東方風雲観察誌   作:カップワードル

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一部、食べ物化けしております。御注意ください。



風に思いを 後編

私と飯綱様が戦ってからその後の

飯綱様と妹紅との戦いはどうやら決着が着かなかったらしい。

なんでもお互い満身相違になったとか。

やはり、妹紅は退治屋もやっていたことはある。

しかし悔やまれる事に私はその戦闘を見ること無く、

夢の世界に浸っていた訳で…。あぁ私の馬鹿!

 

 

それにしても、中々に山は落ち着く。

食べ物はあるし、生き物が息づき、風がそよぐ。

…こうして森林浴しながら心頭滅却するのも良い。

目を閉じ、風を感じては心安らぐ朝焼けの森、と。

いつになく、調子に乗るのも、この先修行があるからだろう。

 

「晄!妹紅殿!本日より修行の内容を言い渡す」

 

大風がなびき、飯綱様が神妙な面持ちで立つ。

私と座り込んでいた妹紅は飯綱様に目線を向ける。

 

妹紅にとっては初めての修行になるだろう。

山の中には団栗を投げて取ってこい、とかからはじまるのだろうか。

それとも、精神統一…?

私の方は、今までの修行の事もあるし、

大概は何とか出来る自信があるけど、妹紅が心配ねぇ…。

私が心配していると飯綱様が私を見て言い放つ。

 

「人の心配をしてはいられんぞ?

晄よ。お前はこれより明鏡止水でいつつ…

 

 

 

 

 

 

 

 

水だけの生活をするのだ」

 

 

 

 

 

 

私には何も聞こえなかった。

うん、何にも聞こえなかったわよ?

 

「な、何だって!?そうしたらこの烏、空腹で死ぬぞ!?

あなただって知ってるんでしょ?こいつが大喰らいなの!」

 

妹紅が燃え盛る炎が如く、くらいかかる。

指を指され、大食いとされたのはちょっと苛つきもしなくもない。

ははは、何。冗談よ。きっとそうに決まってるわよ。

 

「大丈夫よ、妹紅。きっと新手の冗談よ?」

「そんなわけがあるか」

 

飯綱様はそう言うが、私には理解出来ない。

考える事も出来ない。現実味も無いし、きっと夢よ。

そうに、決まってるわよ。

 

「案ずるな、妖怪だから死にはせん」

「なんと言う…!」

 

妹紅があっけにとられ、口を開けっ広げる。

ハハハ、やばいこれ。マジだ。

急に汗が身体中から出てきた。地獄の労働が頭を巡る。

 

「い、飯綱様ァ!!!!悪い冗談はおよしになってくださいまし!

流石に私死んでしまいますことよ!?食わずして生きる事ならずと!」

「厳しい修行はせん。十日間ほどの我慢だ。辛抱せい」

「あーれーッ!!!」

 

一人で大回転。景色が回る回る…。

やがて目も回り、大の字に倒れ献立。はぁ、空が青海苔…。

 

「妹紅殿は逆によく食べてよく動いてもらう。

こやつもやったことだ死にはせんよ」

「そ、そう…。そのこやつ、今気が違えてるけど大丈夫?」

「問題無い。一応、様子はよーく見ておくからな。

ではこれより始める!」

 

ここから、私の生きてきた中でもっとも辛い、春菊…修行が始まった。

 

 

 

□□□

 

 

 

「ずっと明鏡止水で居るのだ。

ただひたすらに風に思いを託し、心を澄ます…!

それが、この流剣流の剣技に繋がると言うもの。

先程も申したが、死にはせん。そこは安心せい」

 

飯綱様が、河原に連れてそう私に言う。

食べられない人生とか半分以上損してるよね!

 

「殺生でござる!殺生でござる!」

「不安なのはわかる。儂を信じろ、これを乗り越えれば、

儂の剣技を託すに相応しい心得が手に入るのだ。

 

 

思い出せ、お主が握る夢を。信じる未来を…!」

 

………草だ。

私は茄子をしにここまで来たか?

