あんさんぶるガールズ‼~転校生と少女たちの日常~   作:ファントムベース

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本当は昨日までに投稿するつもりが、謎のスランプで時間がかかってしまいました。
そして私の欲望ほぼ全開の内容…反省はしてるが、後悔はしてない。

注)番外編はIF設定です、ご了承下さい。


番外編
番外編その1「バレンタインデー2018」


2月14日。

バレンタインデーともあり、君咲学院は非常に賑わっていた。元々お祭り事が大好きな学校であったが、なんせ今年は男子がいるおかげで去年以上の賑わいとなっていた。

 

 

「はぁ…」

 

 

しかしそんな賑わいの中、裕也は1人憂鬱になっていた。今彼の目の前に広がるのは、女子たちから貰ったバレンタインのチョコ…それも机の上に小高い山が出来るくらいの数である。

 

 

「うわっ、すごい量になってるね。それ全部バレンタインのチョコなの?」

 

 

と、そこへなつみが近寄ってきた。彼女も彼の机の上に建つチョコの山に驚いているようだ。

 

 

「ああ。朝学校に着いた瞬間に皆から渡されて、結果的にこうなった…」

 

「あ、あはは…」

 

 

チョコの山を前に若干虚ろな目をしている裕也に、なつみは苦笑いするしかない。ちなみにチョコは現在進行形で増えているので、学校が終わる頃にはいったい何十個になっているかわからない。

 

 

「そういえばユーくん。次の授業の音楽は視聴覚室でDVD鑑賞だってさ」

 

「うげっ、またかよ。あそこ暖房きくから眠くなるんだよな…」

 

「文句言わないの。ほら急がないと、先生に怒られるよ」

 

「へいへい」

 

 

チョコを持参してきたエコバッグにしまうと、裕也は席から立ち上がる。そして教室を出ようとした時、スマホにメールの通知が入った。

スマホと取り出して画面を確認すると、1年生の『北川ゆき』からで内容は、

 

 

『黒崎先輩へ

 

先輩、放課後は空いてますか?もし迷惑でなければ渡したい物があるので、コンピューター室に来てください。

 

  北川ゆき』

 

 

というものであった。

 

 

「放課後、しかもコンピューター室か。確か今日は特に何もなかったな、よし『了解した』っと…」

 

 

裕也はゆきに返信し、スマホをしまう。

 

 

(それに…俺自身もゆきに用があるしな)

 

 

 

 

 

 

それから時間が経ち、放課後。

裕也はゆきが指定したいつもの場所…コンピューター室の前に来ていた。

 

 

「おーい、ゆき。いるか?」

 

「はい、います。どうぞ入ってください」

 

 

扉を開いて中に入ると、中央の席にゆきの姿があった。さらに彼女は制服ではなく、以前なつみに作ってもらった黒と白のゴシックドレスに着替えていた。

 

 

「ゆき、それって…」

 

「風紀委員にバレないように、こっそり持ってきちゃいました。どうです、似合いますか?」

 

 

その場でくるくると回り、ドレスを見せるゆき。

 

 

「ああ。似合ってるし、とても可愛いよ」

 

「えへへ…先輩にそう言われると、なんだか嬉しいけど恥ずかしいです///」

 

 

裕也に褒められて恥ずかしいらしく、ゆきは頬をほんのり赤らめる。

 

 

「ところでゆき。渡したい物ってなんだ?」

 

「そ、そうでした。先輩、バレンタインのチョコです。どうぞ」

 

 

そう言ってゆきが彼に差し出したのは、赤いリボンとピンクの包装紙で可愛くラッピングされたバレンタインのチョコであった。

 

 

「ありがとう、これ食べてもいいか?」

 

「はい、いいですよ」

 

 

丁寧にリボンと包装紙を外し、箱を開けてみると中にはハート形のミルクチョコが入っていた。

 

 

「おぉ、すごいな。これ手作りか?」

 

「はい。でも私1人で作ったから、そんなに美味しくないかもしれませんけど…」

 

「そんな事はないさ。じゃ1口、いただきます」

 

 

