前回の話読んでない人にはチンプンカンプン!
ちゃんと一話完結にしたい!
続きです行きましょう!
幻想郷の夕暮れ。
鴉の間抜けな鳴き声が緋色の空に吸い込まれ、夕焼けは里に妖艶な影を落とす。
人は朝に起き、昼に働き、夜を安息とする。夕暮れは安息の入り口であり、子供らは家に帰り、大人は仕事から上がり出す。夕餉の匂いがあちらこちらから立ち上るこの時間。昼と夜の間に存在するこの小さな時間は、俗に「逢魔が時」と呼ばれ、魑魅魍魎と出逢う危険な時間として知られていることがある。
黄昏時の永遠亭。
小さな診察室から広い客間に移動した私達は、永琳の弟子の淹れるお茶(とても美味しい)を貰い、満を辞して怪談の最終鑑定を始めた。
魔理沙「それで、バンザイおじさんは2人いるんだって?」
饅頭「そう。バンザイおじさんの怪談は、一匹の何かによって起こされたものじゃなかったんだ」
指を二本V字に立てて、遊柳が説明をフォローしてくれた。
饅頭「最初、私達はバンザイおじさんという固有の何かが、子供たちの腕を引きちぎって里を彷徨う怪談だと考えていた。少なくともチルノから鑑定依頼を受けた段階では、その方向で鑑定し、居場所の特定や出没理由なんかを探ろうとしたんだ」
魔理沙に遠足と
饅頭「まずは私からバンザイおじさんというものについての推察を述べるよ」
私は懐に入れてあった懐紙を取り出して、筆を使って慎重に絵を描く。
饅頭「妖精たちの証言。見たこともない上下がつながったような服を着け、黒い眼鏡に硬い帽子、無精髭と来たもんだ。この後実は似顔絵が得意の皆無に描かせてみればもっとわかるかもしれないけど、これは第二次世界大戦中の神風特攻隊の服装と合致している」
上下がつながった服は特攻服。黒い眼鏡とはゴーグル。硬い帽子とはヘルメットだ。
神風特攻隊。日本にいながらこれを知らないものなどいないといっていいだろう。
天皇崇拝の軍事国家となっていた日本が、第二次世界大戦末期に行った特別航空機攻撃。
名前ばかり格好いいが、この攻撃は爆弾を積んだ飛行機で敵地にそのまま飛び込むという殆ど自爆紛いの攻撃、特攻だった。
頻りに発しているというバンザイという言葉。考えられるのは「天皇万歳」であろう。
お国のために死ぬことが何よりもかっこいいことだと信じられていた時代だ、バンザイおじさんはこの特攻隊に選ばれ戦死したうちの一人で、その地縛霊なのだろう。
特攻隊に選ばれた者たちは記録に残り、忘れられることなく後世にその悲運な人生が語られることだろう。
饅頭「その記録にたった一人、書き洩らしがあり、またその者の家族が全て死に絶えていた場合、彼を知るものが居ないことになり、幻想入りしたと考えられる」
妹紅「私が幻想入りした後、日本はそんな恐ろしいことになっていたのか...」
魔理沙「以前起きた花の異変もこれに関わってるのかもな」
花の異変というのはよく分からないが、とにかく理解してくれたようだ。
饅頭「兎に角。そんな例外的なバンザイおじさんが、なぜ二人もいることになったのかついて説明しよう、遊柳さん」
遊柳「はいはーい。それじゃあ説明するよ?」
遊柳に説明を振ったのは私の怠慢ではなく、本人が説明したがっていたからであることを先に述べておこう。
なぜかは分からないので追求は無駄である。
遊柳「里での聞き込みで、バンザイおじさんによる実質的な被害は4件。腕を引きちぎられた子が4人いるってことだけど、不思議なことにその4人全員が妖精や妖怪だったの」
遊柳が戯けるように首を傾げてみせた。
遊柳「それで、バンザイおじさんに遭いながらも助かったのは全員が人間の子供。人間は助かってそれ以外が被害に遭うなんて、何かあるとしか思えないよね?」
その通りである。
バンザイおじさんが腕を千切る理由さえ分からないが、少なくともその標的を、不死性のある妖精たちにのみ絞っているように見え、不自然極まりない。
