東方風雲観察誌   作:カップワードル

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かれこれ三回目の飯綱戦。大分本気になってきた飯綱。



風に思いを 中編

「では、まずその力、測らせてもらおう。良いな?」

「はい」

「…天狗の戦い、か」

 

まず、私の力を測ると言う事で軽い戦闘を行う事になった。

妹紅は座り込んでこちらを優雅に眺めていた。

 

さて、戦闘開始ね…!

 

「……………」

「捉えてみせぃ!行くぞッ!!」

 

飯綱様が掛け声と共に疾風の様に走り出し、

その影が幾つも重なって飯綱様が幾つも見える。

私の周りを勢い良く駆け回り、目で見ても本物は捉えられない。

 

集中して、五感を研ぎ澄まし、妖力の波を感じとる。

だが幾つも波動が私に触れ、上手く踏み出せない。

何時出てくる!?

 

「遅い!」

「おっと!そこだ!!」

 

刀を刀で打ち返し、上手く攻撃を弾く。

飯綱様は少し体を引き、よろける。

 

「もらった!」

「傲るなよ!まだまだぞ!」

 

こちらが畳み掛けようした瞬間、こちらも刀を弾き返され、

例によって私ごと吹き飛ばされる。体が空を飛び、押さえられない。

 

「クァッ!?」

 

好機が一転して危機になった。

体を支えられない私は背中を地面に打ち付け、痛手を負う。

 

「戦士たるもの常に残心あれ…。油断は危機に直結するのだ!

反撃と攻撃を読め!無計画に敵は倒せぬぞ!」

 

私は地面から跳ね起きて体勢を建て直す。

敵なら…同じ手は通用しない!腰に刀を据えて妖力を刀に集める。

 

「防御が空いておるぞ!」

「くっ!」

 

急いで右に倒れこんでかわすが、飯綱様の刀が髪を掠めた。

そ、そりゃ隙まみれだもんね。素で撃てる筈がない、か。

 

 

『アレ』、使えるかしら?

 

私は空に風を吹かせ雨雲を呼ぶ。

直ぐ様しとしとと雨が降りすさむ。作戦成功!いい雲が掴めたわね!

私は体を浮かし、飯綱様に飛び向かって行く。

 

「ぬぅ!それがお前の能力か…!だが雨を降らしてなんになろうか!」

「実はわからなかったりして!」

 

私はきりもみ回転しながら飯綱様に斬りかかる。

雨に気をとられるとか、無いだろうか?

 

…無いか。

 

しかし意外にも雨は上手い方向に動いてくれた。

 

「グゥッ!?しまった!地面が滑る…!」

 

飯綱様が押さえられず、体勢を崩す。

すかさず一撃を叩き込む。

刀を思いきり弾き飛ばし、飯綱様をよろめかせる。

 

よし、もう一回…!!

私は再び体勢を取り、刀に妖力をこめる。上手くいきそうだ。

 

「一閃は空を流るる!」

「ぬぅ!ぬかったか!

しかし、これで終わりはせぬ!一閃よ!空を流れい!」

 

二つの剣風がこのままぶつかる、今まではそうだったが、今度は違う!

私は口角を歪ませ、妖力を散らせる。

 

「そうれっ!かまいたち!」

 

大きな剣風の波がちいさな半月状のかまいたちに散ってゆく。

かまいたちが八の字を描きながら飯綱様へ飛んで行く。

 

「ぬぅ!!?これはぬかったか…!!

 

 

 

しかし、ここでやられはせんぞ!うおりゃああああッ!!」

「嘘ッ!!!?」

 

飯綱様はかまいたちの群れを突っ切って目の前に現れた。

幾らか切り傷がついているとは言え、効果が無かったのは一目瞭然。

 

「そ、そんな…!!」

「正直、賭けだったが、功を成したわぃ…。

 

して、これで終わりか?」

「む、むむむ…」

 

そ、そりゃあ考えて無かったわね…。

てっきり、弾きとばすなり何なりしてくると思ったし…!

大粒の汗が、雨に混じって私の体を伝る。

 

「戯れはここまで…晄よ。教えておこう。

剣高めれば、空をも斬る、とな!!

 

 

 

剣よ、空を断て…!風断ちの一閃!!!!」

 

飯綱様が刀を一振りした次の瞬間、

雨の粒が全て砕け散り、かまいたちも一瞬にして消えて行く。

そして、地面に光の波が走ったかと思うと地面が斬れる。

 

 

地面に深い切れ込みが出来た後、再び雨が降りだした。

 

 

こ、これはちょっと敵わないわよ…!?

 

「わ、私の負けです…」

「…ふ、一応着いてはこれる様にはなったか」

 

飯綱様は刀を納めて、少し口を歪めた。

着いて来れていない気しかしない。やはり、私はまだまだ弱いと思う。

一瞬の危機の連続があったから。

 

「………軽く見過ぎてたかな」

 

小雨の中、妹紅がぼやいた。

 

 

 

■■■

 

 

 

はっきり言おう。見いっていた。

好機と危機の連続。どちらも勝機があった。

しかし油断から、攻撃の穴から上手くかいくぐっての戦いが続き、

何度も勝機が揺らいだのだ。

もっとも、あまり誉められたものじゃない揺らぎ方もあったが。

ちょっと軽く怖くなってきた。

死なないとは言え、細切れになりそう。洒落にならない。

 

「次はお主だが…」

 

飯綱がこちらを振り向き、ギョッとする。

 

「少し、疲れたからな。夕方にしようではないか」

「そ、そうしてくれるとありがたいわ…」

「…うーん、私は近接戦と火力不足かなぁ…」

 

二人とも、こうして見ると敵じゃなくてよかった…。

 

「あ、妹紅?昼食一緒に作らない?」

 

こうして、修行の日々は正に始まりを告げようとしていた…。

 

 

 

続く。




最近スランプ気味ですが…ピンチの時こそ最高の見せ場ですよね!
よぅし!今まで以上に頑張るぞ~!
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