…私は強くならなきゃいけないんだ。その為に戻って来たんだ。

心の中に大きな炎を思わせる『思い』が燃えたぎる。

 

とは言え、食べないのはちょっと考えられない。

『思い』が食欲に冷やされて行く。

冷静に考えるならば、有り得ない。生き物として。

 

いや、つ、強くならなきゃいけないんだ。

それなら死線をちょっと踏み外しても…!

目的と食欲の線を行ったり来たりする。

 

でも食べ鯛。あ、あうう…。

 

やがて目的と食欲が激しくぶつかりあう。

一時の楽、永久の力不足か?一時の苦しみを経て、力を得るか?

そう考えれば、答えは一つだ。

 

「や、やってみます!水だけでも生きていけますよね!!ハハハ…」

「それでこそ晄よ…!…すまぬ。苦しかろうが、頑張るのだぞ」

 

飯綱様が、空の彼方へ消えて行く。

急に怖くなって来た。

 

…仕方ないな、修行しよう。

 

私はゆっくりと目を閉じ、体中の感覚を研ぎ澄まし、集中する。

 

 

 

■■■

 

 

 

「さて、これが今日からお主のやることだ」

 

そう言うと飯綱が、紙切れを私(もこう)に渡す。

紙にはところ狭しと何やら書いてある

 

朝ー朝食作り、石積み、集中訓練、薪割り

昼ー勉強、食材探し、昼食作り、山走り修行、打ち合い、集中訓練

夜ー素振り、夕食作り、寝床作り、就寝…

「これ…一日に全部やるの?」

 

ずいぶんキッチリと書かれている。

嘘臭いものから、現実味を帯びているものまで。

退屈なんて言ってられなそうな修行だ。

 

「当然だ。お主は妖力が強い割に華奢だからな。芯から鍛えねば」

 

体…そう言えば鍛えようと思った事がなかった。

…どうせ、斬られても再生すぐに再生するから鍛える必要もない、

と思っていたからだ。

今更ながら、それだけでは敵は倒せない事を知ったが。

 

体を鍛える修行か…。

痛みも疲れも感じるので、ちょっと修行が怖く感じる。

痛みが怖い、なんて随分久しぶりに思ったな。

などと一人考えに耽ると手のひらに斧が納められていた。

 

「この腐った木切れを斧で断て。

腐っているから少し粘るが、コツを掴めば訳も無いぞ」

 

もうすでに修行は始まっていたようだ。

私は切り株に木切れを置き、勢い良く降り下ろした…!

 

 

「ほれ、後四百九十九!」

 

□□□

 

 

「ふぅ…はぁ…こ、コレ本当に晄やってたの?

想像以上にきついんだけど…」

 

私は息切れしつつうめいた。

実際に紙に書かれた事通りに修行は行われたのだ。

体が空腹と疲労を叫ぶ。頭も色々とスッキリしすぎて空っぽだ。

 

「うむ。お主と同じく苦しんでおったわ。

この修行があっても、奴め日頃を楽しむ様になっておったわい」

「これを楽しんだっていうの!?」

 

私はつい大声を上げると頭が痛み、地面に膝をつく。

…にわかに信じがたい。

 

「何だかんだ、退屈はしなかったろうな。奴はそういう奴だ。

さぁ、食え。とりあえずたんと食え、お主の作った飯だぞ」

 

私は並べられた食事を見る。

…なるほどね。食欲が出るのも無理無いか。

私は箸を持ち、夕飯に手を伸ばした。

 

 

 

■■■

 

 

「ふわっくしょん!!あ、あぁ悪寒がする…。

水しか飲んでないからかな…。あぁ、寒い…」

 

私(あきら)は木の葉布団に埋まりながら暖かい食事を思い浮かべた。

 

あの地獄の三週間もきついけど楽しかったものね…。

体を通り抜ける風が、体を冷やす。

 

 

 

 

続く




ロシアでは『医師の管理の下』、絶食ダイエットが許されています。
しかし、普通の人は絶対にやってはいけません!!!
「ダイエット」=「健康化」not痩せる

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