遊柳「その理由は多分噂の拡散を子供内に抑えるためだと考えられるわ。妖精や妖怪に保護者のようなものはいないほうが多いのだろうし、里の子供に孤児は居ない。もし里の子供が腕を千切られるなんて目にあっていたら最悪死んじゃうし、そうなれば大変な騒ぎになっているはず。でも里ではそんな話は一切出てこなかったわ」
ほとんどの怪談に共通して現れる暗黙知点の1つに、騒ぎにならないというところがある。
人が死ぬ怪談にしろ何かが現れる怪談にしろ、地域住民で騒ぎになってもおかしくないような怪談でも、本人の話だけで済んでいたり、そのまま闇に葬られたりと、都合よく怪談を落とすことがある。
簡単な例として、口裂け女で説明すると。
口裂け女というあからさまな不審者、それでいて子供を襲うような危険因子が、目下どんなに小さな事件も報道される世の中には一向に浮上してこないし、口裂け女に殺される落ちの話も多いが殺された者がその後どうなったかは明記されず、真実は闇の中藪の中、突いても叩いても蛇すら出る気の失せる終わることもしばしば。
今回のバンザイおじさんの場合、単純に子供への実質的な被害がなかったという事が、騒ぎにならなかった原因とも言える。
怪談にしてはかなり作り込まれた作品だと思われる。
遊柳「決め手は魔理沙の言葉だったの。魔理沙、あなたが最後に黒蜜団子を口に放り込む前に言った言葉を復唱しなさい」
魔理沙「いただきます」
遊柳「そっちじゃないですよ〜?」
小ボケの拾い方が少し怖い遊柳さんである。
魔理沙「あぁあれか。『霊夢は何をしてるんだ』だったっけか?」
遊柳「それそれ。人間に被害がなかったとは言え、幻想郷の住民の安心を脅かすような者がいるとすれば、霊夢ちゃんはすぐに飛んでくるはず。でも今回、バンザイおじさんの事件が4件も起きた今でさえ霊夢ちゃんは動向不明のまま。これってどういうことかしら?考えられる可能性は...」
ここで遊柳は、お祓い棒を振り回す霊夢の仕草を真似をすると魔理沙がクスクスと笑った。
遊柳「既にその妖怪との決着がついていたという可能性と、そもそも妖怪絡みの事件ではないという可能性よ」
と、遊柳が見つけたのは床の間に置かれていた可愛らしい小さな兎のガラス細工だった。遊柳は幾つかをつまんで持ち寄ると、それを使って説明をすることにしたようだ。
遊柳「前者の可能性なら、霊夢ちゃんは実際にバンザイおじさんと対面し、それを退治して解決した気になっているということ。霊夢ちゃんなら最初の事件で動くはずだけど、4回も事件が起きたとなれば、霊夢ちゃんはしっかり退治できていないってことになる。あの面倒臭がりな性格からして、退治した妖怪のことなんて覚えないだろうし、すぐにでも休みたがるはずだから解決した気になっていてもおかしくないわ」
なんとなく霊夢のことをボンクラ扱いしている遊柳さんに思わず苦笑い。
でも遊柳の言う通りで、霊夢なら解決した気になって次の依頼に出ているのかもしれない。
遊柳「そして後者の可能性。これが一番濃厚な線で、考えられうる中でも最悪に近いシナリオになるわ」
遊柳はガラスの兎を器用に動かしながら、一番可能性の高い話について説明を始めた。
遊柳「さて、霊夢ちゃんは妖怪退治の専門家で、裏を返せば妖怪の事案しか受け付けないと言うことになる。なら、今回の件に霊夢の介入がないと言うことは、バンザイおじさんは妖怪絡みの事件ではないと言うことになるわ」
永琳「なるほどねぇ。霊夢が倒し損ねて事件が続いてるとしても、霊夢の管轄外だったとしても、人間を襲うものと襲わないものの2つが居ることに変わりはないってことなのね」
遊柳「ご名答〜。あとは蟹さんまかせたよ〜」
遊柳から話が回ってきたので、そろそろクライマックスの準備を終わらせるとしよう。
