東方風雲観察誌   作:カップワードル

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サタデーナイトフィーバーします。



風は山を昇る

「…飯綱様!晄が帰って来ました!」

「ふ…漸く来たか」

「…驚かないんですね?」

 

「予見しておったからな。迎えは出さなくて良い。

それより食事の用意をしておいてやれ。

腹を空かせてくるだろうからな」

「はっ!」

 

 

「…さて、儂も出るとするか」

 

 

 

■■■

 

 

 

山だ。ただの山では無い。

私の故郷の山だ。土も木々も風も懐かしいものである。

かつて私は冒険と研究を求めて、この山を出た。

再びこの山の土を踏むのがこれほど早く、

これほど突然だとは思わなかった。

私は草を踏む音に心を浮かせつつ山へ足を運ぶ。

懐かしいな…。

 

「…ここ、凄い妖気だわ。まるで妖怪の巣みたい」

「みたいじゃないんだけど…」

「え?」

 

妹紅が御札を構えつつじっくり足を進めていた。

 

「これから行くのは私の故郷」

「うん」

「えっと…私、烏天狗」

「えぇ」

「つまり天狗いっぱい」

「成敗!」

 

妹紅の放った御札が額に貼り付く。

 

「あっづ~いッ!!!」

「そういやあんた妖怪だったわね…」

「今更何言ってるのよ…」

「………。

私は待ってるわ。用が済んだらよろしく」

 

今更よくわかる妖怪と人間(?)の溝。

…しかし、今はまだどうしようも出来ない。

天狗に何かあっても困るし、妹紅に何かあっても困る。

私は、妹紅の話をのむ。

 

「…それが良いかもね」

「じゃあ、そう言うことでよろしく」

「や、ちょっと!御札外してよ!

「じゃよろしく~」

 

…この顔で郷帰り…?」

 

妹紅はいつの間にやら森の闇に消えていた。

恐る恐る額の御札に触れてみる。

 

「あっづッ!!」

 

外せそうにないなぁ…うぅ。

 

 

□□□

 

 

「あれれ?この時間帯って木こりの時間だった様な…?変ねぇ…」

 

天狗の日課は厳しい。

怠ろうものなら肝を石でごりごりされる位怖い罰もある。

…これは本当に私が体験した話です。

しかも仕事も多彩なので、そろそろ天狗に当たってもおかしくない。

…妹紅が見つかったか!?

 

…それにしちゃ、いや、何にしたって静かすぎるわねぇ。

私は森の中を歩きつつ、不思議に思う。

 

「やれ、ようやく見えたか。久しかろう、山は?」

「飯綱様!」

 

木々の向こう、岩に座り込んでいたのは私の師であり育て親でもある

大天狗、飯綱四郎様だった。…あぁ、帰って来たんだなぁ。

 

「…面白い飾りを付けておるな。

お前はいつからキョンシーになったのだ?」

「いや、大陸には行ってないです」

「ふ、それはよい。「良くない」

まず里までこい。今、文は仕事でいないが…

何の騒ぎか、皆、お前を歓迎する気満々で待っておるぞ?」

「えっ…」

 

目頭が熱くなった。

…そうか、みんな待ってたんだ。

 

「ふ、情にほだされたか?だが泣くも笑うもまだ早い。

ささ、早く飯でも食おうではないか」

「はい!」

 

私は、心踊らさせつつ里へ向かって走った。

早くみんなに会わなきゃ!

 

 

□□□

 

 

 

それから里につくや否や、大歓声だった。

 

私ってそこまで存在大きかったっけ!?と思ったけど、

みんな冒険の土産話を期待していたみたい。

私は胸を張ってその冒険の数々を話した。とても楽しかった。

 

今度はみんな、深く聞いて驚いてくれたのだ。

 

しばらく冒険の数々を語った後、飯綱様が話を切り出した。

すると辺りがまた水を打つかのように静かになる。

やっぱりこれが中々慣れない。

 

「…晄よ。いよいよここまで来たか。

儂の技、お前に授けてやって良い。見事ものにしてみせよ。

 

…して、今一度問おう。

 

その心に偽りは無いか?

 

その身に『自由』を背負う覚悟があるか?」

 

飯綱様の目はあの時とは違い、透き通った目をしていた。

押さえつける事のない、優しくも偉大なる瞳だ。

私が答える言葉はこれ以外には無い。

 

「…はい!」

 

「良いだろう。その覚悟、この飯綱四郎、しかと聞き届けたぞ。

さぁ皆の者!食べ物を持て!盛大に贅沢に食べようではないか!」

「「「「オーッ!!!」」」」

 

こうして酒と食べ物が運ばれ、皆物思いつつ食べたのだろう。

私は、妹紅を置いてきた事を後悔した。

 

 

 

■■■

 

 

 

…少し冷えた風がふく。

秋めく森の中、私(もこう)は食べ物を探していた。

 

晄曰く、山は食べ物の宝庫らしいのだが、

私にはどの辺が宝庫なのかさっぱりわからない。

見よう見真似で、あの烏天狗の持ってきた食べ物を探す。

 

正体の知れぬ草やら茸やらが腕のなかから溢れる。

色が派手じゃなくて、たてにさける茸は食べられる、

とか聞いたことがある気がする。

最低限、焼けばきっと食べられるだろうけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思っていた時期が私にもありました。

 

※山で食べ物を探す場合は必ず詳しい人と一緒に行きましょう。

一般に伝わる判別方法はほぼ迷信なので、

迂闊に食べたりしないように!

 

 

続く




妹紅はどうなるのでしょうか…(色んな意味で)
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