予想通りの展開に。
「ぬかせ!天皇陛下の姉などいないッ!失せろ!」
「ギャフン!」
ですよね~。路傍の石よろしく捨てられる私。
…妹紅はもう入ったし、飛んで侵入しようかな。
私は物影で、体を浮かす。
「警備は万全を!鼠一匹とて、入れるでないぞ!」
塀の向こうから警備の声が響く。塀を越えたら矢でも飛んできそうだ。
…う~む。無念。私は壁に背をかけ顔に影を落とす。
「おぉ、お前さんは…!!」
私が手こずっているとお爺さんが駆け寄って来た。
しわだらけの顔で思いきり笑うその姿には敵意は感じない。
「晄様ですな?」
「あ!あきひとの教育の…」
「お待ちを!諱はここでは御呼びになりませぬように…
陛下が『天皇の姉』と聞き、この爺を遣わした訳です。
ささどうぞ!後来城くださいませ」
私はお爺さんにつれられ、城へ入る事が出来た。
いよいよ、再会ね…!私は、血沸き肉踊りつつ城へ入る。
□□□
「むぅ晄、遅かったのぅ」
「あなたが、あきひと様の姉上なのですね…!?」
あきひとの部屋で、藤原の二人組みが私を待っていた。
一人は先祖に徹している妹紅、
もう一人が我が弟の婚約者、せいこだ。
…確かに、藤原と付くだけあっていくらか共通点っぽいのがある。
「えっと…こうして話すのは初めてね。
私が…「崇徳 晄でらっしゃるのでしょう?」…はいそうです」
食い入る様に見つめるせいこ。外見はもう大人とは言え、
私が見極めの時から一切変わっていない気がする。
妹紅が、それなりにかっこついてるのがちょっと面白い。
「晄よ」
「はい」
「覚えておくんじゃぞ」
「…はい」
根に持ってた。藤原一家には敵わない気がしてきた。
それはそうと、あきひとの姿が見えない。
「あきひとは…?」
「…少し、小競り合いがありまして」
「小競り合い?」
「…後でお話致しますわ。それはそうとお二方!
是非是非旅の話をお聞かせくださいませんか!?」
「うむ、勿論じゃ」「勿論!」
こうしてあきひとが来るまで、女三人で旅の話を語りあった。
あぁ、帰ったんだなぁ。私はそう痛感した。
…待っているのはあきひとじゃなかったけど。
続く
一度からませてみたかった藤原ズ。
次回も城の事情です。