饅頭「そして最後に、ここ最近に永琳先生に薬品を売ってもらった里の者がいる。そいつが永琳先生から買ったという薬品はホルムアルデヒドという薬品だったらしいんだ」
ホルムアルデヒド。有機化合物の中で最も簡単な構成をしているアルデヒド基の化合物。それ単体では非常に強い毒性を持つ。
この幻想郷の住民がこの薬品のことを理解してくれるはずがないので、簡単な用途だけを説明する事にした。
饅頭「ホルムアルデヒドは、酒なんかに含まれている成分のアルコールと混ぜることで、ホルマリンという液体が生成される。ホルマリンは、私たちのいた世界では優秀な保存液として使われていた薬品だ」
魔理沙「あっ!もしかして香霖の店にあった蛇とかが瓶詰めになってたあれのことか?」
どれのことかは分からないが、きっと趣味の悪い理科室にあるようなホルマリン漬けのことを言っているのだろう。この世界にも出回っているというのは予想外だ。
話が早くて助かる。
饅頭「そしてトドメに、永琳先生による怪我の治療によって明らかになったことで、腕は引きちぎられた怪我ではなく、切断された怪我だったらしい」
さてここで考えてみよう。
バンザイおじさんには、人に害をなすものとなさないものの2つが存在していて、狙われたのは寺子屋に通う人間と妖精。
腕を切られたのは妖精のみ。
妖怪退治専門の博麗霊夢はバンザイおじさんの事件を止めるよう動いていない。
このことから導き出される1つの筋書きは、
饅頭「この里には、バンザイおじさんという無害な地縛霊の名を隠れ蓑にして、寺子屋通いの幼気な少女の腕を切り落としては持ち帰ってホルマリン漬けにして保存する、反吐が出るほど趣味の悪いおじさんがいるということだ」
影がみるみる背を伸ばし、窓からほぼ水平に夕焼けの明かりが射し込んでくる。
私の宣告が終わるのとほぼ同時に、毎日決まって暮六ツ刻(夕方の6時頃)になると泣き喚くという時刻鴉が鳴いた。
幻想郷にしかいない鶏のような鴉だ。
饅頭「もう酉の時間か。さて、鑑定の検討もできたことだし、店に帰って依頼主に鑑定額を報告...」
立ち上がって帰ろうとした私の脳裏を何かがよぎる。ガラスの兎を元の位置に片付け直していた遊柳も、私の言葉を聞いてピタリと動きを止めた。
遊柳「蟹さん。腕フェチのバンザイおじさんは、まだ里にいるんだよね?」
饅頭「あぁ、いる。ちょっとマズイぞ.....」
慌てて永遠亭を出る準備を整え始めた私達を見た魔理沙と妹紅も、事に気付いたように目を見開くと、妹紅は足早に竹林の方へと向かい、魔理沙は箒に乗ってその後を追った。
チルノ「あ!遊柳がお菓子を買ってる店ってここだね!」
大妖精「うん!遊柳お姉さん御用達の和菓子屋さん『
迷いの竹林で妹紅と別れたチルノと大妖精の二人は、次なるお見舞いの品を手に入れるべく、あらかじめ遊柳お姉さんに聞いていた和菓子屋を探していた。
チルノが先頭を買って出たのはいいものの、方向音痴な氷の妖精はあっちへよろよろこっちへよろよろ、なかなか目的の店に辿り着きません。そして空が明るく染まり、時刻鴉がカァカァと喚く逢魔時、ついに店を見つけることができました。
大妖精「よく考えてみれば、寺子屋の近くにあったんだよね」
チルノ「知らないよ、もう見つけたんだから店探しの話は関係ないやい」
大妖精「そうだけど〜」
と、和菓子屋の暖簾を分けようとチルノが腕を伸ばしたその時。
夕焼けによって引き伸ばされた人の影が、チルノの腕を纏うように乗りかかる。
チルノ「ん?おまえだれだ?」
大妖精「うそ、まさか.......」
男「バンザイじゃぁ〜バンザイじゃぁ〜」
緋色の空を背景に、まるで影法師のように揺らめきながら二人の前に現れたのは、眼鏡を掛け、鉄鍋を被り、上下が一つに繋がった和服を纏い、綺麗に研がれた
大妖精「ば、バンザイおじさん!?」
チルノ「いぎぎ...お前がサニーを襲ったお化けだなっ!?」