そう言って裕也は彼女の前で、チョコを1口食べた。その瞬間、くちの中にほんのり甘いミルクチョコの味が広がる。

 

 

「…どう、ですか?」

 

「うん、うまい。ちゃんと出来てるよ」

 

「ほ、本当ですか!よかったぁ…」

 

 

チョコがうまく出来ていたことに、ホッと胸をなで下ろすゆき。

 

 

「ほら、ゆきも食べてみろよ」

 

「ふぇ⁉で、でもそれは先輩にあげたチョコだし…」

 

「そう遠慮するなって。ほら」

 

「うぅ…」

 

 

裕也が差し出されたチョコをジッと見つめるゆき。

 

 

(こ、これって先輩とのか、かかか間接キスだよね…⁉ど、どうしよう⁉)

 

 

どうすればいいか分からず、ゆきは頭の中がパニックになる。

 

 

(こ、ここで引いちゃ駄目よゆき!こんなチャンス、またとないのだから!)

 

 

ゆきは脳内で謎の格闘が繰り広げた後、覚悟を決めてチョコを1口かじる。

 

 

「どうだ?」

 

「あ、甘いです…(し、しちゃった。先輩との間接キス…///)」

 

「なぁ、全部食べていいか?」

 

「ど、どうぞ(えへへ、先輩と間接キス///)」

 

 

チョコがうまく出来たことより、裕也と間接キスが出来たことが嬉しかったゆきであった。

 

 

 

 

 

 

それからチョコを食べ終えた後、2人は時間を忘れて談笑した。気づく頃には、時刻は午後6時に差し掛かろうとしていた。

 

 

「あ、もうこんな時間か…そろそろ帰らないといけないな」

 

 

裕也が立ち上がろうとした瞬間、ゆきが制服の袖を掴んだ。2人の間に暫しの沈黙が流れるが、ゆきは意を決して言った。

 

 

「先輩、ずっと黙っていたんですけど…あの日聞けなかった、告白の返事を聞かせてもらえますか?」

 

「…っ」

 

「わかってました。先輩がいつまで経っても返事を聞かせてくれないのは、気を遣ってたんですよね。私を傷つけてたくなくて」

 

「…………」

 

 

裕也は黙ったまま、ゆきの話を聞く。

 

 

「私もどこかでそれに甘えてしまってのかもしれません。けどそれじゃ駄目だって…、いつまでたっても前に進めないって…」

 

「ゆき…」

 

「私だって覚悟は出来ているんです。だから聞かせてください、あの日の返事を…」

 

 

少し涙ぐみながらも、真っ直ぐな目で彼を見つめるゆき。裕也は頭をガシガシとかいて少し迷った後、口を開いた。

 

 

「…俺も馬鹿な男だな。せっかくゆきが告白してくれたのに、いつまでも答えを出さないでいてな」

 

「先輩…」

 

「実はな、俺がここに来たって告白の返事をするためだったんだが、まだ心のどこかで迷ってた。けどさっきのゆきの話を聞いて、俺も決心がついたよ」

 

 

裕也は目を閉じた後、ゆきに頭を下げて言った。

 

 

「ゆき、こんな俺でも構わないのならよろしく頼む」

 

「…っ!はい、こちらこそ…よろしくお願いしますっ…!」

 

 

裕也の言葉にゆきは口元を抑え、涙を流しながら答えた。そんな彼女を裕也は優しく抱きしめる。

しばらく抱き合った後、ゆきは彼の胸から顔を上げた。

 

 

「先輩…キスしてください」

 

「…わかった」

 

「ん…」

 

 

裕也は目を閉じ、ゆきと唇を重ねる。数秒の後、唇を離したゆきは満面の笑みを浮かべた。

 

 

「先輩、愛してます…♪」

 

 

 

バレンタインデー2018、完。




というわけで、バレンタインデー回でした。
ゆきちゃんにしたのは、個人的に幸せになってほしかったキャラの1人だからです。
え?口調?そこは愛でカバーしてください。

明日であんガルもサービス終了してしまいますが、投稿はやめないつもりでいます。少しでも彼女たちが恋しくなったら、ぜひ見にきてください。(宣伝乙×2)


では、また次回会いましょう。

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