「では、まずその力、測らせてもらおう。良いな?」
「はい」
「…天狗の戦い、か」
まず、私の力を測ると言う事で軽い戦闘を行う事になった。
妹紅は座り込んでこちらを優雅に眺めていた。
さて、戦闘開始ね…!
「……………」
「捉えてみせぃ!行くぞッ!!」
飯綱様が掛け声と共に疾風の様に走り出し、
その影が幾つも重なって飯綱様が幾つも見える。
私の周りを勢い良く駆け回り、目で見ても本物は捉えられない。
集中して、五感を研ぎ澄まし、妖力の波を感じとる。
だが幾つも波動が私に触れ、上手く踏み出せない。
何時出てくる!?
「遅い!」
「おっと!そこだ!!」
刀を刀で打ち返し、上手く攻撃を弾く。
飯綱様は少し体を引き、よろける。
「もらった!」
「傲るなよ!まだまだぞ!」
こちらが畳み掛けようした瞬間、こちらも刀を弾き返され、
例によって私ごと吹き飛ばされる。体が空を飛び、押さえられない。
「クァッ!?」
好機が一転して危機になった。
体を支えられない私は背中を地面に打ち付け、痛手を負う。
「戦士たるもの常に残心あれ…。油断は危機に直結するのだ!
反撃と攻撃を読め!無計画に敵は倒せぬぞ!」
私は地面から跳ね起きて体勢を建て直す。
敵なら…同じ手は通用しない!腰に刀を据えて妖力を刀に集める。
「防御が空いておるぞ!」
「くっ!」
急いで右に倒れこんでかわすが、飯綱様の刀が髪を掠めた。
そ、そりゃ隙まみれだもんね。素で撃てる筈がない、か。
『アレ』、使えるかしら?
私は空に風を吹かせ雨雲を呼ぶ。
直ぐ様しとしとと雨が降りすさむ。作戦成功!いい雲が掴めたわね!
私は体を浮かし、飯綱様に飛び向かって行く。
「ぬぅ!それがお前の能力か…!だが雨を降らしてなんになろうか!」
「実はわからなかったりして!」
私はきりもみ回転しながら飯綱様に斬りかかる。
雨に気をとられるとか、無いだろうか?
…無いか。
しかし意外にも雨は上手い方向に動いてくれた。
「グゥッ!?しまった!地面が滑る…!」
飯綱様が押さえられず、体勢を崩す。
すかさず一撃を叩き込む。
刀を思いきり弾き飛ばし、飯綱様をよろめかせる。
よし、もう一回…!!
私は再び体勢を取り、刀に妖力をこめる。上手くいきそうだ。
「一閃は空を流るる!」
「ぬぅ!ぬかったか!
しかし、これで終わりはせぬ!一閃よ!空を流れい!」
二つの剣風がこのままぶつかる、今まではそうだったが、今度は違う!
私は口角を歪ませ、妖力を散らせる。
「そうれっ!かまいたち!」
大きな剣風の波がちいさな半月状のかまいたちに散ってゆく。
かまいたちが八の字を描きながら飯綱様へ飛んで行く。
「ぬぅ!!?これはぬかったか…!!
しかし、ここでやられはせんぞ!うおりゃああああッ!!」
「嘘ッ!!!?」
飯綱様はかまいたちの群れを突っ切って目の前に現れた。
幾らか切り傷がついているとは言え、効果が無かったのは一目瞭然。
「そ、そんな…!!」
「正直、賭けだったが、功を成したわぃ…。
して、これで終わりか?」
「む、むむむ…」
そ、そりゃあ考えて無かったわね…。
てっきり、弾きとばすなり何なりしてくると思ったし…!
大粒の汗が、雨に混じって私の体を伝る。
「戯れはここまで…晄よ。教えておこう。
剣高めれば、空をも斬る、とな!!
剣よ、空を断て…!風断ちの一閃!!!!」
飯綱様が刀を一振りした次の瞬間、
雨の粒が全て砕け散り、かまいたちも一瞬にして消えて行く。
そして、地面に光の波が走ったかと思うと地面が斬れる。
地面に深い切れ込みが出来た後、再び雨が降りだした。
こ、これはちょっと敵わないわよ…!?
「わ、私の負けです…」
「…ふ、一応着いてはこれる様にはなったか」
飯綱様は刀を納めて、少し口を歪めた。
着いて来れていない気しかしない。やはり、私はまだまだ弱いと思う。
一瞬の危機の連続があったから。
「………軽く見過ぎてたかな」
小雨の中、妹紅がぼやいた。
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はっきり言おう。見いっていた。
好機と危機の連続。どちらも勝機があった。
しかし油断から、攻撃の穴から上手くかいくぐっての戦いが続き、
何度も勝機が揺らいだのだ。
もっとも、あまり誉められたものじゃない揺らぎ方もあったが。
ちょっと軽く怖くなってきた。
死なないとは言え、細切れになりそう。洒落にならない。
「次はお主だが…」
飯綱がこちらを振り向き、ギョッとする。
「少し、疲れたからな。夕方にしようではないか」
「そ、そうしてくれるとありがたいわ…」
「…うーん、私は近接戦と火力不足かなぁ…」
二人とも、こうして見ると敵じゃなくてよかった…。
「あ、妹紅?昼食一緒に作らない?」
こうして、修行の日々は正に始まりを告げようとしていた…。
続く。
最近スランプ気味ですが…ピンチの時こそ最高の見せ場ですよね!
よぅし!今まで以上に頑張るぞ~!