チルノは友人の仇であることを認識すると、つま先を蹴って後方へ飛び、大妖精の腕を引いて自身の背中にまわす。
大妖精「チルノちゃん...?」
チルノ「大ちゃんはここにいて...サイキョーのあたいがあいつを死人より冷たくしてやるから!」
激昂しているチルノは、鋭い氷柱を周りに発生させ男を睨みつける。
チルノ「お化けなんて怖くないぞ!」
チルノはその言葉を皮切りに、膝のしなりを利用して男へと飛び込む。
饅頭「よし、焦らず行こう。万が一のことがあるなら私か遊柳の能力で被害は最小限に留めるようにするよ」
遊柳「わかった。私は霊夢を探してくるわ」
妹紅「私は竹林の入り口にずっと居てやる。怪我人が出たならすぐに連れて来な」
魔理沙「私は蟹と一緒にあいつらを探すぞ」
竹林を駆け抜けた私達は、人里の入り口でバラバラに別れた。
よほどのことが無ければ使わないと決めていた『筋書きを作る程度の能力』を使う事にならないように、今は走るしかない。
時間も時間で、人通りも少なくなっているので、視界は開けているが見つけるのは苦労しそうだ。
魔理沙「ん?冷んやりとした風が...」
饅頭「この秋空の下だ、風が冷たいのは当たり前じゃないのか?」
魔理沙「いや、これは自然の風じゃない。チルノが何かしてるみたいだ」
饅頭「本当か?じゃあその冷気の来る方に向かおう!」
魔理沙「こっちだ!」
チルノ「はぁ...はぁ...」
男「博麗印の御札は凄いだろう?君の妖力はここまで届かないよ」
大妖精「ち、チルノちゃん!」
男の手に握られていたものは博麗神社から人里に配られる御札だ。この幻想郷の妖怪は基本的にこの御札に勝つことはできない。
そのため、厄除けや妖怪の
チルノ「逃げて大ちゃん...」
疲労が限界に達したチルノはその場に膝をつく。
男「その雪のように可愛らしい腕に、君の身体は不必要。早く持って帰ろう」
男はにこりと笑うと、鉈を大きく振り上げる。
刃の腹についた血の錆のような汚れが鈍く光る。
大ちゃん「チルノちゃああああん!!」
男「バンザイバンザイバンザーーーイ!!」
皆無「...........」
ゴッッッ!!
瞬間。それ以上の音を出すことなく、矢のような速度で脇腹に突き刺さった拳によって、男はその場から消え失せたかのように吹き飛んでいった。
饅頭「で、どうしてここに皆無がいるんだ」
皆無「...........」
皆無がゴソゴソと取り出したのは、出掛ける前に遊柳に渡されたおつかいの依頼書だった。
饅頭「あー。なるほどね。確かにここ遊柳のよく行くお菓子屋だったな」
皆無に空気抵抗無しにされて飛ばされたと思われる男は、駆けつけた魔理沙によって捕縛され、遅れてやってきた霊夢に連行されていった。
遊柳「それにしても。噂を再現しているつもりなんだろうけど、特攻隊も呆れて笑うような的外れな変装だったわね」
黒縁の眼鏡に鉄鍋を被って浴衣のような着物。
例え誰かを襲う気がなくても不審者確定である。
その後疲労で倒れていたチルノは、永遠亭に案内すると言ってやってきた妹紅跳ね除けて家に帰っていった。お転婆もここまで来ると清々しい。
遊柳と皆無はそのままお菓子屋で買い物をして先に帰っておくと言い残し、二人で『青柳鶴』への暖簾を開いていった。
饅頭「じゃあ、私たちは怪談の答え合わせと行こうか」
それを見送った私は、その場に残った大妖精と魔理沙を連れて、男の自宅と思われる家に向かうことにした。
着いた場所は寺子屋の裏に建てられた瓦葺き屋根の小さな家。妙に建てつけのいい扉を蹴破って中に入ると、漂うアルコールの刺激臭が鼻に突き刺さる。
そして目の前に広がっていた光景は恐ろしいものだった。
瓶詰めになっている8本の腕が棚に並び、部屋の壁一面には、瓶詰めになる前の腕の写真がビタビタと貼られており、床のそこら中には液状の塊が点在し、机の上には標的にする予定だった妖精の名前が連ねられていた。
饅頭「これが。バンザイおじさんの正体か」
里で騒ぎにならないよう妖精を狙い。
腕を切りっては写真におさめて壁に貼り、
その腕を使って自分の興奮を鎮めていた、
腕を愛でるためにホルマリンまで作った男。
その異常な性癖が引き起こした怪談。
鑑定額は前回に等しく1円。
内容が内容だったし、使い所には困るが怖いことに変わりない、優良物品だ。
大妖精「こんな大金...よろしいのですか?」
遠慮がちな言葉だがしっかり貰うつもりのようだ。素晴らしい姿勢だと思う。
饅頭「いいんだよ。大変な目にあったんだろ?好きなものに使いなさい」
きっと彼女の方が圧倒的に長く生きているとは思うが、目の前にいるのは行儀のいい幼子にしか見えないので、少し大人ぶって格好つけてみる。
チルノ「なーなー!これ!アイスクリイムどれだけ買えるんだ!?」
饅頭「店ごと買うのと大差ないほど買えると思われるよ」
というか。君自体がアイスクリイム無限製造機みたいなものだろうに。夏に欲しくなるね。
今は秋なので丸々一年は納戸の向こう側だ。
霊夢「しっかし。あんた達本当にろくなことしないわね」
本日来店なさっている博麗の巫女様は、歌舞伎揚を召し上がりながらそんなことをいう。
饅頭「実際、霊夢は本来のバンザイおじさんに会ってたのかい?」
霊夢「会ってたわよ。事が起きる前にね」
耳と足の速い霊夢さんだった。
霊夢「カミカゼトッコータイっていう人で、本人の意思ではなくを天皇崇拝し盲信していた他の地縛霊達に縛られていたみたいなの。だから解いてあげたのよ。少し前にね」
白く湯気が立つ緑茶を啜る霊夢は、哀しそうな顔で話を止めた。
妖精二人が家に帰り、霊夢も神社に帰ったところで、部屋の奥で片付けをしていた遊柳が書斎にやってきた。
遊柳「で?本当のバンザイおじさんは、どうなっていたのかしら?」
私は霊夢から聞いたことをそのまま遊柳に伝え、ついでに自分なりの推察も述べた。
饅頭「彼が幻想入りしたのは、彼を知るものが居なくなってしまったからで、彼がこの世にとどまっているのは天皇万歳の怨霊たち。これから考えられる物語はね....」
戦争という悲しい出来事の中で起きた、たくさんの悲劇のたった一つに過ぎない話だが...
饅頭「多分。死ぬ直前に彼が言った言葉は、『天皇万歳』などでは無く。『ごめんなさい』だったんじゃないかな」
彼は心の底では、直接会ったこともない神様よりも、目の前で触れ合ってきた温かな家族の方が大切だったんだろう。死ぬ寸前になって出てきたのは、自分がこの世から去ることへの謝罪。帰りを待つ者の気持ちを踏みにじる自分への軽蔑。そしてこんな自分を愛し、信じて待って居てくれる者たちへの感謝。
とてもじゃないが、天皇が背負うにはあまりにも大きなものだ。
饅頭「彼はバンザイをすることで。またさせることで、自分の国への裏切りに対する許しを請い、天で待つ家族の元に、今度こそ帰らなくてはならなかったんだと思う」
秋の夜は長い。
鈴虫の小さな鳴き声が、店仕舞いの合図だ。
人は、帰るべき場所が必ずある。
待つべき人が必ずいる。
怪談に登場するお化けたちにだって、帰るべき場所はある。帰りたい場所もある。
帰りを待ってくれている者がいる。
死んで同じ場所に行けるかは、死ななきゃわからない。
生きているうちに、会える者には会い、帰れるところには帰ろうじゃないか。
私たちもいずれはこの地を去る。
私たちの帰るべき場所は、外にある我が家なのだから。
見直しが甘くなってるかもしれません。
連続投稿すると宣言した以上は連続で投稿しますが!
ここらが限界ですね。
次の更新はいつになるかわかりませんが、ハッキリと言えることは。
「もうミステリー重視なんて懲り懲り」ってことですね。
今回もご視聴ありがとうございました。
次回の話に期待してくれると幸いです!読者の皆様に幸あれ!